ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき

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キラキラ? 私の夏休みラスト編

第83話 例のプールにて次の案件会議伝説

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「じゃあ、私たちこれから公式番組の収録なんで!」

「泳いだー! 遊んだー!」

「普段インドアだからすっかり健康になってしまった……」

「「「じゃあねー、はづきちゃん!」」」

 こうしてトライシグナルは帰っていった。
 入れ替わりで、兄と受付さんがやってくる。

「仕事終わったあ! 泳ぐぞー!! あ、はづきちゃん、これジュースとかいっぱいアイスボックスに詰めてきたからね!」

 受付さんのテンションが高い。
 元なうファンタジー配信者ということで、上手いことトライシグナルの人たちと顔合わせしないようにしてたのではないか。

「ど、ど、ども。ちょっとお腹も減ってて……」

「ピザのデリバリー頼んでおいた! あとユーバーイーツも頼む?」

「は、はい!」

 受付さんが食べ物屋のチラシをたくさん持ってきていたので、二人であれとこれと……と注文するものを決めた。
 なんだかこの人、フィーリングが合う気がする……。

「ぐふふふふ、はづきちゃんを籠絡すれば、やがて先輩に手が届く……」

 ハッ、謀略の香り!
 兄は仏頂面でパーカーを脱ぎ捨て、水着姿になっている。
 キャップを被り、水中メガネを付け……。

 ほ、本格的に泳ぐつもりだ!
 この狭いプールで!

 水音高く飛び込む兄。
 泳ぐ泳ぐ。

「相変わらずだねー。斑鳩さん昔からこういうところがある……。しかし、あの肉体美……じゅるり」

「う、受付さん?」

「ああ、ごめんごめん! じゃあ私も泳ぐね! はづきちゃんは休憩してて。斑鳩さーん」

 受付さんが羽織ってるものを脱いだら。

「あひー、ほぼ裸!」

「紐とちっっっっさい布で最小限覆われてるから! それにここには斑鳩さんとはづきちゃんしかいない……! ふふふふふ!」

 バシャーンと水に飛び込む受付さん。
 なうファンタジー内でそんな恋愛模様があった……?

 とりあえず配信や遊びやらで疲れた私は、体育座りなどをしてぼーっとすることにした。
 そこに到着するピザとユーバー。
 私はバーチャライズして受け取りに行った。

「ひえーっ、は、は、はづきっち!」

「うおわーっ! まだはづきっちいたー!!」

 なんか配達の人がすっごく驚いてるんだけど。
 本当に念のためにバーチャライズしておいて良かった。

 ちなみに入り口は兄が雇ったガードマンみたいな人たちが固めていて、野次馬が入ってこれないようになっている。
 ピザ配達のお兄さんとユーバーの人だけが通れるのだ。

 早速ピザを開けて……。

「おほー、クアトロチーズサラミもちベーコンスペシャル!!」

「あっ、はづきちゃん先に食べてる! 私も食べるー!」

 受付さんもやって来て、二人でもりもりピザを食べた。
 散々泳いだ兄も来て、牛丼をパクパク食べた。

「やはり泳ぎはいいな……。頭が空っぽになる」

「斑鳩さん、社長、もっと近くに来ていいんですよー」

「女の近くには寄らない主義だ。ハニートラップというやつがだな……」

「今斑鳩さん企業系配信者じゃないんだから大丈夫ですよー。手を出したっていいんですよ? ね? ね?」

「ヌウー」

 唸りながら受付さんとの間に私を挟む兄。
 この人にも苦手なものがあるんだなあ。

 八咫烏さんのもちょいちょい苦手なタイプらしいし。

「そう言えば配信で話していた誕生日の話だがな。既に企画を立ててある。その前に明日はボイトレだろう。今日は疲れすぎない程度で止めておくんだ」

「はーい。もう泳ぎませーん。今日はもうぐっすりだよ」

「はづきちゃん、一晩で疲れ取れるの!? 若いねー。私はもうすぐに筋肉痛だよ」

「年をとると筋肉痛すら日をまたぐようになるらしいな」

「ひえー」

「はえー」

「つまり、俺たちもまだ若いということだ。なうファンタジーのおじさん枠は確かに大イベント翌日や翌々日は辛そうだったな」

「はづきちゃん、毎日物凄い密度で配信してるけど平気だもんね、これは若さのパワーってことだねえ」

「えっ、わ、私が疲れ抜けなくなったらもうおしまいじゃないですか! あひー」

「そうなったら引退だな」

「疲れが抜ける若いうちに引退してごめーん」

「お前の場合は炎上の結果卒業だからな……」

「フヒヒ、サーセン」

 現役時代に何をやったの受付さん……!!

「話が逸れたな。企画についてだ。実は、海外の配信者からお前とコラボをしたいという話が来ていてな。既にアポイントを取ってある。急なことだから連絡が遅れたが」

「海外!?」

「誕生日配信は国際色豊かになるということだ。中国の大物配信者で、メイユーという登録者数200万人を超える女性だ。これから中国の大罪勢と戦うために、ネームドデーモン撃破経験者のお前の教示を得たいらしい」

「ひえええええ」

「先方は少しだけ日本語も分かるし、Aフォンに翻訳機能もついている。安心しろ」

「あひー」

 コミュ障に世界を超えたコミュニケーションをしろと!?
 誕生日くらいラクをさせてほしい~!!

 しかもナカバヤシさんの関係の話なんでしょ?
 重要案件じゃん!
 全然誕生日のネタじゃない~!

 頭を抱える私の横で、受付さんが私をまたいで兄に迫ったりし、兄がプールに逃げ込むなど大騒ぎなのだった。
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