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秋めく私の学園祭編
第296話 実際にやってみよう伝説
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出来上がったところまでで、実際に遊んでみようということになった。
今日はちょうど、このゲームについて何も知らない人を連れてきているから好都合。
「じゃあお願いしますバングラッド氏」
『いいだろう。ふん!』
バングラッド氏が大きくなった。
クラスメイトがどよめく。
彼の姿は、細身の全身鎧みたいな、ちょっとイケメンシルエット。
なるほど、この姿でデビューするんだね……。
それでも身長が190センチくらいあるんだけど。
『どれ、我を案内するがいい』
「やだ、イケボ……」
あっ、クラスの女子がなんかキュンとしているみたいだ!
この姿のバングラッド氏は、低音が心地良い美声の男性みたいだもんねえ。
さて、様子を拝見しよう。
なぜかクラスメイトが、私やもみじちゃんにはづきのジャージの話を詳しく聞いてくるんだけど。
私は上の空なので、聞かれるままに答える。
「ふんふん、じゃあ、ジャージは学校のでいけそうだね。資金的に苦しいからさ、ありもので対応できるの本当に助かるー」
「お役に立ててよかった~」
「先輩、今めちゃくちゃはづきちゃんに関わる根源的なところまでペラペラっと話してませんでした?」
もみじちゃんに突っ込まれるが、私はバングラッド氏が気になって仕方ないのだ。
ちゃんと遊べるかしら。
心配心配。
まるで小さい子を見守るお母さんのようだ。
『ほう、この大きなサイコロを振るのだな? ツアーッ!!』
裂帛の気合とともに、しかしサイコロはソフトに振るバングラッド氏。
気合の声で、クラスメイトがわーっと沸いた。
エンタメ精神がある~。
『ははあ、なるほど。1~3までしかないサイコロで、きら星はづきが体験したイベントを辿っていくと。で、それぞれにミニゲームがあるのだな? どれどれ……』
「じゃじゃーん。ここはダンジョンハザードです! あなたはきら星はづき。通っていた学校がダンジョンハザードに巻き込まれてしまった! さあ、モンスターを蹴散らして突き進みましょう! ここはですね、ボウリングです」
『良かろう……我の腕の良いところを見せてやる。玉を貸すが良い』
「あっ、鎧がほんのりあったかいんですね」
『我の燃えるハートが反映されているが故な』
「かっこよ……」
なんかね!
ガチ恋勢とか夢女子を今から生んでる気がするんですけど!
バングラッド氏、隅に置けないなあ……。
ボウリングはごく簡単なもので、ビニールのボールで、やっぱりビニールの軽いピンを何本か倒すもの。
再チャレンジもできるんで、ほぼ全員通過できるようになってる。
バングラッド氏は一発でスペアを取ったので、これにクラスメイトがワーッと沸く。
これはデビューしたら、すぐに人気になってしまいそうだ。
ボウリングは、ピンにモンスターの絵が描いてある。
他にも、私のSDフィギュアがくっついたミニパラシュートを落として、目標地点に落とすのは私のアメリカ遠征だし。
VR空間でのレヴィアタン戦は、机の間に作られた、発泡スチロールをゴボウを模した棒で叩いて真っ二つにするというゲームだった。
なお、この発泡スチロールはもう割れているので、上手いことまんなかに棒を当てるとすぐに二つに分かれる。
「すごいなー。工夫に満ち溢れている……」
私はすっかり感心してしまった。
そんな私を見て、委員長以下、ゲーム考案チームが得意げだ。
「ありがとう。このために何回もアーカイブを見返したもの。それからみんなで相談して、アイデアを出し合って……。予算も制限があるし、みんながクリアできないといけないし。凄く考えたんだよね」
「うん、アイデアの結晶みを感じる。これは本当にすっごい!」
なぜか、私の評を聞いてハイタッチしたり手を取り合ってジャンプして喜ぶゲーム考案チーム。
なんだなんだ!?
「気付かない辺りが先輩だよねえ」
もみじちゃんがちょっとニコニコした。
何のことを言っているのだね……。
結局、バングラッド氏が通して遊んでみた結果、一ゲーム十分くらいと判明した。
いい感じじゃないだろうか。
クリアしたら、クラスメイトお手製のバーチャルゴボウのペーパークラフトがもらえる。
これは厚紙にカラーコピーしたもの。
インク代はクラスメイトの手弁当……!
みんな本当に頑張った。
感動した~。
『なるほどな。きら星はづきはこれだけの戦いをくぐり抜けておったのか。我では勝てぬはずよ! ゲームでは別だがな!』
わっはっはと笑うバングラッド氏。
その横で、ゲーム考案チームが「この三倍くらいエピソードはあるんですけど、厳選しました」とか言ってて……。
バングラッド氏が『なんだとーっ!?』とか驚いていた。
いやあ、これはいいゲームになるんじゃないでしょうか。
当日はスタッフみんながジャージ姿になり、リュックを背負って接客するんだって。
おお、原初のきら星はづきルック!
ちょっと楽しみかも知れない。
私もその中に混じって接客するんだよね。
本物が混じってるというのは、なかなか面白いんじゃないだろうか。
今日はちょうど、このゲームについて何も知らない人を連れてきているから好都合。
「じゃあお願いしますバングラッド氏」
『いいだろう。ふん!』
バングラッド氏が大きくなった。
クラスメイトがどよめく。
彼の姿は、細身の全身鎧みたいな、ちょっとイケメンシルエット。
なるほど、この姿でデビューするんだね……。
それでも身長が190センチくらいあるんだけど。
『どれ、我を案内するがいい』
「やだ、イケボ……」
あっ、クラスの女子がなんかキュンとしているみたいだ!
この姿のバングラッド氏は、低音が心地良い美声の男性みたいだもんねえ。
さて、様子を拝見しよう。
なぜかクラスメイトが、私やもみじちゃんにはづきのジャージの話を詳しく聞いてくるんだけど。
私は上の空なので、聞かれるままに答える。
「ふんふん、じゃあ、ジャージは学校のでいけそうだね。資金的に苦しいからさ、ありもので対応できるの本当に助かるー」
「お役に立ててよかった~」
「先輩、今めちゃくちゃはづきちゃんに関わる根源的なところまでペラペラっと話してませんでした?」
もみじちゃんに突っ込まれるが、私はバングラッド氏が気になって仕方ないのだ。
ちゃんと遊べるかしら。
心配心配。
まるで小さい子を見守るお母さんのようだ。
『ほう、この大きなサイコロを振るのだな? ツアーッ!!』
裂帛の気合とともに、しかしサイコロはソフトに振るバングラッド氏。
気合の声で、クラスメイトがわーっと沸いた。
エンタメ精神がある~。
『ははあ、なるほど。1~3までしかないサイコロで、きら星はづきが体験したイベントを辿っていくと。で、それぞれにミニゲームがあるのだな? どれどれ……』
「じゃじゃーん。ここはダンジョンハザードです! あなたはきら星はづき。通っていた学校がダンジョンハザードに巻き込まれてしまった! さあ、モンスターを蹴散らして突き進みましょう! ここはですね、ボウリングです」
『良かろう……我の腕の良いところを見せてやる。玉を貸すが良い』
「あっ、鎧がほんのりあったかいんですね」
『我の燃えるハートが反映されているが故な』
「かっこよ……」
なんかね!
ガチ恋勢とか夢女子を今から生んでる気がするんですけど!
バングラッド氏、隅に置けないなあ……。
ボウリングはごく簡単なもので、ビニールのボールで、やっぱりビニールの軽いピンを何本か倒すもの。
再チャレンジもできるんで、ほぼ全員通過できるようになってる。
バングラッド氏は一発でスペアを取ったので、これにクラスメイトがワーッと沸く。
これはデビューしたら、すぐに人気になってしまいそうだ。
ボウリングは、ピンにモンスターの絵が描いてある。
他にも、私のSDフィギュアがくっついたミニパラシュートを落として、目標地点に落とすのは私のアメリカ遠征だし。
VR空間でのレヴィアタン戦は、机の間に作られた、発泡スチロールをゴボウを模した棒で叩いて真っ二つにするというゲームだった。
なお、この発泡スチロールはもう割れているので、上手いことまんなかに棒を当てるとすぐに二つに分かれる。
「すごいなー。工夫に満ち溢れている……」
私はすっかり感心してしまった。
そんな私を見て、委員長以下、ゲーム考案チームが得意げだ。
「ありがとう。このために何回もアーカイブを見返したもの。それからみんなで相談して、アイデアを出し合って……。予算も制限があるし、みんながクリアできないといけないし。凄く考えたんだよね」
「うん、アイデアの結晶みを感じる。これは本当にすっごい!」
なぜか、私の評を聞いてハイタッチしたり手を取り合ってジャンプして喜ぶゲーム考案チーム。
なんだなんだ!?
「気付かない辺りが先輩だよねえ」
もみじちゃんがちょっとニコニコした。
何のことを言っているのだね……。
結局、バングラッド氏が通して遊んでみた結果、一ゲーム十分くらいと判明した。
いい感じじゃないだろうか。
クリアしたら、クラスメイトお手製のバーチャルゴボウのペーパークラフトがもらえる。
これは厚紙にカラーコピーしたもの。
インク代はクラスメイトの手弁当……!
みんな本当に頑張った。
感動した~。
『なるほどな。きら星はづきはこれだけの戦いをくぐり抜けておったのか。我では勝てぬはずよ! ゲームでは別だがな!』
わっはっはと笑うバングラッド氏。
その横で、ゲーム考案チームが「この三倍くらいエピソードはあるんですけど、厳選しました」とか言ってて……。
バングラッド氏が『なんだとーっ!?』とか驚いていた。
いやあ、これはいいゲームになるんじゃないでしょうか。
当日はスタッフみんながジャージ姿になり、リュックを背負って接客するんだって。
おお、原初のきら星はづきルック!
ちょっと楽しみかも知れない。
私もその中に混じって接客するんだよね。
本物が混じってるというのは、なかなか面白いんじゃないだろうか。
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