“ダメージはゼロだ”追放された最強タンクによる勇者育成記

あけちともあき

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ライトダーク王国編

第44話 地すべり粉砕!

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『ウグワーッ!』

 遠くで悲鳴が聞こえた。
 どうやら地すべりを起こしていたモンスターがおり、ジュウザがそれを倒したようだ。
 左右からの地すべりは完全に止まり、これをディアボラの儀式魔法が固定していっている。

「ボクは正面ですね! いっくぞー!!」

 俺にぶつかり続ける地すべりに、エクセレンが立ち向かう。
 俺の背中から肩を駆け上がり、振り上げる棍棒。
 光のトゲが眩く輝いた。

「とりゃーっ!!」

 勢いよくトゲが振り下ろされる!
 すると……。

 トゲに当たった地すべりが、左右へ真っ二つに避けていくではないか。
 棍棒が、天変地異を叩き割ったのだ!
 これが神が祝福した棍棒の威力か。

 後ろで守られている村人たちから、うおおおーっというどよめきが上がった。

「大地が割れた!」

「見ろ、地すべりが飲み込まれていく!」

「まるで神様みたいな事をしているわ!」

 彼らの言う通り、エクセレンの一撃は大地をも割り、そこに地すべりがどんどん飲み込まれていくところだった。
 災害はいつまでも続きはしない。
 地すべりはついに止み、村の家屋への被害は最小限で食い止められた。

 ぶっちゃけ、壊れている家が一軒もない辺りは、俺も予想外だった。
 柵や塀が壊れてしまったくらいだな。

「やるものなのじゃ! これが神の力か? 棍棒の一振りで、わしの儀式魔法に似た力を発揮するとは!」

「はい! でも、トゲがちっちゃくなっちゃいました」

「ほんとだな。棍棒のトゲが親指サイズまで小さくなってる。使いすぎるとよくない技なんだな。そのうち回復するんじゃないか?」

 あまり多用はできまいが、エクセレンにとんでもない切り札ができたことになる。

「では村のみんな。誰一人欠けてないか? 確認してくれ」

 俺が号令を出すと、村人たちはお互いの数を数え始めた。
 そのうちに、ジュウザが帰還してくる。

「おお、止めたか! 大したものだ。山の上からでも、大地が裂けたのが見えたぞ。光り輝くトゲが大地に突き刺さっていた。あれはエクセレンだな?」

「ボクです!」

「ぬう、さすがは勇者だ。やはりお主は拙者にできぬことができるのだな!」

 ジュウザが嬉しそうに、エクセレンの肩をポンポン叩いた。
 彼は自分が最強ではないということが、楽しくて堪らないらしい。
 根っからの求道者みたいなところもあるのだろうし、クリティカルヒットが絶対ではなかったことに安心感を覚えるんだろう。

「一つのトゲでこの威力じゃ! つまり六つ集まれば、確かに魔王でも倒せてしまうかもしれんのじゃ。ライトダーク王国にも確か、古い教会があったはずと思い出したのじゃ」

「ほう、ここにも教会が?」

「うむ! だが詳しいことは覚えていないのじゃー」

「問題ないだろ。この土地の人たちに聞けばいいだけだ」

 少しして、村人たちに欠員なしと判明した。
 やったー!と歓声を上げる村人たちとエクセレン。

 畑の一部は犠牲になっていたが、村人が誰一人欠けていないなら、再び地面を掘り起こして畑にしていくことができるだろう。

「地すべりでやってくる土は、栄養がたっぷりなんです。良い野菜が育ちますよ」

 村人からのたくましい一言なのだった。
 その後、村で大いに歓待された。

 出された食べ物はそこまで豪勢じゃなかったが、それは災害に遭った後だし当たり前だろう。
 彼らの気持ちをありがたくいただくとするのだ。

 しかも、彼らはしばらく税を免除される。
 なるほど、それでつまり村の復興に専念できるというわけだ。

 仕事を依頼してきた人間の意図とは大きく違うかも知れないけどな。

 エクセレントマイティは、村で一晩ゆっくりし、朝に旅立った。
 昼過ぎにはライトダークの王都へ到着する。

 星見の塔には例の占星術師がいて、筒のようなものを目に当てて俺たちを見ていた。

「あの動きは驚いているな」

 ジュウザが笑った。

「拙者の目は遠く離れたものもよく見える。やはり、此度の災いはあの占星術師が絡んでいると見て間違いあるまい」

「おう。あいつ、キャプテンガイストとかモンスターになったご令嬢みたいな雰囲気がするんだよな。ただ、ちょっと違うと言うか何と言うか」

 うまく言葉にできないな。
 だが、それは実際に会ってみれば確かめられるだろう。

 俺たちは、国の政治を執り行う執務室に呼ばれた。
 そこで、王と大臣、占星術師に会う。

「地すべりがあって、村が飲み込まれるところだった。俺たちが防いだので人的被害は全く無いが」

「なんと!?」

 ベテルギウ王は目を丸くした。
 これは本気で驚いている。

「モンスターが関わってたようだ。ジュウザがそいつを仕留めた。しばらく税を取らないというお達しは、確かに彼らの復興のために役立つだろうな」

「ふむ……やはり、占星術師の言った通りだったな」

 王があごひげを撫でる。

「お前たちをかの村に向かわせよと。村には税はしばらくいらぬと伝えさせよと、占星術師が言ったのだ。星の導きだと言ってな」

「はい。その通りです」

 占星術師が頷く。
 うーむ、張り付いたような笑顔だ。
 表情が読めん。

 読めても俺には詳しいことは分からないがな。

「ともあれ! 災いは退けられた! どうやって地すべりを止めたのか見当もつかんが、勇者だからそういうこともあるだろう! 褒美を遣わす。何なりと言うがよい」

「じゃあ」

 エクセレンが口を開いた。

「古い教会みたいなのないですか? 千年くらい経っていそうな教会を探しているんですけど」

 占星術師の眉がピクリと動いたぞ。
 あれは知っているのではないか。

 ジュウザと目配せし合う俺なのだった。
 あいつを泳がせて、教会の場所を教えてもらうとしよう。



パーティー名『エクセレントマイティ』
ランク:A
構成員:四名

名前:エクセレン
職業:エクセレントファイター
Lv:30
HP:300
MP:222
技 :魔技ミサイルスピン クイックドロー バックスタブ パイルバンカーブロウ
エンタングルブロウ
魔法:マジックミサイル(中級):派生ドリルマジックミサイル(中級) ヒール(中級) ライト(中級)
覚醒:シャイニング棍棒 グランド棍棒インパクト1 シャイニング斬 シャイニングアロー
武器:聖なる棍棒(第一段階) 鋼のショートソード 鋼のトマホーク ハルバード
 ガイストサーベル 帝国の弓矢 魔王星の欠片
防具:チェインメイルアーマー(上質)


名前:マイティ
職業:タンク
Lv:86(レベルアップ間近)
HP:1200
MP:0
技 :ガード強化(特級) カバーガード(特級) エリアガード(特級)
   マジックガード(特級) マインドガード(特級) パリィ(特級)
   ガードムーブ(特級) ヘイトコントロール(特級) マッチング(中級)
魔法:なし
覚醒:フェイタルガード ディザスターガード2
武器:なし
防具:熟練のプレートアーマー、??のビッグシールド


名前:ジュウザ・オーンガワラ
職業:ニンジャ(オーンガワラ流アークニンジャ)
Lv:83(レベルアップ間近)
HP:655
MP:520
技 :クリティカルヒット(特級) デックスアーマークラス(特級) ラビットムーブ(特級)
   シュリケンスロー(特級) ハイド&シーク(特級)
魔法:カトン(特級) スイトン(特級) ドトン(特級)
覚醒:クリティカルヒット(極)
武器:投擲用ダガー
防具:なし


名前:ディアボラ
職業:アークメイジ
Lv:154
HP:490
MP:2600
技 :テレポート
魔法:(一部のみ記載)ヒーリングサークル ウォーブレス ステイシスサークル
 メテオフォール ライジングメテオ ボルカニックゲイザー 
 ツイスター メイルシュトローム
覚醒:魔法儀式行使
武器:儀式用ダガー
防具:魔将のローブ(サイズSS)

 
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