129 / 517
ドカ盛り! 私のアメリカ編
第129話 全米は喜びのるつぼですが明日から学校なので帰ります伝説
しおりを挟む
カリフォルニアにピットフォールが戻ってくる。
地獄みたいに凹んでた地の底がどんどんせり上がり、もとの高さになる。
エレベーターみたいというか、どっちかというとCGでうにょーんと流動的に動く処理をした時みたいな。
「なんだこれなんだこれ」
「見てると酔いそう……」
うっぷ、とビクトリアが口をおさえた。
乗り物に弱いらしい。
※『なんか魔法が解けていくみたいな感じだな』『実際そうなんじゃね?』『そっか、シン・シリーズ倒したしな』
うちのコメント欄はすっかり日常の感じに戻っていて、ぺちゃぺちゃと考察を話し合っている。
※『はづきっちとビクトリアちゃんが並んでいると絵になるなあ』『二大陰キャ女子が揃っちまったな』『ビクトリアちゃん日本に来るの?』『おいでおいで……』『ダブルあひーが聞けそうだ』『楽しみすぎて夜しか眠れなくなる~』
あっ、もうよこしまな話になってる!
この人たちはいつも平常心だなあ、などと私は感心した。
すっかり辺りが元通りになったら、州軍の人たちがうわーっとなだれ込んできた。
そして街が完全にダンジョンから解放され、モンスターやデーモンの支配から解放されたことを知ると……。
うおおおおーっと叫んで大喜びした。
みんなで抱き合ったりしている。
「うおーっ、僕を振り回さないでくれ!」
「君は軽いな! 我輩にとっては羽のようなものだぞ!」
「フィギュアを扱うには最低限の筋肉でいいんだ!」
カイワレもインフェルノとハグしてぐるぐる振り回されている。
アメリカンな喜びの表現はオーバーだな!
そしてふと横を見ると、ビクトリアが前傾姿勢で身構えているところだった。
気づかれた彼女はハッとする。
「わ、わた、私たちもするべきでは……?」
「そ、そうなの? こう言うときどういうことをすればいいの分からない……。でも棒立ちでぼーっとしてるとこれはこれで申し訳ない」
※『抱き合えばいいと思うよ』『きましたわ』『はづきっちそれがマナーぞ』『嘘マナー講師を今だけは許そうと思う』
マ、マナーだったか……。
仕方ない。
私は両手を広げてビクトリアを出迎えた。
彼女が突進してくる。
がしーっと受け止めて、インフェルノの要領でビクトリアを抱き上げてくるくる回る。
「あ、あの、あの、普通逆……。立役者の方が高いところにいたほうが……」
「あ、そ、そうなの!? でもビクトリア私を抱き上げられる?」
「できない……」
ビクトリア非力だもんね……!
ということで、二人でまあしょうがないかー、とヘラヘラしながらくるくる回っていたら、なんか周囲の軍人さんたちが大盛りあがりなのだ。
「カリフォルニアを救った俺たちの女神!」「人類に勝利をもたらした女神だ!」「カリフォルニアにハヅキの像を建てよう!」
わあわあ言ってる。
何かとんでもない発言なかった?
その後、州知事がビューンと車で駆けつけて、また私と握手した。
ハグは遠慮しておいた。
そしてこの後、盛大なレセプションが開かれるらしいんだけど……。
「失礼。実はきら星はづきは明日から学校がありまして。時差を考えるとそろそろ出発しなければ」
「オー。なんと禁欲的で勤勉なのだ。これほど大きなことを成し遂げてなお、自らを律する。ゼンだね」
州知事は感心したようだ。
他に居並んだ政府と軍の偉い人たちも、なんか感動したみたいで私を尊敬の眼差しで見る。
や、やめてくれえー。
七日間以上休むと勉強追いつけなさそうだから帰るだけなの!
ということで。
最後のダンジョンを踏破し、色欲のマリリーヌを倒した足で、私は帰りの飛行機に乗り込んだのだった。
あっという間に空港。
ラストバスターズの三人が手を振っている。
私も手を振り返す。
「みんなまたねー!」
「いつでも配信の世界で会えるからね!」
「リーダー! すぐに行くわー!」
「君を我輩がコミックにして世に出そう! 兄上に許諾はもらっている!」
マリリーヌが倒されたことで、しばらく日米間の飛行機による行き来が可能になるとか。
なので、その間にビクトリアはアメリカで色々準備してうちにホームステイしに来るのだ。
うーん、楽しみといえば楽しみ。
それはそうとインフェルノがとんでもないこと言ってなかった?
帰りの飛行機は、行きよりもちょっとこじんまりしていた。
結界も間に合わせ程度。
それでも前に比べるとずっと安全なのだ。
ふわっと飛行機は離陸して、カリフォルニアの大地が遠ざかっていく。
ふと確認したツブヤキックスでは、アメリカの人たちが大喜びしている。
こっちだとトレンドになってるみたい。
人類の勝利だ、とか書かれてた。
主語が大きい……!
あと、私のファンアートがめっちゃ増えた。
次にビクトリアのファンアートがあって、私とビクトリアが一緒にいる絵も多い。
インフェルノはマニアックな人気があるようだ。
なお、カイワレのイラストが一番少なかった。
だけどカイワレはそれを見つける度に、嬉しそうに私に自慢してきたなあ。
ハートが強い男だった。
しみじみしながらファンアート巡りなどしていたら、えっちなファンアートを見つけて「うあー」となる。
えっちでセンシティブなのはいけません!
そっといいねを押しておいた。
ファーストクラスの座席は大変乗り心地も良く、嵐のようなイベントの中で溜まっていた日々の疲れがどっと襲ってくる。
私は機内食をもりもり食べた後、一眠りすることにするのだった。
目覚めたらきっと日本だろう。
ああ、日本食が恋しい。
だけど結局、味噌は使わなかったのだった……。
むにゃ。
地獄みたいに凹んでた地の底がどんどんせり上がり、もとの高さになる。
エレベーターみたいというか、どっちかというとCGでうにょーんと流動的に動く処理をした時みたいな。
「なんだこれなんだこれ」
「見てると酔いそう……」
うっぷ、とビクトリアが口をおさえた。
乗り物に弱いらしい。
※『なんか魔法が解けていくみたいな感じだな』『実際そうなんじゃね?』『そっか、シン・シリーズ倒したしな』
うちのコメント欄はすっかり日常の感じに戻っていて、ぺちゃぺちゃと考察を話し合っている。
※『はづきっちとビクトリアちゃんが並んでいると絵になるなあ』『二大陰キャ女子が揃っちまったな』『ビクトリアちゃん日本に来るの?』『おいでおいで……』『ダブルあひーが聞けそうだ』『楽しみすぎて夜しか眠れなくなる~』
あっ、もうよこしまな話になってる!
この人たちはいつも平常心だなあ、などと私は感心した。
すっかり辺りが元通りになったら、州軍の人たちがうわーっとなだれ込んできた。
そして街が完全にダンジョンから解放され、モンスターやデーモンの支配から解放されたことを知ると……。
うおおおおーっと叫んで大喜びした。
みんなで抱き合ったりしている。
「うおーっ、僕を振り回さないでくれ!」
「君は軽いな! 我輩にとっては羽のようなものだぞ!」
「フィギュアを扱うには最低限の筋肉でいいんだ!」
カイワレもインフェルノとハグしてぐるぐる振り回されている。
アメリカンな喜びの表現はオーバーだな!
そしてふと横を見ると、ビクトリアが前傾姿勢で身構えているところだった。
気づかれた彼女はハッとする。
「わ、わた、私たちもするべきでは……?」
「そ、そうなの? こう言うときどういうことをすればいいの分からない……。でも棒立ちでぼーっとしてるとこれはこれで申し訳ない」
※『抱き合えばいいと思うよ』『きましたわ』『はづきっちそれがマナーぞ』『嘘マナー講師を今だけは許そうと思う』
マ、マナーだったか……。
仕方ない。
私は両手を広げてビクトリアを出迎えた。
彼女が突進してくる。
がしーっと受け止めて、インフェルノの要領でビクトリアを抱き上げてくるくる回る。
「あ、あの、あの、普通逆……。立役者の方が高いところにいたほうが……」
「あ、そ、そうなの!? でもビクトリア私を抱き上げられる?」
「できない……」
ビクトリア非力だもんね……!
ということで、二人でまあしょうがないかー、とヘラヘラしながらくるくる回っていたら、なんか周囲の軍人さんたちが大盛りあがりなのだ。
「カリフォルニアを救った俺たちの女神!」「人類に勝利をもたらした女神だ!」「カリフォルニアにハヅキの像を建てよう!」
わあわあ言ってる。
何かとんでもない発言なかった?
その後、州知事がビューンと車で駆けつけて、また私と握手した。
ハグは遠慮しておいた。
そしてこの後、盛大なレセプションが開かれるらしいんだけど……。
「失礼。実はきら星はづきは明日から学校がありまして。時差を考えるとそろそろ出発しなければ」
「オー。なんと禁欲的で勤勉なのだ。これほど大きなことを成し遂げてなお、自らを律する。ゼンだね」
州知事は感心したようだ。
他に居並んだ政府と軍の偉い人たちも、なんか感動したみたいで私を尊敬の眼差しで見る。
や、やめてくれえー。
七日間以上休むと勉強追いつけなさそうだから帰るだけなの!
ということで。
最後のダンジョンを踏破し、色欲のマリリーヌを倒した足で、私は帰りの飛行機に乗り込んだのだった。
あっという間に空港。
ラストバスターズの三人が手を振っている。
私も手を振り返す。
「みんなまたねー!」
「いつでも配信の世界で会えるからね!」
「リーダー! すぐに行くわー!」
「君を我輩がコミックにして世に出そう! 兄上に許諾はもらっている!」
マリリーヌが倒されたことで、しばらく日米間の飛行機による行き来が可能になるとか。
なので、その間にビクトリアはアメリカで色々準備してうちにホームステイしに来るのだ。
うーん、楽しみといえば楽しみ。
それはそうとインフェルノがとんでもないこと言ってなかった?
帰りの飛行機は、行きよりもちょっとこじんまりしていた。
結界も間に合わせ程度。
それでも前に比べるとずっと安全なのだ。
ふわっと飛行機は離陸して、カリフォルニアの大地が遠ざかっていく。
ふと確認したツブヤキックスでは、アメリカの人たちが大喜びしている。
こっちだとトレンドになってるみたい。
人類の勝利だ、とか書かれてた。
主語が大きい……!
あと、私のファンアートがめっちゃ増えた。
次にビクトリアのファンアートがあって、私とビクトリアが一緒にいる絵も多い。
インフェルノはマニアックな人気があるようだ。
なお、カイワレのイラストが一番少なかった。
だけどカイワレはそれを見つける度に、嬉しそうに私に自慢してきたなあ。
ハートが強い男だった。
しみじみしながらファンアート巡りなどしていたら、えっちなファンアートを見つけて「うあー」となる。
えっちでセンシティブなのはいけません!
そっといいねを押しておいた。
ファーストクラスの座席は大変乗り心地も良く、嵐のようなイベントの中で溜まっていた日々の疲れがどっと襲ってくる。
私は機内食をもりもり食べた後、一眠りすることにするのだった。
目覚めたらきっと日本だろう。
ああ、日本食が恋しい。
だけど結局、味噌は使わなかったのだった……。
むにゃ。
20
お気に入りに追加
245
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる