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ノウザーム大陸戦乱編
第75話 教会発見! あっさりだな
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夕方になると、共和国側の追っ手らしき連中がパラパラと現れた。
だがいかにもみんなやる気がない。
勇者パーティーが国から逃げ出したということに危機感が無いんだな。
そりゃあ、建国以前の伝説にあるような存在だからな。
現実感を伴わないのは仕方ない。
「このような連中の目を盗んで行動するのは実に容易いな」
ジュウザが笑いながら、俺たちに偽装を施している。
周囲の木々に近い色をした布をかぶっているだけなのだが、なるほど、これは確かに遠目では分からなくなる。
ここにウインドが周囲の草木をくっつけて、さらに分かりづらくなった。
「全然見つからないですねー」
「節穴じゃなー」
「俺も同感だが、みんな散々な言いようだ」
とにかく追っ手の士気が低い。
圧倒的に低い。
なので、ちょっとした偽装で全く見つからなくなるのだ。
俺たちに気付いた勘のいい奴も、面倒事を嫌ってか報告をしなかったりした。
ということで、すぐに目的地に到着である。
時刻はもう夜。
そこは村だったのだが、塀に囲まれ、扉は硬く閉ざされていた。
「この辺りはちゃんと塀と扉があるんですね!」
「モンスターや獣が出るんだろうなあ」
だが、見張りらしき者はいない。
扉も閉じられているだけで、ジュウザが塀を乗り越えて中から見てみたら……。
「鍵がついていないではないか。閂を外すとすぐに開くぞ」
「形だけの防備だったか」
俺たちは扉を開け、堂々と村に侵入した。
途中、夜の散歩をしている住人がいたので「こんばんは」と挨拶をする。
「こんばんは……って、うわあ、なんだあんたたち!」
「俺たちは勇者パーティーなのだが。エクセレン、棍棒棍棒」
「はい! これ!」
ピカピカ三本のトゲが光る棍棒を見せる。
すると村人が文字通り飛び跳ねて驚いた。
「うわあ!! なんだか分からんが神々しい! こりゃあ大変だ!!」
彼が大きな声を出したので、周囲の住人たちも家から顔を出す。
そしてトゲが輝く棍棒を見て驚愕するのである。
「こりゃあ……お伽噺にあった勇者様でもおかしくない」
「国は勇者伝説なんてエビデンスがないから嘘なので、みんな現実を見て明日のために働きましょうとか言ってたが、本当にあったじゃないか」
「国の言うことは本当にあてにならん」
わいわいと騒ぎながら出てくる住人たち。
かわるがわる、棍棒に触っている。
一般人が棍棒のトゲに触ると、猛烈にビリビリと来るようである。
ヨボヨボのばあさまがトゲに触った後、衝撃でぶっ倒れて運ばれていった。
「棍棒のトゲは劇物だな」
「あんまり触らせたらダメなんですね! ボクは全然だいじょうぶなんで気にしてなかったんですが」
「これはあれじゃぞ! わしじゃったら触っただけでダメージを受けるやつじゃ!」
そんなとんでもないものだったか。
ディアボラが平然と暮らしていたから気付かなかった。
あれは肝が据わってるだけだったのか。
「それで、勇者様御一行は何をしに来られたのですかのう」
村の長老みたいなじいさんが現れて、代表して質問をしてくる。
「おう。実はこのトゲは、ものすごく古い教会を巡ると生えてくるやつでな。このエクセレンが神に認められた勇者となっていくための儀式みたいなものなんだ。で、この辺りにそういう古い教会がないかなと思ってな」
「教会……はて」
長老が首を傾げた。
これを見てディアボラが肩をすくめる。
「せいぜい七十年とか八十年しか生きていない若造なのじゃ! 物を知らぬのも無理はないのじゃー」
そりゃあ、千年以上生きてるディアボラに言わせればな。
「そういえばー」
ちびっこたちが出てきた。
村の子どもだな。
「おれたちがあそんでるとこ、きょうかいじゃね?」
「そうかも!」
「そうなのか。案内してくれないか?」
「いいぜ!!」
子どもたちが走り出す。
危ないので大人たちも後をついていく。
結局、村のみんなでわいわいと移動することになってしまった。
村の奥は、とても古い町並みのようになっている。
人は住んでいないようだが、なかなか趣深い。
「おれたち、ここできもだめしとかしてるの!」
「ほんとうにゆうれいでるもんな!」
「塀の中にこのような古代の街区があるとは……」
ウインドが周囲を見回して感心している。
長老曰く、何か使える素材が取れるかも知れないので、村の中に囲っておくようにと共和国から指示があったのだそうだ。
本当に目先の利益的なことにしか興味がない国である。
現実には、誰も古い街で家探しなんかしたがらず、こうして放置されている。
傍目にも石造りの古い家々が並ぶばかりで、言うなれば遺跡みたいなものだ。
現実の利益になりそうなものなんか手に入ら無さそうに見えるよな。
「あっ、トゲが反応してますよ!!」
エクセレンが叫んだ。
村人たちが、うわーっと沸く。
夜闇を煌々と照らし、トゲの輝きが一層強まっていたのだ。
三本が全然違う色だから、実に映えるな。
すると、古い家並みの奥で、青い輝きが灯った。
「あそこか」
どかどかと詰めかける俺たち。
そこは、なるほど……。
半分が地面に埋もれた建物である。
一見すると何なのかは分からないが……。
「任せよ。ドトン!!」
ジュウザのドトンで、地面に穴が掘られた。
建物の入口が顕になる。
こうなればひと目で、これが教会なのだと分かった。
「あったなあ」
「ありましたね! 神様ー!! 来ましたー!!」
エクセレンが呼びかける。
すると、教会の奥から青い輝きが飛び出してきた。
それは棍棒に衝突すると、そのままトゲの無かった辺に宿る。
青いトゲとなった。
段々プロセスが雑になってるな。
「これは……ええと、秩序のトゲだそうです」
「つまりこれは秩序の教会か。どういう力を持っているんだか見当もつかんな」
俺たちはあっさりと、新たなトゲをゲットした。
しかしまあ、秩序とは、どういうことができるのだろうな……?
だがいかにもみんなやる気がない。
勇者パーティーが国から逃げ出したということに危機感が無いんだな。
そりゃあ、建国以前の伝説にあるような存在だからな。
現実感を伴わないのは仕方ない。
「このような連中の目を盗んで行動するのは実に容易いな」
ジュウザが笑いながら、俺たちに偽装を施している。
周囲の木々に近い色をした布をかぶっているだけなのだが、なるほど、これは確かに遠目では分からなくなる。
ここにウインドが周囲の草木をくっつけて、さらに分かりづらくなった。
「全然見つからないですねー」
「節穴じゃなー」
「俺も同感だが、みんな散々な言いようだ」
とにかく追っ手の士気が低い。
圧倒的に低い。
なので、ちょっとした偽装で全く見つからなくなるのだ。
俺たちに気付いた勘のいい奴も、面倒事を嫌ってか報告をしなかったりした。
ということで、すぐに目的地に到着である。
時刻はもう夜。
そこは村だったのだが、塀に囲まれ、扉は硬く閉ざされていた。
「この辺りはちゃんと塀と扉があるんですね!」
「モンスターや獣が出るんだろうなあ」
だが、見張りらしき者はいない。
扉も閉じられているだけで、ジュウザが塀を乗り越えて中から見てみたら……。
「鍵がついていないではないか。閂を外すとすぐに開くぞ」
「形だけの防備だったか」
俺たちは扉を開け、堂々と村に侵入した。
途中、夜の散歩をしている住人がいたので「こんばんは」と挨拶をする。
「こんばんは……って、うわあ、なんだあんたたち!」
「俺たちは勇者パーティーなのだが。エクセレン、棍棒棍棒」
「はい! これ!」
ピカピカ三本のトゲが光る棍棒を見せる。
すると村人が文字通り飛び跳ねて驚いた。
「うわあ!! なんだか分からんが神々しい! こりゃあ大変だ!!」
彼が大きな声を出したので、周囲の住人たちも家から顔を出す。
そしてトゲが輝く棍棒を見て驚愕するのである。
「こりゃあ……お伽噺にあった勇者様でもおかしくない」
「国は勇者伝説なんてエビデンスがないから嘘なので、みんな現実を見て明日のために働きましょうとか言ってたが、本当にあったじゃないか」
「国の言うことは本当にあてにならん」
わいわいと騒ぎながら出てくる住人たち。
かわるがわる、棍棒に触っている。
一般人が棍棒のトゲに触ると、猛烈にビリビリと来るようである。
ヨボヨボのばあさまがトゲに触った後、衝撃でぶっ倒れて運ばれていった。
「棍棒のトゲは劇物だな」
「あんまり触らせたらダメなんですね! ボクは全然だいじょうぶなんで気にしてなかったんですが」
「これはあれじゃぞ! わしじゃったら触っただけでダメージを受けるやつじゃ!」
そんなとんでもないものだったか。
ディアボラが平然と暮らしていたから気付かなかった。
あれは肝が据わってるだけだったのか。
「それで、勇者様御一行は何をしに来られたのですかのう」
村の長老みたいなじいさんが現れて、代表して質問をしてくる。
「おう。実はこのトゲは、ものすごく古い教会を巡ると生えてくるやつでな。このエクセレンが神に認められた勇者となっていくための儀式みたいなものなんだ。で、この辺りにそういう古い教会がないかなと思ってな」
「教会……はて」
長老が首を傾げた。
これを見てディアボラが肩をすくめる。
「せいぜい七十年とか八十年しか生きていない若造なのじゃ! 物を知らぬのも無理はないのじゃー」
そりゃあ、千年以上生きてるディアボラに言わせればな。
「そういえばー」
ちびっこたちが出てきた。
村の子どもだな。
「おれたちがあそんでるとこ、きょうかいじゃね?」
「そうかも!」
「そうなのか。案内してくれないか?」
「いいぜ!!」
子どもたちが走り出す。
危ないので大人たちも後をついていく。
結局、村のみんなでわいわいと移動することになってしまった。
村の奥は、とても古い町並みのようになっている。
人は住んでいないようだが、なかなか趣深い。
「おれたち、ここできもだめしとかしてるの!」
「ほんとうにゆうれいでるもんな!」
「塀の中にこのような古代の街区があるとは……」
ウインドが周囲を見回して感心している。
長老曰く、何か使える素材が取れるかも知れないので、村の中に囲っておくようにと共和国から指示があったのだそうだ。
本当に目先の利益的なことにしか興味がない国である。
現実には、誰も古い街で家探しなんかしたがらず、こうして放置されている。
傍目にも石造りの古い家々が並ぶばかりで、言うなれば遺跡みたいなものだ。
現実の利益になりそうなものなんか手に入ら無さそうに見えるよな。
「あっ、トゲが反応してますよ!!」
エクセレンが叫んだ。
村人たちが、うわーっと沸く。
夜闇を煌々と照らし、トゲの輝きが一層強まっていたのだ。
三本が全然違う色だから、実に映えるな。
すると、古い家並みの奥で、青い輝きが灯った。
「あそこか」
どかどかと詰めかける俺たち。
そこは、なるほど……。
半分が地面に埋もれた建物である。
一見すると何なのかは分からないが……。
「任せよ。ドトン!!」
ジュウザのドトンで、地面に穴が掘られた。
建物の入口が顕になる。
こうなればひと目で、これが教会なのだと分かった。
「あったなあ」
「ありましたね! 神様ー!! 来ましたー!!」
エクセレンが呼びかける。
すると、教会の奥から青い輝きが飛び出してきた。
それは棍棒に衝突すると、そのままトゲの無かった辺に宿る。
青いトゲとなった。
段々プロセスが雑になってるな。
「これは……ええと、秩序のトゲだそうです」
「つまりこれは秩序の教会か。どういう力を持っているんだか見当もつかんな」
俺たちはあっさりと、新たなトゲをゲットした。
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