126 / 517
ドカ盛り! 私のアメリカ編
第126話 奈落にパラソルで降り立つ伝説
しおりを挟む
ダウンタウンに設置された監視カメラ。
その幾つかはまだ生きていた。
それらは色欲のマリリーヌによって支配され、生命を持つ一種のモンスターと化している。
上空で轟音がした。
監視カメラが一斉に頭上を向く。
封鎖されていたはずの、地下鉄ダンジョンとの境界が吹っ飛んでいる。
爆発物を使ったらしい。
続いて飛び出してくるのは、真っ黒な車体。
電車だ。
それが翼を広げ、滑空を始める。
ピットフォールに侵入者。
一ヶ月ぶりの敵だ。
ピットフォールに州軍が挑み、壊滅的打撃を受けてから誰も手出しをしなくなった。
まだ、このピットフォールにやって来ようとするバカがいるとは。
モンスターとしての自意識を持つカメラはそう判断していた。
だが、どうも状況が違う。
滑空する黒い電車から、こちらを覗き込んでいる顔がある。
ピンクの髪をした、ぽやっとした感じの少女だ。
カメラはなんとなく彼女をフォーカスし……。
目が合った。
その瞬間、マリリーヌに掛けられていた支配が不可視の力で吹き飛ばされる。
そのカメラは、自らの役割を取り戻した。
ネットと接続。
撮影されている映像が、リアルタイムでアワチューブに流れ始める。
なんか何かと目が合ったような。
そう思いながら車両の中に戻った私。
「うわああああ凄いことになってる! リーダー、この中を降りるのかい!? ワオワオ!! 高いところからの着地はまさしくヒーローだ!!」
カイワレ元気~。
もうパラシュートみたいなの背負ってるけど、その重みでよろけてる。
「フフフ……スカートがまくれないように注意しないと……」
ビクトリアも準備万端。
「この背負紐、小さくないか?」
ムキムキのインフェルノにパラシュートの背負紐が食い込んでる!
そして私はと言うと……。
「ええと、じゃあ私もパラシュートを背負って……」
受け取ろうとした矢先に、電車にすっごい横殴りの衝撃が襲いかかった。
「あひー」
吹っ飛ぶ私。
電車の外にスポーンと飛び出る。
「リ、リーダー!!」
「大変! た、助けに……!」
「リーダーならなんとかしそうな気がする」
三人が追いかけて、飛び出してくる。
私は宙に放り出されながら、うーん、と考えた。
「有識者ー。お願いー」
※『はづきっちピンチじゃん!』『俺らがスパチャ投げるからいい感じの買え!』『うおおー、受け取れスパチャー!!』
ぽんぽんとスーパーチャットが入ってくる。
いい感じの?
そう言われてもなあ……。
私は落下しながら、インターネッツのお買い物サイトを巡回した。
周りにはどんどんモンスターが群がってくるんだけど、私の周囲に出現するスパチャの表示に当たると『ウグワーッ!?』『ち、近づけんウグワーッ!!』と砕け散る。
「みんなの愛に守られてるー。ありがたいなあー」
私はしみじみしながら、とあるお買い物サイトでいい感じのを見つけた。
「あ、これがいいんじゃない? パラシュートって落下傘でしょ。傘っていうんだから……」
購入した商品が、スポンっとその場に現れる。
それは大きな、ピンク色のパラソル。
私がそれを手にすると、落下速度がゆっくりになった。
パラソルの骨がミシミシ言ってる。
うわー、がんばれがんばれ!
※『奈落の上空からピンクのパラソルではづきっちが降りていくってマ!?』『絵になりすぎるw』『かわいい』『がんばえー!!』
声援が集まってくる。
すると……パラソルがピンク色に光りだした。
一体何が起ころうとしてるんです……?
次の瞬間……。
ポーンッ!と軽快な音が響いて、パラソルがものすっごく大きなピンクの光を纏ったのだ。
それも、傘型に広がっていくような光。
つまり私は……凄く大きなパラソルを掴んで、ゆったりとピットフォールを降りていく感じになる。
パラソルの範囲にいたモンスターやデーモンたちが、まとめて粉々になった。
『ウグワーッ!?』×たくさん
さらに、パラソルからピンクの光が、雨になってピットフォールのダウンタウンに降り注ぐ。
※『メリー・ポピンズじゃんw!』『アメリカリスペクトとはやるなあ』
「な、なんですその作品!! 有識者~!」
後から来たラストバスターズの三人も、パラソルの上に着地したらしい。
私たち四人は、大変優雅にピットフォールへ到着するのだった。
降りていくだけで周囲のモンスターがいなくなっていくんですけど。
頭上の電車からは、軍人さんたちがめちゃくちゃ喜んでわーわー叫んでる。
うおお、光が邪魔になって確認できない~。
……というところで、ピットフォールの底に到着です。
寸前でパラソルが限界を迎えて、ポキっと折れた。
落っこちてお尻を打つ私。
「あひー」
※『あひった!』『お尻お大事に!』おこのみ『衝撃吸収できるくらい立派だから大丈夫!』
慰めになってなーい!
なお。
何故かまた、私の同接数がすっごいことになっていた。
一体どこから流れ込んでくるんだろう……?
私の視界の端で、建物に設置された監視カメラがジーッと音を立てた。
あ、生きてるカメラあるんだ。
私は手を振っておく。
すると、カメラがなんか頷いたみたいに見えた。
その幾つかはまだ生きていた。
それらは色欲のマリリーヌによって支配され、生命を持つ一種のモンスターと化している。
上空で轟音がした。
監視カメラが一斉に頭上を向く。
封鎖されていたはずの、地下鉄ダンジョンとの境界が吹っ飛んでいる。
爆発物を使ったらしい。
続いて飛び出してくるのは、真っ黒な車体。
電車だ。
それが翼を広げ、滑空を始める。
ピットフォールに侵入者。
一ヶ月ぶりの敵だ。
ピットフォールに州軍が挑み、壊滅的打撃を受けてから誰も手出しをしなくなった。
まだ、このピットフォールにやって来ようとするバカがいるとは。
モンスターとしての自意識を持つカメラはそう判断していた。
だが、どうも状況が違う。
滑空する黒い電車から、こちらを覗き込んでいる顔がある。
ピンクの髪をした、ぽやっとした感じの少女だ。
カメラはなんとなく彼女をフォーカスし……。
目が合った。
その瞬間、マリリーヌに掛けられていた支配が不可視の力で吹き飛ばされる。
そのカメラは、自らの役割を取り戻した。
ネットと接続。
撮影されている映像が、リアルタイムでアワチューブに流れ始める。
なんか何かと目が合ったような。
そう思いながら車両の中に戻った私。
「うわああああ凄いことになってる! リーダー、この中を降りるのかい!? ワオワオ!! 高いところからの着地はまさしくヒーローだ!!」
カイワレ元気~。
もうパラシュートみたいなの背負ってるけど、その重みでよろけてる。
「フフフ……スカートがまくれないように注意しないと……」
ビクトリアも準備万端。
「この背負紐、小さくないか?」
ムキムキのインフェルノにパラシュートの背負紐が食い込んでる!
そして私はと言うと……。
「ええと、じゃあ私もパラシュートを背負って……」
受け取ろうとした矢先に、電車にすっごい横殴りの衝撃が襲いかかった。
「あひー」
吹っ飛ぶ私。
電車の外にスポーンと飛び出る。
「リ、リーダー!!」
「大変! た、助けに……!」
「リーダーならなんとかしそうな気がする」
三人が追いかけて、飛び出してくる。
私は宙に放り出されながら、うーん、と考えた。
「有識者ー。お願いー」
※『はづきっちピンチじゃん!』『俺らがスパチャ投げるからいい感じの買え!』『うおおー、受け取れスパチャー!!』
ぽんぽんとスーパーチャットが入ってくる。
いい感じの?
そう言われてもなあ……。
私は落下しながら、インターネッツのお買い物サイトを巡回した。
周りにはどんどんモンスターが群がってくるんだけど、私の周囲に出現するスパチャの表示に当たると『ウグワーッ!?』『ち、近づけんウグワーッ!!』と砕け散る。
「みんなの愛に守られてるー。ありがたいなあー」
私はしみじみしながら、とあるお買い物サイトでいい感じのを見つけた。
「あ、これがいいんじゃない? パラシュートって落下傘でしょ。傘っていうんだから……」
購入した商品が、スポンっとその場に現れる。
それは大きな、ピンク色のパラソル。
私がそれを手にすると、落下速度がゆっくりになった。
パラソルの骨がミシミシ言ってる。
うわー、がんばれがんばれ!
※『奈落の上空からピンクのパラソルではづきっちが降りていくってマ!?』『絵になりすぎるw』『かわいい』『がんばえー!!』
声援が集まってくる。
すると……パラソルがピンク色に光りだした。
一体何が起ころうとしてるんです……?
次の瞬間……。
ポーンッ!と軽快な音が響いて、パラソルがものすっごく大きなピンクの光を纏ったのだ。
それも、傘型に広がっていくような光。
つまり私は……凄く大きなパラソルを掴んで、ゆったりとピットフォールを降りていく感じになる。
パラソルの範囲にいたモンスターやデーモンたちが、まとめて粉々になった。
『ウグワーッ!?』×たくさん
さらに、パラソルからピンクの光が、雨になってピットフォールのダウンタウンに降り注ぐ。
※『メリー・ポピンズじゃんw!』『アメリカリスペクトとはやるなあ』
「な、なんですその作品!! 有識者~!」
後から来たラストバスターズの三人も、パラソルの上に着地したらしい。
私たち四人は、大変優雅にピットフォールへ到着するのだった。
降りていくだけで周囲のモンスターがいなくなっていくんですけど。
頭上の電車からは、軍人さんたちがめちゃくちゃ喜んでわーわー叫んでる。
うおお、光が邪魔になって確認できない~。
……というところで、ピットフォールの底に到着です。
寸前でパラソルが限界を迎えて、ポキっと折れた。
落っこちてお尻を打つ私。
「あひー」
※『あひった!』『お尻お大事に!』おこのみ『衝撃吸収できるくらい立派だから大丈夫!』
慰めになってなーい!
なお。
何故かまた、私の同接数がすっごいことになっていた。
一体どこから流れ込んでくるんだろう……?
私の視界の端で、建物に設置された監視カメラがジーッと音を立てた。
あ、生きてるカメラあるんだ。
私は手を振っておく。
すると、カメラがなんか頷いたみたいに見えた。
20
お気に入りに追加
245
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
強制的にダンジョンに閉じ込められ配信を始めた俺、吸血鬼に進化するがエロい衝動を抑えきれない
ぐうのすけ
ファンタジー
朝起きると美人予言者が俺を訪ねて来る。
「どうも、予言者です。あなたがダンジョンで配信をしないと日本人の半分近くが死にます。さあ、行きましょう」
そして俺は黒服マッチョに両脇を抱えられて黒塗りの車に乗せられ、日本に1つしかないダンジョンに移動する。
『ダンジョン配信の義務さえ果たせばハーレムをお約束します』
『ダンジョン配信の義務さえ果たせば一生お金の心配はいりません』
「いや、それより自由をください!!」
俺は進化して力を手に入れるが、その力にはトラップがあった。
「吸血鬼、だと!バンパイア=エロだと相場は決まっている!」
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる