上 下
127 / 517
ドカ盛り! 私のアメリカ編

第127話 衝撃の事実……あ、知ってました伝説

しおりを挟む
 ピットフォールへの経路が安全になったから、軍人の人たちもパラシュートで降りてきた。

「みんなマシンガンを持ってます」

※『アサルトライフルね!』『はづきっち銃がわからない』『一般的女子ならそんなもんでは……!』

「あああ、アサトル? ライフルね? おけ、把握しました」

※『してないw』

 細かい~。
 全員集合した私たち。
 色欲のマリリーヌが拠点にしているというクラブに突撃なのだ。

 外見はネオンとかピカピカで、用心棒っぽい強そうなデーモンが表に二人いる。
 ガムをくちゃくちゃしてる。

「あひー、大変見た目がパリピっぽくて怖いんですけど」

※『悲報、デーモンよりもパリピが怖いはづきっち』『知ってた』

「リーダー、僕が行ってやりますよ!!」

「カイワレ頼りになる~」

「僕はヒーローですからね! うおおー! 通せ、このでくのぼうどもめ!!」

『なんだこいつ!』

『全身タイツはドレスコード通らねえんだよ!』

「ウグワーッ!」

 あっ、カイワレがまたふっ飛ばされてきた。
 インフェルノが彼をキャッチする。

「話のわからない奴らだ!」

 カイワレがプリプリ怒っている。
 本当に頑丈だなあ……。
 日本の配信者でもこんな頑丈な人なかなか見ない。

「我々の中でカイワレが最も打たれ強いな。原理はわからんが」

 インフェルノがしみじみ言う。
 そして、ビクトリア。

「私が、行く……。あいつら多分銃弾も通用しないし」

 ふらふらっと歩いていくビクトリア。
 軍人さんたちが「あの娘に任せてて大丈夫なのか!?」「心配だ……」とハラハラしている。
 いい人たちだあ。

 でも安心、ビクトリア、会話もせずにバールのようなもので殴りかかった!
 殴り合いになっている!

「あ、あぶなーい!」

 私も慌てて駆けつけた。
 カイワレもインフェルノも一緒だ。

 ビクトリアに叩きつけられた拳に、カイワレが割り込んで、「ウグワーッ!」と吹っ飛んでからむくっと起き上がってまた戻ってきた。

『や、野郎不死身か!?』

「僕はナードだからね! 殴られ慣れてるのさ!」

 そういう次元じゃなくない?
 インフェルノは隙間を縫って、ムチの柄で殴りつける。
 地味に痛いらしくて、用心棒デーモンの人もこっちに集中できない。

 その隙間に私はちょいっとゴボウを突っ込んだ。

『こ、この茶色い野菜スティック! まずいっ……ウグワーッ!!』

 デーモンは吹き飛んだよ。
 扉に掛かっていた鍵は、アサトルライフル?とかの集中射撃で壊れた。

 突撃ー!

※『盛り上がって参りました』『ゴキゲンなBGMが掛かりそうw』『中でデーモンがたくさん踊り狂ってる!』『パリピの園じゃん』

「あひー」

※『鳴いた!』『キター!!』『勝利確定だな』

 お、お前ら、陽キャの過剰摂取で大変になってる私の心配をするんだー!
 踊ってるデーモンたちは、みんな一斉にこっちを振り向くと、襲いかかってきた。

 飛び交う魔法と銃弾、あと、カイワレとインフェルノが隙間をちょこちょこ動いてる。

『人間が色欲の宮殿にやって来て無事で済むと思うな! かーっ!!』

「ウグワーッ!」

 デーモンから、何か目に見えないパワーみたいなのが発射されて軍人の人たちが膝をつく。

「うぐぐ……! お、お嬢さんたち、俺たちから離れろ!」「ぐわあああ獣になっちまいそうだ……!」

「これはよくないな!」

「うむ、我輩たちの出番だな」

 ここで颯爽と立ち上がるカイワレとインフェルノ!
 二人並んで、デーモンの前に立ちふさがった。

 そうしたら……。

『なにっ!? お、お前たちで色欲のパワーが遮られる! 通じないというのか!』『バカな! この根源的な欲求に耐えられる人間など……!!』

「お前らはアクションフィギュアじゃない!! そんなものに心が迷うものかよ!!」

「我輩は我輩だ。既に完成している!!」

 変な人達の本領発揮!
 デーモンたちが動揺しているうちに、私とビクトリアが進んでいって攻撃再開なのだ。

「新しい武器、持ってきたの……」

 ビクトリアがフヒヒヒヒ、と笑いながら取り出したのは……おもちゃのスポンジライフル!
 八咫烏さんが使ってたのの、もっとカラフルで簡単な作りのやつだ!

 飛び出すスポンジ弾が、デーモンたちにダメージを与えているみたい。

「ウーフフフフフフ! ジョックやクインビー気取りがゴスにやられる気持ちはどう? どうーっ!?」

※『ビクトリアちゃんが嬉しそうで俺たちも嬉しくなっちゃうな』『彼女、ゴスロリ姿に物騒な武器をもたせるスタイルが映えるよなあ』

 復活した軍人さんたちも、銃弾で援護だ。
 よし、この隙に私はちょろちょろっと色欲のマリリーヌまで走っていくのだ。

「ちょっとすみません、道、道を開けて……」

 ちょんちょんっとバーチャルゴボウで突くと、

『ウグワーッ!!』

 通り道ができる。
 そこを小走りで進んでいった。

 ピカピカと照明が明滅して、なんかアップテンポのあまりなじまない音楽が流れる中、そこは一段高い玉座みたいになっていた。
 腰掛けているのは、金髪でむちむちでもう裸みたいな格好の女の人。
 二本の角とコウモリの羽と、トカゲみたいな尻尾が生えている。

『来たわねえ……。規格外の配信者』

「こ、こんにちは。じゃあ倒しますね……」

『早い早い! うわっ、一撃で玉座が壊された! 駆け引きが存在しない、デーモンを倒すためだけに特化した配信モンスター! しかも色欲が通じない……! 話の通りね!』

 空に飛び上がるマリリーヌ。

「と、飛んでしまったあ」

※『はづきっちも飛ぼう』

「人間なんで飛べませーん!」

『果たしてそうかしら?』

 マリリーヌが空中で笑った。

『御使いから聞いたの。あのお方が地上に生み出そうとした七体のアークデーモン。そのうちの一体は誕生すること無く消えたと言うわ。それは……暴食を司るアークデーモン』

 マリリーヌがじっと私を見る。

※『ま、まさか……!』『そんな……!』『お約束な……!!』『この間のまとめで見たところだ……!』

 コメント欄が動揺してる?
 いや、なんか楽しんでる。

『きら星はづき! あなたこそ、私たち七人の大罪の一人。暴食のハヅキなのよ!』

「な、なんだってー!!」

 私がシン・シリーズの!

※『やっぱりな』『知ってた』『知ってたわ』『知ってた速報』

 あっ!
 コメント欄が全く動揺してない!!
 私もスーッと落ち着いた。

「じゃ、じゃあ倒しますね」

『えっ!? ちょっと! なんで動揺してないの!? 嘘じゃないのよ!? あなたがこれまでやってきた異常な成果は全て、大罪勢となれる資質と配信者の力が合わさって……』

 なんか言ってるけど、まずは高いところを飛んでる彼女を落っことさないとなのだった。
しおりを挟む
感想 189

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

おじさんが異世界転移してしまった。

月見ひろっさん
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...