“ダメージはゼロだ”追放された最強タンクによる勇者育成記

あけちともあき

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第37話 魔王城建立と、勇者の村の教会

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『お早いお付きでしたな、魔王様』

『ああ。私はサプライズが大好きでね。いやあ、まさか私の魔王星が落とされるとは。計算外にも程があるよ、この星は』

 崩れ落ちたナンポー帝国城にて、二人の魔将は主を迎え入れていた。
 傅く黒騎士と、ティターン。

『なんと、魔王様が計算しきれぬほどの輩がこの星に……?』

『そうとも』

 魔王の姿は、白いシャツを着た男のものだ。

『見事に瓦礫だらけだね。では、ここを玉座としよう』

 魔王が空間を叩く。
 すると、瓦礫の山が全く異なる光景に塗り替わった・・・・・・

『これでよかろう』

 出現したのは、禍々しい意匠の玉座だ。
 螺旋を描いたような模様が刻まれており、その一つ一つが魔王の使う呪文となっている。

『ティターン』

『はあ』

『オバカ!』

『ウグワーッ!?』

 突如、ティターンの目の前に出現した魔王の拳。
 それが魔将ティターンを殴り飛ばしたのである。

 巨体がゴロゴロ転げながら、崩れかけの城をさらに破壊していく。

『どうして何の報告も無かった? 勇者がいたじゃないか。しかもあれは、私がこれまで出会ってきた星の免疫機構の中でも、最高にぶっ壊れたやつだ。幸い、今は未熟だから殺しきれるだろう。殺しきれるはずだった。だがな、またおかしい、バグってるやつが近くにいたんだ。あれは最悪の組み合わせだ』

『ば、ばぐ、とは……?』

 黒騎士が首をかしげる。

『つまりね。おかしいのがいたんだよ。私がいつものように世界を塗り替えようとしてやったのを、よりによって盾で防いだんだ! あれはおかしいよ。あんなものがこの地に存在していただって? 冗談じゃない。クズどもを誘惑して魔将にしてる場合じゃないじゃないか』

『はっ。故にあの土地で、魔将が次々に打ち倒されていた旨をご報告申し上げたのですな』

『ああ、なるほど。それがあの連絡か。お陰で私は、予定を大幅に繰り上げてやって来ることになったよ』

『いやあ、面目ない。俺が当たった現地の連中がみんな弱かったもんで』

 頭を掻きながら戻ってくるティターン。

『まあそうだな。君に細やかな報告などできるわけがない。いきなり当たった私も悪かったよ』

『そう言っていただけるとありがたいですよ。まあ、俺にできるのは相手をぶん殴ることだけですからねえ』

『ああ。君はそういう運用しかできないんだった。忘れていたよ。なんで君を最初に派遣してしまったんだろうな。いや、私も舐めプが過ぎたな。はっはっはっはっは』

 笑う魔王。
 笑いながら、片手間で瓦礫の城を書き換えていく。
 崩れかけの城が、魔王によって全く違うものに置き換わっていくのだ。

 天を衝く、青い剣のような城。
 表面は磨き上げられたガラスのようである。
 そこに光が灯り、巨大なモンスターの顔を映し出した。

『さて、これで格好がつくだろう。この惑星……プラネティア攻略のための拠点としよう。どうだい、全面ディスプレイの城だ。キャッスル・ミルグレーブの誕生だね』

 パチパチと拍手をする魔王。

『して、その後、どうなさるおつもりですかな魔王様』

『ああ、うん。後発の魔将も連れてきている。続々到着するだろう。それに、やっぱりクズを堕として魔将にしても弱いね。魂がクズなんだ。だから、やるならば真にこの世界を愛している人間を堕落させて魔将に変えてやらねばね』

『魔王様もよいご趣味をしておいでで……。おや? 私めはクズではなかったので?』

『君は魔王信仰者の末裔だろう? 千年掛けて私を待ち望んでくれていたのだから、クズなんてとんでもない! 素晴らしい出会いだったよ!』

『いやはや! そうまで言っていただけると、千年代を継いだ価値があったというものです! 先祖も喜んでいることでしょう!』

『おう! 黒騎士は現地の魔将では一番つええからな! 本当に逸材だったぜ! 魔王様の見る目は確かだなあ』

『あっはっはっはっは、それほどでもあるかな!』

 明るい笑いが響き渡る魔王城。
 壁面には外の様子が映し出され、その空には、幾つもの見慣れぬ星が輝き始めているのだった。





「なんか星が増えてません?」

「ありゃ魔将星じゃのう」

「さっすがディアボラ詳しいー」

「うっはっは、真の魔王様が連れてきた魔将もあれでこの星に来たからのう! ありゃあ星に落下する前に大気圏で燃え尽きる程度の大きさじゃ。魔将だけが降りてくる。放っておいてよかろうなのじゃー」

「そうなんですねー」

 ディアボラは色々な知恵があるから、本当に頼りになるな。
 さて、ところで俺たちは、エクセレンの村にやって来ているのだが……。

「ほう、ここがエクセレンが神の声を聞いたという場所であるか」

 ジュウザが見つめているのは、教会である。
 小さくて古いな。
 石造りだから崩れずに残っているが……。ざっと数百年は経ってそうだ。

「ここで祈ってたら神に、お前は勇者だーって言われたのか」

「はい! もう古くて、司祭様も使ってないんですけどね。ボク、ここの雰囲気が好きでよく来てたんです」

「どれどれ……?」

 教会の扉は壊れていて、自由に中に入れる。
 流石にこいつを壊すのは、村人も怖かったんだろう。
 だから荒れるがままに放置してあったと。

 屋内は、確かに古びて、窓から蔦が入り込んだりしていたが、どこも崩れたりはしていない。
 壁際には、ギザギザを刻んだ円盤が立てかけられている。
 神への祈りを現す聖なる紋章だな。

「懐かしい~。ここで毎日祈ってたんですよね。そうしたら、ボクが六歳くらいの頃に、そなたは勇者だーって」

「へー」

「もちろん、誰も相手にしてくれなかったですけど! おばあちゃんはウンウンって聞いてくれてましたけど、もう死んじゃいましたし」

「理解されないというのは辛いもんな」

「うむ、辛い」

「辛いのじゃー」

 その辺りはエクセレントマイティの全員が理解してるからな。
 俺は紋章に呼びかける。

「おーい、神様よ。安心しろ。勇者には仲間ができたからよ。そして、魔王のやつをぶん殴ってやった。これから俺らは旅をして、あの野郎を本格的にぶっちめる」

「うむ、任せよ神よ」

「神かあ。ま、千年前は敵じゃったが、今は味方じゃからな! どーんと頼りにするがよい!」

 俺たちのこの声が届いたのだろうか?
 答えはすぐにやって来た。

「あっ、棍棒が熱いです!!」

 エクセレンが腰に装備していた棍棒を取り出す。
 鋼の棍棒の一部が赤く光り輝いているではないか。

「これは……!!」

「おお、棘が生えた!!」

 なんと、棍棒から光り輝く棘が生えてきたのである。
 棍棒の打撃部分は六角柱。
 その一面から棘が生えているということは……。

「あと五つのこういう教会を巡って、エクセレンの棍棒をパワーアップさせていけということなんだな」

「勇者の武器が棍棒なのだな。まあエクセレンらしくてよかろう」

「わっはっは! あの小賢しそうな魔王相手なら、野蛮なくらいがちょうどいいじゃろう!」

 思わぬパワーアップを果たした俺たちなのである。

パーティー名『エクセレントマイティ』
ランク:B+
構成員:四名

名前:エクセレン
職業:エクセレントファイター
Lv:30
HP:300
MP:222
技 :魔技ミサイルスピン クイックドロー バックスタブ パイルバンカーブロウ
エンタングルブロウ
魔法:マジックミサイル(中級):派生ドリルマジックミサイル(中級) ヒール(中級) ライト(中級)
覚醒:シャイニング棍棒 シャイニング斬 シャイニングアロー
武器:聖なる棍棒(第一段階) 鋼のショートソード 鋼のトマホーク ハルバード
 ガイストサーベル 帝国の弓矢 魔王星の欠片
防具:チェインメイルアーマー(上質)


名前:マイティ
職業:タンク
Lv:86(レベルアップ間近)
HP:1200
MP:0
技 :ガード強化(特級) カバーガード(特級) エリアガード(特級)
   マジックガード(特級) マインドガード(特級) パリィ(特級)
   ガードムーブ(特級) ヘイトコントロール(特級) マッチング(中級)
魔法:なし
覚醒:フェイタルガード ディザスターガード
武器:なし
防具:熟練のプレートアーマー、??のビッグシールド


名前:ジュウザ・オーンガワラ
職業:ニンジャ(オーンガワラ流アークニンジャ)
Lv:83(レベルアップ間近)
HP:655
MP:520
技 :クリティカルヒット(特級) デックスアーマークラス(特級) ラビットムーブ(特級)
   シュリケンスロー(特級) ハイド&シーク(特級)
魔法:カトン(特級) スイトン(特級) ドトン(特級)
覚醒:クリティカルヒット(極)
武器:投擲用ダガー
防具:なし


名前:ディアボラ
職業:アークメイジ
Lv:154
HP:490
MP:2600
技 :テレポート
魔法:(一部のみ記載)ヒーリングサークル ウォーブレス ステイシスサークル
 メテオフォール ライジングメテオ ボルカニックゲイザー 
 ツイスター メイルシュトローム
覚醒:魔法儀式行使
武器:儀式用ダガー
防具:魔将のローブ(サイズSS)

 
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