6 / 108
第6話 全体的にモンスターが強くなった説と、勇者装備更新
しおりを挟む
いつまでも革の服ではいかんだろうと言うことで、エクセレンの装備を更新に行った。
依頼の報酬は大したことが無かったが、接収したゴブリンの装備が思いの外売れたのだ。
「革の服にも愛着があるんですけど」
「それでは万一俺がガードしきれなかった時に、お前さんの命が危ないからな」
「万一ってあるんですか?」
「無いけどな」
「やっぱり!」
エクセレンが笑う。
だが待って欲しい。
一応鎧はちゃんとしたものを着ておいた方がいいだろう。
ということで、革の服の上から肩当てと胸当てを装着することになった。
合わせて革の鎧というわけだ。
「あー、これなら動きにくくないかもです! あと、武器はですね、手斧と棍棒とナイフで行きます!」
「勇者ってイメージの装備じゃないな」
「一番強力なんで!」
「確かにな」
装備更新はあっという間に終わってしまった。
武器は敵から取り上げるわけで、経済的だ。
まだまだ未熟なエクセレンは、いい武器を無理して装備するよりは、使いやすい武器を何本か持っておく方が良かろう。
酒場で、今後について話し合うことにする。
「少し休んだし、次の依頼に行こう」
「はい! いつ魔王がやって来るか分かりませんしね!」
俺たちの話を横で聞いていたらしい冒険者が、「魔王だってよ」「何言ってるんだあのガキ」「御伽話じゃねえの」などと言っている。
別に、魔王が現れるのが本当かウソかなどはどうでもいいのだ。
それがエクセレンが頑張るモチベーションなのだから、バカにするものではない。
「エクセレン、ああいう人の心が分からん連中の話は気にするな」
「はい!」
「なんだとお前、今オレらのことを、人の心が無いとか言ったな?」
おっと、聞こえたようだ。
立ち上がる向こうのパーティ。
俺も立ち上がった。
「酒場の中は迷惑が掛かる。外でやろうじゃないか」
「うるせえ!」
殴りかかってくる冒険者。
酒が入っているな。
それで無礼なことを言ったり、すぐに襲いかかってきたりしたのだ。
「ふんっ!」
俺はこのパンチを受け止める。
「こいつ!!」
蹴りが来た。
「ふんっ!」
俺はこの蹴りも受け止める。
「てめえ!」
受け止める。「このっ!」受け止める。「当たらねえ!!」受け止める。「畜生!」受け止める。
ついに相手は、息が上がり、フラフラになってしまった。
「くそっ! まとめて畳んじまえ!」
一斉に襲いかかってくる冒険者たち。
「よーし、ちょっとだけ本気だ! ほい、ガード!」
両手と胸板と腹筋で、全員の攻撃を一度に受け止めた。
「げえ……」
「なんて奴だ……! 攻撃が通じねえ……!」
「あ、こ、こいつ! フェイクブレイバーズのタンクだった男だ! 攻撃を受け止める技では大陸一って奴だぞ!」
「マジか!? くそっ、相手が悪い!」
「覚えてやがれ!」
冒険者たちはわらわらと、店を出ていった。
「畜生、最近モンスターが強くて、まともに依頼がこなせねえってのに面白くねえ!」
彼らを見送りつつ、俺は肩をすくめた。
「なんだ、八つ当たりじゃないか」
「さすがですねーマイティ」
「めちゃくちゃ手加減したけどな。あいつら、酔っ払ってたから狙いも甘くなってただろ?」
「でも彼ら、Bランクパーティーですよ?」
「そうなの?」
そのランクのパーティが、まともに依頼をこなせないってどういうことなんだろうな?
「ボク、分かっちゃいました」
「どうしたんだエクセレン、凄く得意げな顔をして」
「あのですね。他のパーティを見回して思ったんですけど。マイティみたいなタンクがいないんですよね」
「そうなのか? 攻撃されたらどうするんだ」
「ええとですね、みんな、敵にやられるまえにやる、みたいな考え方をしてるみたいです」
「あー、フェイクブレイバーズと一緒だ」
冒険者ギルドの長い歴史の中で、危険なモンスターたちは大部分が退治されてしまっている。
それに、攻撃のためのスキルも魔法も、強力なものが開発されていた。
なんというか、冒険者たちが攻撃偏重になって来ている感があるな。
でも、それで今までやって来れたんだから問題ないんじゃないか?
「冒険者の人って凄いんですね……。この間のゴブリンとか、それよりももっと強いモンスターを、防御しないで倒しちゃうんでしょ? ボクにはとても無理です」
「うむ。この間は上手くはまったもんな。俺が受け止めてエクセレンが殴る。素晴らしいコンビネーションだった」
「はい! ボクたち数が少ないですから。あと、マイティのタンクの力におんぶに抱っこみたいな状態で、ちょうっと申し訳ないです」
「気にするな。それが俺の仕事だ。それに、お前さんは戦闘経験を積んで強くなれるだろ? よし、そろそろ次の依頼を受けるか!」
「はい! 今度はDランクの依頼で、遺跡の入口の守備っていうのがあってですね。たまにモンスターが逃げ出してくるので、これを退治するんだそうです。色々なモンスターと戦えそうじゃないですか?」
「いいな。これで行こう!」
次なる俺たちの仕事は決定するのだった。
パーティー名『エクセレントマイティ』
ランク:D+
構成員:二名
名前:エクセレン
職業:エクセレントファイター
Lv:6
HP:59
MP:35
技 :二刀流スピン クイックドロー バックスタブ
魔法:マジックミサイル(下級) ヒール(下級) ライト(下級)
覚醒:未
武器:鉄のナイフ 鉄のトマホーク トゲ付き棍棒
防具:革の鎧
名前:マイティ
職業:タンク
Lv:85
HP:1200
MP:0
技 :ガード強化(特級) カバーガード(特級) エリアガード(特級)
マジックガード(特級) マインドガード(特級) パリィ(特級)
ガードムーブ(特級) ヘイトコントロール(特級)
魔法:なし
覚醒:なし
武器:なし
防具:熟練のプレートアーマー、熟練のビッグシールド
依頼の報酬は大したことが無かったが、接収したゴブリンの装備が思いの外売れたのだ。
「革の服にも愛着があるんですけど」
「それでは万一俺がガードしきれなかった時に、お前さんの命が危ないからな」
「万一ってあるんですか?」
「無いけどな」
「やっぱり!」
エクセレンが笑う。
だが待って欲しい。
一応鎧はちゃんとしたものを着ておいた方がいいだろう。
ということで、革の服の上から肩当てと胸当てを装着することになった。
合わせて革の鎧というわけだ。
「あー、これなら動きにくくないかもです! あと、武器はですね、手斧と棍棒とナイフで行きます!」
「勇者ってイメージの装備じゃないな」
「一番強力なんで!」
「確かにな」
装備更新はあっという間に終わってしまった。
武器は敵から取り上げるわけで、経済的だ。
まだまだ未熟なエクセレンは、いい武器を無理して装備するよりは、使いやすい武器を何本か持っておく方が良かろう。
酒場で、今後について話し合うことにする。
「少し休んだし、次の依頼に行こう」
「はい! いつ魔王がやって来るか分かりませんしね!」
俺たちの話を横で聞いていたらしい冒険者が、「魔王だってよ」「何言ってるんだあのガキ」「御伽話じゃねえの」などと言っている。
別に、魔王が現れるのが本当かウソかなどはどうでもいいのだ。
それがエクセレンが頑張るモチベーションなのだから、バカにするものではない。
「エクセレン、ああいう人の心が分からん連中の話は気にするな」
「はい!」
「なんだとお前、今オレらのことを、人の心が無いとか言ったな?」
おっと、聞こえたようだ。
立ち上がる向こうのパーティ。
俺も立ち上がった。
「酒場の中は迷惑が掛かる。外でやろうじゃないか」
「うるせえ!」
殴りかかってくる冒険者。
酒が入っているな。
それで無礼なことを言ったり、すぐに襲いかかってきたりしたのだ。
「ふんっ!」
俺はこのパンチを受け止める。
「こいつ!!」
蹴りが来た。
「ふんっ!」
俺はこの蹴りも受け止める。
「てめえ!」
受け止める。「このっ!」受け止める。「当たらねえ!!」受け止める。「畜生!」受け止める。
ついに相手は、息が上がり、フラフラになってしまった。
「くそっ! まとめて畳んじまえ!」
一斉に襲いかかってくる冒険者たち。
「よーし、ちょっとだけ本気だ! ほい、ガード!」
両手と胸板と腹筋で、全員の攻撃を一度に受け止めた。
「げえ……」
「なんて奴だ……! 攻撃が通じねえ……!」
「あ、こ、こいつ! フェイクブレイバーズのタンクだった男だ! 攻撃を受け止める技では大陸一って奴だぞ!」
「マジか!? くそっ、相手が悪い!」
「覚えてやがれ!」
冒険者たちはわらわらと、店を出ていった。
「畜生、最近モンスターが強くて、まともに依頼がこなせねえってのに面白くねえ!」
彼らを見送りつつ、俺は肩をすくめた。
「なんだ、八つ当たりじゃないか」
「さすがですねーマイティ」
「めちゃくちゃ手加減したけどな。あいつら、酔っ払ってたから狙いも甘くなってただろ?」
「でも彼ら、Bランクパーティーですよ?」
「そうなの?」
そのランクのパーティが、まともに依頼をこなせないってどういうことなんだろうな?
「ボク、分かっちゃいました」
「どうしたんだエクセレン、凄く得意げな顔をして」
「あのですね。他のパーティを見回して思ったんですけど。マイティみたいなタンクがいないんですよね」
「そうなのか? 攻撃されたらどうするんだ」
「ええとですね、みんな、敵にやられるまえにやる、みたいな考え方をしてるみたいです」
「あー、フェイクブレイバーズと一緒だ」
冒険者ギルドの長い歴史の中で、危険なモンスターたちは大部分が退治されてしまっている。
それに、攻撃のためのスキルも魔法も、強力なものが開発されていた。
なんというか、冒険者たちが攻撃偏重になって来ている感があるな。
でも、それで今までやって来れたんだから問題ないんじゃないか?
「冒険者の人って凄いんですね……。この間のゴブリンとか、それよりももっと強いモンスターを、防御しないで倒しちゃうんでしょ? ボクにはとても無理です」
「うむ。この間は上手くはまったもんな。俺が受け止めてエクセレンが殴る。素晴らしいコンビネーションだった」
「はい! ボクたち数が少ないですから。あと、マイティのタンクの力におんぶに抱っこみたいな状態で、ちょうっと申し訳ないです」
「気にするな。それが俺の仕事だ。それに、お前さんは戦闘経験を積んで強くなれるだろ? よし、そろそろ次の依頼を受けるか!」
「はい! 今度はDランクの依頼で、遺跡の入口の守備っていうのがあってですね。たまにモンスターが逃げ出してくるので、これを退治するんだそうです。色々なモンスターと戦えそうじゃないですか?」
「いいな。これで行こう!」
次なる俺たちの仕事は決定するのだった。
パーティー名『エクセレントマイティ』
ランク:D+
構成員:二名
名前:エクセレン
職業:エクセレントファイター
Lv:6
HP:59
MP:35
技 :二刀流スピン クイックドロー バックスタブ
魔法:マジックミサイル(下級) ヒール(下級) ライト(下級)
覚醒:未
武器:鉄のナイフ 鉄のトマホーク トゲ付き棍棒
防具:革の鎧
名前:マイティ
職業:タンク
Lv:85
HP:1200
MP:0
技 :ガード強化(特級) カバーガード(特級) エリアガード(特級)
マジックガード(特級) マインドガード(特級) パリィ(特級)
ガードムーブ(特級) ヘイトコントロール(特級)
魔法:なし
覚醒:なし
武器:なし
防具:熟練のプレートアーマー、熟練のビッグシールド
0
お気に入りに追加
89
あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

勇者の野郎と元婚約者、あいつら全員ぶっ潰す
さとう
ファンタジー
大陸最大の王国である『ファーレン王国』
そこに住む少年ライトは、幼馴染のリリカとセエレと共に、元騎士であるライトの父に剣の稽古を付けてもらっていた。
ライトとリリカはお互いを意識し婚約の約束をする。セエレはライトの愛妾になると宣言。
愛妾を持つには騎士にならなくてはいけないため、ライトは死に物狂いで騎士に生るべく奮闘する。
そして16歳になり、誰もが持つ《ギフト》と呼ばれる特殊能力を授かるため、3人は王国の大聖堂へ向かい、リリカは《鬼太刀》、セエレは《雷切》という『五大祝福剣』の1つを授かる。
一方、ライトが授かったのは『???』という意味不明な力。
首を捻るライトをよそに、1人の男と2人の少女が現れる。
「君たちが、オレの運命の女の子たちか」
現れたのは異世界より来た『勇者レイジ』と『勇者リン』
彼らは魔王を倒すために『五大祝福剣』のギフトを持つ少女たちを集めていた。
全てはこの世界に復活した『魔刃王』を倒すため。
5つの刃と勇者の力で『魔刃王』を倒すために、リリカたちは勇者と共に旅のに出る。
それから1年後。リリカたちは帰って来た、勇者レイジの妻として。
2人のために騎士になったライトはあっさり捨てられる。
それどころか、勇者レイジの力と権力によって身も心もボロボロにされて追放される。
ライトはあてもなく彷徨い、涙を流し、決意する。
悲しみを越えた先にあったモノは、怒りだった。
「あいつら全員……ぶっ潰す!!」
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

伝説の魔術師の弟子になれたけど、収納魔法だけで満足です
カタナヅキ
ファンタジー
※弟子「究極魔法とかいいので収納魔法だけ教えて」師匠「Σ(゚Д゚)エー」
数十年前に異世界から召喚された人間が存在した。その人間は世界中のあらゆる魔法を習得し、伝説の魔術師と謳われた。だが、彼は全ての魔法を覚えた途端に人々の前から姿を消す。
ある日に一人の少年が山奥に暮らす老人の元に尋ねた。この老人こそが伝説の魔術師その人であり、少年は彼に弟子入りを志願する。老人は寿命を終える前に自分が覚えた魔法を少年に託し、伝説の魔術師の称号を彼に受け継いでほしいと思った。
「よし、収納魔法はちゃんと覚えたな?では、次の魔法を……」
「あ、そういうのいいんで」
「えっ!?」
異空間に物体を取り込む「収納魔法」を覚えると、魔術師の弟子は師の元から離れて旅立つ――
――後にこの少年は「収納魔導士」なる渾名を付けられることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる