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第一部:都市国家アドポリスの冒険 2
第10話 ゼロ族とバジリスク その5
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ゼロ族の移住を手伝っていたら、数日が過ぎていた。
家を解体して森に運び、木々の上に通路に立て直す。
木と木の間に通路を通す……と言っても、俺から見ると不安定な丸太みたいに見えるんだけど。
昼はゼロ族達と汗を流して働き、日暮れには宴会をして、夜遅くなる前にみんな寝た。
そしてまた朝になって働く。
ブランが手伝ってくれたのもあるし、俺が持っていた人間の建築の知識もある。
思ったよりも早く、ゼロ族はもとの住まいであった森に帰ってこれたのだ。
「ありがとうございます先生!」
「このご恩は忘れません、先生!」
最後の日は、ゼロ族総出で俺を見送ってくれた。
その中に、クルミもいる。
彼女は何か言いたそうにモゴモゴしていた。
その背中を、ゼロ族達がポンと押す。
「行ってくるがいい」
「いいですか!?」
「一族のならわしじゃ。それに、クルミもそれがいいのじゃろう? ならばその通りにするのがいい」
クルミは長老に言われてから、俺のところまで駆け寄ってきた。
「セ、センセエ……! クルミ、センセエと一緒に行きたい!」
「なんだって!」
俺は大変驚いた。
「ゼロ族は一族で暮らすものじゃなかったのかい」
「例外がありますのじゃ」
長老が告げる。
俺にとって衝撃的な事実、そしてやっちまった案件を。
「年頃の娘は、己の尻尾に触れ、そして男気を見せた男のもとに嫁ぐために集落を出ますのじゃ」
「センセエ、よろしくお願いします!」
「アッー」
俺の脳裏を先日のバジリスク戦が駆け巡る。
クルミをバジリスクの毒や視線から守るために、ブランのモフモフに押し付けたまではいい。
その時バッチリと触った。クルミのモッフモフの尻尾を。
あんなの、どうやったって触るじゃん!!
やっちまったーっ!!
「まあまあ、しかし事故ということもある。じゃからして、娘はその男の後をついて回り、男の人となりを見極めるのじゃ」
「あ、猶予期間がある?」
「ありますのじゃ」
にっこり微笑む長老。
どうやらよくある事らしいな。
しかし、ゼロ族の風習恐るべし。
「いいですかセンセエ」
「ああ、構わないよ。ちなみに尻尾を触ったのは不可抗力だからね? いや、別にクルミが魅力的じゃないとかそういう意味では全く無くて、そもそも俺はパーティを追放されて生き方探しをしているところでして、まだそっち方面に考えを割く余裕がないというか、なんというか……」
「ふむふむ! クルミはぜんぜん気にしてないですよ! センセエはむつかしいこと考えてるんですねえ!」
クルミに感心されてしまった。
『わおん』
そんな彼女の目の前に、ブランが尻尾を垂らす。
埒が明かないから、さっさと乗れ、と言っている。
ブランが認めたなら仕方ないな。
「よし分かった。一緒に行こう、クルミ。俺とブランとクルミでパーティだ!」
「はいです、センセエ!」
クルミはブランの尻尾に足を引っ掛けると、素晴らしい身軽さで俺の後ろまで飛び乗ってきた。
「じゃあ、そういうわけでクルミをお預かりします」
「お達者でー」
「クルミ元気でなー!」
「たまには帰ってこいよー!」
わいわいと、盛大なお見送りになってしまった。
なんだろうなこれは!
風を切って走るブラン。
マーナガルムの健脚は、馬よりも速い。
しかも疲れ知らずだ。
「センセエ!」
風の音に負けないように、クルミが叫んだ。
「なんだい!」
「これから、どこに行くですか!?」
「そうだなあ!」
俺も負けじと叫びながら、考えた。
どこに行くかなんて考えてもいなかったけど……一回、街に戻るのもいいな。
「街に行こう! 人間の街! ブラン、頼むぞ!」
『わおーん!!』
ブランが進路を定める。
向かうは、俺がSランクパーティ時に拠点としていた街。
冒険の都、アドポリス。
家を解体して森に運び、木々の上に通路に立て直す。
木と木の間に通路を通す……と言っても、俺から見ると不安定な丸太みたいに見えるんだけど。
昼はゼロ族達と汗を流して働き、日暮れには宴会をして、夜遅くなる前にみんな寝た。
そしてまた朝になって働く。
ブランが手伝ってくれたのもあるし、俺が持っていた人間の建築の知識もある。
思ったよりも早く、ゼロ族はもとの住まいであった森に帰ってこれたのだ。
「ありがとうございます先生!」
「このご恩は忘れません、先生!」
最後の日は、ゼロ族総出で俺を見送ってくれた。
その中に、クルミもいる。
彼女は何か言いたそうにモゴモゴしていた。
その背中を、ゼロ族達がポンと押す。
「行ってくるがいい」
「いいですか!?」
「一族のならわしじゃ。それに、クルミもそれがいいのじゃろう? ならばその通りにするのがいい」
クルミは長老に言われてから、俺のところまで駆け寄ってきた。
「セ、センセエ……! クルミ、センセエと一緒に行きたい!」
「なんだって!」
俺は大変驚いた。
「ゼロ族は一族で暮らすものじゃなかったのかい」
「例外がありますのじゃ」
長老が告げる。
俺にとって衝撃的な事実、そしてやっちまった案件を。
「年頃の娘は、己の尻尾に触れ、そして男気を見せた男のもとに嫁ぐために集落を出ますのじゃ」
「センセエ、よろしくお願いします!」
「アッー」
俺の脳裏を先日のバジリスク戦が駆け巡る。
クルミをバジリスクの毒や視線から守るために、ブランのモフモフに押し付けたまではいい。
その時バッチリと触った。クルミのモッフモフの尻尾を。
あんなの、どうやったって触るじゃん!!
やっちまったーっ!!
「まあまあ、しかし事故ということもある。じゃからして、娘はその男の後をついて回り、男の人となりを見極めるのじゃ」
「あ、猶予期間がある?」
「ありますのじゃ」
にっこり微笑む長老。
どうやらよくある事らしいな。
しかし、ゼロ族の風習恐るべし。
「いいですかセンセエ」
「ああ、構わないよ。ちなみに尻尾を触ったのは不可抗力だからね? いや、別にクルミが魅力的じゃないとかそういう意味では全く無くて、そもそも俺はパーティを追放されて生き方探しをしているところでして、まだそっち方面に考えを割く余裕がないというか、なんというか……」
「ふむふむ! クルミはぜんぜん気にしてないですよ! センセエはむつかしいこと考えてるんですねえ!」
クルミに感心されてしまった。
『わおん』
そんな彼女の目の前に、ブランが尻尾を垂らす。
埒が明かないから、さっさと乗れ、と言っている。
ブランが認めたなら仕方ないな。
「よし分かった。一緒に行こう、クルミ。俺とブランとクルミでパーティだ!」
「はいです、センセエ!」
クルミはブランの尻尾に足を引っ掛けると、素晴らしい身軽さで俺の後ろまで飛び乗ってきた。
「じゃあ、そういうわけでクルミをお預かりします」
「お達者でー」
「クルミ元気でなー!」
「たまには帰ってこいよー!」
わいわいと、盛大なお見送りになってしまった。
なんだろうなこれは!
風を切って走るブラン。
マーナガルムの健脚は、馬よりも速い。
しかも疲れ知らずだ。
「センセエ!」
風の音に負けないように、クルミが叫んだ。
「なんだい!」
「これから、どこに行くですか!?」
「そうだなあ!」
俺も負けじと叫びながら、考えた。
どこに行くかなんて考えてもいなかったけど……一回、街に戻るのもいいな。
「街に行こう! 人間の街! ブラン、頼むぞ!」
『わおーん!!』
ブランが進路を定める。
向かうは、俺がSランクパーティ時に拠点としていた街。
冒険の都、アドポリス。
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