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ノウザーム大陸戦乱編
第77話 来たぞ最後の仲間……はエクソシスト?
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今、モンスター化した人間をもとに戻したな。
浄化と叫びながら鞭で叩いた気がする。
「おお、普通に肌が裂けてダメージが入っているな。これは本気で叩いたな」
「本気だったら骨まで出てるねえ。あたいはやさし~く手加減してやったさ」
青い外套の女はそういうのである。
なんだろう。
どうもこう……同類の気配がする。
「で、あんたらは誰だい? 共和国の連中……なわけはないだろう? だって共和国のへっぽこ兵と戦ってたし、第一共和国は魔法なんて不安定な力は使わないなんて言ってやがるものね」
「あいつら魔法使わないのか」
「使えないのだろうな。魔法を使える者に地位を与えないことで価値を貶め、合理的に魔法がない国家を作り上げたのだろう」
「そりゃまたどうして」
青い外套の女は、俺たちの話に興味が湧いたようである。
「いい質問だね! あたいが教えてあげるよ。共和国の初代がね、魔法使いの家に生まれたけど一人だけ才能が無かったのさ! それで努力して国を作るまで行ったけど、魔法を使えない自分を蔑んだ家や社会を恨んで、そういうものを壊すための国を作り上げたのが共和国ってわけさ! 恨みの力は怖いねえ……」
「なるほど私怨だったのか。分かりやすいなあ」
俺は感心してしまった。
青い外套の女はちょっと気分が良くなったようである。
「話の聞き方ってものを分かってる男だね! 気に入った! あんた名前は?」
「俺はマイティだ」
「拙者はジュウザ」
「そうかいそうかい。あたいはね、カッサンドラって言うのさ。見ての通り、青いテンガロンハットに青いポンチョは神の使い! エクソシストってわけさね! いやあ……ガキの頃はこんな訓練、今の時代に役立つわけないだろって思ってたけど、見事にあたいの時代が来ちまったねえ……」
遠い目をする。
「えくそしすと?」
「なんだろうな」
ジュウザが首を傾げ、俺も分からなかったので唸った。
「それはつまりね」
カッサンドラが説明を始めたら、「マイティー!」と叫びながらエクセレンが走ってきた。
手には串焼き肉を二本持っている。
「焼きたてのお肉です! 一本はマイティのですよ! また勝手にお仕事してたでしょう。ボクも誘って下さい!」
「ああ、悪かった悪かった! ちょっとな、ジュウザが気配を感じてくれたので、ササッと退治に来たんだ。そうしたら意外な人と会ってな」
「意外な……? あっ、見知らぬ人が!」
「なんだいこの女? 歩く武器庫みたいな装備してるけど……」
カッサンドラがエクセレンを見てちょっと引いている。
「あ、気づきました!? これはですねー。全部旅の思い出が詰まった装備で……」
エクセレンが武器の説明を始めた。
これは長くなりそうだったので、一旦止めてもらい、カッサンドラとともに村に入ることにしたのである。
村人たちは、青い服のエクソシストが増えたことに驚いていたが、勇者パーティーなんだからそういうこともあるだろう、とすぐに納得した。
凄い説得力だな、勇者パーティーという言葉。
「えっ? 今、あたい凄くナチュラルに受け入れられなかった? ここ敵国なのに?」
「敵国ということは、君はナラティブ自治連合の人間なのか」
「あら、イケメン……!!」
カッサンドラの目がキラキラした。
ウインドが好みか。
「いや、俺はイケメンという名前ではなくウインドと言う。そうか、自治連合側から偵察のために入り込んできたが、そこでマイティたちが起こした騒ぎに遭遇したというわけだな。君がエクソシスト? とか言う存在で、ここで出会ったのは大いなる神の導きかも知れない」
「ありうるのじゃー。神のやつ、明らかに尖った面々を引き合わせておるからのう」
「なんだいこのチビッコは!?」
「わしはディアボラじゃ! 偉大なる儀式魔法の使い手なのじゃー! わっはっはー!」
「はいはい。威勢のいいちびだねえ」
ちびっこの虚言だと思っているのだろうが、ディアボラは本当に偉大な儀式魔法の使い手だからな。
見た目と言動からは全く分からないというのは凄い。
「あたいはあんたらと会ったばかりだろう? とりあえず、あんたらが勇者パーティーだというのは、その棍棒のトゲを見て納得したよ。あたいが訓練を受けた場所にも、そういう神の加護をくれそうな教会があったしね」
「ありましたか!!」
エクセレンが食いついた。
距離が近い。
カッサンドラがのけぞる。
「あったけど! いいかい!? あたいはあんたたちを信用しているわけじゃ……いや、勇者パーティー確定なんだから信用していいんだよね……」
「混乱しておるな」
「普通出会ったばかりの相手は信頼できないものだからな。だがどうやら、勇者パーティーというものは問答無用で信用できるものらしい。これは面白いな」
「俺としちゃ話が早くて助かるよ。カッサンドラ。俺たちは魔王と戦うために全ての古代の教会を巡る予定なんだ。そちらの教会まで連れて行ってくれないか?」
「うっ、むうううう、ぬううううう」
呻いている。
もしかして、本来はひねくれものだったりするのだろうか。
だが、単純明快な目的を持ち、勇者という神の側の人間である証明を持つエクセレンと俺たちが相手だ。
神の使徒であるらしいエクソシストとしては、断る理由が一切ないというわけだ。
なるほど話が早い。
「分かったよ! なんだかあたいの知らぬところで運命が動いているようだね! まさか全く選択肢が無いとは……。連れて行くよ!」
そういうことになった。
エクソシストのカッサンドラに案内され、俺たちはナラティブ自治連合へ向かうのである。
浄化と叫びながら鞭で叩いた気がする。
「おお、普通に肌が裂けてダメージが入っているな。これは本気で叩いたな」
「本気だったら骨まで出てるねえ。あたいはやさし~く手加減してやったさ」
青い外套の女はそういうのである。
なんだろう。
どうもこう……同類の気配がする。
「で、あんたらは誰だい? 共和国の連中……なわけはないだろう? だって共和国のへっぽこ兵と戦ってたし、第一共和国は魔法なんて不安定な力は使わないなんて言ってやがるものね」
「あいつら魔法使わないのか」
「使えないのだろうな。魔法を使える者に地位を与えないことで価値を貶め、合理的に魔法がない国家を作り上げたのだろう」
「そりゃまたどうして」
青い外套の女は、俺たちの話に興味が湧いたようである。
「いい質問だね! あたいが教えてあげるよ。共和国の初代がね、魔法使いの家に生まれたけど一人だけ才能が無かったのさ! それで努力して国を作るまで行ったけど、魔法を使えない自分を蔑んだ家や社会を恨んで、そういうものを壊すための国を作り上げたのが共和国ってわけさ! 恨みの力は怖いねえ……」
「なるほど私怨だったのか。分かりやすいなあ」
俺は感心してしまった。
青い外套の女はちょっと気分が良くなったようである。
「話の聞き方ってものを分かってる男だね! 気に入った! あんた名前は?」
「俺はマイティだ」
「拙者はジュウザ」
「そうかいそうかい。あたいはね、カッサンドラって言うのさ。見ての通り、青いテンガロンハットに青いポンチョは神の使い! エクソシストってわけさね! いやあ……ガキの頃はこんな訓練、今の時代に役立つわけないだろって思ってたけど、見事にあたいの時代が来ちまったねえ……」
遠い目をする。
「えくそしすと?」
「なんだろうな」
ジュウザが首を傾げ、俺も分からなかったので唸った。
「それはつまりね」
カッサンドラが説明を始めたら、「マイティー!」と叫びながらエクセレンが走ってきた。
手には串焼き肉を二本持っている。
「焼きたてのお肉です! 一本はマイティのですよ! また勝手にお仕事してたでしょう。ボクも誘って下さい!」
「ああ、悪かった悪かった! ちょっとな、ジュウザが気配を感じてくれたので、ササッと退治に来たんだ。そうしたら意外な人と会ってな」
「意外な……? あっ、見知らぬ人が!」
「なんだいこの女? 歩く武器庫みたいな装備してるけど……」
カッサンドラがエクセレンを見てちょっと引いている。
「あ、気づきました!? これはですねー。全部旅の思い出が詰まった装備で……」
エクセレンが武器の説明を始めた。
これは長くなりそうだったので、一旦止めてもらい、カッサンドラとともに村に入ることにしたのである。
村人たちは、青い服のエクソシストが増えたことに驚いていたが、勇者パーティーなんだからそういうこともあるだろう、とすぐに納得した。
凄い説得力だな、勇者パーティーという言葉。
「えっ? 今、あたい凄くナチュラルに受け入れられなかった? ここ敵国なのに?」
「敵国ということは、君はナラティブ自治連合の人間なのか」
「あら、イケメン……!!」
カッサンドラの目がキラキラした。
ウインドが好みか。
「いや、俺はイケメンという名前ではなくウインドと言う。そうか、自治連合側から偵察のために入り込んできたが、そこでマイティたちが起こした騒ぎに遭遇したというわけだな。君がエクソシスト? とか言う存在で、ここで出会ったのは大いなる神の導きかも知れない」
「ありうるのじゃー。神のやつ、明らかに尖った面々を引き合わせておるからのう」
「なんだいこのチビッコは!?」
「わしはディアボラじゃ! 偉大なる儀式魔法の使い手なのじゃー! わっはっはー!」
「はいはい。威勢のいいちびだねえ」
ちびっこの虚言だと思っているのだろうが、ディアボラは本当に偉大な儀式魔法の使い手だからな。
見た目と言動からは全く分からないというのは凄い。
「あたいはあんたらと会ったばかりだろう? とりあえず、あんたらが勇者パーティーだというのは、その棍棒のトゲを見て納得したよ。あたいが訓練を受けた場所にも、そういう神の加護をくれそうな教会があったしね」
「ありましたか!!」
エクセレンが食いついた。
距離が近い。
カッサンドラがのけぞる。
「あったけど! いいかい!? あたいはあんたたちを信用しているわけじゃ……いや、勇者パーティー確定なんだから信用していいんだよね……」
「混乱しておるな」
「普通出会ったばかりの相手は信頼できないものだからな。だがどうやら、勇者パーティーというものは問答無用で信用できるものらしい。これは面白いな」
「俺としちゃ話が早くて助かるよ。カッサンドラ。俺たちは魔王と戦うために全ての古代の教会を巡る予定なんだ。そちらの教会まで連れて行ってくれないか?」
「うっ、むうううう、ぬううううう」
呻いている。
もしかして、本来はひねくれものだったりするのだろうか。
だが、単純明快な目的を持ち、勇者という神の側の人間である証明を持つエクセレンと俺たちが相手だ。
神の使徒であるらしいエクソシストとしては、断る理由が一切ないというわけだ。
なるほど話が早い。
「分かったよ! なんだかあたいの知らぬところで運命が動いているようだね! まさか全く選択肢が無いとは……。連れて行くよ!」
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