335 / 517
晩秋な私の魔王編
第335話 カンナちゃんのダイエット特訓伝説
しおりを挟む
与那国島観光を多いに楽しんだ私。
カナンさんはうちの父とも遠隔でお喋りし、冬には帰りますよ、と約束をしていた。
父大喜びだなあ。
帰りはお土産をAフォンに詰め込み、入りきらなくなった銀色飛翔体を展開して、のんびりと戻ることになった。
ベルっちがガス欠にならないように、たまに私が彼女の中から出てきて、何か食べさせる。
「ほい、あーん」
『あーん……。クパ餅おいひー。独特の香りがたまらん』
「ねー」
『はづきは飛んでないのに食べてるの? 後でダイエットする量が増えない……?』
「あとはあと、今は今。私は現実を楽しむことにしてるので……」
『はづきがむちむちになる分、私にも回ってくるんだけど』
ベルっちが文句を言うように!
難しいお年頃ですねえ。
こうして半日くらいかけて、東京に戻ってきたのだった。
1900kmを7時間くらいのろのろ飛んだから、時速270km/hくらいかなあ。
新幹線より速いのでは。
そしてイカルガビルに到着したところで、銀色飛翔体が限界を迎え、パタンパタンと開いたかと思うと……。
「あー、崩れてしまった」
『アバターが崩壊してくね。私たちが出たからだ』
儚い。
とりあえずの結論としては、与那国島遠かったねーという話なのだ。
さて、ここからは私が忙しい。
カンナちゃんにアポを取って、ダイエットについて伝授してもらわねばならないからだ、
ザッコで連絡したら、その日の夜に返答が来た。
『いいよー。今度コラボ配信で一緒にスポーツする? なうファンタジーのみんなが使ってるジムとかあるんだけど。はづきちゃん今は二人になったりするんだよね? 闇のはづきちゃんも連れてきてよ。会いたいなー』
「ぜひぜひー! ありがとー!!」
すぐに話しがまとまった!
「カンナちゃんは本当にいい人だなあ。好き好き」
カンナちゃんプラモをちゅっちゅしたりしていると、ベルっちがふーむと唸った。
「どうしたのベルっち」
『与那国島からね。私とはづきの違いを色々考えてたんだけど。私の中に、はづきが親しい人たちへの愛着が割と薄いんだよね。だからそっちは多分、ハヅキのものなんだと思う』
「ほえー。共有されてないんだ。じゃあ、誰となら親しい感じなの?」
『んー、バングラッド氏とお兄ちゃん?』
「あー」
バングラッド氏は魔族的な人なので、親和性が高いのかもだし。
あとは背中に装着して空を飛んだ仲だもんね。
ベルっちの意識みたいなのが強まったのは、イギリス出張の時からだったのかも。
兄は謎。
「でもカナンさんとハグしてたじゃん」
『はづきと分離してしばらくは、なんかはづきの感情を共有するみたい。でもあのハグでカナンさんとも仲良しになったから、今は好きよー』
「なるほどねえ」
私とベルっちの違いなんかを確認し、このことについてルシファーさんやウォンさんとお喋りしたりして時が過ぎた。
そして……。
予定を合わせた、カンナちゃんとのコラボ配信の日!
秘密のスポーツジムへ私たちは集まった!
なんかよそ行きな格好のカンナちゃんが待ち受けている。
私もお気に入りのワンピースを着てきた。
ほぼデートなのだ!
「はづきちゃん久しぶり! いっつも元気だねえ」
「お久しぶり~! カンナちゃんに会えると思ったら嬉しくて嬉しくて……。なので元気なのです」
二人でいえーい、とハイタッチしておく。
ここでカンナちゃんがシリアスな顔になった。
「ところで配信で見てたんだけどさ、はづきちゃんが二人に分かれられるようになったって本当?」
「ほんとですほんと。私の力が強くなりすぎたから、分かれやすくなったというのもあるかもー。ベルっちー」
『ほいほい』
私の横にスーッと出てくるベルっち。
これを見て、カンナちゃんが目を丸くした。
「ほ、ほ、ほんとだ! 現実でも二人になってる!! ほへー」
しげしげとベルっちを見つめる。
周りをくるくる回ったり、ハグしてみたり。
『あひー』
「ああごめんごめん、でも抱き心地は間違いなくはづきちゃんだわ」
「ベルっちは私と違って、そこまで人に感情が無いから大丈夫!」
『いや、なんか超ドキドキしてる。カンナちゃんは別だわこれ』
「ほんとうにぃ!?」
いかん、ライバル出現!!
ライバルは私だー!
ということで。
私たちは更衣室へ向かい、一緒にお揃いのジャージに着替えたのだった。
「うひょー、はづきちゃんが二人いる!!」
「バーチャライズしてきましたんで、確かに私が二人」
見分け方は、ベルっちは背中に羽が生えていることでしょうかね。
その気になればベルっち、角も生やせるけど。
「配信の見分けのために、角があった方がいいかもね」
『そう? じゃあ生やしとく』
にゅっと巻き角が生えてくるベルっち。
こうしてみると、悪魔っぽいコスプレをした私だなあ。
「それじゃあ、スポーツする配信をしていきましょ! 二人とも準備はいい? 今日の私はスパルタだよー!!」
「『あひー! お、お手柔らかに……!!』」
カナンさんはうちの父とも遠隔でお喋りし、冬には帰りますよ、と約束をしていた。
父大喜びだなあ。
帰りはお土産をAフォンに詰め込み、入りきらなくなった銀色飛翔体を展開して、のんびりと戻ることになった。
ベルっちがガス欠にならないように、たまに私が彼女の中から出てきて、何か食べさせる。
「ほい、あーん」
『あーん……。クパ餅おいひー。独特の香りがたまらん』
「ねー」
『はづきは飛んでないのに食べてるの? 後でダイエットする量が増えない……?』
「あとはあと、今は今。私は現実を楽しむことにしてるので……」
『はづきがむちむちになる分、私にも回ってくるんだけど』
ベルっちが文句を言うように!
難しいお年頃ですねえ。
こうして半日くらいかけて、東京に戻ってきたのだった。
1900kmを7時間くらいのろのろ飛んだから、時速270km/hくらいかなあ。
新幹線より速いのでは。
そしてイカルガビルに到着したところで、銀色飛翔体が限界を迎え、パタンパタンと開いたかと思うと……。
「あー、崩れてしまった」
『アバターが崩壊してくね。私たちが出たからだ』
儚い。
とりあえずの結論としては、与那国島遠かったねーという話なのだ。
さて、ここからは私が忙しい。
カンナちゃんにアポを取って、ダイエットについて伝授してもらわねばならないからだ、
ザッコで連絡したら、その日の夜に返答が来た。
『いいよー。今度コラボ配信で一緒にスポーツする? なうファンタジーのみんなが使ってるジムとかあるんだけど。はづきちゃん今は二人になったりするんだよね? 闇のはづきちゃんも連れてきてよ。会いたいなー』
「ぜひぜひー! ありがとー!!」
すぐに話しがまとまった!
「カンナちゃんは本当にいい人だなあ。好き好き」
カンナちゃんプラモをちゅっちゅしたりしていると、ベルっちがふーむと唸った。
「どうしたのベルっち」
『与那国島からね。私とはづきの違いを色々考えてたんだけど。私の中に、はづきが親しい人たちへの愛着が割と薄いんだよね。だからそっちは多分、ハヅキのものなんだと思う』
「ほえー。共有されてないんだ。じゃあ、誰となら親しい感じなの?」
『んー、バングラッド氏とお兄ちゃん?』
「あー」
バングラッド氏は魔族的な人なので、親和性が高いのかもだし。
あとは背中に装着して空を飛んだ仲だもんね。
ベルっちの意識みたいなのが強まったのは、イギリス出張の時からだったのかも。
兄は謎。
「でもカナンさんとハグしてたじゃん」
『はづきと分離してしばらくは、なんかはづきの感情を共有するみたい。でもあのハグでカナンさんとも仲良しになったから、今は好きよー』
「なるほどねえ」
私とベルっちの違いなんかを確認し、このことについてルシファーさんやウォンさんとお喋りしたりして時が過ぎた。
そして……。
予定を合わせた、カンナちゃんとのコラボ配信の日!
秘密のスポーツジムへ私たちは集まった!
なんかよそ行きな格好のカンナちゃんが待ち受けている。
私もお気に入りのワンピースを着てきた。
ほぼデートなのだ!
「はづきちゃん久しぶり! いっつも元気だねえ」
「お久しぶり~! カンナちゃんに会えると思ったら嬉しくて嬉しくて……。なので元気なのです」
二人でいえーい、とハイタッチしておく。
ここでカンナちゃんがシリアスな顔になった。
「ところで配信で見てたんだけどさ、はづきちゃんが二人に分かれられるようになったって本当?」
「ほんとですほんと。私の力が強くなりすぎたから、分かれやすくなったというのもあるかもー。ベルっちー」
『ほいほい』
私の横にスーッと出てくるベルっち。
これを見て、カンナちゃんが目を丸くした。
「ほ、ほ、ほんとだ! 現実でも二人になってる!! ほへー」
しげしげとベルっちを見つめる。
周りをくるくる回ったり、ハグしてみたり。
『あひー』
「ああごめんごめん、でも抱き心地は間違いなくはづきちゃんだわ」
「ベルっちは私と違って、そこまで人に感情が無いから大丈夫!」
『いや、なんか超ドキドキしてる。カンナちゃんは別だわこれ』
「ほんとうにぃ!?」
いかん、ライバル出現!!
ライバルは私だー!
ということで。
私たちは更衣室へ向かい、一緒にお揃いのジャージに着替えたのだった。
「うひょー、はづきちゃんが二人いる!!」
「バーチャライズしてきましたんで、確かに私が二人」
見分け方は、ベルっちは背中に羽が生えていることでしょうかね。
その気になればベルっち、角も生やせるけど。
「配信の見分けのために、角があった方がいいかもね」
『そう? じゃあ生やしとく』
にゅっと巻き角が生えてくるベルっち。
こうしてみると、悪魔っぽいコスプレをした私だなあ。
「それじゃあ、スポーツする配信をしていきましょ! 二人とも準備はいい? 今日の私はスパルタだよー!!」
「『あひー! お、お手柔らかに……!!』」
66
お気に入りに追加
246
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる