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キラキラ? 私の夏休みラスト編
第84話 ボイトレ! 歌ってみた伝説
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ボイトレ会場にやって来ました。
会場っていうか、専用のスタジオ。
私の他に、トライシグナルの水無月さんもいた。
「んじゃ、今日はよろしくねーはづきちゃん」
「あっ、は、はい!」
トライシグナルで一番絡みが少ない人なので緊張する~。
この人は今年大学を卒業するとかで、三人で一番年上の22歳。
ちなみにうちの受付さんと同い年らしいんだけど……。
受付さん、何歳から配信者やってたの。
いや、私が言えた義理じゃない。
正真正銘の未成年だからね……!!
「まーたはづきちゃんが虚空を見つめて虚無ってる」
「はっ」
水無月さんにつつかれて我に返る私。
「よーし、お姉さんと一緒にボイトレしようねー」
後ろからギュッとされながら、スタジオ入りする私。
「こんにちは~」
「こんにちは。初めまして!」
「こ、こんにちは……」
スタジオにいたのは、落ち着いた感じの男性の方。
私の蚊の鳴くような声を聞いて、うんうんうなずいた。
「なるほど! これはトレーニングのし甲斐がありそうです! 軽くカラオケで一曲いけるくらいまでトレーニングしてみましょう!」
うおー、声が通る~!!
こうしてトレーニングが始まった。
ちなみにAフォンは回しておいて、これは動画として編集して投稿する……。
私も最近、ちょっとは動画の編集ができるようになったのだ。
今回も私の見苦しいところは端折って……。
いや、だけど編集ミスして変なところが出っぱなしの動画の方が受けがいいんだよね……。
これはそのまま残した方がいいの?
「じゃあ声を出して行ってみましょう。普段の声の出し方は……なるほど。じゃあこういう風に喉を開く感じで……」
「ボエ~」
「いいですね! いい!」
うわー、めっちゃ褒めてくれる!
やる気になる。
「はづきちゃんは普段、あひーって叫ぶ時にすっごい声が通るから才能あると思うんだよねー」
「ええ、配信は拝見しました。僕が思うにですね、ボイトレで地声までハキハキになると、彼女の持ち味が無くなってしまうと思うんですよ」
先生がなんだか凄いことを言ってきた。
何もかも声を大きくするんじゃないの……!?
「はづきさんの蚊の鳴くような弱々しい声は個性なんですよ」
蚊の鳴くようなって人にも言われた!
「リスナーさんはこれをこそ愛していると思いますので、それは活かしたまま声が通るようにしていきましょう。腹式呼吸と言いますけど、お腹からは声は出ません。つまり横隔膜を……」
先生にやってもらったあと、水無月さんと私で続いた。
なるほど、なるほど……。
「では、ここで一曲歌ってみましょうか!」
「ひえっ! う、歌う!?」
「私達にも持ち歌あるからねえ。アカデミーでもやってたし、こうして継続的にボイトレしてどんどん上手くなるの。歌配信とかも結構受けるんだよ」
「な、なるほどー」
でも私は歌配信とかはいいかな……!
めちゃくちゃ恥ずかしいし!
それに版権とか色々面倒くさくない?
兄がいろいろその辺気にしてると思うんだけど……。
「じゃあネットで有名な歌でこれを行ってみましょう。ちょっとずつ歌ってもらうごとに、僕の方でこうしてみてください、と指示をしますので……」
やけくそである。
私はぼえーっと歌った。
すると……。
「はづきちゃん、いい声してるねえ……! 絶対歌配信したほうがいいよ」
「えっ!?」
お世辞……!?
「うんうん、普段は猫背で話しているのであまり声が通りませんけど、いざ配信となると背筋が伸びて動き回っているでしょう。声を出せる素地ができてるんですよこれは。それから声質は天性のものですね。いいと思います」
「えっ、えっ、本当……? えへへへ、ど、どうもどうも……」
いかん、ここには突っ込んでくれるお前らがいないから、私は調子に乗ってしまう……!!
だけど、たまには調子に乗ってもいいのではないだろうか。
謙虚に生きるのは明日からにしよう。
その日は海外の人とのコラボだけど。
こうして乗せられ、おだてられて歌ってみて、これを収録した。
公開は後日かな……。
帰宅後、自分で再生してみて、なんか嬉しそうに歌っている自分を見て床でのたうち回った。
あひー!
なんだこの得意そうに歌ってる自分!!
恥ずかしいぃぃぃぃぃぃぃ。
封印したい。
だが兄はそれを許さない!
『よし、送ってくれ。こちらでも編集を手伝う。早急にアップしよう』
「や、やっぱりアップしないといけませんか……」
『お前が恥ずかしがっているということは、確実に受ける動画ということだ。今までの経験がそう言っている。それにお前に任せると撮れ高の高いシーンをカットしてしまうだろう』
「うっ、うっ」
『自分を格好良く見せようとするな。お前はそのままが一番受ける』
「うううっ」
ぐうの音も出ません。
こうして私は、ボイトレしつつ得意げに歌っている自分の動画を兄に送信することになったのだった。
ひいい、反応が恐ろしい、恐ろしい……。
とりあえず、何も動きがないのはよろしくないので、ツブヤキックスで報告しておく。
『ボイトレに行ってきました……。歌いました』
※『歌!?』『はづきっちが歌った!?』『聞きたい!』『動画アップして!』
『お兄ちゃんが編集してるので、アップは後日です! あと、明日は誕生日配信でサプライズが……』
※『サプライズ!!』『八月後半になってから本気出してきたな』『配信頻度がいきなり凄いことになってきたぞ』『全部見逃せねえ』『夏休みの宿題してる場合じゃない!』
宿題はしろー!
こうして、歌動画への期待度が高いなーというのを確認してしまった私なのだ。
ううう、どうなってしまうのか。
そして明日は海外の配信者とのコラボ。
不安だ……!
不安な時にはお腹いっぱい食べるに限る。
「お母さん! 私のご飯は丼で……!」
会場っていうか、専用のスタジオ。
私の他に、トライシグナルの水無月さんもいた。
「んじゃ、今日はよろしくねーはづきちゃん」
「あっ、は、はい!」
トライシグナルで一番絡みが少ない人なので緊張する~。
この人は今年大学を卒業するとかで、三人で一番年上の22歳。
ちなみにうちの受付さんと同い年らしいんだけど……。
受付さん、何歳から配信者やってたの。
いや、私が言えた義理じゃない。
正真正銘の未成年だからね……!!
「まーたはづきちゃんが虚空を見つめて虚無ってる」
「はっ」
水無月さんにつつかれて我に返る私。
「よーし、お姉さんと一緒にボイトレしようねー」
後ろからギュッとされながら、スタジオ入りする私。
「こんにちは~」
「こんにちは。初めまして!」
「こ、こんにちは……」
スタジオにいたのは、落ち着いた感じの男性の方。
私の蚊の鳴くような声を聞いて、うんうんうなずいた。
「なるほど! これはトレーニングのし甲斐がありそうです! 軽くカラオケで一曲いけるくらいまでトレーニングしてみましょう!」
うおー、声が通る~!!
こうしてトレーニングが始まった。
ちなみにAフォンは回しておいて、これは動画として編集して投稿する……。
私も最近、ちょっとは動画の編集ができるようになったのだ。
今回も私の見苦しいところは端折って……。
いや、だけど編集ミスして変なところが出っぱなしの動画の方が受けがいいんだよね……。
これはそのまま残した方がいいの?
「じゃあ声を出して行ってみましょう。普段の声の出し方は……なるほど。じゃあこういう風に喉を開く感じで……」
「ボエ~」
「いいですね! いい!」
うわー、めっちゃ褒めてくれる!
やる気になる。
「はづきちゃんは普段、あひーって叫ぶ時にすっごい声が通るから才能あると思うんだよねー」
「ええ、配信は拝見しました。僕が思うにですね、ボイトレで地声までハキハキになると、彼女の持ち味が無くなってしまうと思うんですよ」
先生がなんだか凄いことを言ってきた。
何もかも声を大きくするんじゃないの……!?
「はづきさんの蚊の鳴くような弱々しい声は個性なんですよ」
蚊の鳴くようなって人にも言われた!
「リスナーさんはこれをこそ愛していると思いますので、それは活かしたまま声が通るようにしていきましょう。腹式呼吸と言いますけど、お腹からは声は出ません。つまり横隔膜を……」
先生にやってもらったあと、水無月さんと私で続いた。
なるほど、なるほど……。
「では、ここで一曲歌ってみましょうか!」
「ひえっ! う、歌う!?」
「私達にも持ち歌あるからねえ。アカデミーでもやってたし、こうして継続的にボイトレしてどんどん上手くなるの。歌配信とかも結構受けるんだよ」
「な、なるほどー」
でも私は歌配信とかはいいかな……!
めちゃくちゃ恥ずかしいし!
それに版権とか色々面倒くさくない?
兄がいろいろその辺気にしてると思うんだけど……。
「じゃあネットで有名な歌でこれを行ってみましょう。ちょっとずつ歌ってもらうごとに、僕の方でこうしてみてください、と指示をしますので……」
やけくそである。
私はぼえーっと歌った。
すると……。
「はづきちゃん、いい声してるねえ……! 絶対歌配信したほうがいいよ」
「えっ!?」
お世辞……!?
「うんうん、普段は猫背で話しているのであまり声が通りませんけど、いざ配信となると背筋が伸びて動き回っているでしょう。声を出せる素地ができてるんですよこれは。それから声質は天性のものですね。いいと思います」
「えっ、えっ、本当……? えへへへ、ど、どうもどうも……」
いかん、ここには突っ込んでくれるお前らがいないから、私は調子に乗ってしまう……!!
だけど、たまには調子に乗ってもいいのではないだろうか。
謙虚に生きるのは明日からにしよう。
その日は海外の人とのコラボだけど。
こうして乗せられ、おだてられて歌ってみて、これを収録した。
公開は後日かな……。
帰宅後、自分で再生してみて、なんか嬉しそうに歌っている自分を見て床でのたうち回った。
あひー!
なんだこの得意そうに歌ってる自分!!
恥ずかしいぃぃぃぃぃぃぃ。
封印したい。
だが兄はそれを許さない!
『よし、送ってくれ。こちらでも編集を手伝う。早急にアップしよう』
「や、やっぱりアップしないといけませんか……」
『お前が恥ずかしがっているということは、確実に受ける動画ということだ。今までの経験がそう言っている。それにお前に任せると撮れ高の高いシーンをカットしてしまうだろう』
「うっ、うっ」
『自分を格好良く見せようとするな。お前はそのままが一番受ける』
「うううっ」
ぐうの音も出ません。
こうして私は、ボイトレしつつ得意げに歌っている自分の動画を兄に送信することになったのだった。
ひいい、反応が恐ろしい、恐ろしい……。
とりあえず、何も動きがないのはよろしくないので、ツブヤキックスで報告しておく。
『ボイトレに行ってきました……。歌いました』
※『歌!?』『はづきっちが歌った!?』『聞きたい!』『動画アップして!』
『お兄ちゃんが編集してるので、アップは後日です! あと、明日は誕生日配信でサプライズが……』
※『サプライズ!!』『八月後半になってから本気出してきたな』『配信頻度がいきなり凄いことになってきたぞ』『全部見逃せねえ』『夏休みの宿題してる場合じゃない!』
宿題はしろー!
こうして、歌動画への期待度が高いなーというのを確認してしまった私なのだ。
ううう、どうなってしまうのか。
そして明日は海外の配信者とのコラボ。
不安だ……!
不安な時にはお腹いっぱい食べるに限る。
「お母さん! 私のご飯は丼で……!」
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