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空き地の冒険?~シャーロットの帰還~
第123話 シャーロットの復活
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「シャーロット様だわ」
「生きていらっしゃったのね……!」
カゲリナとグチエルがそんなことをぽしょぽしょ言い合っている。
「死んでませんわよ!?」
これには思わず、シャーロットもツッコミだ。
バスカーも彼女を見つけて、ポーギーを乗せたままてくてく歩み寄ってくる。
『わふー』
「バスカーは最初から気付いてましたわよねえ。だからわたくしが整えたお庭で大暴れしてたのでしょう?」
『わふわふ!』
なるほど、匂いか!
ということで、庭師の服を脱ぎ捨てると、活動的なパンツルックのシャーロットになったのだった。
彼女を交えて、改めて空き地で起こった殺人事件の話をすることになる。
「空き地で賭け事と言いますけれども、貴族社会の人間だけでは、そこまで発展しませんわね。きっとその中に、悪いことを教える外の世界の住人がいたのではなくって?」
シャーロットの言葉に、グチエルが目を丸くする。
「びっくり! その通りです! そういう賭け事に詳しい人を連れてきたらしくて。死体がその人なんじゃないかって」
「ふむふむ、ありえますわね」
シャーロットが腕組みをした。
「死んだ方の名前が表に出てきていないのでしょう? ということは、地位を持った方ではありませんわね。貴族としても、身内が血を流していない以上、これ以上事件を深追いすると逆に家名に傷をつけるかも知れませんわ。だから、この話は曖昧なままなのですわね」
「なーるほど。じゃあシャーロット、この件を明らかにしようと思ったら……」
「まずは現場に行くしかありませんわね!」
ということで。
そうなった。
私の馬車に、シャーロットとカゲリナとグチエルを詰め込み、走っていく。
貴族街なんて、広いようで狭いものだ。
すぐに目的地に到着した。
そこは、それなりに大きなお屋敷跡。
完全な空き地を想像していたのだけれど、建物の土台は残ってるのね。
なるほど、この土台の間に入り込んで賭け事をしてたのか。
深夜ともなると、貴族街の住人は外に出なくなる。
夜遅くまで飲み明かしたりするのは、どこかの家でパーティーが開かれた時くらいだ。
だけど、たまのパーティーで満足できない若い貴族たちというのはいるもので。
ちょっと前までは歓楽街に出てお酒を飲んでたらしいんだけど、そこで暴れて出禁になったりしてたらしい。
貴族の権力で、そんなのは揉み消せそうなものだが、今の世は厳格なイニアナガ一世陛下の時代。
たとえ貴族だろうと、乱暴狼藉は許されないというわけ。
そして現場で、いつもの顔を見た。
「まーたあなたがたですか」
デストレード憲兵隊長だ。
呆れたような口調だったけれど、私とシャーロットが揃っているのを見ると、ちょっと口元を綻ばせた。
「犠牲者は下町で、違法のカード賭博をやっていた男ですよ。私たちがしょっぴいたのですが、ほとぼり冷めて刑務所から出たと思ったら死体になって再会です」
「後ろ暗い人だったのね。そりゃあ、他の貴族たちが関わっているのを公言したがらないはずだわ」
納得する私だったが、その袖をグチエルが引っ張ってくる。
「そのことなんですが、ジャネット様。実は……噂の中で、どの貴族のご子息が関わっていたかは詳しく分かってるんですよう」
「ええっ!」
なんで明らかになってるの。
だけどこれは、シャーロットにとっては当たり前だったらしい。
「それは当然ですわね。素行の悪い者に自分の娘を嫁がせたい親なんていませんもの。賭博に関わった貴族のご令息方は、何らかの形で禊を済ませない限り、社交界の爪弾きもの扱いになりますわねえ……」
自業自得ではあるけど、悲惨だなあ。
誰も死ななければ、きっと事件は明るみに出ず、彼らは知らん顔で社交界に参加していただろうに。
その後、デストレードに付き添われながら現場を見学して回った。
カゲリナとグチエルもいて、デストレードが「遠足ですか!? これ、遠足なんですか!?」とか言っていた。
とりあえず、一通り現場を見たシャーロット。
「はい、これ凶器ですわね」
事も無げに、地面と同化していた焦げ茶色の針みたいなものを拾い上げた。
「なんですかそれは!? ああ、吹き矢の針? こんなものが……」
「毒が塗られていたのでしょうけれど、既にそれは土の中に流れてしまっていますわねえ。後先考えず、毒入りの吹き矢で犠牲者を手に掛けたのでしょうね。こんなもの、貴族のご令息が持っているわけがありませんわ」
シャーロットの話では、貴族たちに混じった、貴族ではない何者かがまだいたと言う。
彼は何らかの理由で犠牲者と争いになり、吹き矢の毒で殺してしまったというわけだ。
拾い上げようにも、暗い中で針は見つかりづらい。
しかも先端には毒を塗ってあるときた。
「問題はですわね。どうしてこの針が土と同じ色に塗られていたか、ですわ。こんなもの、相手を暗殺することが日常である者が使うに決まってますもの。つまり……。この事件、裏があると見て間違いありませんわね」
シャーロット絶好調。
状況証拠と、憲兵隊の情報、そしてグチエルからの伝聞を合わせて推理を形作っていく。
完全にリフレッシュして戻ってきたんだなあ。
「生きていらっしゃったのね……!」
カゲリナとグチエルがそんなことをぽしょぽしょ言い合っている。
「死んでませんわよ!?」
これには思わず、シャーロットもツッコミだ。
バスカーも彼女を見つけて、ポーギーを乗せたままてくてく歩み寄ってくる。
『わふー』
「バスカーは最初から気付いてましたわよねえ。だからわたくしが整えたお庭で大暴れしてたのでしょう?」
『わふわふ!』
なるほど、匂いか!
ということで、庭師の服を脱ぎ捨てると、活動的なパンツルックのシャーロットになったのだった。
彼女を交えて、改めて空き地で起こった殺人事件の話をすることになる。
「空き地で賭け事と言いますけれども、貴族社会の人間だけでは、そこまで発展しませんわね。きっとその中に、悪いことを教える外の世界の住人がいたのではなくって?」
シャーロットの言葉に、グチエルが目を丸くする。
「びっくり! その通りです! そういう賭け事に詳しい人を連れてきたらしくて。死体がその人なんじゃないかって」
「ふむふむ、ありえますわね」
シャーロットが腕組みをした。
「死んだ方の名前が表に出てきていないのでしょう? ということは、地位を持った方ではありませんわね。貴族としても、身内が血を流していない以上、これ以上事件を深追いすると逆に家名に傷をつけるかも知れませんわ。だから、この話は曖昧なままなのですわね」
「なーるほど。じゃあシャーロット、この件を明らかにしようと思ったら……」
「まずは現場に行くしかありませんわね!」
ということで。
そうなった。
私の馬車に、シャーロットとカゲリナとグチエルを詰め込み、走っていく。
貴族街なんて、広いようで狭いものだ。
すぐに目的地に到着した。
そこは、それなりに大きなお屋敷跡。
完全な空き地を想像していたのだけれど、建物の土台は残ってるのね。
なるほど、この土台の間に入り込んで賭け事をしてたのか。
深夜ともなると、貴族街の住人は外に出なくなる。
夜遅くまで飲み明かしたりするのは、どこかの家でパーティーが開かれた時くらいだ。
だけど、たまのパーティーで満足できない若い貴族たちというのはいるもので。
ちょっと前までは歓楽街に出てお酒を飲んでたらしいんだけど、そこで暴れて出禁になったりしてたらしい。
貴族の権力で、そんなのは揉み消せそうなものだが、今の世は厳格なイニアナガ一世陛下の時代。
たとえ貴族だろうと、乱暴狼藉は許されないというわけ。
そして現場で、いつもの顔を見た。
「まーたあなたがたですか」
デストレード憲兵隊長だ。
呆れたような口調だったけれど、私とシャーロットが揃っているのを見ると、ちょっと口元を綻ばせた。
「犠牲者は下町で、違法のカード賭博をやっていた男ですよ。私たちがしょっぴいたのですが、ほとぼり冷めて刑務所から出たと思ったら死体になって再会です」
「後ろ暗い人だったのね。そりゃあ、他の貴族たちが関わっているのを公言したがらないはずだわ」
納得する私だったが、その袖をグチエルが引っ張ってくる。
「そのことなんですが、ジャネット様。実は……噂の中で、どの貴族のご子息が関わっていたかは詳しく分かってるんですよう」
「ええっ!」
なんで明らかになってるの。
だけどこれは、シャーロットにとっては当たり前だったらしい。
「それは当然ですわね。素行の悪い者に自分の娘を嫁がせたい親なんていませんもの。賭博に関わった貴族のご令息方は、何らかの形で禊を済ませない限り、社交界の爪弾きもの扱いになりますわねえ……」
自業自得ではあるけど、悲惨だなあ。
誰も死ななければ、きっと事件は明るみに出ず、彼らは知らん顔で社交界に参加していただろうに。
その後、デストレードに付き添われながら現場を見学して回った。
カゲリナとグチエルもいて、デストレードが「遠足ですか!? これ、遠足なんですか!?」とか言っていた。
とりあえず、一通り現場を見たシャーロット。
「はい、これ凶器ですわね」
事も無げに、地面と同化していた焦げ茶色の針みたいなものを拾い上げた。
「なんですかそれは!? ああ、吹き矢の針? こんなものが……」
「毒が塗られていたのでしょうけれど、既にそれは土の中に流れてしまっていますわねえ。後先考えず、毒入りの吹き矢で犠牲者を手に掛けたのでしょうね。こんなもの、貴族のご令息が持っているわけがありませんわ」
シャーロットの話では、貴族たちに混じった、貴族ではない何者かがまだいたと言う。
彼は何らかの理由で犠牲者と争いになり、吹き矢の毒で殺してしまったというわけだ。
拾い上げようにも、暗い中で針は見つかりづらい。
しかも先端には毒を塗ってあるときた。
「問題はですわね。どうしてこの針が土と同じ色に塗られていたか、ですわ。こんなもの、相手を暗殺することが日常である者が使うに決まってますもの。つまり……。この事件、裏があると見て間違いありませんわね」
シャーロット絶好調。
状況証拠と、憲兵隊の情報、そしてグチエルからの伝聞を合わせて推理を形作っていく。
完全にリフレッシュして戻ってきたんだなあ。
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