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帰ってきた勇者パーティー編

第98話 初見の国王がもうモンスターになっているんだが

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『よくぞ我が前まで辿り着けたものだ。なるほど、魔王殿の言う通り、お前たちをあの場で逃してしまったのは余の失態だったようだな』

 玉座には、なんかモンスターが座っていた。
 金色の太い牛の角みたいなのを生やし、俺よりもちょっとでかいくらいの巨漢で、肌の色は紫。
 やはり濃い紫色のコウモリっぽい翼を生やし、金色の甲冑を纏った派手派手なやつだ。

 これはモンスターが王様のふりをしているのかなと思っていたが、どうやら話す内容を聞いていると、この王国の王らしい。
 魔王に魂を売った系かー。

「これはシャイニング案件ですね」

 やる気満々のエクセレン。
 棍棒も六色のトゲをビカビカ光らせている。
 触れれば国王は死ぬだろうなあ。

『エクセレントマイティ。余の国で生まれた勇者たちよ。人は魔王には勝てぬ。抗えぬ。圧倒的な存在の前で、人はあまりにも無力なのだ』

 魔王の世界を塗り替える力かな?
 あれは俺がガードできるんだが?

『なぜ無駄に抗う。世界はやがて魔王のものとなろう。人がすべてモンスターとなれば、魔王はこれを平和に統治するだろう。余の選択こそが人を生きながらえさせるための最良の手段なのだ……!』

「あの魔王、統治とかしないじゃろ? その瞬間瞬間が面白いかどうかが全てなのじゃ」

「腐った男だよねえ。魔王もこいつは落とし甲斐がないと思って、さっさとモンスター化させちまったんじゃないかね」

「そんなものであろうな。もともと少々性格に問題のある王であったようだ」

 遠慮なしに雑談する俺たちエクセレントマイティ。

『貴様ら! 王の御前であるぞ!! 控えよ! 余を誰だと思っている!』

「誰だと言われても、わしの二十分の一も生きておらぬ若造なのじゃー」

「魔王に魂を売った輩が王とか笑わせてくれるねえ」

「うむ、ただの売国奴よ」

「獲物を多く得るために仲間を騙した猟師は一人で森に入らねばならぬと言う通りだ。お前に正道を語る資格はない」

「ナゾマーことわざですよ! かっこいいのもあるんですね!」

「色々なシチュエーションに対応してるよな」

 フェイクブレイバーズはと言うと、何やら国王が発するプレッシャーっぽいものによって圧倒され、青ざめている。

「マイティ! 陛下があんな化け物になってしまっていたなど、聞いていない……! それに、なんと恐ろしい気配なんだ! くっ、この場に立っているだけでも意識を持って行かれそうだ……」

 フェイクの足が震えている。

「ディアボラ。俺たちは平気なんだが、こりゃあどういうことだ?」

「レベルが足りんのじゃろ。後は場数じゃなあ。エクセレンにウインドにカッサンドラは慣れとるから、この程度じゃどうということは無いのう。多少上等な魔将くらいじゃからなー」

「なるほどな。おいフェイクブレイバーズ、俺の後ろに隠れるといい」

「何だと!? お前、俺たちをバカにして……」

「元国王のプレッシャーみたいなのは、俺がガードしてやる」

 盾を構える。
 すると、なるほど。盾に多少の重みみたいなものが加わった。
 これが元国王が発している、相手を威圧する魔力みたいなものか。

「楽になった」

「どういうことだ……!?」

 戸惑うフェイクブレイバーズ。
 それは元国王も一緒だ。

『なぜだ! 余の放つプレッシャーは、人間たちの心を折り、屈服させる力! 魔王殿はそう仰っておられた! これこそ、余が人間の上に立つ至高の王である証であるというのに、どうして貴様らは……!!』

 ここまで語って、元国王が目を細めた。

『ははあ、分かったぞ。貴様らもまた、余と同じく魔王殿から力を与えられたのだろう! そうか、貴様らは元からモンスターであったのだ!! この卑怯者め! モンスターの力を得て余と対峙するとは!』

「言ってることもうめちゃくちゃですよ。やっちゃっていいですか?」

「よし、やっちまおう」

 ただまあ、言ってることに一理あって、俺は先代魔王の血筋らしいし、エクセレンは神の加護みたいなのを受けてるし、ジュウザはクリティカルヒットという魔に堕ちかけたし、ディアボラは魔将そのものだし、ウインドはエルフの血が混じっているし、カッサンドラは魔を祓う聖職者である。
 つまり、元国王からすると自分の能力に対して、完全に耐性を持つメンバーだけが勇者パーティーにいるわけだな。

 運が悪かったなー。

『やめよ! 近寄るな! おのれ! 余の魔剣で成敗してくれよう……』

 立ち上がり、禍々しい剣を抜く元国王。
 その剣を見てエクセレンの目がきらきらした。

「あれ欲しいので壊さずにやりますね!」

「よしきた。じゃあ俺が進んで剣を受ける」

 エクセレンのパワーアップのためだものな。
 俺は無造作に前進して、元国王の攻撃範囲に入った。

『迂闊な男よ! 死ぬがいい! ねりゃあー!!』

「ガードだ! ダメージはやっぱりゼロだぞ!」

 カキーンと剣が跳ね返される。
 その間に、エクセレンが元国王の懐にいる。
 振りかぶられた棍棒は、もう止まらないのだ。

『ふ、二人がかりとは卑怯……』

「ちょわーっ!!」

『ウグワーッ!?』

 この国王が卑怯という言葉を口にする資格は無いのではないか。
 まあ、今文字通り、光の粒子にまで粉砕されてしまったから資格もへったくれもないが。

 後には、禍々しい剣だけがコロンと落ちていた。

「ゲットですよ!」

「ああもう、エクセレン! こういうのは浄化するもんさね! えい、浄化!」

 ピシーっと鞭で剣をひっぱたくカッサンドラ。
 すると、剣が帯びていた禍々しさが消えた。

「あれ? この剣、柄のところに窪みがありますよ? この形、見覚えが……」

 エクセレンが考え込む。
 そしてハッとなにかに気付いたようだ。
 ウェポンラックをゴソゴソ漁ると、赤い欠片を取り出した。

「ああ、懐かしいな! 魔王星の欠片だ!」

「何かに使えると思って取っておいたんですよね。これ、形がピッタリです!」

「魔王星から削り出した剣じゃろうなこれ。魔王星自体は魔力の塊じゃ。あれに善も悪もないからのう」

 ……ということで。

「パワーアップしちゃいましたよー!!」

 エクセレンがついに、究極の剣みたいなものをゲットしたのだった。

パーティー名『エクセレントマイティ』
ランク:A
構成員:六名

名前:エクセレン
職業:エクセレントファイター
Lv:45→55
HP:468→560
MP:349→425
技 :魔技ミサイルスピン クイックドロー バックスタブ パイルバンカーブロウ
エンタングルブロウ
魔法:マジックミサイル(上級):派生ドリルマジックミサイル(上級) ヒール(上級) ライト(中級)
覚醒:真・シャイニング棍棒 グランド棍棒インパクト6 グレート棍棒スーンッ6 シャイニング斬 シャイニングアロー シャイニングボム シャイニングカノンナックル
武器:聖なる棍棒(完全体) 星のショートソード 鋼のトマホーク
 ガイストサーベル 帝国の弓矢 魔王星の剣 カノンナックル
 スタッフスリング+炸裂弾
防具:チェインメイルアーマー(上質) ドラゴニアンのウェポンラック


名前:マイティ
職業:タンク
Lv:87→88
HP:1250→1300
MP:0
技 :ガード強化(特級) カバーガード(特級) エリアガード(特級)
   マジックガード(特級) マインドガード(特級) パリィ(特級)
   ガードムーブ(特級) ヘイトコントロール(特級) マッチング(上級)
   ベクトルガード(上級)
魔法:なし
覚醒:フェイタルガード ディザスターガード3
武器:なし
防具:熟練のプレートアーマー、??のビッグシールド、星のマント
 ロケットウインガー


名前:ジュウザ・オーンガワラ
職業:ニンジャ(オーンガワラ流アークニンジャ)
Lv:85→86
HP:695→710
MP:550→565
技 :クリティカルヒット(特級) デックスアーマークラス(特級) ラビットムーブ(特級) フェイタルヒット(特級)
   シュリケンスロー(特級) ハイド&シーク(特級)
魔法:カトン(特級) スイトン(特級) ドトン(特級) 
 フウトン(特級)
覚醒:クリティカルヒット(極) フェイタルヒット(極)
武器:投擲用ダガー、星のダガー
防具:なし


名前:ディアボラ
職業:アークメイジ
Lv:154
HP:490
MP:2600
技 :テレポート
魔法:(一部のみ記載)ヒーリングサークル ウォーブレス ステイシスサークル
 メテオフォール ライジングメテオ ボルカニックゲイザー 
 ツイスター メイルシュトローム ランドスライダー
 サンドプリズン コールクア
覚醒:魔法儀式行使
武器:儀式用ダガー
防具:魔将のローブ(サイズSS)、星の帽子


名前:ウインド
職業:アルケミスト・レンジャー
Lv:46→50
HP:288→328
MP:0
技 :調合
魔法:なし
覚醒:なし
武器:弓矢 ダガー 小型ハンマー くさび
防具:レザーアーマー
道具:採集道具 調合道具 ウインドの記録帳
 加工道具 謎の粉多数

名前:カッサンドラ
職業:エクソシスト
Lv:40→46
HP:235→289
MP:160→208
技 :ウィップスキル ホーリーアロー
魔法:ヒーリング ポイズンイレイザー リムーブカース
 ブレス ホーリーシャイン フォースナックル
覚醒:浄化
武器:聖なるウィップ 聖なるクロスボウ
防具:聖なる帽子 聖なるポンチョ
道具:聖印 聖書 女の七つ道具
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