195 / 364
年度末な私の決戦編
第195話 オープニングイベント異常なし!伝説
しおりを挟む
今日は何の日?
そう!
カンナちゃんがVRフリースペースの総合ロビー拡張で、宣伝大使を務める日です!
私が見に行かねばなるまい……。
朝食の後でいそいそと準備をしていたら、兄からザッコで連絡が来た。
『今日は事務所に来ないのか? 研修生が会いたがっているが』
「カンナちゃんの晴れ舞台を見学に行くので……」
『そうか。伝えておこう』
カンナちゃん関連だと物分りがいい兄。
彼女が関わると、私のやる気が天元突破するのが分かってるんだな、きっと。
そんなこんなで、オープニングイベントに顔を出しますよ!
今日は完全なオフ。
※『こんな記念日をオフにするとは!?』とかお前らには驚かれていた気がするけど、『カンナに会いに行くからオフなんだろう……』とか真実を理解した人もいた。
そういうことなのだよ、フフフフフ。
『あ、はづきっちオープニングイベント行くの?』
たこやきから連絡入ってる。
「そうですー。楽しんできますー。一般アバター使うのでバレないと思いますー」
『そっか。じゃあね、僕が新しいの作ってみたからこれ仕込んでいって』
「なんなんです?」
『一般アバターの下に丼アバター仕込むMOD。さらに丼の中にきら星はづきアバター仕込めるよ』
「ま、マトリョーシカー!」
『その反応がほしかった。ありがとう! じゃあ楽しんできてね』
「はーい、こちらこそありがとうー」
和気あいあいとやり取りを終えた。
兄と父以外で肩肘張らずにおしゃべりできる貴重な異性だな。
たこやきは大事にしよう……。
ということで、面白いものをもらってしまった。
私はリアルの私にちょっと似ている、一般のアバターを選択。
顔とか髪型とかプロポーションは事前にいじってあるけど。
シュッとした体型というのを経験してみたかったんだよね……。
そしてVRへゴー!
621ロビーに降り立っても、誰も私にそこまで注目しなかった。
きら星はづきや丼じゃないと、こういう反応なのが普通なのね。
「これは行動しやすい……。注目されないのはこんなに楽なんだなあー」
ほほほ、と快適さを堪能しながらフリースペースに移動する私だった。
今後、フリースペースは総合ロビーという名前になるんだそうで。
降り立ったら人、人、人!
どこまでも続く、無限の人混み!
「あひー、とんでもないことに!」
そうすると、なんか近くにいた角の生えたおじさん風のアバターが親切に教えてくれた。
『そりゃあそうさ! 日本中のVR者たちが集まってるんだ。今回のビッグイベントは土曜日に被せてきたし、みんな参加してくれって言ってるようなもんだぜ!』
「な、なるほど~」
『お前さんは誰かと参加するのかい? 一人? だったら気楽だな! 何よりも一人が最高だ。嫉妬しなくていいもんな。楽しんでいってくれよ! 最後には大罪的ビッグイベントも待ってるからよ! 糧になってくれ!』
「あ、はーい、ありがとうございますう」
親切な人だなあ。
私は一人、まったりと総合ロビーを行く。
キョロキョロ見回し、セレモニーが行われる場所を探すのだ。
おっ、あれは……。
『カンナちゃんまだかな』『楽しみー』『お嬢が出てきたらみんなで呼ぼうぜ』『今から練習しない?』『いいな!』『じゃあ声を合わせて……』『お嬢~!!』
カンナちゃんのリスナーさんたちだ!!
私はいそいそと彼らの中に混じった。
『お嬢~!』「お嬢~!」
楽しくコールをして、和気あいあいと楽しむ。
『まさかカンナちゃんがこんなにビッグになるとはね! 嬉しい~』
「私も私も。デビュー前から絡みがあったけど、本当にビッグになってくれてうれしい」
『絡み……?』
ハッ!
「で、デビュー前のアカデミー時代から追っかけてて」
『おおー、古参~!!』
危ない危ない。
私が配信者だとバレないようにしないと。
でもまあ、あんまり個性を出してない一般アバターのままだから、そこまで怪しまれなかったみたい。
配信者との特別な関係があるって吹聴する人は、よく出るしね!
ツブヤキックスだと、よくおこのみが『俺は最初にはづきっちの配信見てた一人だぞ!』とか言って嘘認定されまくってるなあ。
あれは本当なんだけどなあ。
そんなこんなで時間を潰していたら、いよいよイベントの始まりがやって来た。
私はカンナちゃんのリスナーさんに混じって、うおおおーっと歓声を上げている。
この一体感!
なるほど、アイドルのコンサートとか行ってみんなで叫ぶのはこの気持ちよさがあるのかあ!
何事もやってみないと分からないものなのだ!
カンナちゃんが笑顔で手を振ってくれる。
水無月さんと卯月さんも、リスナーさんたちが来ていて声援を浴びているではないか。
よきよき。
トライシグナルもすっかり大きくなったなあ……。
私は腕組みしながら笑顔で頷くのだった。
いつもよりも腕を組みやすいぞこのアバター。
『みんなー! こんにちはー!!』
トライシグナルの三人が、声を揃えている。
爽やか~。
『総合ロビー公式サポーター、トライシグナル! リーダーのカンナ・アーデルハイドですわ! 皆様、ごきげんようー!』
うおおー!
カンナちゃーん!!
『同じく公式サポーター、トライシグナルの水無月みなでーす! この日のために禁煙して願掛けしてきました。よろしくー!』
いつもはダウナーな水無月さんが今日は声を張り上げていて大変可愛い。
『みんなー! サクラサク! 卯月さくらでーす! あっ、公式サポーターです! あとトライシグナルね!』
三人の中でのポン担当、卯月さんがいつものようにやらかしたので、ドッとみんな笑った。
うんうん、いい感じいい感じ。
さらにライブダンジョンのグループの四人が挨拶している。
おお、リスナーの数はあっちの方が多いかもしれない。
だけど熱量はトライシグナルも負けてないぞー。
『負けないように応援しなくっちゃ!!』
「で、ですねー!!」
隣のリスナーさんと、頑張るぞーっと誓い合う私なのだ。
ああー、配信者のファンってとってもいいものですねえ。
なんだか元気を分けてもらえている気がする……。
このイベントはもう大成功間違いなしですわ。
何事もなく進んでいくに違いない……。
私の心のなかで、お前らが『フラグ、フラグー!』とか叫んでいるのだった。
そう!
カンナちゃんがVRフリースペースの総合ロビー拡張で、宣伝大使を務める日です!
私が見に行かねばなるまい……。
朝食の後でいそいそと準備をしていたら、兄からザッコで連絡が来た。
『今日は事務所に来ないのか? 研修生が会いたがっているが』
「カンナちゃんの晴れ舞台を見学に行くので……」
『そうか。伝えておこう』
カンナちゃん関連だと物分りがいい兄。
彼女が関わると、私のやる気が天元突破するのが分かってるんだな、きっと。
そんなこんなで、オープニングイベントに顔を出しますよ!
今日は完全なオフ。
※『こんな記念日をオフにするとは!?』とかお前らには驚かれていた気がするけど、『カンナに会いに行くからオフなんだろう……』とか真実を理解した人もいた。
そういうことなのだよ、フフフフフ。
『あ、はづきっちオープニングイベント行くの?』
たこやきから連絡入ってる。
「そうですー。楽しんできますー。一般アバター使うのでバレないと思いますー」
『そっか。じゃあね、僕が新しいの作ってみたからこれ仕込んでいって』
「なんなんです?」
『一般アバターの下に丼アバター仕込むMOD。さらに丼の中にきら星はづきアバター仕込めるよ』
「ま、マトリョーシカー!」
『その反応がほしかった。ありがとう! じゃあ楽しんできてね』
「はーい、こちらこそありがとうー」
和気あいあいとやり取りを終えた。
兄と父以外で肩肘張らずにおしゃべりできる貴重な異性だな。
たこやきは大事にしよう……。
ということで、面白いものをもらってしまった。
私はリアルの私にちょっと似ている、一般のアバターを選択。
顔とか髪型とかプロポーションは事前にいじってあるけど。
シュッとした体型というのを経験してみたかったんだよね……。
そしてVRへゴー!
621ロビーに降り立っても、誰も私にそこまで注目しなかった。
きら星はづきや丼じゃないと、こういう反応なのが普通なのね。
「これは行動しやすい……。注目されないのはこんなに楽なんだなあー」
ほほほ、と快適さを堪能しながらフリースペースに移動する私だった。
今後、フリースペースは総合ロビーという名前になるんだそうで。
降り立ったら人、人、人!
どこまでも続く、無限の人混み!
「あひー、とんでもないことに!」
そうすると、なんか近くにいた角の生えたおじさん風のアバターが親切に教えてくれた。
『そりゃあそうさ! 日本中のVR者たちが集まってるんだ。今回のビッグイベントは土曜日に被せてきたし、みんな参加してくれって言ってるようなもんだぜ!』
「な、なるほど~」
『お前さんは誰かと参加するのかい? 一人? だったら気楽だな! 何よりも一人が最高だ。嫉妬しなくていいもんな。楽しんでいってくれよ! 最後には大罪的ビッグイベントも待ってるからよ! 糧になってくれ!』
「あ、はーい、ありがとうございますう」
親切な人だなあ。
私は一人、まったりと総合ロビーを行く。
キョロキョロ見回し、セレモニーが行われる場所を探すのだ。
おっ、あれは……。
『カンナちゃんまだかな』『楽しみー』『お嬢が出てきたらみんなで呼ぼうぜ』『今から練習しない?』『いいな!』『じゃあ声を合わせて……』『お嬢~!!』
カンナちゃんのリスナーさんたちだ!!
私はいそいそと彼らの中に混じった。
『お嬢~!』「お嬢~!」
楽しくコールをして、和気あいあいと楽しむ。
『まさかカンナちゃんがこんなにビッグになるとはね! 嬉しい~』
「私も私も。デビュー前から絡みがあったけど、本当にビッグになってくれてうれしい」
『絡み……?』
ハッ!
「で、デビュー前のアカデミー時代から追っかけてて」
『おおー、古参~!!』
危ない危ない。
私が配信者だとバレないようにしないと。
でもまあ、あんまり個性を出してない一般アバターのままだから、そこまで怪しまれなかったみたい。
配信者との特別な関係があるって吹聴する人は、よく出るしね!
ツブヤキックスだと、よくおこのみが『俺は最初にはづきっちの配信見てた一人だぞ!』とか言って嘘認定されまくってるなあ。
あれは本当なんだけどなあ。
そんなこんなで時間を潰していたら、いよいよイベントの始まりがやって来た。
私はカンナちゃんのリスナーさんに混じって、うおおおーっと歓声を上げている。
この一体感!
なるほど、アイドルのコンサートとか行ってみんなで叫ぶのはこの気持ちよさがあるのかあ!
何事もやってみないと分からないものなのだ!
カンナちゃんが笑顔で手を振ってくれる。
水無月さんと卯月さんも、リスナーさんたちが来ていて声援を浴びているではないか。
よきよき。
トライシグナルもすっかり大きくなったなあ……。
私は腕組みしながら笑顔で頷くのだった。
いつもよりも腕を組みやすいぞこのアバター。
『みんなー! こんにちはー!!』
トライシグナルの三人が、声を揃えている。
爽やか~。
『総合ロビー公式サポーター、トライシグナル! リーダーのカンナ・アーデルハイドですわ! 皆様、ごきげんようー!』
うおおー!
カンナちゃーん!!
『同じく公式サポーター、トライシグナルの水無月みなでーす! この日のために禁煙して願掛けしてきました。よろしくー!』
いつもはダウナーな水無月さんが今日は声を張り上げていて大変可愛い。
『みんなー! サクラサク! 卯月さくらでーす! あっ、公式サポーターです! あとトライシグナルね!』
三人の中でのポン担当、卯月さんがいつものようにやらかしたので、ドッとみんな笑った。
うんうん、いい感じいい感じ。
さらにライブダンジョンのグループの四人が挨拶している。
おお、リスナーの数はあっちの方が多いかもしれない。
だけど熱量はトライシグナルも負けてないぞー。
『負けないように応援しなくっちゃ!!』
「で、ですねー!!」
隣のリスナーさんと、頑張るぞーっと誓い合う私なのだ。
ああー、配信者のファンってとってもいいものですねえ。
なんだか元気を分けてもらえている気がする……。
このイベントはもう大成功間違いなしですわ。
何事もなく進んでいくに違いない……。
私の心のなかで、お前らが『フラグ、フラグー!』とか叫んでいるのだった。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
219
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる