183 / 225
謎の下宿人事件
第183話 姫のお忍び観光
しおりを挟む
「アドリアーナ様はつまり、お忍びで観光するためにいらっしゃったわけですわね」
「そうなるわ」
ラグナ新教枢機卿の娘、アドリアーナはうんうんと頷いた。
むこうで言う枢機卿とは、上級貴族のこと。
つまり彼女、侯爵か公爵の家の令嬢クラスというわけ。
お姫様と言っていいのかも?
「この家から対面の家までロープを張り、そこを滑って外出、観光に出ていたのですわね」
「そうなの。ほら、私が来てるって分かっちゃったら、色々大変になるでしょ。国賓みたいな扱いされるかもだし、エルフェンバインの素の顔みたいなのが見られなくなるじゃない」
「そうね。きっとアドリアーナが来たら、よそ行きの顔したきれいな観光地しか見せてくれないと思うな」
「でしょー!!」
アドリアーナが私を指差して、我が意を得たりと大喜び。
「フ、フランクな方ですね」
ターナがちょっと驚きつつも、メモする手をやめない。
「何してるのあなた?」
「はあ、記事にしようかとメモを」
「ちょっと! 記事にされたら私がいるって分かっちゃうじゃない! 自由に観光できなくなっちゃう!」
ここで私、ふと気付く。
「この国、不法滞在には厳しいはずなんだけど、もしかして密入国しているわけではない……?」
「当たり前じゃない。イニアナガ陛下には連絡して、エルフェンバイン公認でお忍びの旅行に来てるの!」
国家公認のお忍び!!
「じゃあアドリアーナ。あなたの観光が終わる頃合いで記事に載せたら? 最後の観光はその土地の人たちから大歓待されるっていうのも良くない? それでみんなに見送られてこの街を後にするの」
「それいいーっ!」
アドリアーナがまた私を指差して、飛び跳ねて喜んだ。
「姫、あまりはしゃがれると……」
聖堂騎士の隊長が慌てている。
だが、私の提案そのものには異論は無いようだった。
「むふふふふ、ということは、またもスクープを私がモノにするということですね!!」
眼鏡をきらーんと光らせるターナだが、私から言わせたら、彼女の実家に下宿したのがイリアノス神国のお姫様だったのだ。
ターナが色々と、運とか縁を持っているんじゃないだろうか?
こうして、この日からしばらく、私はアドリアーナに付き合って観光案内をすることになった。
エルフを匿ったために森に飲まれた家とか。
下町で一番アンダーグラウンドな水麻窟……だけど合法、とか。
合法な闇市とか。
「危険な魅力がいっぱい……! だけどどれもこれも、国の息が掛かっているのが不思議……!」
アドリアーナは大喜びだった。
イニアナガ陛下のスタンスが、危険なものは管理できるように介入した上で、そのまま存続させておくというものなのだ。
アングラなものはそれを利用する人々の、鬱憤を晴らす意味もある。
これをみだりに規制していたら、どこかで爆発すると考えているんだと思う。
お陰で、エルフェンバインは、イニアナガ陛下が統治を始めてから、ただの一度も反乱みたいなものは起きてない。
厳しい統治と、同時にあちこちにたくさんある鬱憤晴らしの施設が、バランス良く機能しているのだろう。
「イニアナガ陛下ってすごい人なのね……。うちの教皇は、全然よ。だってラグナ神国ではお飾りなんだもの。あの人、神聖魔法も使えないし」
「へ、へえー」
自国のトップを大したこと無い、というのは凄いなあ。
「あ、いっけない。ジャネットって辺境伯の娘なんでしょ? 私と同じような立場だもんね。あんまり秘密をばらしたら、国家機密なんとかで私も捕まっちゃう」
もう十分ばらしていると思うけど。
とにかく、一事が万事この様子なので、アドリアーナに振り回されっぱなしだった。
天真爛漫とはこのことか。
「ジャネットってなんだか、うちの聖堂騎士の隊長に似てるわよね……。令嬢なのに武人っぽい」
「よく言われるわね……!」
そこのところは鋭いな。
こうして私の観光案内は終わった。
それには、ターナもずっと付き従っていたのだが、彼女いわく。
「お二人の様子や会話を活写するためには、私なんかが加わってはいけないのです! 私のことは背景だと思って楽しんで下さい……!」
だって。
お陰で、アドリアーナ滞在の後半で発行されたデイリーエルフェンバインは、衝撃的な内容で王都住民を震撼させた。
イリアノス神国のお姫様がいつの間にか滞在してて、こっそりと都市の隅々まで観光していたなんて……! というわけだ。
ちなみに私と顔見知りの人々は、
『ああ、ジャネット様と一緒にいた金髪の子でしょ? ジャネット様相手にあんなに物怖じしないなんて普通じゃないからなんとなく分かった』
このようなことを言っていたらしい。
信頼されているのか、人聞きが悪いのか……。
アドリアーナの、エルフェンバイン滞在最終日。
どこに行っても、王都の人々が大歓迎だった。
アドリアーナはにっこり笑いながら、握手したりハイタッチしたりして回り……。
その裏では、アドリアーナを狙う悪漢とか、首を突っ込んできたジャクリーンとかがいて、これとシャーロット及びデストレード率いる憲兵隊が激突したりと、大騒ぎを繰り広げていたそうだけど。
それはまた別の話だ。
最後は、国民たちに見送られ、去っていくアドリアーナ一行。
イリアノス神国のお姫様は、エルフェンバインをしっかりと堪能したようだった。
「どっと疲れたわ。彼女、すっごくエネルギッシュなんだもの」
「元気でしたわねえ。イリアノス神国ではきっと、お行儀よくなさっているのでしょうね。ですからこちらでは溜め込んだエネルギーが爆発したのですわ」
「あー、それっぽい!」
「ずっとお相手されたジャネット様は本当に大変でしたわねえ。こちらがジャクリーンと丁々発止のやり合いを繰り広げたことなんて、お遊戯みたいなものですわ」
「なにそれ聞きたい」
「あら、今日はお疲れだからゆっくりされるのではなかったのですの?」
「それとこれとは別よ」
「仕方ありませんわねえ」
シャーロットは、仕方ないと言いながら、これから話すのが実に楽しみだという顔で笑った。
紅茶を淹れてくれて、お茶菓子を出して、彼女のお話を聞く準備は整った。
「さあ、話してちょうだい!」
「ではでは、ジャクリーンが性懲りもなく、アドリアーナ様に手出ししようとした時、わたくしはどうしたのか……」
彼女の言葉を聞きながら、私は、これこそ記事にするべき話じゃないのかなあ、などと思うのだった。
「そうなるわ」
ラグナ新教枢機卿の娘、アドリアーナはうんうんと頷いた。
むこうで言う枢機卿とは、上級貴族のこと。
つまり彼女、侯爵か公爵の家の令嬢クラスというわけ。
お姫様と言っていいのかも?
「この家から対面の家までロープを張り、そこを滑って外出、観光に出ていたのですわね」
「そうなの。ほら、私が来てるって分かっちゃったら、色々大変になるでしょ。国賓みたいな扱いされるかもだし、エルフェンバインの素の顔みたいなのが見られなくなるじゃない」
「そうね。きっとアドリアーナが来たら、よそ行きの顔したきれいな観光地しか見せてくれないと思うな」
「でしょー!!」
アドリアーナが私を指差して、我が意を得たりと大喜び。
「フ、フランクな方ですね」
ターナがちょっと驚きつつも、メモする手をやめない。
「何してるのあなた?」
「はあ、記事にしようかとメモを」
「ちょっと! 記事にされたら私がいるって分かっちゃうじゃない! 自由に観光できなくなっちゃう!」
ここで私、ふと気付く。
「この国、不法滞在には厳しいはずなんだけど、もしかして密入国しているわけではない……?」
「当たり前じゃない。イニアナガ陛下には連絡して、エルフェンバイン公認でお忍びの旅行に来てるの!」
国家公認のお忍び!!
「じゃあアドリアーナ。あなたの観光が終わる頃合いで記事に載せたら? 最後の観光はその土地の人たちから大歓待されるっていうのも良くない? それでみんなに見送られてこの街を後にするの」
「それいいーっ!」
アドリアーナがまた私を指差して、飛び跳ねて喜んだ。
「姫、あまりはしゃがれると……」
聖堂騎士の隊長が慌てている。
だが、私の提案そのものには異論は無いようだった。
「むふふふふ、ということは、またもスクープを私がモノにするということですね!!」
眼鏡をきらーんと光らせるターナだが、私から言わせたら、彼女の実家に下宿したのがイリアノス神国のお姫様だったのだ。
ターナが色々と、運とか縁を持っているんじゃないだろうか?
こうして、この日からしばらく、私はアドリアーナに付き合って観光案内をすることになった。
エルフを匿ったために森に飲まれた家とか。
下町で一番アンダーグラウンドな水麻窟……だけど合法、とか。
合法な闇市とか。
「危険な魅力がいっぱい……! だけどどれもこれも、国の息が掛かっているのが不思議……!」
アドリアーナは大喜びだった。
イニアナガ陛下のスタンスが、危険なものは管理できるように介入した上で、そのまま存続させておくというものなのだ。
アングラなものはそれを利用する人々の、鬱憤を晴らす意味もある。
これをみだりに規制していたら、どこかで爆発すると考えているんだと思う。
お陰で、エルフェンバインは、イニアナガ陛下が統治を始めてから、ただの一度も反乱みたいなものは起きてない。
厳しい統治と、同時にあちこちにたくさんある鬱憤晴らしの施設が、バランス良く機能しているのだろう。
「イニアナガ陛下ってすごい人なのね……。うちの教皇は、全然よ。だってラグナ神国ではお飾りなんだもの。あの人、神聖魔法も使えないし」
「へ、へえー」
自国のトップを大したこと無い、というのは凄いなあ。
「あ、いっけない。ジャネットって辺境伯の娘なんでしょ? 私と同じような立場だもんね。あんまり秘密をばらしたら、国家機密なんとかで私も捕まっちゃう」
もう十分ばらしていると思うけど。
とにかく、一事が万事この様子なので、アドリアーナに振り回されっぱなしだった。
天真爛漫とはこのことか。
「ジャネットってなんだか、うちの聖堂騎士の隊長に似てるわよね……。令嬢なのに武人っぽい」
「よく言われるわね……!」
そこのところは鋭いな。
こうして私の観光案内は終わった。
それには、ターナもずっと付き従っていたのだが、彼女いわく。
「お二人の様子や会話を活写するためには、私なんかが加わってはいけないのです! 私のことは背景だと思って楽しんで下さい……!」
だって。
お陰で、アドリアーナ滞在の後半で発行されたデイリーエルフェンバインは、衝撃的な内容で王都住民を震撼させた。
イリアノス神国のお姫様がいつの間にか滞在してて、こっそりと都市の隅々まで観光していたなんて……! というわけだ。
ちなみに私と顔見知りの人々は、
『ああ、ジャネット様と一緒にいた金髪の子でしょ? ジャネット様相手にあんなに物怖じしないなんて普通じゃないからなんとなく分かった』
このようなことを言っていたらしい。
信頼されているのか、人聞きが悪いのか……。
アドリアーナの、エルフェンバイン滞在最終日。
どこに行っても、王都の人々が大歓迎だった。
アドリアーナはにっこり笑いながら、握手したりハイタッチしたりして回り……。
その裏では、アドリアーナを狙う悪漢とか、首を突っ込んできたジャクリーンとかがいて、これとシャーロット及びデストレード率いる憲兵隊が激突したりと、大騒ぎを繰り広げていたそうだけど。
それはまた別の話だ。
最後は、国民たちに見送られ、去っていくアドリアーナ一行。
イリアノス神国のお姫様は、エルフェンバインをしっかりと堪能したようだった。
「どっと疲れたわ。彼女、すっごくエネルギッシュなんだもの」
「元気でしたわねえ。イリアノス神国ではきっと、お行儀よくなさっているのでしょうね。ですからこちらでは溜め込んだエネルギーが爆発したのですわ」
「あー、それっぽい!」
「ずっとお相手されたジャネット様は本当に大変でしたわねえ。こちらがジャクリーンと丁々発止のやり合いを繰り広げたことなんて、お遊戯みたいなものですわ」
「なにそれ聞きたい」
「あら、今日はお疲れだからゆっくりされるのではなかったのですの?」
「それとこれとは別よ」
「仕方ありませんわねえ」
シャーロットは、仕方ないと言いながら、これから話すのが実に楽しみだという顔で笑った。
紅茶を淹れてくれて、お茶菓子を出して、彼女のお話を聞く準備は整った。
「さあ、話してちょうだい!」
「ではでは、ジャクリーンが性懲りもなく、アドリアーナ様に手出ししようとした時、わたくしはどうしたのか……」
彼女の言葉を聞きながら、私は、これこそ記事にするべき話じゃないのかなあ、などと思うのだった。
0
お気に入りに追加
441
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
悪役令嬢の矜持〜世界が望む悪役令嬢を演じればよろしいのですわね〜
白雲八鈴
ファンタジー
「貴様との婚約は破棄だ!」
はい、なんだか予想通りの婚約破棄をいただきました。ありきたりですわ。もう少し頭を使えばよろしいのに。
ですが、なんと世界の強制力とは恐ろしいものなのでしょう。
いいでしょう!世界が望むならば、悪役令嬢という者を演じて見せましょう。
さて、悪役令嬢とはどういう者なのでしょうか?
*作者の目が節穴のため誤字脱字は存在します。
*n番煎じの悪役令嬢物です。軽い感じで読んでいただければと思います。
*小説家になろう様でも投稿しております。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる