TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~

あけちともあき

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コラボレーション・きら星はづき編

第105話 久々、名門女子校の学園祭

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 古き魔女に、学園祭に遊びに行きますという旨を伝えた。
 そうしたらその日の内に、郵便受けに入場チケットが入っていたのだった。
 それも二枚。

「絶対俺たちのメンバー構成を把握してる」

「先輩の先輩みたいな人ッスか?」

「大先輩だな。魔女になりたての頃にお世話になったし、たまに相談事もさせてもらってる」

 古き魔女が作り上げ、ずっと校長を務めている学び舎が、あのきら星はづきの通う女子校なのだ。
 外部からも、超名門校として知られている。
 何しろ、学力が高いとか、内申書の成績がいいとかだけでは入学ができないらしいのだ。

 全ての受験者に対して面接が行われ、これを通過した一握りだけがこの学び舎に通うことができる。

「あっ、あたし知ってるッス……!! うちのクラスで一番頭いい子が受けて受からなくて、クラスでママってあだ名で呼ばれてた世話好きの子が受かったところッス。その子の成績は中くらいだったんスけど」

「そっかー。やっぱここって人格面で合否が決まるよな」

 ある意味、恐るべきエリート校と言えよう。
 現地でチャラウェイに八咫烏、大京さんと合流すべく、俺はマシロを連れて電車に乗り込むのだった。

「真梨耶さんと美幸さんに、こう、ダンジョンに挑む人の奥さんとしての、心構えみたいなのを教わってるッス……!」

「マシロにも師匠ができてしまったか……」

「そうッス。先輩が完全にスパイスちゃんになっちゃう前に、子どもを作っておきなさいって言われたッス!」

「そういう話を公でするのはよくない」

 なお、カバンの中に詰め込まれた三冊の魔導書は、わあわあと言っている。
 概ね、俺が子孫を残すことに大賛成なのだ。

「俺がスパイスになっちゃうってどういうこと?」

 カバンの中からひょこっと、角だけ出てきたフロータが返答してくれる。

『魔女としての側面が強くなることで、メタモルフォーゼした姿が真実になってしまうことですねー。よくあります。アバズレどもも人間の姿を失って全員魔女の姿に食われた連中ですしー』

「なんだって」

 いや、スパイスの思考が日常にも入り込んできてるなーとは思ったが、そういうことだったのか。
 あまりにナチュラルに混ざりあっているので、全然気にしていなかった。

「注意すべきかな」

『スパイスちゃんもまた主様ですし、性格の一部なんで別に変わらないと思いますけどー。どっちも先代様と同じように良識的ですし』

「そっかー」

 では気にしなくていいな。

「先輩、言葉の端々がスパイスちゃんなんで気をつけた方がいいッス!」

「おっと」

 それは本当に気づかなかった。
 さてさて。
 目的の駅に降り立つと、駅前で二人組が待っていた。

 チャラウェイと八咫烏だ。
 忙しいという割には、八咫烏の出席率高いよね……?

「実はこの間の忙しい時に、収録が必要なやつは全部録りきってきたんだ。あと、斑鳩が引退してからの僕は楽隠居みたいなポジションだからね。一応、なうファンタジーのリアルイベントの時だけは外せなくなるかな」

「案外自由なんだなあ」

「こいつの場合、なうファンタジーで縛っておいてもらわないとどんどん自堕落になるからな! 今くらい制限が掛かってるのがいい」

 チャラウェイ、八咫烏との付き合いが長いだけに詳しい。
 マシロはこの話を、興味深げにふんふん言いながら聞いていた。
 俺の手伝いをするためということで、ダンジョン配信をたくさん見ているらしい彼女。
 完全に配信者にハマってしまっているらしい。

 トップクラス配信者の裏話が聞けるこの場は、彼女にとって楽しいのかもしれない。

「すまん、待たせた!」

「大京さん! ご一家総出ですか」

 大京一家出陣だ。
 留学しているという長女以外の、二人の奥さんと長男、次女、そしてまだまだ赤ちゃんな次男と三女。

「ちなみに真梨耶さんが長女と長男と三女、美幸さんが次女と次男担当ッス」

「マシロがすっかり詳しくなってる……」

 集団でバスに乗り込み、例の学校へ。
 車内には、どことなく品がある人たちが多い。

 これ、ほとんどが学園祭の入場チケットを持った人々だろう。
 参加者の品も問われるイベントなんだと思う。

 フォーガイズは立ったまま、四人でわいわいと喋る。
 後部座席に座った大京家の面々とマシロは、大いに交流しているようだ。
 おや、赤ちゃんを抱っこさせてもらっている。

「こうして町並みを見てると、ダンジョンなんかまるで嘘みたいだよなあ」

 俺が呟くと、他の三人が頷いた。

「実際、配信者が裏側で気張ってるから表側が安全っぽくいられてるってのはあると思うぜ。薄氷の上の平和だな」

「そうだねえ。そもそも、ダンジョンの始まりがよく分かってないんだし。いや、きっかけになった存在のことは知ってるけどさ」

「俺の頃から、対処療法的にやって行くしか無かったからな。どうやれば解決するのか、そもそも根本的に解決できる問題なのかも分からん」

 そうなんだよなあ。
 配信者というダンジョンへの対抗手段が整い、みんなで視聴して同接数で強化できるようになった今。
 対ダンジョンという意味ではこの世界は大いに進歩したと言える。

 だが、世界そのものはダンジョンによって大きく変えられてしまっているのだ。
 人間とは違う異種族が現れ、住み着き、この三ヶ月ほどで完全にこちらの世界に溶け込んでしまっている。
 今年の春には想像もできなかった光景だ。

 自転車と同じ道を走るケンタウロス。
 電柱の上で一休みしているバードマン。
 転びそうになった老人を、精霊魔法で助けてあげているエルフ。

 世界は不可逆的に変化を続けていっている。
 俺達がダンジョンと戦っているのは、どうにか世界への侵食を食い止めているだけなのかも知れない。
 それでも抗いきれず、非日常が溢れ出し、日常を変化させる。

 これから向かう女子校は、まさにその日常と非日常の間に立つ、この世界の象徴みたいなところだった。

「とうちゃーく!」

 大京さんの息子さんがダダダダッと走って、外に飛び出した。
 学園祭のゲートがあり、バスの扉を通してBGMが聞こえてきている。

「それじゃ、行きますか!」

 俺はバスを降りると、ダンジョンとは違う非日常の空間へ足を踏み入れるのだった。
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