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イケてる? 私の勇躍編
第46話 地上波?お誘い伝説
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『民放からのオファーが来ていてな』
「今なんて?」
『テレビ局がお前を番組に出したいそうだ』
「あひー」
朝っぱらからとんでもない話を兄からされて、ぶっ飛ぶ私。
お陰で朝食の席で何も考えることができない。
「あら、今朝はなんだかいつもよりボーッとしてるのね」
「あまりの衝撃で何も考えられない……」
「じゃあ割りといつもと同じねえ」
母に変化を気付かれつつ……? 気付かれてない……? いつも私は何も考えてない……?
まあいいや。朝食を終え、学校に行く私なのだ。
うちの高校の全生徒は、この間の事件が終わってからほぼ全員きら星はづきリスナーであるお前らになってしまった。
おかげで、どこに行っても私の配信の話が漏れ聞こえてくる……!!
「もう十回くらいあのアーカイブ見たんだけど!」
「あたしも見た!」
「はづきっちってさ、もしかして……うちの学校の生徒じゃね?」
「だと思う……誰なんだろう」
や、や、や、やばーい!!
やっぱり気付かれますよねーっ!!
あの時はお前らが誤魔化してくれたけど、アーカイブを見返すと明らかに苦しい……!
私がこの学校の生徒であるという証拠しか無い。
ということで、聖地巡礼をしてくるお前らもちょこちょこと見かけるのだ。
この学校、女子しかいないので、男性陣は遠巻きに眺めて写真を撮って通報されるくらいなんだけど……。
あっ、お前ららしき人が職質されてる……。
無事に解放されてくれ~。
私は祈った。
すると祈りが天に通じたのか、お前ららしき男性は無事に警察さんから解放されたのだった。
今度配信でコメントでもしてくれよな……。
「ほんと、はづきっちって誰なんだろう?」
「きっと、すっごい子だって。あたしらじゃああいうことできないっしょ」
「無理ー」
「コミュ障っぽくなかった?」
「普通、コミュ障はあんなにいっぱいコラボしないって」
「そっか。短い間に超コラボいっぱいしてるもんね」
「そうそう」
コミュ障ですみません!!
私は本を読むフリをしながら心のなかで平伏した。
校内の行く先々で私の噂を聞く。
聞くんだけど、誰一人として私の正体にたどりつかない。
かすりもしない。
時々遭遇する、三年生である卯月さんは私のことをもろに知ってるし、同業者だし。
そもそもこの人は、多分友達になうファンタジーの配信者であることを隠してない。
私の身バレを警戒してか、あまり校内でハグしてくることはなくなった。
人の気配がなくなるとハグしてくる。
「はーづきちゃん!」
「あひー!」
「なんか今日は元気ないじゃん。どうしたの? 有名配信者の悩みかなー? いくら大物新人と言っても、はづきちゃんは学校では私の後輩なんだから。悩みはお姉さんが聞いてあげるぞー。ん? 話してみ?」
「は、はあ」
ここは卯月さんに連れられてきた体育館裏。
一緒にお弁当をするつもりなのだ。
「実は、なんかテレビ局から声が掛かって……」
「ほえー!」
声が大きい……!
「多分地上波じゃないと思うんですけど、えっと、テレビ局の? 配信動画で、私がゲスト出現するとか……」
「すっごいじゃん……!」
「朝から胃が痛くて……!!」
「でもお弁当パクパク食べてるじゃん!」
「唐揚げとゴボウの甘煮弁当大好きなので……!」
「あっ、お弁当箱の下にご飯だけが詰まった二段目の箱が……」
「味が濃いからご飯いっぱい食べられちゃうので……!」
「その栄養が、このふかふかボディに吸収されるわけかあ」
「あひー! 脇腹をつままないでください!」
「これだけ食べても、ぶにって感じじゃなくて、ふにって程度だもんね。本当に胸とかお尻とか太ももに回ってる……。人体の神秘だ……。あ、ちなみに私は筋肉に回る」
「卯月さん、結構ムキムキですもんね」
「ふっふっふー。なうファンタジー女性配信者で一番腕相撲強いよ」
「すごい!!」
そんなこんなで悩みを聞いてもらったら、なんだか楽になった。
卯月さんにお礼を言いながら、私は教室に戻るのだった。
廊下を歩きながらスマホをチェック。
兄からのDMが来ている。
『話はまとまった。生配信での出演だ。芸能人がダンジョンのレポートをするという企画でな。お前と、それからライブダンジョンのピョンパルがやることに……』
相方の配信者、すっごい大物なんですけど!?
『本来はライブダンジョン側に声が掛かっていたらしい。そこで先方から別の配信者もということで……お前に指名があった。俺はテレビが嫌いでな。誘いを何度も断っていたのだが、流石にライブダンジョンからの頼みとあっては』
兄もライブダンジョンのお願いには勝てなかったか。
というか、ピョンパルさんは現役時代の兄が、ちょこちょこコラボした相手らしい。
男女配信者のコラボは、ライブダンジョンだと炎上しやすいんだそうで。
お互いにかなり気を使ったらしい。
「ということは、そこそこ顔見知り……?」
『お互い素の顔を知っているぞ。そういうことで心配はなかろう。芸能人が死なないようにだけ気をつければいい。何せ連中は生身の顔が命だ。バーチャライズして身を守ることができんからな。モンスターに殴られでもしたら、すぐに死ぬぞ』
あひー!?
とんでもない縛りがついてきた!
「今なんて?」
『テレビ局がお前を番組に出したいそうだ』
「あひー」
朝っぱらからとんでもない話を兄からされて、ぶっ飛ぶ私。
お陰で朝食の席で何も考えることができない。
「あら、今朝はなんだかいつもよりボーッとしてるのね」
「あまりの衝撃で何も考えられない……」
「じゃあ割りといつもと同じねえ」
母に変化を気付かれつつ……? 気付かれてない……? いつも私は何も考えてない……?
まあいいや。朝食を終え、学校に行く私なのだ。
うちの高校の全生徒は、この間の事件が終わってからほぼ全員きら星はづきリスナーであるお前らになってしまった。
おかげで、どこに行っても私の配信の話が漏れ聞こえてくる……!!
「もう十回くらいあのアーカイブ見たんだけど!」
「あたしも見た!」
「はづきっちってさ、もしかして……うちの学校の生徒じゃね?」
「だと思う……誰なんだろう」
や、や、や、やばーい!!
やっぱり気付かれますよねーっ!!
あの時はお前らが誤魔化してくれたけど、アーカイブを見返すと明らかに苦しい……!
私がこの学校の生徒であるという証拠しか無い。
ということで、聖地巡礼をしてくるお前らもちょこちょこと見かけるのだ。
この学校、女子しかいないので、男性陣は遠巻きに眺めて写真を撮って通報されるくらいなんだけど……。
あっ、お前ららしき人が職質されてる……。
無事に解放されてくれ~。
私は祈った。
すると祈りが天に通じたのか、お前ららしき男性は無事に警察さんから解放されたのだった。
今度配信でコメントでもしてくれよな……。
「ほんと、はづきっちって誰なんだろう?」
「きっと、すっごい子だって。あたしらじゃああいうことできないっしょ」
「無理ー」
「コミュ障っぽくなかった?」
「普通、コミュ障はあんなにいっぱいコラボしないって」
「そっか。短い間に超コラボいっぱいしてるもんね」
「そうそう」
コミュ障ですみません!!
私は本を読むフリをしながら心のなかで平伏した。
校内の行く先々で私の噂を聞く。
聞くんだけど、誰一人として私の正体にたどりつかない。
かすりもしない。
時々遭遇する、三年生である卯月さんは私のことをもろに知ってるし、同業者だし。
そもそもこの人は、多分友達になうファンタジーの配信者であることを隠してない。
私の身バレを警戒してか、あまり校内でハグしてくることはなくなった。
人の気配がなくなるとハグしてくる。
「はーづきちゃん!」
「あひー!」
「なんか今日は元気ないじゃん。どうしたの? 有名配信者の悩みかなー? いくら大物新人と言っても、はづきちゃんは学校では私の後輩なんだから。悩みはお姉さんが聞いてあげるぞー。ん? 話してみ?」
「は、はあ」
ここは卯月さんに連れられてきた体育館裏。
一緒にお弁当をするつもりなのだ。
「実は、なんかテレビ局から声が掛かって……」
「ほえー!」
声が大きい……!
「多分地上波じゃないと思うんですけど、えっと、テレビ局の? 配信動画で、私がゲスト出現するとか……」
「すっごいじゃん……!」
「朝から胃が痛くて……!!」
「でもお弁当パクパク食べてるじゃん!」
「唐揚げとゴボウの甘煮弁当大好きなので……!」
「あっ、お弁当箱の下にご飯だけが詰まった二段目の箱が……」
「味が濃いからご飯いっぱい食べられちゃうので……!」
「その栄養が、このふかふかボディに吸収されるわけかあ」
「あひー! 脇腹をつままないでください!」
「これだけ食べても、ぶにって感じじゃなくて、ふにって程度だもんね。本当に胸とかお尻とか太ももに回ってる……。人体の神秘だ……。あ、ちなみに私は筋肉に回る」
「卯月さん、結構ムキムキですもんね」
「ふっふっふー。なうファンタジー女性配信者で一番腕相撲強いよ」
「すごい!!」
そんなこんなで悩みを聞いてもらったら、なんだか楽になった。
卯月さんにお礼を言いながら、私は教室に戻るのだった。
廊下を歩きながらスマホをチェック。
兄からのDMが来ている。
『話はまとまった。生配信での出演だ。芸能人がダンジョンのレポートをするという企画でな。お前と、それからライブダンジョンのピョンパルがやることに……』
相方の配信者、すっごい大物なんですけど!?
『本来はライブダンジョン側に声が掛かっていたらしい。そこで先方から別の配信者もということで……お前に指名があった。俺はテレビが嫌いでな。誘いを何度も断っていたのだが、流石にライブダンジョンからの頼みとあっては』
兄もライブダンジョンのお願いには勝てなかったか。
というか、ピョンパルさんは現役時代の兄が、ちょこちょこコラボした相手らしい。
男女配信者のコラボは、ライブダンジョンだと炎上しやすいんだそうで。
お互いにかなり気を使ったらしい。
「ということは、そこそこ顔見知り……?」
『お互い素の顔を知っているぞ。そういうことで心配はなかろう。芸能人が死なないようにだけ気をつければいい。何せ連中は生身の顔が命だ。バーチャライズして身を守ることができんからな。モンスターに殴られでもしたら、すぐに死ぬぞ』
あひー!?
とんでもない縛りがついてきた!
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