25 / 107
第25話 新米騎士イングリド
しおりを挟む
ガットルテの城に、新たな女騎士が務めることになった。
その名はイングリド。
そのままだ。
そして、俺は文官として調査などを行うことになった。
道化師は目立つものな。
変装スキルにより、一見して別人と思われるほど見た目をかえておいてある。
それとなく、城内の人々に混じりながら噂を集める。
どこの誰かが、道ならぬ愛に血道を上げたとか、誰かが口利きして業者を決めたとか。
どうでもいい噂がほとんどだが、それらを集めていくと、幾つかのものの裏で共通する一つの筋が見えてくる。
それほどの日にちはいらない。
会話スキル、交渉スキル、噂話スキル。
コミュニケーションのためのスキルも山程持っている。これらをフル活用すれば、城の裏側で蠢く陰謀などすぐに知れる。
二日目にして、俺は腐敗神信者の策謀の全貌を掴んでいた。
このように、忙しく仕事をする俺の横を、小柄な少年を伴った体格のいい女騎士が……いや、逆か。
ロンディミオン王子と、彼の護衛である新米騎士イングリドが歩いていく。
イングリドの美貌は非常に目立つ。
誰もが彼女に注目せざるを得ない。
お陰で、俺が動くのが実に楽になるのだ。
「これはこれは、ロンディミオン王子」
「うん」
まだ幼い王子は、俺の挨拶を受けて鷹揚に頷いた。
ブリテイン王によく似た可愛らしい少年だが、取り立てて頭が切れるとか、運動能力が優れているとか、そう言うことはない。
一言で表すなら凡庸な王子だ。
だが、極端に無能だとか、逆に飛び抜けた異能があるとか、そういう王族の方が扱いに困るものだ。
彼はちょうどいい王子だと言えよう。
彼が食事をするというので、俺はこの機会にイングリドと情報交換することにした。
「そちらはどうだい?」
「何も無かったな。ロンはいつもどおり、勉強して、剣術の修行をして、礼儀作法を教わっていたぞ。なぜかチラチラと私を見てくるのだが」
やはり、王子はこの年若い叔母が気になっているのだな。
「ただ、時折料理をぶちまける給仕や、駆け寄ってきては絨毯がまくれて頭から転倒する輩がいたのには閉口した。使用人の教育はどうなっているんだ」
奮然と呟くイングリド。
なるほど、王子の身辺は危機的な状況にあったようだな。
ギリギリで、彼女が護衛について王子は助かったというわけだ。
料理は毒が入っていたのだろう。
駆け寄ってきた者は、直接実力行使に移ろうとしたのでは?
「その給仕や駆け寄ってきた者たちはどうしたんだね?」
「ああ。怖い顔をした騎士たちが来て連れて行った」
ほう、ほう……。
やはり。
ふと気づくと、ロンディミオン王子が俺を睨んでいる。
「お前はなんだ! イングリッドになんの用だ! イングリッドはぼくの騎士だぞ!」
おお……王子様はイングリドを大層お気に入りだ。
そして彼女に馴れ馴れしい俺は、警戒されてしまったようだ。
やれやれ、これは道化師失格だな。
「これはこれは失礼を、ロンディミオン殿下。わたくし、イングリッド殿にかつて命を救われたことがありまして! それで、イングリッド殿とはこうして仲良くさせていただいているのです!」
「イングリッドが命を? そうか! そうだな。イングリッドは強いもんな!」
「時に殿下。イングリッドではなく、イングリドですぞ」
囁いたら、王子はハッとしたようだった。
慌てて口を押さえてから、きょろきょろ辺りを見回す。
この仕草が可愛らしく、イングリドも顔が綻んでいる。
これは愛らしい子どもを見る目である。
今のところ、王子がイングリドに大して抱いているであろう、淡い慕情が伝わることはあるまい。
一方、俺だ。
イングリドから離れたということは、都合のいい幸運が起こらない事を意味する。
慎重に慎重に動かねばならない。
だが、この二日間で、城内に出入りする業者や使用人たち全員の顔と性格などなどは覚えた。
使用人たちの中に、腐敗神プレーガイオスに関係していそうな者は見当たらない、というのが正直なところだ。
調べた彼らの生活スタイルと、今現在の彼らの動きが一致している。
新しい生活様式が挟まれた様子がない。
「久々にイングリドがいないと調子が狂うな」
俺は人通りが途絶えたところで、王宮の廊下で考えをまとめる。
「まず、プレーガイオスについて。腐敗神とは、人間側から見れば邪神として捉えられやすいが……けっして邪神ではない。あれは腐敗と再生、すなわち、自然環境の巡りを司る自然神だ。これの腐敗のみを利用するのが、邪神教団としての腐敗神信者だ」
今回の相手は、それだと見て間違いないだろう。
神に善悪はない。
「末端の使用人に、信者が入り込んでいたようだが……おっと」
俺の横で、騎士に付き添われた使用人が歩いていく。
あれは、王子に料理を出そうとして転んだ使用人である。
無事に帰ってこれたというところを見ると、彼女は腐敗神と関わりがない。
直接的に危害を加えようとした者は、囚われて尋問されているようだ。
他の騎士から聞き出した情報によれば、その男は城内では見かけない顔だとか。
だが、使用人の服を着ていた。
「では、現段階での状況証拠から推理してみよう」
一人呟くと、少々寂しい。
そう思っていたら、物陰からトコトコと猫がやって来た。
城で飼われている猫である。
「にゃーん」
「よし、君を観衆として、推理を開示しようじゃないか。どうぞ、とくとお聞きあれ!」
俺は猫に一礼した。
猫氏は俺をじーっと見ると、その場にちょこんと座り込んだ。
「城と関わりのない人間を、城内に呼び込むことができる。そして、使用人の衣装を調達できる。次に、王子の料理に途中で毒を仕込むことができる。末端の使用人たちは、腐敗神の気配がない。ということは……」
猫の前を右へ、左へ歩き回り、くるりと振り返る。
「にゃっ」
猫が背筋をぴーんと伸ばした。
「そう! 主犯は、城の中でも力を持っている立場の中にいる。実務と、人の出入りに関係し、調理場に接触できるルートを持っていることになる!」
「にゃにゃっ」
びっくりした猫が、トトトっと走っていってしまった。
そして、猫が向かった方向から声が聞こえてくる。
「おやおや、どうしたのかね。誰が猫を驚かせたのかね」
現れたのは、すらりと背が伸びた銀髪の壮年男性。
侍従長である。
俺が見るところ、この男が容疑者だ。
その名はイングリド。
そのままだ。
そして、俺は文官として調査などを行うことになった。
道化師は目立つものな。
変装スキルにより、一見して別人と思われるほど見た目をかえておいてある。
それとなく、城内の人々に混じりながら噂を集める。
どこの誰かが、道ならぬ愛に血道を上げたとか、誰かが口利きして業者を決めたとか。
どうでもいい噂がほとんどだが、それらを集めていくと、幾つかのものの裏で共通する一つの筋が見えてくる。
それほどの日にちはいらない。
会話スキル、交渉スキル、噂話スキル。
コミュニケーションのためのスキルも山程持っている。これらをフル活用すれば、城の裏側で蠢く陰謀などすぐに知れる。
二日目にして、俺は腐敗神信者の策謀の全貌を掴んでいた。
このように、忙しく仕事をする俺の横を、小柄な少年を伴った体格のいい女騎士が……いや、逆か。
ロンディミオン王子と、彼の護衛である新米騎士イングリドが歩いていく。
イングリドの美貌は非常に目立つ。
誰もが彼女に注目せざるを得ない。
お陰で、俺が動くのが実に楽になるのだ。
「これはこれは、ロンディミオン王子」
「うん」
まだ幼い王子は、俺の挨拶を受けて鷹揚に頷いた。
ブリテイン王によく似た可愛らしい少年だが、取り立てて頭が切れるとか、運動能力が優れているとか、そう言うことはない。
一言で表すなら凡庸な王子だ。
だが、極端に無能だとか、逆に飛び抜けた異能があるとか、そういう王族の方が扱いに困るものだ。
彼はちょうどいい王子だと言えよう。
彼が食事をするというので、俺はこの機会にイングリドと情報交換することにした。
「そちらはどうだい?」
「何も無かったな。ロンはいつもどおり、勉強して、剣術の修行をして、礼儀作法を教わっていたぞ。なぜかチラチラと私を見てくるのだが」
やはり、王子はこの年若い叔母が気になっているのだな。
「ただ、時折料理をぶちまける給仕や、駆け寄ってきては絨毯がまくれて頭から転倒する輩がいたのには閉口した。使用人の教育はどうなっているんだ」
奮然と呟くイングリド。
なるほど、王子の身辺は危機的な状況にあったようだな。
ギリギリで、彼女が護衛について王子は助かったというわけだ。
料理は毒が入っていたのだろう。
駆け寄ってきた者は、直接実力行使に移ろうとしたのでは?
「その給仕や駆け寄ってきた者たちはどうしたんだね?」
「ああ。怖い顔をした騎士たちが来て連れて行った」
ほう、ほう……。
やはり。
ふと気づくと、ロンディミオン王子が俺を睨んでいる。
「お前はなんだ! イングリッドになんの用だ! イングリッドはぼくの騎士だぞ!」
おお……王子様はイングリドを大層お気に入りだ。
そして彼女に馴れ馴れしい俺は、警戒されてしまったようだ。
やれやれ、これは道化師失格だな。
「これはこれは失礼を、ロンディミオン殿下。わたくし、イングリッド殿にかつて命を救われたことがありまして! それで、イングリッド殿とはこうして仲良くさせていただいているのです!」
「イングリッドが命を? そうか! そうだな。イングリッドは強いもんな!」
「時に殿下。イングリッドではなく、イングリドですぞ」
囁いたら、王子はハッとしたようだった。
慌てて口を押さえてから、きょろきょろ辺りを見回す。
この仕草が可愛らしく、イングリドも顔が綻んでいる。
これは愛らしい子どもを見る目である。
今のところ、王子がイングリドに大して抱いているであろう、淡い慕情が伝わることはあるまい。
一方、俺だ。
イングリドから離れたということは、都合のいい幸運が起こらない事を意味する。
慎重に慎重に動かねばならない。
だが、この二日間で、城内に出入りする業者や使用人たち全員の顔と性格などなどは覚えた。
使用人たちの中に、腐敗神プレーガイオスに関係していそうな者は見当たらない、というのが正直なところだ。
調べた彼らの生活スタイルと、今現在の彼らの動きが一致している。
新しい生活様式が挟まれた様子がない。
「久々にイングリドがいないと調子が狂うな」
俺は人通りが途絶えたところで、王宮の廊下で考えをまとめる。
「まず、プレーガイオスについて。腐敗神とは、人間側から見れば邪神として捉えられやすいが……けっして邪神ではない。あれは腐敗と再生、すなわち、自然環境の巡りを司る自然神だ。これの腐敗のみを利用するのが、邪神教団としての腐敗神信者だ」
今回の相手は、それだと見て間違いないだろう。
神に善悪はない。
「末端の使用人に、信者が入り込んでいたようだが……おっと」
俺の横で、騎士に付き添われた使用人が歩いていく。
あれは、王子に料理を出そうとして転んだ使用人である。
無事に帰ってこれたというところを見ると、彼女は腐敗神と関わりがない。
直接的に危害を加えようとした者は、囚われて尋問されているようだ。
他の騎士から聞き出した情報によれば、その男は城内では見かけない顔だとか。
だが、使用人の服を着ていた。
「では、現段階での状況証拠から推理してみよう」
一人呟くと、少々寂しい。
そう思っていたら、物陰からトコトコと猫がやって来た。
城で飼われている猫である。
「にゃーん」
「よし、君を観衆として、推理を開示しようじゃないか。どうぞ、とくとお聞きあれ!」
俺は猫に一礼した。
猫氏は俺をじーっと見ると、その場にちょこんと座り込んだ。
「城と関わりのない人間を、城内に呼び込むことができる。そして、使用人の衣装を調達できる。次に、王子の料理に途中で毒を仕込むことができる。末端の使用人たちは、腐敗神の気配がない。ということは……」
猫の前を右へ、左へ歩き回り、くるりと振り返る。
「にゃっ」
猫が背筋をぴーんと伸ばした。
「そう! 主犯は、城の中でも力を持っている立場の中にいる。実務と、人の出入りに関係し、調理場に接触できるルートを持っていることになる!」
「にゃにゃっ」
びっくりした猫が、トトトっと走っていってしまった。
そして、猫が向かった方向から声が聞こえてくる。
「おやおや、どうしたのかね。誰が猫を驚かせたのかね」
現れたのは、すらりと背が伸びた銀髪の壮年男性。
侍従長である。
俺が見るところ、この男が容疑者だ。
0
お気に入りに追加
1,873
あなたにおすすめの小説
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
外れスキル「トレース」が、修行をしたら壊れ性能になった~あれもこれもコピーで成り上がる~
うみ
ファンタジー
港で荷物の上げ下ろしをしてささやかに暮らしていたウィレムは、大商会のぼんくら息子に絡まれていた少女を救ったことで仕事を干され、街から出るしか道が無くなる。
魔の森で一人サバイバル生活をしながら、レベルとスキル熟練度を上げたウィレムだったが、外れスキル「トレース」がとんでもないスキルに変貌したのだった。
どんな動作でも記憶し、実行できるように進化したトレーススキルは、他のスキルの必殺技でさえ記憶し実行することができてしまうのだ。
三年の月日が経ち、修行を終えたウィレムのレベルは熟練冒険者を凌ぐほどになっていた。
街に戻り冒険者として名声を稼ぎながら、彼は仕事を首にされてから決意していたことを実行に移す。
それは、自分を追い出した奴らを見返し、街一番まで成り上がる――ということだった。
※なろうにも投稿してます。
※間違えた話を投稿してしまいました!
現在修正中です。
【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!
つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。
他サイトにも公開中。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる