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東征の魔剣士編
熟練度カンストの連結人2
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「そう言えばすっかり忘れてましたね。アタシたち、東に行かなきゃなんでした」
サマラが俺の腕に抱きつきながら首をかしげる。
「でしょ。ローザさんを助けたから、もうそろそろいっかなーって思うんだよね」
リュカの定位置は俺の背中になっている。後ろから抱きつきながら、ぶらーんと俺の背中にぶら下がる。
「へえ。東に何かあるのかい? あたしがあんたたち一行に加わってから、ずーっとバタバタしてたから、その辺を聞いたことが無かったよ」
「アンブロシアは説明してる暇が無かったじゃない。っていうか、その格好は何ッ!? ユーマ様を誘惑する気……!?」
「あ、いやあ、海からここに直行しただろ? あたしも一々着替えるのが面倒でさ」
「うぐぐー! アタシがこんな露出度少ない姿をしてるのに! もういい! アタシも脱ぐーっ!!」
「はっはっは」
「ユーマさん、乾いた笑いをあげてますけど……何ですかこの状況」
ここは、火竜の山の麓。
一面の岩石砂漠だが、あちらこちらにオアシスが点在している。
俺たちがいる場所は、その中でも最大のオアシスの一つだ。南方らしい、トロピカルな木々が生い茂り、大きな泉がこんこんと湧き出している。
ここが、火の属性を持つ森なのだそうだ。
「そこまで厳密じゃないんですよ。風の森はどこでもいいんです。ごく一般的な森は、常に風の属性に等しい性質を持っていますから。逆に、水の森はさっきのジャイアントケルプみたいな、ある程度以上の規模で水生植物が群生していないといけないんです。
この火の森も、火の属性が強い土地でなければありえない植生でさえあれば、条件を満たします」
「ほほぉー」
「エルフが何か説明しとるわい」
「分かりやすくない? 分かりやすくない?」
「この娘、恐るべき解説力じゃ」
「エルフ恐るべし」
「だあー!! ドワーフは黙ってて下さい!!」
火竜の山にやってきたら、サマラの他にこのドワーフどもが待機していたのである。
さらに、サマラのお付きらしき、遊牧民の少女とリザードマンの少女。
「サマラ様がんばれー」
「サマラ様がんばレー」
無責任に応援している。
それでアリエルも、今まさにサマラがあられもない格好になっている事に気付いたようで、
「だあーっ!! なーにーをー!! してるんですかーっ!! っていうかユーマさんもひきつり笑いで見てないでっ! 止めて下さいーっ!! 何ですかこれは、ハーレムか! ハーレムなんですかっ!!」
「すげえ突っ込みだ」
「大体っ、ユーマさんのお相手はリュカさんだったんじゃないんですか!? いいんですかこういうので!? こんな爛れた男女関係でっ!!」
そこまで言ってから、アリエルは肩で息をしながらふらふらになった。
こんな暑い岩石砂漠で、そんなに熱くなるから。
すると、ぴょいっとリュカが俺の肩を飛び越えていって、アリエルを支えた。エルフ一人をしっかり支えて小動もしない。
豪腕系女子のリュカさんである。体は一番小さいが、巫女の中では肉弾戦最強だと俺は睨んでいる。
「アンブロシア、お水出して」
「はいな。ウンディーネ、ちょっとだけ水を出しておくれ」
アリエルに歩み寄ったアンブロシア。彼女の目の前に、水の塊が浮遊した。
ここに、リュカがシルフを使って作った風のストローを差し込み、アリエルに飲ませる。
細やかな魔法を見事なコンビネーションで行使している。
「ブラボー」
俺が思わず呟いて拍手すると、真顔のドワーフたちが共に拍手し始めた。
俺はこのドワーフたちと大変気が合う。
「あっ、あの、アタシも水を熱湯に変えるくらいなら出来ますからっ」
「サマラは今回大丈夫かなー」
リュカにやんわり断られて、風の巫女の一の子分を標榜する火の巫女はしょんぼりした。
「あのね、アリエルさん。私たち、特別な力をもっている巫女なのね」
「はい……。あ、お水、ありがとうございます」
「どういたしまして。それでね、私たちが信じている精霊信仰は、もうこの世界だと、ラグナ教とかザクサーン教に敵だと思われてるの。次々、やられてるの。私だって死ぬところだったし、サマラだって」
「あ、はい。お恥ずかしい……。アータル様を呼び出して、部族の意思で半島を焼き尽くすところでした」
「ね? 普通に生きてくのって、無理なんだ。アンブロシアだってそうでしょ? エルド教と喧嘩してるし」
「あたしは複雑な関係なんだけどね。ただ、最後は袂を分かったと思うよ。連中、他の教えを許すほど寛容じゃ無いからね」
そう言えばそうだったな。
俺は成り行きで、彼女たちを救ってきた。
これは、この世界で排斥されつつある、古い時代に属していた人々を救う行為でもあった。
で、そんな人々の代表が彼女たちな訳だ。
そりゃあ、新しい宗教の連中は代表者たる巫女たちを目の敵にするだろう。
「だから、私たちがこれから先を生きようとするなら、あいつらと戦える力が無いとだめなの。だからユーマなんだよ?」
もちろん、それだけじゃないけど、と小さい声で付け加えるリュカ。
うむ、責任重大である。
「なるほど……。理解しました。リュカさん、サマラさん、アンブロシアさん。ごめんなさい! 偏見で物を言っていました!」
潔く頭を下げるアリエル。
この辺り、彼女は自分の過ちを素直に認められるいい娘である。
「火の森もパスが繋がったことだし、後は土の森だ。ローザも集めて今後の計画を詰めよう」
この場を収める為に、俺は提案した。
その案は満場一致で実行される事になった訳だが、そう言えば。
「あのさ、ヨハンがここにいると思うんだが、元気?」
「ヨハンです? 彼なら元気ですよ。リザードマンたちの教練をやっています」
おお、頑張っているようだ。
「旅の経験豊富な傭兵ですし、学もあるので、遊牧民の里の女性からも人気ですよ。ハーレムなのはあの人かも」
サマラの説明に、俺は頷いた。
なるほど、ヨハンめ、随分役得な生活をしているらしい。
今度会うときまでに、奴が遊牧民の男から嫉妬で刺されていない事を祈るばかりである。
「それじゃ、ゲイル、行くか! ちょっと人が増えたが頼むぞ!」
俺の呼びかけに、ゲイルはグオオンッ、と自信ありげに吼えたのである。
俺、リュカ、アリエル。
サマラに、アンブロシア。
お付きの幼女二人とドワーフたちは置いてきた。上空にはついてこられないからな。
「流石に重そうですね……」
ゲイルはいいところを見せようとしたのか、俺たちを搭載して飛び上がったのだが……少々重いらしい。
スピードがあまり出ていないし、時々フラッとなる。
危ない。
「ひいいい」
「うへええ」
サマラとアンブロシアが、ゲイルの背中にしがみついている。
二人とも高いところへの耐性が余り無いようだ。
「そうだねえ。じゃあ、私がゲイルを手伝ってあげる。シルフさん、風を、お願い」
リュカが魔法を使う。
すると、ゲイルの翼を支えるように、向かい風の方向が変わる。
揚力を得やすい風向きになり、飛行も安定してきたようだ。
それでも重量オーバーは変わらない。
結局、土の森に到着したのは夜半過ぎになってしまった。
「これで良しっと」
山間の谷に群生する、巨大なシダ植物の森。
そこが土の森だった。
アリエルは最後のパスを繋ぎ、これで風、水、火、土の森が繋がった事になる。
うちの軍勢は、いつでもどこにでも顔出しが出来るようになったわけだ。
『なるほど、これが風の妖精の魔法なのですね』
「あ、あの、ユーマさん、こちらの凄い存在感の女性は」
「あ、この人は緑竜。フレンドリーな竜の人だから心配いらんぞ」
「ひいいー」
アリエルが腰を抜かした。
緑のドレスを纏った女性の姿は、竜の巨体では入れない狭い所のための変身でもあるらしい。
「世話になったな、緑竜殿。近々、各属性の代表者で会談が行なわれることと思う。その時には声をお掛けする。それと例の件もよろしく頼む」
ローザの言葉に、緑竜は優しく微笑んで頷いた。
『ええ、存じていますよ。パスを通し、ユーマ殿の仲間が危機としれば、我ら土の軍勢が駆けつけましょう』
「任せておけよユーマ!」
ギューンも一緒である。
「任せた」
俺はギューンとハイタッチである。
「ユーマ、こっちでも仲良しさんが増えたんだねえ」
「ひええ、なんだか恐ろしそうな人なんだけど……!」
「あたしも、生命の危機を感じるような……!」
「おう! 姐さんたちがユーマのコレじゃなけりゃ、俺がさっさと手出ししてたな。いい女だぜ」
「ひいー」
「ひえー」
女としての勘なのか、サマラとアンブロシアはギューンが苦手なようだ。
ちなみに、ギューンの好みはボンッキュッボンッな女性なのだそうで、リュカはともかく、ローザは完全に射程圏外である。
「別に怒ってはいないぞ。怒っては」
ローザ、ちょっと顔が引きつっているぞう。
「怒ってない。私は全然怒ってないぞ」
「だいじょうぶ! ローザさん、全部ユーマが面倒見てくれるから」
「えっ!?」
リュカさん、そんな話聞いてないんですけど!?
「ローザさんだって土の巫女でしょ。じゃあユーマが面倒見なくちゃ!」
「そうか……。貴様であれば……まあ、良い落とし所であろう。あ奴らも納得するだろうな」
「ローザさんところの騎士さんたち、お館様ーって大変だもんねえ」
「いや、あれはあれで可愛いものなのだぞ。無条件で慕ってくれるというのは、放っておけなくてな……」
話が進んでいく。
俺の肩を、アリエルがポンっと叩いた。
「頑張って下さい、灰色の王」
「前向きに善処します」
そんな形で夜は更けていく。
結局、東へ行くと言う話は翌日詰める事になったのである。
俺はこっそりと、寝床をゲイルの近くに移し、彼の影に隠れて寝ることにした。
残り少ない独り身の夜である。
そうかー。
俺はリア充とかを飛び越えて、いきなり凄い領域に向かっていくのだなあ……。
その生活が想像もつかん。
ふわふわと未来へ思いを馳せているうちに、俺は寝入ってしまった。
サマラが俺の腕に抱きつきながら首をかしげる。
「でしょ。ローザさんを助けたから、もうそろそろいっかなーって思うんだよね」
リュカの定位置は俺の背中になっている。後ろから抱きつきながら、ぶらーんと俺の背中にぶら下がる。
「へえ。東に何かあるのかい? あたしがあんたたち一行に加わってから、ずーっとバタバタしてたから、その辺を聞いたことが無かったよ」
「アンブロシアは説明してる暇が無かったじゃない。っていうか、その格好は何ッ!? ユーマ様を誘惑する気……!?」
「あ、いやあ、海からここに直行しただろ? あたしも一々着替えるのが面倒でさ」
「うぐぐー! アタシがこんな露出度少ない姿をしてるのに! もういい! アタシも脱ぐーっ!!」
「はっはっは」
「ユーマさん、乾いた笑いをあげてますけど……何ですかこの状況」
ここは、火竜の山の麓。
一面の岩石砂漠だが、あちらこちらにオアシスが点在している。
俺たちがいる場所は、その中でも最大のオアシスの一つだ。南方らしい、トロピカルな木々が生い茂り、大きな泉がこんこんと湧き出している。
ここが、火の属性を持つ森なのだそうだ。
「そこまで厳密じゃないんですよ。風の森はどこでもいいんです。ごく一般的な森は、常に風の属性に等しい性質を持っていますから。逆に、水の森はさっきのジャイアントケルプみたいな、ある程度以上の規模で水生植物が群生していないといけないんです。
この火の森も、火の属性が強い土地でなければありえない植生でさえあれば、条件を満たします」
「ほほぉー」
「エルフが何か説明しとるわい」
「分かりやすくない? 分かりやすくない?」
「この娘、恐るべき解説力じゃ」
「エルフ恐るべし」
「だあー!! ドワーフは黙ってて下さい!!」
火竜の山にやってきたら、サマラの他にこのドワーフどもが待機していたのである。
さらに、サマラのお付きらしき、遊牧民の少女とリザードマンの少女。
「サマラ様がんばれー」
「サマラ様がんばレー」
無責任に応援している。
それでアリエルも、今まさにサマラがあられもない格好になっている事に気付いたようで、
「だあーっ!! なーにーをー!! してるんですかーっ!! っていうかユーマさんもひきつり笑いで見てないでっ! 止めて下さいーっ!! 何ですかこれは、ハーレムか! ハーレムなんですかっ!!」
「すげえ突っ込みだ」
「大体っ、ユーマさんのお相手はリュカさんだったんじゃないんですか!? いいんですかこういうので!? こんな爛れた男女関係でっ!!」
そこまで言ってから、アリエルは肩で息をしながらふらふらになった。
こんな暑い岩石砂漠で、そんなに熱くなるから。
すると、ぴょいっとリュカが俺の肩を飛び越えていって、アリエルを支えた。エルフ一人をしっかり支えて小動もしない。
豪腕系女子のリュカさんである。体は一番小さいが、巫女の中では肉弾戦最強だと俺は睨んでいる。
「アンブロシア、お水出して」
「はいな。ウンディーネ、ちょっとだけ水を出しておくれ」
アリエルに歩み寄ったアンブロシア。彼女の目の前に、水の塊が浮遊した。
ここに、リュカがシルフを使って作った風のストローを差し込み、アリエルに飲ませる。
細やかな魔法を見事なコンビネーションで行使している。
「ブラボー」
俺が思わず呟いて拍手すると、真顔のドワーフたちが共に拍手し始めた。
俺はこのドワーフたちと大変気が合う。
「あっ、あの、アタシも水を熱湯に変えるくらいなら出来ますからっ」
「サマラは今回大丈夫かなー」
リュカにやんわり断られて、風の巫女の一の子分を標榜する火の巫女はしょんぼりした。
「あのね、アリエルさん。私たち、特別な力をもっている巫女なのね」
「はい……。あ、お水、ありがとうございます」
「どういたしまして。それでね、私たちが信じている精霊信仰は、もうこの世界だと、ラグナ教とかザクサーン教に敵だと思われてるの。次々、やられてるの。私だって死ぬところだったし、サマラだって」
「あ、はい。お恥ずかしい……。アータル様を呼び出して、部族の意思で半島を焼き尽くすところでした」
「ね? 普通に生きてくのって、無理なんだ。アンブロシアだってそうでしょ? エルド教と喧嘩してるし」
「あたしは複雑な関係なんだけどね。ただ、最後は袂を分かったと思うよ。連中、他の教えを許すほど寛容じゃ無いからね」
そう言えばそうだったな。
俺は成り行きで、彼女たちを救ってきた。
これは、この世界で排斥されつつある、古い時代に属していた人々を救う行為でもあった。
で、そんな人々の代表が彼女たちな訳だ。
そりゃあ、新しい宗教の連中は代表者たる巫女たちを目の敵にするだろう。
「だから、私たちがこれから先を生きようとするなら、あいつらと戦える力が無いとだめなの。だからユーマなんだよ?」
もちろん、それだけじゃないけど、と小さい声で付け加えるリュカ。
うむ、責任重大である。
「なるほど……。理解しました。リュカさん、サマラさん、アンブロシアさん。ごめんなさい! 偏見で物を言っていました!」
潔く頭を下げるアリエル。
この辺り、彼女は自分の過ちを素直に認められるいい娘である。
「火の森もパスが繋がったことだし、後は土の森だ。ローザも集めて今後の計画を詰めよう」
この場を収める為に、俺は提案した。
その案は満場一致で実行される事になった訳だが、そう言えば。
「あのさ、ヨハンがここにいると思うんだが、元気?」
「ヨハンです? 彼なら元気ですよ。リザードマンたちの教練をやっています」
おお、頑張っているようだ。
「旅の経験豊富な傭兵ですし、学もあるので、遊牧民の里の女性からも人気ですよ。ハーレムなのはあの人かも」
サマラの説明に、俺は頷いた。
なるほど、ヨハンめ、随分役得な生活をしているらしい。
今度会うときまでに、奴が遊牧民の男から嫉妬で刺されていない事を祈るばかりである。
「それじゃ、ゲイル、行くか! ちょっと人が増えたが頼むぞ!」
俺の呼びかけに、ゲイルはグオオンッ、と自信ありげに吼えたのである。
俺、リュカ、アリエル。
サマラに、アンブロシア。
お付きの幼女二人とドワーフたちは置いてきた。上空にはついてこられないからな。
「流石に重そうですね……」
ゲイルはいいところを見せようとしたのか、俺たちを搭載して飛び上がったのだが……少々重いらしい。
スピードがあまり出ていないし、時々フラッとなる。
危ない。
「ひいいい」
「うへええ」
サマラとアンブロシアが、ゲイルの背中にしがみついている。
二人とも高いところへの耐性が余り無いようだ。
「そうだねえ。じゃあ、私がゲイルを手伝ってあげる。シルフさん、風を、お願い」
リュカが魔法を使う。
すると、ゲイルの翼を支えるように、向かい風の方向が変わる。
揚力を得やすい風向きになり、飛行も安定してきたようだ。
それでも重量オーバーは変わらない。
結局、土の森に到着したのは夜半過ぎになってしまった。
「これで良しっと」
山間の谷に群生する、巨大なシダ植物の森。
そこが土の森だった。
アリエルは最後のパスを繋ぎ、これで風、水、火、土の森が繋がった事になる。
うちの軍勢は、いつでもどこにでも顔出しが出来るようになったわけだ。
『なるほど、これが風の妖精の魔法なのですね』
「あ、あの、ユーマさん、こちらの凄い存在感の女性は」
「あ、この人は緑竜。フレンドリーな竜の人だから心配いらんぞ」
「ひいいー」
アリエルが腰を抜かした。
緑のドレスを纏った女性の姿は、竜の巨体では入れない狭い所のための変身でもあるらしい。
「世話になったな、緑竜殿。近々、各属性の代表者で会談が行なわれることと思う。その時には声をお掛けする。それと例の件もよろしく頼む」
ローザの言葉に、緑竜は優しく微笑んで頷いた。
『ええ、存じていますよ。パスを通し、ユーマ殿の仲間が危機としれば、我ら土の軍勢が駆けつけましょう』
「任せておけよユーマ!」
ギューンも一緒である。
「任せた」
俺はギューンとハイタッチである。
「ユーマ、こっちでも仲良しさんが増えたんだねえ」
「ひええ、なんだか恐ろしそうな人なんだけど……!」
「あたしも、生命の危機を感じるような……!」
「おう! 姐さんたちがユーマのコレじゃなけりゃ、俺がさっさと手出ししてたな。いい女だぜ」
「ひいー」
「ひえー」
女としての勘なのか、サマラとアンブロシアはギューンが苦手なようだ。
ちなみに、ギューンの好みはボンッキュッボンッな女性なのだそうで、リュカはともかく、ローザは完全に射程圏外である。
「別に怒ってはいないぞ。怒っては」
ローザ、ちょっと顔が引きつっているぞう。
「怒ってない。私は全然怒ってないぞ」
「だいじょうぶ! ローザさん、全部ユーマが面倒見てくれるから」
「えっ!?」
リュカさん、そんな話聞いてないんですけど!?
「ローザさんだって土の巫女でしょ。じゃあユーマが面倒見なくちゃ!」
「そうか……。貴様であれば……まあ、良い落とし所であろう。あ奴らも納得するだろうな」
「ローザさんところの騎士さんたち、お館様ーって大変だもんねえ」
「いや、あれはあれで可愛いものなのだぞ。無条件で慕ってくれるというのは、放っておけなくてな……」
話が進んでいく。
俺の肩を、アリエルがポンっと叩いた。
「頑張って下さい、灰色の王」
「前向きに善処します」
そんな形で夜は更けていく。
結局、東へ行くと言う話は翌日詰める事になったのである。
俺はこっそりと、寝床をゲイルの近くに移し、彼の影に隠れて寝ることにした。
残り少ない独り身の夜である。
そうかー。
俺はリア充とかを飛び越えて、いきなり凄い領域に向かっていくのだなあ……。
その生活が想像もつかん。
ふわふわと未来へ思いを馳せているうちに、俺は寝入ってしまった。
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