110 / 225
裏切りの代価事件
第110話 蛮族出身の兵士
しおりを挟む
「この間お嬢が来てたので、無理を言ってお館様にこっちに越させてもらいやした!」
髭面で浅黒い肌、体が縦にも横にも大きい男が現れて、我が家の玄関先で叫んだ。
「ギルスじゃない! 一人で来たの?」
それが顔見知りの兵士だったので、私は外に飛び出してくる。
「へい! 王都ってのはとんでもねえところですなあ。俺が住んでた場所とは別世界だあ」
ギルスというこの男は、元々は辺境の外縁に住まう蛮族だった。
蛮族というのは、蔑称でもなんでも無い。
彼ら自身が蛮神と呼び崇める存在がいて、蛮神に仕える一族だから蛮族なのだそうだ。
数百年前に南方からやって来た民で、精霊の力と遺跡の力を合わせたような、不思議な技を使う。
かつて彼らが現れた時、エルフェンバインはまたたく間に辺境の一部を征服されてしまった。
それが今、ワトサップ辺境伯領に面した蛮族たちの土地だ。
エルフェンバインは全力を以て蛮族と戦った。
蛮族たちは強力だったが、数が少なかったのだ。
エルフェンバインは数の力で押し、昼も夜もなく攻め続け、蛮族の勢力を削いで辺境の一角に押し込めた。
そしてここを見張る意味で、辺境伯領が生まれたというわけだ。
戦争になれば人死が多く出る。
死者たちを喰らおうとモンスターも集まった。
やがて、モンスターまでもが辺境に住み着いてしまった。
お陰で今も、ワトサップ辺境伯領は化け物が跳梁する魔窟、なんて言われる。
事実だもんなあ。
「おー、ギルスじゃねえか。一人で来れたのか。大したもんだなあ」
「ナイツの兄貴! うへへ、頑張りやした」
ギルスが相好を崩して後頭部をポリポリ掻いた。
あっ、フケが落ちた!
「ギルス、あなたしばらくお風呂入ってないでしょう。王都は清潔なの。兵士たちの寮のお風呂沸かしておいてあげるから、入ってきなさい」
「へい! ありがとうございやす!」
ギルスが私に、深々と頭を下げる。
彼はしばらく王都に滞在するということなので、それでは王都向けに小綺麗にしてやらねば、ということになった。
ギルスを風呂に浸からせている間に、王都向けの服を用意してやらないと。
一番サイズが大きい兵士向けの服を見繕い、メイドがそれに、猛烈な勢いでワトサップの紋章を縫い付けた。
これで誰もが、ギルスがワトサップの臣下だと分かることだろう。
しばらくすると、髪もヒゲもさっぱりしたギルスが戻ってきた。
服装もパリッとしていて見違える。
「ちくちくしますな」
「しばらくぶりのお風呂だったでしょ」
「故郷では水が貴重なんで、風呂に入らないですからなあ」
わっはっは、と笑うギルス。
こう見えて、蛮族の族長を打ち倒した戦いの時、五人がかりでナイツといい勝負をした男なのだ。
五人とは言え、ナイツとやり合って生きているのは相当強い。
なお、ギルスを率いていたのが蛮族の族長で、言うなれば彼は族長の親衛隊だったことになる。
仲間の四人は族長の死を知ると逃げ去り、ギルスだけが残った。
そして彼は投降したのだ。
彼曰く、「時代が変わった。蛮族の総攻撃すら通じないならば、これから百年の間、蛮族は理想郷を得られない。俺の血を残すために俺は蛮族を捨てて理想郷の民になりたい」とか。
理想郷というのが、蛮族が呼ぶエルフェンバインの名前ね。
かくしてギルスは裏切り、辺境伯領の一員となった。
最初は内偵ではないかと疑われていたけれど、父がギルスと酒を酌み交わして話し合い、ギルスが完全に父に心酔したので、これは内偵であっても用を成さなくなったなと判断された。
ちなみに彼は本当に内偵だったのだけど、父に心酔して以降は偽情報しか蛮族側に流していないのは確認済み。
「お嬢、ギルスをシャーロットに見せてやりましょうや」
「いいわね!」
『わふ!』
いつの間にかバスカーまで出てきた。
バスカーを見て、ちょっとたじろぐギルス。
「うおーっ!? ガルムじゃねえですかい! お嬢、本当にガルムを手なづけちまったんで……? ひょえええ……。ワトサップの白銀の魔女、未だ健在だあ……」
それも蛮族からの私の呼び名ね。
魔女とは人聞きの悪い。
「その呼び名は禁止!」
「へ、へい!」
ギルスがぺこぺこした。
『わーふ』
バスカーがギルスを見て、鼻を鳴らす。
これは、ヒエラルキーがバスカーの下に置かれたな?
「これからは王都にいる先輩であるバスカーを敬うように」
「へへー!」
バスカーに頭を下げるギルス。
よろしい、とばかりに、バスカーが鼻をひくひくさせた。
よしよし。バスカーからのギルスへの印象はいいみたいだ。
こうして私たちは、せっかくなので王都を歩き、シャーロットの家に向かった。
普段なら馬車なんだけど、歩いたほうがギルスの観光になるし。
「ほえええ……。平和なところっすなあ……。道行く男と男がぶつかりあって、殴り合いの喧嘩をしたりしてねえ」
「辺境は殴り合いが挨拶みたいなところがあるもんね。私もこっちに来てから、男たちのあの挨拶はちょっと変わってたんだって知ったわ」
「お嬢もお上りさんだった時期があるんで!?」
「当たり前じゃない。私だって王都からすれば、まだまだ田舎者だわ」
なので、私は王都での暮らしを謙虚に過ごしているつもりなのだ。
なんかナイツが笑いを噛み殺すみたいな顔してる。
その顔はなんだー!
貴族街から下町に移ると、ギルスはホッとした顔になった。
「なんかようやく辺境に似た空気になりやしたね! まだまだ全然のどかですがね」
「そうねえ。一応ここが王都では一番危険な場所。多少は命の危険があるのよ」
「ははあ。なかなか住み良さそうですなあ」
下町の人々が、私たちを見てギョッとしたり、そそくさと道を開けたりしてくれる。
「今日はみんな、いやに大人しいわね」
「そりゃあそうでしょう」
ナイツが笑う。
「プラチナブロンドの美少女が、どでかいモンスター犬と、腰に剣と斧を佩いた大男を二人引き連れて歩いてるんですから。明日にゃ、また噂になりますよ」
「ええ……!? め、目立つ?」
「これ以上無いくらい目立ちますな」
しまった……!
私は頭を抱えた。
そんな事をしていたら、もうシャーロット邸の前だった。
いつものように、私の親友は扉の前に立って待ち構えている。
下町遊撃隊の子が近くにいて、「来た! ほら、シャーロットさん! お姫さんがとんでもない行列を作って来たでしょ!」などと言ってぴょんぴょん跳んでいた。
「さすがのわたくしも、こういう来訪になるとは予想もできませんでしたわね。さすがジャネット様」
シャーロットの褒め言葉、全然嬉しくないよ!
髭面で浅黒い肌、体が縦にも横にも大きい男が現れて、我が家の玄関先で叫んだ。
「ギルスじゃない! 一人で来たの?」
それが顔見知りの兵士だったので、私は外に飛び出してくる。
「へい! 王都ってのはとんでもねえところですなあ。俺が住んでた場所とは別世界だあ」
ギルスというこの男は、元々は辺境の外縁に住まう蛮族だった。
蛮族というのは、蔑称でもなんでも無い。
彼ら自身が蛮神と呼び崇める存在がいて、蛮神に仕える一族だから蛮族なのだそうだ。
数百年前に南方からやって来た民で、精霊の力と遺跡の力を合わせたような、不思議な技を使う。
かつて彼らが現れた時、エルフェンバインはまたたく間に辺境の一部を征服されてしまった。
それが今、ワトサップ辺境伯領に面した蛮族たちの土地だ。
エルフェンバインは全力を以て蛮族と戦った。
蛮族たちは強力だったが、数が少なかったのだ。
エルフェンバインは数の力で押し、昼も夜もなく攻め続け、蛮族の勢力を削いで辺境の一角に押し込めた。
そしてここを見張る意味で、辺境伯領が生まれたというわけだ。
戦争になれば人死が多く出る。
死者たちを喰らおうとモンスターも集まった。
やがて、モンスターまでもが辺境に住み着いてしまった。
お陰で今も、ワトサップ辺境伯領は化け物が跳梁する魔窟、なんて言われる。
事実だもんなあ。
「おー、ギルスじゃねえか。一人で来れたのか。大したもんだなあ」
「ナイツの兄貴! うへへ、頑張りやした」
ギルスが相好を崩して後頭部をポリポリ掻いた。
あっ、フケが落ちた!
「ギルス、あなたしばらくお風呂入ってないでしょう。王都は清潔なの。兵士たちの寮のお風呂沸かしておいてあげるから、入ってきなさい」
「へい! ありがとうございやす!」
ギルスが私に、深々と頭を下げる。
彼はしばらく王都に滞在するということなので、それでは王都向けに小綺麗にしてやらねば、ということになった。
ギルスを風呂に浸からせている間に、王都向けの服を用意してやらないと。
一番サイズが大きい兵士向けの服を見繕い、メイドがそれに、猛烈な勢いでワトサップの紋章を縫い付けた。
これで誰もが、ギルスがワトサップの臣下だと分かることだろう。
しばらくすると、髪もヒゲもさっぱりしたギルスが戻ってきた。
服装もパリッとしていて見違える。
「ちくちくしますな」
「しばらくぶりのお風呂だったでしょ」
「故郷では水が貴重なんで、風呂に入らないですからなあ」
わっはっは、と笑うギルス。
こう見えて、蛮族の族長を打ち倒した戦いの時、五人がかりでナイツといい勝負をした男なのだ。
五人とは言え、ナイツとやり合って生きているのは相当強い。
なお、ギルスを率いていたのが蛮族の族長で、言うなれば彼は族長の親衛隊だったことになる。
仲間の四人は族長の死を知ると逃げ去り、ギルスだけが残った。
そして彼は投降したのだ。
彼曰く、「時代が変わった。蛮族の総攻撃すら通じないならば、これから百年の間、蛮族は理想郷を得られない。俺の血を残すために俺は蛮族を捨てて理想郷の民になりたい」とか。
理想郷というのが、蛮族が呼ぶエルフェンバインの名前ね。
かくしてギルスは裏切り、辺境伯領の一員となった。
最初は内偵ではないかと疑われていたけれど、父がギルスと酒を酌み交わして話し合い、ギルスが完全に父に心酔したので、これは内偵であっても用を成さなくなったなと判断された。
ちなみに彼は本当に内偵だったのだけど、父に心酔して以降は偽情報しか蛮族側に流していないのは確認済み。
「お嬢、ギルスをシャーロットに見せてやりましょうや」
「いいわね!」
『わふ!』
いつの間にかバスカーまで出てきた。
バスカーを見て、ちょっとたじろぐギルス。
「うおーっ!? ガルムじゃねえですかい! お嬢、本当にガルムを手なづけちまったんで……? ひょえええ……。ワトサップの白銀の魔女、未だ健在だあ……」
それも蛮族からの私の呼び名ね。
魔女とは人聞きの悪い。
「その呼び名は禁止!」
「へ、へい!」
ギルスがぺこぺこした。
『わーふ』
バスカーがギルスを見て、鼻を鳴らす。
これは、ヒエラルキーがバスカーの下に置かれたな?
「これからは王都にいる先輩であるバスカーを敬うように」
「へへー!」
バスカーに頭を下げるギルス。
よろしい、とばかりに、バスカーが鼻をひくひくさせた。
よしよし。バスカーからのギルスへの印象はいいみたいだ。
こうして私たちは、せっかくなので王都を歩き、シャーロットの家に向かった。
普段なら馬車なんだけど、歩いたほうがギルスの観光になるし。
「ほえええ……。平和なところっすなあ……。道行く男と男がぶつかりあって、殴り合いの喧嘩をしたりしてねえ」
「辺境は殴り合いが挨拶みたいなところがあるもんね。私もこっちに来てから、男たちのあの挨拶はちょっと変わってたんだって知ったわ」
「お嬢もお上りさんだった時期があるんで!?」
「当たり前じゃない。私だって王都からすれば、まだまだ田舎者だわ」
なので、私は王都での暮らしを謙虚に過ごしているつもりなのだ。
なんかナイツが笑いを噛み殺すみたいな顔してる。
その顔はなんだー!
貴族街から下町に移ると、ギルスはホッとした顔になった。
「なんかようやく辺境に似た空気になりやしたね! まだまだ全然のどかですがね」
「そうねえ。一応ここが王都では一番危険な場所。多少は命の危険があるのよ」
「ははあ。なかなか住み良さそうですなあ」
下町の人々が、私たちを見てギョッとしたり、そそくさと道を開けたりしてくれる。
「今日はみんな、いやに大人しいわね」
「そりゃあそうでしょう」
ナイツが笑う。
「プラチナブロンドの美少女が、どでかいモンスター犬と、腰に剣と斧を佩いた大男を二人引き連れて歩いてるんですから。明日にゃ、また噂になりますよ」
「ええ……!? め、目立つ?」
「これ以上無いくらい目立ちますな」
しまった……!
私は頭を抱えた。
そんな事をしていたら、もうシャーロット邸の前だった。
いつものように、私の親友は扉の前に立って待ち構えている。
下町遊撃隊の子が近くにいて、「来た! ほら、シャーロットさん! お姫さんがとんでもない行列を作って来たでしょ!」などと言ってぴょんぴょん跳んでいた。
「さすがのわたくしも、こういう来訪になるとは予想もできませんでしたわね。さすがジャネット様」
シャーロットの褒め言葉、全然嬉しくないよ!
0
お気に入りに追加
441
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
悪役令嬢の矜持〜世界が望む悪役令嬢を演じればよろしいのですわね〜
白雲八鈴
ファンタジー
「貴様との婚約は破棄だ!」
はい、なんだか予想通りの婚約破棄をいただきました。ありきたりですわ。もう少し頭を使えばよろしいのに。
ですが、なんと世界の強制力とは恐ろしいものなのでしょう。
いいでしょう!世界が望むならば、悪役令嬢という者を演じて見せましょう。
さて、悪役令嬢とはどういう者なのでしょうか?
*作者の目が節穴のため誤字脱字は存在します。
*n番煎じの悪役令嬢物です。軽い感じで読んでいただければと思います。
*小説家になろう様でも投稿しております。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる