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樫の木屋敷の遺産事件
第74話 お屋敷防衛網
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親族から突きつけられた条件は、昼のうちは替え玉であるレオパルド嬢が見えるところにいること。
親族本人が家に近づけないような立場なら、本来はそんな注文をつけられるものではないと思うけれど。
お屋敷の主人としては、自分には一切の負い目はないと思っているから、真っ向から理不尽な要求を受けて立ち、書類を手に入れてぐうの音も出ないようにしてやりたいらしい。
これもまた、亡くなった奥様への愛か。
お屋敷のお嬢さんのお茶をいただいた後、私たちはこの家を守るにはどうするかを話し合った。
レオパルド嬢はこのまま。
奥様の妹さんが帰ってくるまでは、あと半月あるらしい。
「私が半月滞在するわけにはいかないし……。明日には帰らなくちゃ」
私は、一応ワトサップ辺境伯家の名代として王都にいるわけで、長く家を空けているわけにはいかない。
今回の二泊三日がギリギリ限界なのだ。
「そうですわね。では本日中に動いて、向こうが当分身動きできないようにしてしまいましょう!」
シャーロットが宣言した。
私もそれはありがたい。
お嬢さんは守れるし、私は時間通りに帰れるし、何よりジャクリーンに一泡吹かせられるし。
「いいわね! 具体的にはどうするの?」
「今日突然犯行に及んだということは、向こうも状況をギリギリまで引き伸ばしたくないのでしょうね。ですから、行動に出てきますわ。物理的なあちらの攻撃はナイツさんで制圧して、わたくしたちは親族を取り押さえましょう」
「よし、任せて」
私は腕まくりした。
辺境では基本的に、戦術指揮をとっていた私だけど、腕に覚えが無いわけじゃない。
自衛できる程度の護身術は知っているのだ。
それにシャーロットには、謎の技バリツがある。
こうして私たちは行動を開始した。
「おきゃくさま、もういっちゃうの? きをつけてね!」
お茶を淹れてくれた屋敷のお嬢さんは、ちょっと残念そうにしたあと、元気よく私たちを送り出してくれるのだった。
さて、何をするか決まってしまえば、行動は早い。
ナイツを村に解き放つ。
賊が潜んでいれば、殺気とか不自然な動きを察知して自動的に襲いかかるから、これでこの周辺は安心だろう。
私とシャーロットは、親族がいるであろう場所を探す。
「シャーロット、村の中に犯人がいるって分かるの?」
「ええ、もちろん。そしてジャクリーンは現場にはいないでしょうね。これは彼女が悪知恵を授けた一件に過ぎないと思いますわ」
「どうしてそう思うの?」
「ジャクリーン本人が指揮をとっていたら、もうレオパルド嬢の命はありませんもの。あの女、並行して何件もの犯罪に関わってコンサルタントをしてるのですわ」
「厄介な……」
だけど、今回はいなくて良かったと言うべきだろう。
ジャクリーンがいないなら、相手はとにかく与し易くなる。
「二手で詰みですわよ。まず一手目。村に荷物を運び込む荷馬車のオーナーにお話を伺いましょう」
「二手で!? それに、どうして荷馬車のオーナー?」
「この村では、いろいろな物を自給自足できてない話は宿でしましたでしょう? つまり、外から運び込んでいるのですわ。普段村で消化できるだけの量から少し増えていたら……お察しでしょう?」
「確かに!」
果たして、シャーロットの推測は的中していた。
明らかに数人分の食料や物資と思われるものが、今月中に運び込まれていたのだ。
「一ヶ月分ということは、彼ら月のうちに決着をつけるつもりでしょうね。そして外に誰も出てこないわけにはいきませんから、目撃情報がありますわよ」
シャーロットはそう言いながら、井戸端会議をする奥様方のところへ向かった。
するりと入り込み、会話に加わって何かペラペラと話す。
すると奥様方がわーっと盛り上がった。
あれは王都の話をしているな……?
村で噂話などができる話題は限られているから、人々は刺激に飢えている。
そこでシャーロットが、王都のエンターテイメントに満ちた話題を提供したわけだ。
すぐに情報を得て戻ってきた。
「ジャネット様の話が大受けでしたわ!」
「私の話を使ったわけ!?」
そりゃあまあ、自分でも最近は波乱に満ちた日々を送っている自覚はあるけれど。
奥様たちが私をチラチラ見て、きゃーっとか盛り上がっている。
ぬぬぬ、しばらく私が彼女たちの噂話の的になるのか!
解せぬものを感じながら、しかしこれでシャーロット的には詰み。
彼女はトコトコととあるお屋敷の倉庫に向かって行った。
倉庫の前には、真っ昼間だというのに仕事もしないで、男が一人座り込んでいる。
彼は、堂々と近づいてくるシャーロットを見て驚いたようだ。
「な、なんだお前ら!」
「樫の木屋敷のご親族がここに潜んでおいででしょう? 村の方のご縁を伝って、一月もこんな倉庫に」
「ななななな、何を言ってやがる! 生意気なやつめ、こうしてやる!」
掴みかかってくる男。
シャーロットは彼の手を取ると、「バリツ!」と発しながら放り投げた。
男の勢いを利用して投げながら、何発か殴ったり蹴ったりしている。
「ウグワーッ!?」
男は目を回してしまった。
いつもながら、バリツとは何なのか。
シャーロットは当たり前のような顔をしながら、倉庫の扉に掛けられた鍵を、取り出したヘアピンで解錠する。
倉庫の中では、呆然と私たちを見つめる中年夫婦の姿があった。
「樫の木屋敷について、ジャクリーンに分け前をどれだけ差し出すのかは存じ上げませんけれども」
シャーロットが微笑んだ。
「お二人が、お屋敷の方を暗殺してまで遺産を欲しがるお気持ちは、ちょっとわたくしにはわかりかねますわね!」
朗々とした声が響く。
暗殺!
遺産!
この刺激的な言葉を、村の奥様方が聞き漏らすはずもない。
たくましい村の奥様方がばたばたと走ってきて、倉庫を覗き込む。
倉庫の中の中年夫婦が真っ青になった。
彼らの存在が、白日のもとに晒されたわけである。
もう、おおっぴらに使用人を使い、暗殺などすることができなくなるだろう。
それに物騒な輩は、今頃ナイツが片っ端からやっつけているはずだ。
なるほど、これならば誰の血も流れないままに、犯人たちは身動きが取れなくなる。
村人たちに監視を担当してもらう、というわけだ。
「これで安心ですわねえ。さてジャネット様。懸念ごとが片付いたなら、参りましょ?」
「どこへ行くの?」
「観光ですわ! だって、あと一日と少ししか滞在できないのでしょう?」
「そうだった! それじゃあ、お屋敷のお嬢さんに案内してもらっちゃう?」
「いいですわね!」
私たちは樫の木屋敷に向かう。
王都を離れて羽を伸ばせる貴重な時間。
それをたっぷりと楽しむつもりだった。
後に、王都に戻った私の元をレオパルド嬢が訪れた。
無事に遺産相続は認められ、エルフェンバイン王国としても、樫の木屋敷の主人があの村の新たな地主であると記録が残されることになったそうだ。
「お嬢さんが、また来てくださいねって言ってました」
「本当!? じゃあ今度は、バスカーも連れて遊びに行かなくちゃね!」
楽しみが一つ増えた私なのだった。
親族本人が家に近づけないような立場なら、本来はそんな注文をつけられるものではないと思うけれど。
お屋敷の主人としては、自分には一切の負い目はないと思っているから、真っ向から理不尽な要求を受けて立ち、書類を手に入れてぐうの音も出ないようにしてやりたいらしい。
これもまた、亡くなった奥様への愛か。
お屋敷のお嬢さんのお茶をいただいた後、私たちはこの家を守るにはどうするかを話し合った。
レオパルド嬢はこのまま。
奥様の妹さんが帰ってくるまでは、あと半月あるらしい。
「私が半月滞在するわけにはいかないし……。明日には帰らなくちゃ」
私は、一応ワトサップ辺境伯家の名代として王都にいるわけで、長く家を空けているわけにはいかない。
今回の二泊三日がギリギリ限界なのだ。
「そうですわね。では本日中に動いて、向こうが当分身動きできないようにしてしまいましょう!」
シャーロットが宣言した。
私もそれはありがたい。
お嬢さんは守れるし、私は時間通りに帰れるし、何よりジャクリーンに一泡吹かせられるし。
「いいわね! 具体的にはどうするの?」
「今日突然犯行に及んだということは、向こうも状況をギリギリまで引き伸ばしたくないのでしょうね。ですから、行動に出てきますわ。物理的なあちらの攻撃はナイツさんで制圧して、わたくしたちは親族を取り押さえましょう」
「よし、任せて」
私は腕まくりした。
辺境では基本的に、戦術指揮をとっていた私だけど、腕に覚えが無いわけじゃない。
自衛できる程度の護身術は知っているのだ。
それにシャーロットには、謎の技バリツがある。
こうして私たちは行動を開始した。
「おきゃくさま、もういっちゃうの? きをつけてね!」
お茶を淹れてくれた屋敷のお嬢さんは、ちょっと残念そうにしたあと、元気よく私たちを送り出してくれるのだった。
さて、何をするか決まってしまえば、行動は早い。
ナイツを村に解き放つ。
賊が潜んでいれば、殺気とか不自然な動きを察知して自動的に襲いかかるから、これでこの周辺は安心だろう。
私とシャーロットは、親族がいるであろう場所を探す。
「シャーロット、村の中に犯人がいるって分かるの?」
「ええ、もちろん。そしてジャクリーンは現場にはいないでしょうね。これは彼女が悪知恵を授けた一件に過ぎないと思いますわ」
「どうしてそう思うの?」
「ジャクリーン本人が指揮をとっていたら、もうレオパルド嬢の命はありませんもの。あの女、並行して何件もの犯罪に関わってコンサルタントをしてるのですわ」
「厄介な……」
だけど、今回はいなくて良かったと言うべきだろう。
ジャクリーンがいないなら、相手はとにかく与し易くなる。
「二手で詰みですわよ。まず一手目。村に荷物を運び込む荷馬車のオーナーにお話を伺いましょう」
「二手で!? それに、どうして荷馬車のオーナー?」
「この村では、いろいろな物を自給自足できてない話は宿でしましたでしょう? つまり、外から運び込んでいるのですわ。普段村で消化できるだけの量から少し増えていたら……お察しでしょう?」
「確かに!」
果たして、シャーロットの推測は的中していた。
明らかに数人分の食料や物資と思われるものが、今月中に運び込まれていたのだ。
「一ヶ月分ということは、彼ら月のうちに決着をつけるつもりでしょうね。そして外に誰も出てこないわけにはいきませんから、目撃情報がありますわよ」
シャーロットはそう言いながら、井戸端会議をする奥様方のところへ向かった。
するりと入り込み、会話に加わって何かペラペラと話す。
すると奥様方がわーっと盛り上がった。
あれは王都の話をしているな……?
村で噂話などができる話題は限られているから、人々は刺激に飢えている。
そこでシャーロットが、王都のエンターテイメントに満ちた話題を提供したわけだ。
すぐに情報を得て戻ってきた。
「ジャネット様の話が大受けでしたわ!」
「私の話を使ったわけ!?」
そりゃあまあ、自分でも最近は波乱に満ちた日々を送っている自覚はあるけれど。
奥様たちが私をチラチラ見て、きゃーっとか盛り上がっている。
ぬぬぬ、しばらく私が彼女たちの噂話の的になるのか!
解せぬものを感じながら、しかしこれでシャーロット的には詰み。
彼女はトコトコととあるお屋敷の倉庫に向かって行った。
倉庫の前には、真っ昼間だというのに仕事もしないで、男が一人座り込んでいる。
彼は、堂々と近づいてくるシャーロットを見て驚いたようだ。
「な、なんだお前ら!」
「樫の木屋敷のご親族がここに潜んでおいででしょう? 村の方のご縁を伝って、一月もこんな倉庫に」
「ななななな、何を言ってやがる! 生意気なやつめ、こうしてやる!」
掴みかかってくる男。
シャーロットは彼の手を取ると、「バリツ!」と発しながら放り投げた。
男の勢いを利用して投げながら、何発か殴ったり蹴ったりしている。
「ウグワーッ!?」
男は目を回してしまった。
いつもながら、バリツとは何なのか。
シャーロットは当たり前のような顔をしながら、倉庫の扉に掛けられた鍵を、取り出したヘアピンで解錠する。
倉庫の中では、呆然と私たちを見つめる中年夫婦の姿があった。
「樫の木屋敷について、ジャクリーンに分け前をどれだけ差し出すのかは存じ上げませんけれども」
シャーロットが微笑んだ。
「お二人が、お屋敷の方を暗殺してまで遺産を欲しがるお気持ちは、ちょっとわたくしにはわかりかねますわね!」
朗々とした声が響く。
暗殺!
遺産!
この刺激的な言葉を、村の奥様方が聞き漏らすはずもない。
たくましい村の奥様方がばたばたと走ってきて、倉庫を覗き込む。
倉庫の中の中年夫婦が真っ青になった。
彼らの存在が、白日のもとに晒されたわけである。
もう、おおっぴらに使用人を使い、暗殺などすることができなくなるだろう。
それに物騒な輩は、今頃ナイツが片っ端からやっつけているはずだ。
なるほど、これならば誰の血も流れないままに、犯人たちは身動きが取れなくなる。
村人たちに監視を担当してもらう、というわけだ。
「これで安心ですわねえ。さてジャネット様。懸念ごとが片付いたなら、参りましょ?」
「どこへ行くの?」
「観光ですわ! だって、あと一日と少ししか滞在できないのでしょう?」
「そうだった! それじゃあ、お屋敷のお嬢さんに案内してもらっちゃう?」
「いいですわね!」
私たちは樫の木屋敷に向かう。
王都を離れて羽を伸ばせる貴重な時間。
それをたっぷりと楽しむつもりだった。
後に、王都に戻った私の元をレオパルド嬢が訪れた。
無事に遺産相続は認められ、エルフェンバイン王国としても、樫の木屋敷の主人があの村の新たな地主であると記録が残されることになったそうだ。
「お嬢さんが、また来てくださいねって言ってました」
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