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ブリッジスタン攻防戦編
第71話 さらば橋の王国! 北の大陸へ!
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植物モンスターの圧が消えた後も、しばらく城塞魔法は残り続けていたが、夕方くらいになってスッと消えたそうだ。
俺たちがそこに凱旋してきたので、橋の王国は一瞬静まり返る。
そしてすぐに、大歓声が上がった。
「エクセレントマイティ!!」
「王国を救った英雄!」
「モンスターを蹴散らした勇者!」
国民みんな出てきてるんじゃないか?
この国に住んでるのは千人ちょっといたはずだが、それがみんな顔を出して俺たちを讃えている。
こういうのはなんだかむず痒くなるな!
「みんなニコニコしてますよ! 良かったですね、マイティ! ボクたちみんなを幸せにしましたよ!」
「ああ。かなり勇者っぽいことをしたな! ここしばらく、橋の王国で仕事をしてたからな。みんな顔見知りになってしまっている」
「知り合いが凄いことしてくれたーって喜んでるんですね!」
「多分そんな感じだな」
ジュウザはそんな俺たちを見て、「相変わらず、ずれた二人であるなあ」などと笑っている。
ウインドはこれほど大人数に注目されたことがないので、ちょっと挙動不審だ。
ディアボラは空腹を訴える。
「はらへりなのじゃー!!」
すると、ノウザーム大陸側に開店している焼き物の店から、ディアボラに串焼きが差し出された。
「うひょー! 差し入れは大歓迎なのじゃー! うまうまー!!」
実に幸せそうな表情で串焼き肉を頬張るディアボラ。
「そなたたち! よくぞやってくれた!!」
群衆の先頭にいる作業服の男が、仰々しい物言いをしたので俺は首を傾げた。
そしてハッと気付く。
「ああ、陛下か!!」
「うむ。余も民衆の先頭に立ち、この一大事に立ち向かっていた。余の役割は最後の決断だけであるからな。実務は部下に任せていたから、手が空いたぶん仕事をしていたのだ」
「相変わらず勤勉な王だなあ」
「故に、余はお前たちが最前線で戦い、王国を襲ってきた恐るべきモンスターを撃退した様を全て見ていたのだ! 素晴らしかった! 感動した!」
国王が拍手すると、周りも歓声とともに拍手した。
本日を持って橋の王国ブリッジスタンは、持久戦を解除。
備蓄食料を吐き出し、大宴会をするそうだ。
そして消費している端から、避難していた商人たちが新しい食料を備蓄倉庫に運び入れている。
万一のための備えが凄い。
「北は常に戦争をしているのだ。そのため、我が国も煽りを受けることが多い。ブリッジスタンだけで独立を保つためには、十分な量の備蓄を常にしておくことが必要になるわけだ」
国王がの言葉になるほどと頷く。
こんな小さな王国で、しかも北と南を繋ぐ要衝だ。
何度も侵略の危機に遭ってきたことだろう。
それをどうにか、橋の上の国は防ぎ続けてきた。
今回のはスピード戦だったが、今までは本当に持久戦だったとか。
「既に新しい備蓄食料の注文は終わっていたからな! 古い備蓄はここで全開放する。大いに飲み食いするがいい! ああ、それとエクセレントマイティ」
国王が、部下に命じて何かを持ってこさせる。
あれは何か。
ひと目で分かる。
革袋に詰まった金だ。
「報奨金だ。これを使い、北の大陸を旅するがいい」
「いいんですかね? 橋の王国だって余裕があるわけじゃないだろ」
「先行投資というやつだ。そなたらがノウザーム大陸に向かい、あちらで起こっている騒動を平定するだろう。そうすれば北と南の貿易は盛んになる。そのためにはブリッジスタンを通らねばならんのだから、自然と我が国は潤うということだ」
「頭がいい王様だなあ……」
俺はとても感心してしまった。
「拙者らが世界を平和にすれば、世界のありようは大きく変わる。その世界で、国王はブリッジスタンをより豊かにできると自負しているのであろう。確かに大した王だ。そして報奨が金であれば、腐ることはない。どこでも金は活躍するからな」
ブリッジスタンからもらった金は、飾りの無い金貨だった。
どの国でも金は価値がある。
金貨の意匠は違っていても、金そのものならば使い所はいくらでもあるというわけだ。
「パワーアップではなかったですね」
「エクセレンはここで二つも武器を手に入れただろう」
「そうでした!」
スタッフスリングとカノンナックル。
炸裂弾については、ウインドが作れるらしい。
なんでもできるなあいつは。
ということで、エクセレンも広域攻撃能力を手に入れた。
雑魚相手の一撃必殺では、ジュウザには及ばないがこれは仕方ない。
「皆さん、次に行かれるノウザーム大陸ですが」
「おお、チャリンカス!」
騎士チャリンカスがやって来た。
俺たちに情報をくれるようだ。
「はい。ノウザーム大陸の西部では、現在戦争が行われています。タクサス共和国が、ナラティブ自治連合に攻め込んでいますね」
「知らん国の名前が出た」
ざわめく我らエクセレントマイティ。
ノウザーム大陸に関する知識は完全にゼロなのだ。
「ノウザーム大陸は戦乱の大地です。タクサス共和国は、大きな軍事力を持っています。最近、大規模な兵力をナラティブ自治連合に差し向けて戦争を仕掛けたとのことですね。ナラティブ自治連合は、我が国のような小国が集まって作り上げられたものです。団結すれば大国にも抗えますが、個別ではタクサスに勝てないでしょうね」
「人間同士が争ってる場合じゃなかろうになあ」
ノウザーム大陸は、どうやら大変なことになっているようだ。
これ、魔王が関係していたりするんだろうか?
俺たちがそこに凱旋してきたので、橋の王国は一瞬静まり返る。
そしてすぐに、大歓声が上がった。
「エクセレントマイティ!!」
「王国を救った英雄!」
「モンスターを蹴散らした勇者!」
国民みんな出てきてるんじゃないか?
この国に住んでるのは千人ちょっといたはずだが、それがみんな顔を出して俺たちを讃えている。
こういうのはなんだかむず痒くなるな!
「みんなニコニコしてますよ! 良かったですね、マイティ! ボクたちみんなを幸せにしましたよ!」
「ああ。かなり勇者っぽいことをしたな! ここしばらく、橋の王国で仕事をしてたからな。みんな顔見知りになってしまっている」
「知り合いが凄いことしてくれたーって喜んでるんですね!」
「多分そんな感じだな」
ジュウザはそんな俺たちを見て、「相変わらず、ずれた二人であるなあ」などと笑っている。
ウインドはこれほど大人数に注目されたことがないので、ちょっと挙動不審だ。
ディアボラは空腹を訴える。
「はらへりなのじゃー!!」
すると、ノウザーム大陸側に開店している焼き物の店から、ディアボラに串焼きが差し出された。
「うひょー! 差し入れは大歓迎なのじゃー! うまうまー!!」
実に幸せそうな表情で串焼き肉を頬張るディアボラ。
「そなたたち! よくぞやってくれた!!」
群衆の先頭にいる作業服の男が、仰々しい物言いをしたので俺は首を傾げた。
そしてハッと気付く。
「ああ、陛下か!!」
「うむ。余も民衆の先頭に立ち、この一大事に立ち向かっていた。余の役割は最後の決断だけであるからな。実務は部下に任せていたから、手が空いたぶん仕事をしていたのだ」
「相変わらず勤勉な王だなあ」
「故に、余はお前たちが最前線で戦い、王国を襲ってきた恐るべきモンスターを撃退した様を全て見ていたのだ! 素晴らしかった! 感動した!」
国王が拍手すると、周りも歓声とともに拍手した。
本日を持って橋の王国ブリッジスタンは、持久戦を解除。
備蓄食料を吐き出し、大宴会をするそうだ。
そして消費している端から、避難していた商人たちが新しい食料を備蓄倉庫に運び入れている。
万一のための備えが凄い。
「北は常に戦争をしているのだ。そのため、我が国も煽りを受けることが多い。ブリッジスタンだけで独立を保つためには、十分な量の備蓄を常にしておくことが必要になるわけだ」
国王がの言葉になるほどと頷く。
こんな小さな王国で、しかも北と南を繋ぐ要衝だ。
何度も侵略の危機に遭ってきたことだろう。
それをどうにか、橋の上の国は防ぎ続けてきた。
今回のはスピード戦だったが、今までは本当に持久戦だったとか。
「既に新しい備蓄食料の注文は終わっていたからな! 古い備蓄はここで全開放する。大いに飲み食いするがいい! ああ、それとエクセレントマイティ」
国王が、部下に命じて何かを持ってこさせる。
あれは何か。
ひと目で分かる。
革袋に詰まった金だ。
「報奨金だ。これを使い、北の大陸を旅するがいい」
「いいんですかね? 橋の王国だって余裕があるわけじゃないだろ」
「先行投資というやつだ。そなたらがノウザーム大陸に向かい、あちらで起こっている騒動を平定するだろう。そうすれば北と南の貿易は盛んになる。そのためにはブリッジスタンを通らねばならんのだから、自然と我が国は潤うということだ」
「頭がいい王様だなあ……」
俺はとても感心してしまった。
「拙者らが世界を平和にすれば、世界のありようは大きく変わる。その世界で、国王はブリッジスタンをより豊かにできると自負しているのであろう。確かに大した王だ。そして報奨が金であれば、腐ることはない。どこでも金は活躍するからな」
ブリッジスタンからもらった金は、飾りの無い金貨だった。
どの国でも金は価値がある。
金貨の意匠は違っていても、金そのものならば使い所はいくらでもあるというわけだ。
「パワーアップではなかったですね」
「エクセレンはここで二つも武器を手に入れただろう」
「そうでした!」
スタッフスリングとカノンナックル。
炸裂弾については、ウインドが作れるらしい。
なんでもできるなあいつは。
ということで、エクセレンも広域攻撃能力を手に入れた。
雑魚相手の一撃必殺では、ジュウザには及ばないがこれは仕方ない。
「皆さん、次に行かれるノウザーム大陸ですが」
「おお、チャリンカス!」
騎士チャリンカスがやって来た。
俺たちに情報をくれるようだ。
「はい。ノウザーム大陸の西部では、現在戦争が行われています。タクサス共和国が、ナラティブ自治連合に攻め込んでいますね」
「知らん国の名前が出た」
ざわめく我らエクセレントマイティ。
ノウザーム大陸に関する知識は完全にゼロなのだ。
「ノウザーム大陸は戦乱の大地です。タクサス共和国は、大きな軍事力を持っています。最近、大規模な兵力をナラティブ自治連合に差し向けて戦争を仕掛けたとのことですね。ナラティブ自治連合は、我が国のような小国が集まって作り上げられたものです。団結すれば大国にも抗えますが、個別ではタクサスに勝てないでしょうね」
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