ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき

文字の大きさ
上 下
136 / 517
休憩? 私の充電編

第136話 私って癒やし枠!?伝説

しおりを挟む
 0ナンバーの人たちが歌うとコメントに喝采が溢れ、私が歌うと……。

※『かわいい』『かわいい』『がんばれー』『娘の歌の発表会を見てるようだ』『どこでも聞いたことがない歌声』『誰にも似てないw』

 な、な、な、なんじゃそりゃー!
 どうも私は癒やし枠扱いされているようだった。
 あるいは珍獣のたぐいか!

 おかしい……。
 歌はシカコ氏と風街さんに付き合ってもらってかなり鍛えたのに。
 3日も歌い込んだのに。

「はづきさんは独特の歌声に磨きが掛かってきてるわね。唯一無二だわー」

 風街さんがとても感心している。
 う、嬉しくない感心~。

 私としては、普通にウタウマな人になりたいのだが。

「いいと思うねぇ~。みこにもそんな時代があったよ。ま、みこはエリィトだからあっという間にアイドルになっちゃったけどねえ」

「ほんとぉ?」

 はるのみこさんがDIzさんに言われて、ムキー!とか怒った。
 おお、なんかふにゃっとした喋り方とか親近感を感じる……!

「はづきちゃん、がんばるんだよー! みこは応援してるからねえ!」

「は、はい! 私も頑張ってみなさんみたいにかっこよく歌えるようになります!」

「人には向き不向きもあるけどねぇ……」

「は、ハシゴを外してきた!」

 私とはるのみこさんのやり取りで、コメントが大いに盛り上がった。
 こうしてカラオケ配信は終わり……。

 私はトップ配信者との(歌唱力という)圧倒的実力差を見せつけられたのだった。
 あひー、道は遠く険しい……。

 そもそも自分が歌うという発想がなかった私は、ヒトカラに行ったりもしなかったからな……。
 お風呂で好きなアニメの歌を歌うくらいだった。

 こ、今後は鍛えていかなくちゃ。
 決意を新たにして、0ナンバーの人たちとの夕食を終えた。
 圧倒的実力者なのにみんないい人だった……。

 なお、シカコ氏はずっとお人形さんのようだった。
 せっかく気合を入れておめかしして来たのに……!

「ううううう、はづき先輩、うちは悔しい! 悔しいです……!」

 ダーッと泣きながら抱きついてくるシカコ氏。

「おおよしよし。緊張でカチコチになって全然喋れなかったんだねえ……」

「ううううう、有名人に弱い……。憧れが眼の前に出現すると何も喋れなくなりますー。なんではづき先輩はできるんですかあ」

「私は配信者業界のことをさっぱり分からないので……。何も分からない。私は雰囲気で配信者をやってる」

「し、知らないが故だった! それにもうはづき先輩もあの方々と並ぶ業界のトップランナーですもんねー」

「わ、私がトップランナー!?」

「あっ、衝撃を受けてる! 自覚なかったんだ!」

 兄に連絡を入れてから、シカコ氏を家に送り、私も帰途についた。
 そしてお風呂の後でちょっとだけ雑談配信を開始する。

「お前ら、こんきらー!」

※『こんきらー』『こんきらー!』『!?』『パジャマはづきっちじゃん!』『寝る前配信助かる』『カラオケコラボでも超可愛かったがこっちもかわいい』

「あっ、パジャマのままだった……」

 私のパジャマは、母が買ってくるピンク色でフリフリがついたゆったり気味のやつだ。
 体が締め付けられなくて大変いい。
 いつも快眠なのだ。
 アメリカでも大いにお世話になった。

「そ、そんなことより! 今日は風街さんやライブダンジョンの0ナンバーの人たちとカラオケコラボしたんだけど」

※『見た見た』『あのメンツの中で堂々と歌うはづきっちの凄みよ』『歌声良かったなあ』『ちょっぴりずつ上手くなってる』

「えっ、上手くなってる!? ほんと? ぐふふふふふ、私もやるなあ……」

※『笑い声w』『そもそも本題なんだよw』『まーた話題が逸れておられる』

「あ、そうそう! あのね。やっぱりベテランの人たちは上手かった。それでかっこよかった。私もああなりたい! ということで、どうしたらああなれるかお前らの集合知を借りたい……」

※『あっ』『無理せんでええで』『人には人の生き方がある……』

 お、お前ら~!
 はるのみこさんと同じようなことを言う。

 やはり険しい道なのか……!

※たこやき『はづきっちの声や仕草は唯一無二だからな。矯正する必要は無いと思う』いももち『そのままのはづきちゃんでいて~!』『独自進化していくから、型にはめる必要はないよな』

 な、なるほどー。

※『環境の変化で、人間は勝手に変化していくからね』『例えばはづきっちももうデビュー半年だし、後輩配信者も出てくるから先輩になって色々成長するかも』

「後輩かあ。確かになんかちょっと変わってきた感じはあるねー」

※『ヌッ!』『今何か情報おもらししなかったか!?』『外部の後輩配信者の話じゃなくなかった?』

「し、しまった!!」

※『しまったって言ったw』『バレバレですがなw』

 兄からもザッコで連絡が来た。
 その話はもうやめろとのことだ。
 あひー、すみませーん!

「話を変えます……。もうそろそろハロウィンだけど」

※『剛腕で話題を変えに来たぞ』『ハロウィンかあ』『あちこちに変なダンジョンが出現する日だろ』『はづきっちもダンジョン仮装配信するの?』

「するかも……。アバターを調整してバーチャライズに被せればいいから、簡単なのだったらすぐ……。何か希望あります? あ、じゃあ後日みんなの希望を聞く配信します! アイデアを練っておいてね」

※『うおおおおお』『バニーバニーバニー! 下はエッチなの!』おこのみ『エッチなメイドさんもいいぞ!!』『スク水!!』『体操服!』

「コスプレじゃないぞ!?」

 一気に盛り上がってきたコメントに、私は慌ててツッコミを入れたのだった。
しおりを挟む
感想 189

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

借金背負ったので死ぬ気でダンジョン行ったら人生変わった件 やけくそで潜った最凶の迷宮で瀕死の国民的美少女を救ってみた

羽黒 楓
ファンタジー
旧題:借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件 借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...