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朝の日差しが鎧戸を通して差し込み、絨毯に縞模様を浮き上がらせている。窓の外では鳥のさえずりがせわしない。
「あん、だめです……朝から」
ジュリアスに双乳を揉まれながら乳首を舐められて、起き抜けのピアはベッドの上で身をよじった。
それでも彼は怯まない。チュッと先端に吸い付き、蕾を口内で転がしてくる。連日、濃密になっていく特別授業により、ますます敏感になったピアの体はたちまち反応し、突起は彼の舌の上ですぐに強張った。
胸からまろやかな性感がじわじわと全身に広がる。下腹が熱を孕み、脚の付け根が潤み始める。
「でも、昨日の復習をしないと忘れてしまいます……。それに、ちゃんと抱いておかないと、いつかのように黙ってどこかへ行ってしまうから……」
先日の逃亡を持ち出して、もっともらしい言い訳に仕立てたジュリアスは、左右の乳房を下からぐっと中央へ寄せた。そして、ほとんど隣り合わせになった両の乳首をいっぺんに舐め回す。それから交互に思い切り吸い立ててきた。
「んはぁ……っ」
尖りきった二つの蕾から鋭い快感が迸り、ピアは悩ましげな吐息を漏らす。
こうなるとジュリアスの愛撫にたちまち理性は剥がされ、従順になってしまう。この数日間でジュリアスの性技はみるみる上達し、ピアの敏感な部分をすっかり暴いてしまった。それどころか、肌を重ねるたび、彼女もまだ知らなかった新しい官能を植え付けさえもしていた。
「あ……、ダメ……」
存分に蕾を弄んだジュリアスは、ピアの薄いナイトガウンの紐を解き、全裸にしてしまう。そして首を吸い、デコルテ、下腹部へとキスを散らしながら脚の間に移動すると、ピアの膝を開いて蜜の滲んだ花弁を舐め始めた。
「ん……殿下……」
抑える間も無く、声が溢れる。濡れた舌を大胆に使われて秘園全体を舐められると、自分が食べられているような錯覚に襲われ、性感がさらに昂った。じゅるじゅるという淫靡な音が羞恥を煽り、ピアは胸を喘がせた。
「朝にはやはり、この蜜がたまらないですね……優しい先生は、僕のために頑張ってこんなに出してくれるのでしょう?」
泉から蜜を啜り、ジュリアスが白い歯をこぼす。彼は時々わざと「先生」と呼び、ピアに指導者の立場を思い出させて、背徳感を煽ってくる。そんなことも含めて、彼の巧みな性技にピアは常に翻弄されていた。
「……そんな……違います……」
それは詭弁だ、というようにに花弁を強く吸われ、甘噛みされた。峻烈な刺激に腰が浮いてしまう。指で包皮を剥かれ、ぷくりとした蕾を舌先で転がされると、性感の電流が背筋を走り抜けた。
「あっ、そこっ、あんっ、あん……」
枕を握り締め、ピアは甘く鼻を鳴らした。ジュリアスの愛撫は常に執拗だ。真っ赤に熟した実を唇で挟み、チロチロと舌先でくすぐっては吸い立ててくる。
「はあぁぁぁぁっ」
強烈な快感が脳内で弾け、唇から迸った嬌声が部屋に響き渡る。背筋が弓なりに反り、腰が大きく浮き上がった。舌で花芯の根元をしごかれ、甘美な心地が股間からずくずくと全身に浸透していく。
(殿下……殿下……私、おかしくなっちゃいます……ずっとこんなふうにされて……)
愛撫の愉悦に酔いつつ、心で歓喜の悲鳴をあげていた。昨夜も夜半過ぎまで激しく貪られていた。
それなのに、起きた途端に再び体を求めてくる。その旺盛な十代の性欲に、ピアはすっかり翻弄されていた。教会で体を許してから、ジュリアスは毎夜と授業を欠かさず、寝不足の日々が続いている。
その上、ジュリアスと肌を重ねる時間が増えたことで、ピアの体はすっかり敏感になってしまった。今やジュリアスがその気になれば、すぐに高みに導かれてしまう。
(これほど上達させたのは……私……)
彼に性技を施し、成長させた優越感が湧き上がる。だがそれはすぐに寂寥に取って代わった。
(この関係はずっと続かないのに……。これは他の女性を悦ばせるためなのよ……)
ピアは、ジュリアスに求められるたびに拒絶を示したが、それはあくまで家庭教師としての建前だった。気がつくとすっかりジュリアスに虜になっていた。
不道徳とはわかっている。しかし、十分役目を果たしたからといって、今すぐこの関係を無にする気にはならなかった。遅かれ早かれ、結局その時が来れば別れなければならないのだ。
ならば、今だけは二人でとびきり甘い時間を楽しんでも罪ではないはず。愛し合えるだけ愛し合えば、未練なく別れられる。そう考えて彼に全てを委ねようと決心したのだ。
「先生、濡れやすくなりましたね……。クリトリスもすぐに硬くなりますし」
ふっくらと充血した花弁をねっとりと舌で割り、ジュリアスがそう指摘すると、ピアの耳はかあっと熱くなる。
(それは、だって……殿下のせいです……こんなに淫らになってしまったのは)
不服が喉まで出かかったが、それでは征服されたと認めるようなものだ。ピアは言葉を飲み込んで、代わりに教師然と窘めた。
「毎日こんな風に触れられて、自然と反応してしまうのが女性の体です。殿下は特に上達が早いですし……」
「好きこそものの上手なれ、ですよ」
「でも、この勉強ばかりではなく、文学の方も進めましょうね」
「……そう、でしたね」
こんな時に水を差して、と不満げにジュリアスはやや唇を尖らせた。そんな少年の顔にキュンときて、思わずピアは彼の髪を撫でる。
「殿下が読みたいとおっしゃっていた詩集、昨日借りてきましたよ」
「ありがとう。でも、今は先生を可愛がるのが先です……」
そう微笑んで、再び淫芽を舌先で撫でつつ、隘路に指を入れて感じる場所を優しく擦り上げてくる。
「あ、別に私は………っん……」
甘美な性感が頭に突き抜ける。背中の反りが強まり、腰が大きく持ち上がった。
「先生はこれが好きでしょう? ここ、ビクビク震えてますよ。いっぱい舐めてあげますね」
ぴたりと蕾に張り付いた舌先がチロチロと小刻みに震えだす。蜜路に埋まった指の腹が適度な圧迫を加えて、執拗に膣壁を擦ってくる。
「んっ、だめっ、それっ、だめ、両方……っ」
断続的に襲いくる快楽の波が瞬く間に意識を桃色に染める。ピアは全身を粟立たせ、指の動きに合わせるように腰を揺らした。
「ね、イッて。ピアのいやらしい顔、僕に見せて……」
指遣いが早まり、グチュグチュと卑猥な音が耳を犯す。愉悦が身体中でうねっている。光彩がまぶたの裏で明滅した。
「んっ、気持ちい……い、いいの、それ、いい……ぁ、イクッ——」
体で何かが弾けた。限界まで仰け反り、腰を突き上げた体にさざ波が走り抜ける。隘路からピュッピュッと噴射した飛沫が、ジュリアスの顔を濡らした。
「あ……、だめ、見ないで……やっ…………」
羞恥に顔が熱くなるが、ピアの意思とは裏腹に、壮絶な快感に下腹はまだひくひくと痙攣している。連日連夜、ジュリアスの愛撫を受けて以来、時々こんなふうに噴射してしまうことがあった。最初は失禁したのかと泣きそうになったが、ジュリアスが本で調べて、そうではないことがわかった。あまりにも昂ぶると自然に起こる現象らしい。だが、これは何度経験しても慣れない。
「ああ、本当にこれ好きだな。ピア、すごく慌てて、泣きそうで可愛いんだもの」
濡れた頰を手のひらで拭い、ジュリアスは満面の笑みを見せる。
「ひどいです……こんないたずら……」
軽く睨んで見せるが、それはあくまで誤魔化しだった。こんな風にジュリアスにことごとく快感を与えられるたび、それを嬉々として貪る自分の浅ましさを暴かれたように感じるからだ。そして、抱かれるたびにジュリアスに夢中になっていく気持ちを隠すため。
(殿下とずっと一緒にいられるなら、きっと私、どんなことでもするわ……)
相手に支配される喜びは、ジュリアスに抱かれて初めてわかったことだ。
「ピア、僕も……いいよね?」
ふと気づくと、濡れた襞に埋めるようにしてペニスがあてがわれていた。
「ん……くっ」
答える隙も与えられず、一息に貫かれる。隘路を押し広げる太い幹がピアを瞬く間に魅了した。
(ああっ、素敵っ)
じわじわと埋め込まれる雄々しい挿入感を、息を詰まらせて堪能する。浅ましい自分への羞恥や、ジュリアスへの恋心を隠さねばならない辛さがあっけなく霧散し、純粋で本能的な悦びが意識を薔薇色に染める。
「ああ、温かくて柔らかい。本当に、ピアの体は素敵だ……」
至福の心地にジュリアスががうっとりと目を閉じ、呟いた。その言葉に胸をくすぐられながらも、ピアは釘をさす。
「そんなこと言っても……今日は体中に出してはダメですよ……」
宮廷医師から渡された避妊効果のあるハーブティーを毎日飲んでいるし、その上、万が一妊娠し、家庭教師を解雇されることを案じたアンソニーからも、その類のお茶をもらって服用していた。だが、それも確実かどうかは保証できない。避妊に関してはジュリアスも注意しているはずだが、再三釘を刺しておくのは、結局最後には快楽に全てがうやむやになり、彼のいいなりになってしまうのが常だったからだ。
「わかってますよ。でも、間に合わなかったら……ごめんなさい」
「いつもそんなことおっしゃって。本当に気をつけてくださいね」
この話は終わり、というようにジュリアスは激しい抽送を始めた。若い肢体の力強い律動が蜜路を擦り、最奥を攻めてくる。
「あんっ……」
枕を握り締める手に力がこもった。ベッドが軋んで朝の爽やかな寝室にたちまち淫靡な雰囲気が漂う。
貪るような抽送が、求められる悦びをもたらす。それは甘い官能と溶けて混じり合い、心身をとろけさせた。
「ピアの蜜路はどんどん僕に馴染んできている気がします。すごくぴったり繋がっていますよ……」
「そ、そうでしょうか……」
そう返しつつも、肌を重ねるごとに快感が増している実感はあった。ジュリアスが言うように、特に蜜路は彼に誂えたようにしっくりとペニスを収め、ぴったりと包み込んでいる。
「乳房も、少し大きくなりましたね。やはり、毎日揉んでいるからでしょうか……」
確かめるように、乳房を両手で包まれ、恥ずかしさで頰が熱くなる。
「知ってます? 護衛の兵たちも密かに噂してる。ピアがとても色っぽいって。執事だって、あなたを見る目つきは怪しいし……」
「どこからそんな噂……んんっ」
頰の熱が上昇する。昂りを埋められている秘園がうねって収縮し、彼を締め付ける。
「あ、キュッて締まった……。もしかして嬉しい? 他の男に噂されて? ピアは意外と欲張りですね……」
ジュリアスは、手を置いていた双乳を咎めるように鷲掴んだ。荒っぽい手つきで揉まれると、その力強さに被虐心が沸き起こり、唇から溢れる声が一段と高くなった。
「彼らは隙あらばあなたにもっと近づきたいと思っているんだ。きっと家庭教師が終わったら、我先にと口説くつもりですよ」
(知らなかったわ……)
普段、護衛の兵士や家臣たちとはほとんど交流がない。加えて、殿下の「閨の指導」という役目を彼らに知られていると思うと、気恥ずかしく、自ら接触するようなことはないし、あちらも気を使っているのか、よほどの連絡事項でない限り話しかけてはこないのだ。それなのに、そんな風に思われていたなんて……。
「でも、ピアは僕のものです。他の誰にも渡さない……」
熱っぽく囁き、ぷくりとふくらんだ胸の先端を強く吸い、甘噛みしてくる。かすかな痛みに顔を歪めるも、それはすぐにジンジンとした痒いような切ないような刺激となって、体を痺れさせていく。ピアが特別教えたわけではないのに、ここ最近ジュリアスの口調や愛撫に変化が出てきた。
最初は慎重で控えめだった愛撫は、日を追うごとに大胆になり、やがて、今のように露骨に追い詰めるようなものになった。
さらに時折ではあるが、わざと困らせるような要求をし、まるでピアを辱めることを楽しむ余裕さえ垣間見えた。
これはきっと、彼が情事に慣れ、欲望に振り回されずに生理的欲求をコントロールできるようになった、成長の証だろう。もともと指導の目的はそこにあり、喜ぶべきなのだが、ピアは、彼が己の性欲だけでなく、自分をもコントロールするような素ぶりを見せるのが気になっていた。
特に、こうして強い嫉妬心と独占欲をぶつけては、ピアの反応を伺ってくるのが顕著だった。
「あ、そんなに強く……吸っちゃダメです……」
乳首を強く吸われ、痛みに顔を歪めるが、その痛みはきっとジュリアスの嫉妬心の痛みでもあると思うと、胸に熱いものが込み上げる。漲ったペニスも、その存在を刻み込むように蜜路を容赦なく擦ってくる。
(そんなに心配しなくても、私はあなたのものなのに)
激しく突き上げられ、口から溢れそうになるジュリアスへの恋慕をピアは胸中に押し留めた。これはあくまで一時的な関係なのだ。想いを伝えることは許されなかった。
ジュリアスは乳房への愛撫をやめ、首筋に顔をすり寄せて甘え声で囁いた。
「ピアの体、全部素敵だよ。いい匂いもして……食べてしまいたくなる」
すかさず首筋をねっとりと舐められる。
「あん、だめっ、んん」
薄い肌に濡れた舌が這う。その生温かく、なんとも言えない感触に背筋がぞくぞくと震えた。無意識に裸体が悶えてしまう。
「甘くて美味しい」
うっとりとつぶやきながら、首筋から耳の付け根まで何度も舌は往復する。ゆったりと、だが力強い抽送に加えて、彼のもたらす繊細な愛撫から生じる快感を、彼女は体を震わせながら甘受した。
「感じてくれてるんだね。さっきから中が僕を嬉しそうに締め付けてくる。ピア……本当に敏感で可愛い……」
時には甘く歯を立て、肌を吸いながらジュリアスは巧みに腰を使ってくる。耳をクチュクチュと舐められる音、結合部で混じる体液がジュプジュプと立てる水音に、彼女は浅い呼吸を繰り返しながら自分が溺れているような錯覚に陥る。
「そん、な……や、も……」
体の昂りとともに、開きかけていた快感という花が一気に開花した。
「あああっ、いくっ、イク………っ」
ふわり、と全身が浮き上がる感じを覚え、刹那凄まじい愉悦が突き抜けた。あまりの気持ち良さに声も出ず、かすかに開いた唇が震えるだけだった。
「あああっ、僕も……、いいっ……締め付けて……ああ、ピアの顔が蕩けて可愛い……」
その後も、ぐったりとした彼女を四つん這いにし、ジュリアスは彼女のヒップを上げさせて後ろから何度も貫いた。
「すごい、またイッたね? 中がトロトロで、でもきゅんきゅん僕を包み込んで……これ、好き? 僕のこと好き?」
「ああっ、好き……好きです……」
「どっち? 僕が? それともこれが好きなの?」
「どっちも……です」
ヒップに指を食い込ませて最奥をずくずくと突かれ、ピアは愉悦で意識を朦朧とさせながらも、やっと答えた。もう何度絶頂を味わったことだろう。
「殿……下、ごめん……なさい。もう、だめ……っ。あ、あ……っ……」
これ以上イかされたら自分はどうなってしまうのか。限界を本能で感じ、ピアはとうとう弱音を上げた。
「謝らないで」
ジュリアスは覆いかぶさるようにして、優しく背中にキスを落とした。髪を優しく指で梳き、耳の後ろで囁きかけてくる。
「僕が欲張りすぎたんだ。ピアが好きすぎて……繋がっている間は、ずっと僕のものだから、つい……」
その言葉が胸を熱くさせ、髪を撫でられる手の動きに彼女はうっとりとなった。年下の少年にあやされて胸をときめかせるなんて、これではどちらが大人なのかわからない。それでも、愛しいジュリアスの愛撫は心から嬉しかった。
「じゃあ、今はこれで最後にするよ。あまりピアをいじめても可哀想だし……。でも、ちょっと激しくなるかも」
一旦結合が解かれ、仰向きにされると、彼は再びつながってきた。彼女の体を隙間なく抱きしめ、猛然と腰を振ってくる。
「あんっ、殿下……、あんっ、はああんっ」
程よく筋肉をつけた腰の動きはひたむきだ。頂上に向けて一気に突き進む抽送が、さらにピアを追い詰める。
漲ったペニスが隘路全体を擦り、最奥が繰り返し小突かれて意識が徐々に薄れていく。ピアは引き締まった体に両手足を絡みつけてしがみつき、必死でジュリアスを受け止めた。
「ああっ、イく……ピアっ、くっ、でるっ」
咆哮に続いて、強烈な一撃が放たれる。悩ましげに顔を歪めたジュリアスは、ピアを力一杯抱きしめ、精を弾かせた。
「私も……っ、ぁ……」
その熱が下腹に瞬く間に広がり、ピアも達した。チカチカと光の粒がまぶたの裏に、身体中に踊っている。
ジュリアスの体の重みと自分を満たす体液の熱さを感じながら、ピアは彼に抱かれる喜びを心から噛み締めた。
「先生、ごめんなさい。また中に出しちゃった」
息を乱しながら、肩に顔を埋めたジュリアスが、ポツリと言った。息が耳をくすぐる。
「しょうがないですね……」
ピアは柔らかな口調で言って、ジュリアスと見つめ合う。二人の体は汗まみれだった。吸い付く肌の感触が心地よく、このまま二人で溶け合ってしまえばと思う。
(この幸せにずっと浸っていたい)
それが許されぬ望みであることは、ピア自身が誰より理解していた。瞼を閉じ、彼の甘い視線から逃れると、心を鬼にした。
「殿下はすっかり上達されましたね。もう私が教えることはないかもしれません……」
別れの時が迫っている、そう念を押すように言い聞かせると、ジュリアスの体がこわばるのがわかった。彼も同じ気持ちなのかと思うと、胸がキリキリと締めつけられる。瞼を開くと、視線が交わった途端、彼は顔を背けた。ややあって、ジュリアスが囁いた。
「そう、ですね……」
「あん、だめです……朝から」
ジュリアスに双乳を揉まれながら乳首を舐められて、起き抜けのピアはベッドの上で身をよじった。
それでも彼は怯まない。チュッと先端に吸い付き、蕾を口内で転がしてくる。連日、濃密になっていく特別授業により、ますます敏感になったピアの体はたちまち反応し、突起は彼の舌の上ですぐに強張った。
胸からまろやかな性感がじわじわと全身に広がる。下腹が熱を孕み、脚の付け根が潤み始める。
「でも、昨日の復習をしないと忘れてしまいます……。それに、ちゃんと抱いておかないと、いつかのように黙ってどこかへ行ってしまうから……」
先日の逃亡を持ち出して、もっともらしい言い訳に仕立てたジュリアスは、左右の乳房を下からぐっと中央へ寄せた。そして、ほとんど隣り合わせになった両の乳首をいっぺんに舐め回す。それから交互に思い切り吸い立ててきた。
「んはぁ……っ」
尖りきった二つの蕾から鋭い快感が迸り、ピアは悩ましげな吐息を漏らす。
こうなるとジュリアスの愛撫にたちまち理性は剥がされ、従順になってしまう。この数日間でジュリアスの性技はみるみる上達し、ピアの敏感な部分をすっかり暴いてしまった。それどころか、肌を重ねるたび、彼女もまだ知らなかった新しい官能を植え付けさえもしていた。
「あ……、ダメ……」
存分に蕾を弄んだジュリアスは、ピアの薄いナイトガウンの紐を解き、全裸にしてしまう。そして首を吸い、デコルテ、下腹部へとキスを散らしながら脚の間に移動すると、ピアの膝を開いて蜜の滲んだ花弁を舐め始めた。
「ん……殿下……」
抑える間も無く、声が溢れる。濡れた舌を大胆に使われて秘園全体を舐められると、自分が食べられているような錯覚に襲われ、性感がさらに昂った。じゅるじゅるという淫靡な音が羞恥を煽り、ピアは胸を喘がせた。
「朝にはやはり、この蜜がたまらないですね……優しい先生は、僕のために頑張ってこんなに出してくれるのでしょう?」
泉から蜜を啜り、ジュリアスが白い歯をこぼす。彼は時々わざと「先生」と呼び、ピアに指導者の立場を思い出させて、背徳感を煽ってくる。そんなことも含めて、彼の巧みな性技にピアは常に翻弄されていた。
「……そんな……違います……」
それは詭弁だ、というようにに花弁を強く吸われ、甘噛みされた。峻烈な刺激に腰が浮いてしまう。指で包皮を剥かれ、ぷくりとした蕾を舌先で転がされると、性感の電流が背筋を走り抜けた。
「あっ、そこっ、あんっ、あん……」
枕を握り締め、ピアは甘く鼻を鳴らした。ジュリアスの愛撫は常に執拗だ。真っ赤に熟した実を唇で挟み、チロチロと舌先でくすぐっては吸い立ててくる。
「はあぁぁぁぁっ」
強烈な快感が脳内で弾け、唇から迸った嬌声が部屋に響き渡る。背筋が弓なりに反り、腰が大きく浮き上がった。舌で花芯の根元をしごかれ、甘美な心地が股間からずくずくと全身に浸透していく。
(殿下……殿下……私、おかしくなっちゃいます……ずっとこんなふうにされて……)
愛撫の愉悦に酔いつつ、心で歓喜の悲鳴をあげていた。昨夜も夜半過ぎまで激しく貪られていた。
それなのに、起きた途端に再び体を求めてくる。その旺盛な十代の性欲に、ピアはすっかり翻弄されていた。教会で体を許してから、ジュリアスは毎夜と授業を欠かさず、寝不足の日々が続いている。
その上、ジュリアスと肌を重ねる時間が増えたことで、ピアの体はすっかり敏感になってしまった。今やジュリアスがその気になれば、すぐに高みに導かれてしまう。
(これほど上達させたのは……私……)
彼に性技を施し、成長させた優越感が湧き上がる。だがそれはすぐに寂寥に取って代わった。
(この関係はずっと続かないのに……。これは他の女性を悦ばせるためなのよ……)
ピアは、ジュリアスに求められるたびに拒絶を示したが、それはあくまで家庭教師としての建前だった。気がつくとすっかりジュリアスに虜になっていた。
不道徳とはわかっている。しかし、十分役目を果たしたからといって、今すぐこの関係を無にする気にはならなかった。遅かれ早かれ、結局その時が来れば別れなければならないのだ。
ならば、今だけは二人でとびきり甘い時間を楽しんでも罪ではないはず。愛し合えるだけ愛し合えば、未練なく別れられる。そう考えて彼に全てを委ねようと決心したのだ。
「先生、濡れやすくなりましたね……。クリトリスもすぐに硬くなりますし」
ふっくらと充血した花弁をねっとりと舌で割り、ジュリアスがそう指摘すると、ピアの耳はかあっと熱くなる。
(それは、だって……殿下のせいです……こんなに淫らになってしまったのは)
不服が喉まで出かかったが、それでは征服されたと認めるようなものだ。ピアは言葉を飲み込んで、代わりに教師然と窘めた。
「毎日こんな風に触れられて、自然と反応してしまうのが女性の体です。殿下は特に上達が早いですし……」
「好きこそものの上手なれ、ですよ」
「でも、この勉強ばかりではなく、文学の方も進めましょうね」
「……そう、でしたね」
こんな時に水を差して、と不満げにジュリアスはやや唇を尖らせた。そんな少年の顔にキュンときて、思わずピアは彼の髪を撫でる。
「殿下が読みたいとおっしゃっていた詩集、昨日借りてきましたよ」
「ありがとう。でも、今は先生を可愛がるのが先です……」
そう微笑んで、再び淫芽を舌先で撫でつつ、隘路に指を入れて感じる場所を優しく擦り上げてくる。
「あ、別に私は………っん……」
甘美な性感が頭に突き抜ける。背中の反りが強まり、腰が大きく持ち上がった。
「先生はこれが好きでしょう? ここ、ビクビク震えてますよ。いっぱい舐めてあげますね」
ぴたりと蕾に張り付いた舌先がチロチロと小刻みに震えだす。蜜路に埋まった指の腹が適度な圧迫を加えて、執拗に膣壁を擦ってくる。
「んっ、だめっ、それっ、だめ、両方……っ」
断続的に襲いくる快楽の波が瞬く間に意識を桃色に染める。ピアは全身を粟立たせ、指の動きに合わせるように腰を揺らした。
「ね、イッて。ピアのいやらしい顔、僕に見せて……」
指遣いが早まり、グチュグチュと卑猥な音が耳を犯す。愉悦が身体中でうねっている。光彩がまぶたの裏で明滅した。
「んっ、気持ちい……い、いいの、それ、いい……ぁ、イクッ——」
体で何かが弾けた。限界まで仰け反り、腰を突き上げた体にさざ波が走り抜ける。隘路からピュッピュッと噴射した飛沫が、ジュリアスの顔を濡らした。
「あ……、だめ、見ないで……やっ…………」
羞恥に顔が熱くなるが、ピアの意思とは裏腹に、壮絶な快感に下腹はまだひくひくと痙攣している。連日連夜、ジュリアスの愛撫を受けて以来、時々こんなふうに噴射してしまうことがあった。最初は失禁したのかと泣きそうになったが、ジュリアスが本で調べて、そうではないことがわかった。あまりにも昂ぶると自然に起こる現象らしい。だが、これは何度経験しても慣れない。
「ああ、本当にこれ好きだな。ピア、すごく慌てて、泣きそうで可愛いんだもの」
濡れた頰を手のひらで拭い、ジュリアスは満面の笑みを見せる。
「ひどいです……こんないたずら……」
軽く睨んで見せるが、それはあくまで誤魔化しだった。こんな風にジュリアスにことごとく快感を与えられるたび、それを嬉々として貪る自分の浅ましさを暴かれたように感じるからだ。そして、抱かれるたびにジュリアスに夢中になっていく気持ちを隠すため。
(殿下とずっと一緒にいられるなら、きっと私、どんなことでもするわ……)
相手に支配される喜びは、ジュリアスに抱かれて初めてわかったことだ。
「ピア、僕も……いいよね?」
ふと気づくと、濡れた襞に埋めるようにしてペニスがあてがわれていた。
「ん……くっ」
答える隙も与えられず、一息に貫かれる。隘路を押し広げる太い幹がピアを瞬く間に魅了した。
(ああっ、素敵っ)
じわじわと埋め込まれる雄々しい挿入感を、息を詰まらせて堪能する。浅ましい自分への羞恥や、ジュリアスへの恋心を隠さねばならない辛さがあっけなく霧散し、純粋で本能的な悦びが意識を薔薇色に染める。
「ああ、温かくて柔らかい。本当に、ピアの体は素敵だ……」
至福の心地にジュリアスががうっとりと目を閉じ、呟いた。その言葉に胸をくすぐられながらも、ピアは釘をさす。
「そんなこと言っても……今日は体中に出してはダメですよ……」
宮廷医師から渡された避妊効果のあるハーブティーを毎日飲んでいるし、その上、万が一妊娠し、家庭教師を解雇されることを案じたアンソニーからも、その類のお茶をもらって服用していた。だが、それも確実かどうかは保証できない。避妊に関してはジュリアスも注意しているはずだが、再三釘を刺しておくのは、結局最後には快楽に全てがうやむやになり、彼のいいなりになってしまうのが常だったからだ。
「わかってますよ。でも、間に合わなかったら……ごめんなさい」
「いつもそんなことおっしゃって。本当に気をつけてくださいね」
この話は終わり、というようにジュリアスは激しい抽送を始めた。若い肢体の力強い律動が蜜路を擦り、最奥を攻めてくる。
「あんっ……」
枕を握り締める手に力がこもった。ベッドが軋んで朝の爽やかな寝室にたちまち淫靡な雰囲気が漂う。
貪るような抽送が、求められる悦びをもたらす。それは甘い官能と溶けて混じり合い、心身をとろけさせた。
「ピアの蜜路はどんどん僕に馴染んできている気がします。すごくぴったり繋がっていますよ……」
「そ、そうでしょうか……」
そう返しつつも、肌を重ねるごとに快感が増している実感はあった。ジュリアスが言うように、特に蜜路は彼に誂えたようにしっくりとペニスを収め、ぴったりと包み込んでいる。
「乳房も、少し大きくなりましたね。やはり、毎日揉んでいるからでしょうか……」
確かめるように、乳房を両手で包まれ、恥ずかしさで頰が熱くなる。
「知ってます? 護衛の兵たちも密かに噂してる。ピアがとても色っぽいって。執事だって、あなたを見る目つきは怪しいし……」
「どこからそんな噂……んんっ」
頰の熱が上昇する。昂りを埋められている秘園がうねって収縮し、彼を締め付ける。
「あ、キュッて締まった……。もしかして嬉しい? 他の男に噂されて? ピアは意外と欲張りですね……」
ジュリアスは、手を置いていた双乳を咎めるように鷲掴んだ。荒っぽい手つきで揉まれると、その力強さに被虐心が沸き起こり、唇から溢れる声が一段と高くなった。
「彼らは隙あらばあなたにもっと近づきたいと思っているんだ。きっと家庭教師が終わったら、我先にと口説くつもりですよ」
(知らなかったわ……)
普段、護衛の兵士や家臣たちとはほとんど交流がない。加えて、殿下の「閨の指導」という役目を彼らに知られていると思うと、気恥ずかしく、自ら接触するようなことはないし、あちらも気を使っているのか、よほどの連絡事項でない限り話しかけてはこないのだ。それなのに、そんな風に思われていたなんて……。
「でも、ピアは僕のものです。他の誰にも渡さない……」
熱っぽく囁き、ぷくりとふくらんだ胸の先端を強く吸い、甘噛みしてくる。かすかな痛みに顔を歪めるも、それはすぐにジンジンとした痒いような切ないような刺激となって、体を痺れさせていく。ピアが特別教えたわけではないのに、ここ最近ジュリアスの口調や愛撫に変化が出てきた。
最初は慎重で控えめだった愛撫は、日を追うごとに大胆になり、やがて、今のように露骨に追い詰めるようなものになった。
さらに時折ではあるが、わざと困らせるような要求をし、まるでピアを辱めることを楽しむ余裕さえ垣間見えた。
これはきっと、彼が情事に慣れ、欲望に振り回されずに生理的欲求をコントロールできるようになった、成長の証だろう。もともと指導の目的はそこにあり、喜ぶべきなのだが、ピアは、彼が己の性欲だけでなく、自分をもコントロールするような素ぶりを見せるのが気になっていた。
特に、こうして強い嫉妬心と独占欲をぶつけては、ピアの反応を伺ってくるのが顕著だった。
「あ、そんなに強く……吸っちゃダメです……」
乳首を強く吸われ、痛みに顔を歪めるが、その痛みはきっとジュリアスの嫉妬心の痛みでもあると思うと、胸に熱いものが込み上げる。漲ったペニスも、その存在を刻み込むように蜜路を容赦なく擦ってくる。
(そんなに心配しなくても、私はあなたのものなのに)
激しく突き上げられ、口から溢れそうになるジュリアスへの恋慕をピアは胸中に押し留めた。これはあくまで一時的な関係なのだ。想いを伝えることは許されなかった。
ジュリアスは乳房への愛撫をやめ、首筋に顔をすり寄せて甘え声で囁いた。
「ピアの体、全部素敵だよ。いい匂いもして……食べてしまいたくなる」
すかさず首筋をねっとりと舐められる。
「あん、だめっ、んん」
薄い肌に濡れた舌が這う。その生温かく、なんとも言えない感触に背筋がぞくぞくと震えた。無意識に裸体が悶えてしまう。
「甘くて美味しい」
うっとりとつぶやきながら、首筋から耳の付け根まで何度も舌は往復する。ゆったりと、だが力強い抽送に加えて、彼のもたらす繊細な愛撫から生じる快感を、彼女は体を震わせながら甘受した。
「感じてくれてるんだね。さっきから中が僕を嬉しそうに締め付けてくる。ピア……本当に敏感で可愛い……」
時には甘く歯を立て、肌を吸いながらジュリアスは巧みに腰を使ってくる。耳をクチュクチュと舐められる音、結合部で混じる体液がジュプジュプと立てる水音に、彼女は浅い呼吸を繰り返しながら自分が溺れているような錯覚に陥る。
「そん、な……や、も……」
体の昂りとともに、開きかけていた快感という花が一気に開花した。
「あああっ、いくっ、イク………っ」
ふわり、と全身が浮き上がる感じを覚え、刹那凄まじい愉悦が突き抜けた。あまりの気持ち良さに声も出ず、かすかに開いた唇が震えるだけだった。
「あああっ、僕も……、いいっ……締め付けて……ああ、ピアの顔が蕩けて可愛い……」
その後も、ぐったりとした彼女を四つん這いにし、ジュリアスは彼女のヒップを上げさせて後ろから何度も貫いた。
「すごい、またイッたね? 中がトロトロで、でもきゅんきゅん僕を包み込んで……これ、好き? 僕のこと好き?」
「ああっ、好き……好きです……」
「どっち? 僕が? それともこれが好きなの?」
「どっちも……です」
ヒップに指を食い込ませて最奥をずくずくと突かれ、ピアは愉悦で意識を朦朧とさせながらも、やっと答えた。もう何度絶頂を味わったことだろう。
「殿……下、ごめん……なさい。もう、だめ……っ。あ、あ……っ……」
これ以上イかされたら自分はどうなってしまうのか。限界を本能で感じ、ピアはとうとう弱音を上げた。
「謝らないで」
ジュリアスは覆いかぶさるようにして、優しく背中にキスを落とした。髪を優しく指で梳き、耳の後ろで囁きかけてくる。
「僕が欲張りすぎたんだ。ピアが好きすぎて……繋がっている間は、ずっと僕のものだから、つい……」
その言葉が胸を熱くさせ、髪を撫でられる手の動きに彼女はうっとりとなった。年下の少年にあやされて胸をときめかせるなんて、これではどちらが大人なのかわからない。それでも、愛しいジュリアスの愛撫は心から嬉しかった。
「じゃあ、今はこれで最後にするよ。あまりピアをいじめても可哀想だし……。でも、ちょっと激しくなるかも」
一旦結合が解かれ、仰向きにされると、彼は再びつながってきた。彼女の体を隙間なく抱きしめ、猛然と腰を振ってくる。
「あんっ、殿下……、あんっ、はああんっ」
程よく筋肉をつけた腰の動きはひたむきだ。頂上に向けて一気に突き進む抽送が、さらにピアを追い詰める。
漲ったペニスが隘路全体を擦り、最奥が繰り返し小突かれて意識が徐々に薄れていく。ピアは引き締まった体に両手足を絡みつけてしがみつき、必死でジュリアスを受け止めた。
「ああっ、イく……ピアっ、くっ、でるっ」
咆哮に続いて、強烈な一撃が放たれる。悩ましげに顔を歪めたジュリアスは、ピアを力一杯抱きしめ、精を弾かせた。
「私も……っ、ぁ……」
その熱が下腹に瞬く間に広がり、ピアも達した。チカチカと光の粒がまぶたの裏に、身体中に踊っている。
ジュリアスの体の重みと自分を満たす体液の熱さを感じながら、ピアは彼に抱かれる喜びを心から噛み締めた。
「先生、ごめんなさい。また中に出しちゃった」
息を乱しながら、肩に顔を埋めたジュリアスが、ポツリと言った。息が耳をくすぐる。
「しょうがないですね……」
ピアは柔らかな口調で言って、ジュリアスと見つめ合う。二人の体は汗まみれだった。吸い付く肌の感触が心地よく、このまま二人で溶け合ってしまえばと思う。
(この幸せにずっと浸っていたい)
それが許されぬ望みであることは、ピア自身が誰より理解していた。瞼を閉じ、彼の甘い視線から逃れると、心を鬼にした。
「殿下はすっかり上達されましたね。もう私が教えることはないかもしれません……」
別れの時が迫っている、そう念を押すように言い聞かせると、ジュリアスの体がこわばるのがわかった。彼も同じ気持ちなのかと思うと、胸がキリキリと締めつけられる。瞼を開くと、視線が交わった途端、彼は顔を背けた。ややあって、ジュリアスが囁いた。
「そう、ですね……」
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