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先輩! 私の新人フォロー編
第148話 うちの新人歌ウマ伝説
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最近はすっかり私も先輩ムーブが身についてきた。
二人のデビューも一ヶ月早まったし、先輩としてはお手伝いしてあげないとね。
「ムフーッ」
「気合が入っているな」
事務所で鼻息を吹き出す私を見て、兄が目を丸くした。
「覇気に満ちているようで大変よろしい。まさかお前がそこまで先輩として働いてくれるとは思わなかった」
「私が先輩だもの。人生で初体験だよ」
「そうだったな……。では先輩としてまた二人と一緒に行ってもらいたいところがある」
「分かった! どこ?」
「ボイトレとダンスレッスンだ」
「うぐわー」
了承してしまった以上、私に二言はないのだ……。
シカコ氏とビクトリアを連れて、レッスンに訪れた。
先生はいつもの、ムキムキマッチョでしなやかな仕草の人。
「まあまあ! 彼女が新人ちゃんなのね! よろしく頼むわよ~」
「オス! センセイ、よろしくお願いします!! オス!!」
ビクトリアがなんかカラテの挨拶みたいなことをした。
先生大受け。
シカコ氏がこれを見て、真似したので、先生はすごく嬉しそうだった。
さて、新人二人のボイトレはと言うと……。
磨き上げられて行っているシカコ氏。
そしてどうやら磨けば光る逸材であるビクトリア。
うわーっ、うちの新人二人、上手い!
なんでこんなに歌が上手いのだ……。
不思議な声で歌う私の立つ瀬がないではないか。
「はづき先輩が百面相しながらこっち見てる」
「ウフフ……リーダーは表情から何を考えてるかすぐ分かるものね」
「そこがいいとこだよねー裏表ないもんねー」
「うん……ストレートな人。好きになっちゃう」
なんか二人が私について色々言ってるな……。
その後ダンスレッスンなどもあったのだが、ここはシカコ氏がやたら上手い。
ビクトリアはちょっと苦手めだった。
「うう……自信喪失したわ……。シスコに帰りたい」
「どうどう! 大丈夫大丈夫! 不思議な踊りをする私より上手いから!」
変な慰め方をする私。
「じゃあはづきさん、やってみる? ワンツースリーフォー!」
「おりゃあ」
ビクトリアを励ますために、私もレッスンをしてみた。
結果、元気になるビクトリアなのだ。
「なんだがあの不思議な踊りを見たら元気になってきたわ」
「上手いとか下手とかの次元じゃないよねー」
「なんか手足が別々の意志を持って動いているような踊りなのよねえ……。不思議だわ……。あと振り付けを覚えてるみたいなんだけど右手が未来を、左手が過去の振り付けをやってるみたいで謎の動きになるのよね」
わ、私のダンスにそんな秘密が……!!
何が起こっていると言うんだ……。
レッスンが終わった後、門限も近いので駅まで来たらシカコ氏とお別れ。
ビクトリアと一緒に帰途につくのだ。
「カンパニーの配信者は、シンガーやダンサーみたいなエンターテイメントまでするのね……」
なんかしみじみと呟くビクトリア。
「不安になってきた……」
「わかるー」
「そこで励ましてこないのがリーダーらしい」
「私自身が未だになんで今ここに立っているのか全然理解できてないもん」
「ステイツを救う偉業を成し遂げたのに」
「あれはなんとなくやった……」
「オー」
ビクトリアが目を丸くしたあと、くすくす笑った。
「リーダーが背負ってるものに比べたら、全然ライトね。フフフ、私、頑張ることにするわ」
「それがいいそれがいい。それで明日一緒にアニメショップにラノベ買いに行こう」
「行くわ!!」
ビクトリアのテンションがめちゃくちゃ上がった。
そして夜の雑談配信。
「ということでうちから新人が二人デビューするんですけど歌が上手くて」
※『はづきっちお墨付きか』『今後のイカルガは芸能活動もやるんだな』『歌が売れるようになるもんな……』『歌みたとかやるのかな?』『はづきっちがストロングスタイルの配信者過ぎるのよw』
「私がストロングスタイル!? でも確かに雑談以外はダンジョン配信しかしてない……」
※『週一でダンジョン潜ったりするの異常だからねw』『最近だと上位のモンスター、はづきっちの姿を見るとビビるし』『モンスターのネットワークみたいなのがあるのかも知れん』
「ここで培った経験とかをですね、新人に伝授したい……。まあどうやって伝授すればいいのか分かんないんですけど」
※たこやき『はづきっちは天才型だからな』もんじゃ『天才が優秀なトレーナーとは限らないというやつだな』おこのみ『でもダンジョンでリスナーサービスする背中から学べるものはあるでしょ。いつもお世話になっております』
おこのみは私の何からお世話を受けているんだ……。
というか、いつもいるなあ粉物三人。
そんなこんなで、新人について話せる程度の内容でおしゃべりをしていたら……。
「リーダー、私お風呂入ったから次どうぞー」
扉を開けてビクトリアが声を掛けてきたのだった。
「あ、はーい」
※『!?!?!?!!?』『今聞き覚えのある声が』『ほんとに同棲してんの!?』『百合営業じゃないじゃないか!(歓喜)』『ビクトリアじゃね!?』『察し』
「むっ!! 今何かやらかしたような気が……」
※おこのみ『ふ、ふ、ふ、二人でお風呂入ったりしてるんですかどうなんですか!! 人の命がかかってる質問なんです!!』
「あ、はい初日に……」
※おこのみ『うおおおおおおおおおおおおおおありがとう……』『ありがてえ……』『助かる……』いももち『わ、私もぉ』
凄いことになってしまったぞ……。
そしてなんかいももちの欲望がダダ漏れになってる!
「きょ、今日の配信はここまでです! お風呂行って寝ます!」
私はコメント欄の歓声を前に、そう宣言するのだった。
二人のデビューも一ヶ月早まったし、先輩としてはお手伝いしてあげないとね。
「ムフーッ」
「気合が入っているな」
事務所で鼻息を吹き出す私を見て、兄が目を丸くした。
「覇気に満ちているようで大変よろしい。まさかお前がそこまで先輩として働いてくれるとは思わなかった」
「私が先輩だもの。人生で初体験だよ」
「そうだったな……。では先輩としてまた二人と一緒に行ってもらいたいところがある」
「分かった! どこ?」
「ボイトレとダンスレッスンだ」
「うぐわー」
了承してしまった以上、私に二言はないのだ……。
シカコ氏とビクトリアを連れて、レッスンに訪れた。
先生はいつもの、ムキムキマッチョでしなやかな仕草の人。
「まあまあ! 彼女が新人ちゃんなのね! よろしく頼むわよ~」
「オス! センセイ、よろしくお願いします!! オス!!」
ビクトリアがなんかカラテの挨拶みたいなことをした。
先生大受け。
シカコ氏がこれを見て、真似したので、先生はすごく嬉しそうだった。
さて、新人二人のボイトレはと言うと……。
磨き上げられて行っているシカコ氏。
そしてどうやら磨けば光る逸材であるビクトリア。
うわーっ、うちの新人二人、上手い!
なんでこんなに歌が上手いのだ……。
不思議な声で歌う私の立つ瀬がないではないか。
「はづき先輩が百面相しながらこっち見てる」
「ウフフ……リーダーは表情から何を考えてるかすぐ分かるものね」
「そこがいいとこだよねー裏表ないもんねー」
「うん……ストレートな人。好きになっちゃう」
なんか二人が私について色々言ってるな……。
その後ダンスレッスンなどもあったのだが、ここはシカコ氏がやたら上手い。
ビクトリアはちょっと苦手めだった。
「うう……自信喪失したわ……。シスコに帰りたい」
「どうどう! 大丈夫大丈夫! 不思議な踊りをする私より上手いから!」
変な慰め方をする私。
「じゃあはづきさん、やってみる? ワンツースリーフォー!」
「おりゃあ」
ビクトリアを励ますために、私もレッスンをしてみた。
結果、元気になるビクトリアなのだ。
「なんだがあの不思議な踊りを見たら元気になってきたわ」
「上手いとか下手とかの次元じゃないよねー」
「なんか手足が別々の意志を持って動いているような踊りなのよねえ……。不思議だわ……。あと振り付けを覚えてるみたいなんだけど右手が未来を、左手が過去の振り付けをやってるみたいで謎の動きになるのよね」
わ、私のダンスにそんな秘密が……!!
何が起こっていると言うんだ……。
レッスンが終わった後、門限も近いので駅まで来たらシカコ氏とお別れ。
ビクトリアと一緒に帰途につくのだ。
「カンパニーの配信者は、シンガーやダンサーみたいなエンターテイメントまでするのね……」
なんかしみじみと呟くビクトリア。
「不安になってきた……」
「わかるー」
「そこで励ましてこないのがリーダーらしい」
「私自身が未だになんで今ここに立っているのか全然理解できてないもん」
「ステイツを救う偉業を成し遂げたのに」
「あれはなんとなくやった……」
「オー」
ビクトリアが目を丸くしたあと、くすくす笑った。
「リーダーが背負ってるものに比べたら、全然ライトね。フフフ、私、頑張ることにするわ」
「それがいいそれがいい。それで明日一緒にアニメショップにラノベ買いに行こう」
「行くわ!!」
ビクトリアのテンションがめちゃくちゃ上がった。
そして夜の雑談配信。
「ということでうちから新人が二人デビューするんですけど歌が上手くて」
※『はづきっちお墨付きか』『今後のイカルガは芸能活動もやるんだな』『歌が売れるようになるもんな……』『歌みたとかやるのかな?』『はづきっちがストロングスタイルの配信者過ぎるのよw』
「私がストロングスタイル!? でも確かに雑談以外はダンジョン配信しかしてない……」
※『週一でダンジョン潜ったりするの異常だからねw』『最近だと上位のモンスター、はづきっちの姿を見るとビビるし』『モンスターのネットワークみたいなのがあるのかも知れん』
「ここで培った経験とかをですね、新人に伝授したい……。まあどうやって伝授すればいいのか分かんないんですけど」
※たこやき『はづきっちは天才型だからな』もんじゃ『天才が優秀なトレーナーとは限らないというやつだな』おこのみ『でもダンジョンでリスナーサービスする背中から学べるものはあるでしょ。いつもお世話になっております』
おこのみは私の何からお世話を受けているんだ……。
というか、いつもいるなあ粉物三人。
そんなこんなで、新人について話せる程度の内容でおしゃべりをしていたら……。
「リーダー、私お風呂入ったから次どうぞー」
扉を開けてビクトリアが声を掛けてきたのだった。
「あ、はーい」
※『!?!?!?!!?』『今聞き覚えのある声が』『ほんとに同棲してんの!?』『百合営業じゃないじゃないか!(歓喜)』『ビクトリアじゃね!?』『察し』
「むっ!! 今何かやらかしたような気が……」
※おこのみ『ふ、ふ、ふ、二人でお風呂入ったりしてるんですかどうなんですか!! 人の命がかかってる質問なんです!!』
「あ、はい初日に……」
※おこのみ『うおおおおおおおおおおおおおおありがとう……』『ありがてえ……』『助かる……』いももち『わ、私もぉ』
凄いことになってしまったぞ……。
そしてなんかいももちの欲望がダダ漏れになってる!
「きょ、今日の配信はここまでです! お風呂行って寝ます!」
私はコメント欄の歓声を前に、そう宣言するのだった。
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