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Part 5-3
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握られていた手はそのまま指を絡められ、ベッドに縫い付けられてしまう。彼はまどかの体を組み敷いたまま髪に顔を埋め、深く息を吸った。
「まどかの香りだ。たまらない……こんなに近くにいたら……」
耳元で彼は囁く。息が耳にかかり、くすぐったくてつい首をすくめてしまう。そんなまどかを、彼は体を少し起こして正面から見つめる。
「だから、なるべく避けようとしていたんだ。近づけばこうなってしまうことは分かっていたから……」
ごめん。と、もう一度彼は耳元で吐息混じりに囁いた。
それだけで、全てが蕩けそうだ。
こんなに近くで見る鳳乱。
「近づくな」って言われていたから、いつも遠目から見るしかなかった。長い前髪の隙間から覗く淡い緑の瞳が、今、まどかを映している。
まどかだけを映している。すっきりとした顔の輪郭。うなじに沿って流れる、シルバーアシュに光る柔らかな髪。シャープな鼻梁。一文字に結ばれた美しい口元からは、これからどんな言葉を紡ぎだすのだろう。
「そんなにじっと見られると、先に進みにくい……」
彼は苦笑する。
「だって……始めてでしょ。鳳乱の顔をこんなに近くで見るのが……なんか……本当に綺麗。王子様みたい」
安易な言葉だと思ったけれど、それ以外に彼の容姿を形容する表現が、すでに思考停止した頭には浮かばなかった。
彼が笑みをこぼす。
「王子なんて、僕はそんなに大人しいものじゃない。今はまどかの全てが欲しくて気が狂いそうだ。顔なんていつでも見られるだろ。だから、もう……僕に身を任せて……嫌と言っても、止めない」
ゆっくりと鳳乱の顔が再び近づく。
唇に、彼の唇が触れる。思わず手に力が入ってしまう。すると、鳳乱もきゅっと手を握り返して応じた。
唇が深く重なり、そっとお互いの舌を求め合い、絡まり合う。少し息苦しさを感じるのは、舌を追いかける、彼のキスがだんだん激しさを増していくから。ずっと探していたものに、やっと逢えた。彼の体温、重なる手の平の感触。肌をくすぐる吐息。全部、ずっと欲しかった。
「あふ……」
彼が上唇を舐め、吸い上げる。わざとゆっくり歯茎を往復し、まどかの舌を避け、焦らす。その間に絡めていた指はほどかれ、左手はTシャツの下で円を描くようにゆっくりと胸の上を動いていた。
くすぐったいと同時に、甘い官能の予感がぞくりと全身を駆け抜ける。
湿った音を立てながら、熱いキスがまだ続く。角度を変えながら、もっと、もっと深く……。
体の重みを受けながら、解放された手を彼の柔らかな髪の間に差し込み、弄る。まどかも彼の舌を捕らえ、その柔らかく、熱く濡れた、甘い舌を吸ったり、甘噛みしたりと、今までの思いを伝えようとした。彼も応えるように強くまどかの舌を吸う。そして、名残惜しそうに唇が離れる。
細い糸が二つの唇を一瞬繋ぎ、消えた。
「キスだけで、自分を見失いそうになる……」
顔を少し上気させた彼が言う。
「わ、私は、ただ鳳乱が欲しくて……すごく、好きで……」
キスのせいで息があがってしまっている。ぼうっとして、上手く言葉にならない。
そんなこと言われたら……と、彼は苦笑し、瞼に唇を押し付けた。
「僕は全部、まどかのものだよ。僕も、まどかの全てが欲しい」
彼は体を起こしてまどかのTシャツを丁寧に脱がせ、下着も腕から抜き取った。二つの柔らかな膨らみが露わになり、その頂には小さな突起がぷくりと張り詰めていた。
「あ……あんまり見ないで……」
まどかは恥ずかしさに目を閉じ、シーツに顔を埋める。衣擦れの音がして鳳乱の裸の上半身がまどかを包んだ。熱い……。彼の背に腕を回す。
「まどか……好きだ。同じ言葉しか繰り返せないけど……好きだ」
鳳乱は首筋にキスを落としながら、切なく囁き続けた。
唇を鎖骨へと、滑らせていく。まどかは胸が苦しくて何も言えずに、ただ彼を抱いている手に力を込めた。
ちり、とその時、鎖骨の下に痺れを感じた。鳳乱はまどかと目が合うと、悪戯っぽく片目を瞑る。
「僕の印、付けたから。いや、もっと付けるんだけど」
宣言し、すぐに胸に顔を埋める。そして乳房のその丘の麓でまた強く吸った。
「ああっ」
小さく肌を吸われるたびに、すごく感じてしまう。
鳳乱は傷を舐めたときと同じ丁寧さで、乳房を下から上へ舐め続ける。何度も、何度も。両手は、その舌の動きに合わせて、やさしく乳房を揉みしだいている。とうとうその濡れた舌が、すでに固くなっている突起に這わされると、全身に電流が走った。彼はそのまま舌でくるくると転がし、音を立てて強く吸い上げる。
「はあぁっ」
もう片方の乳首を指でつままれ、押し潰される。
「まどかの胸、すごく柔らかくて、指が肌に吸い付く……夢と一緒だ」
(あの夢……)
一瞬、おぼろげに記憶が脳裏に浮かんだが、その時、胸を強く揉まれ、記憶は現実となって蘇った。
彼の手の中でそれは、彼の意のままに形を歪ませる。乳首がツンと、さらにその存在を強調する。
鳳乱の柔らかな髪が胸をくすぐった。彼は胸の突起を口内で転がし、存分に味わっている。
左右交互に、平等に。ざらざらとした舌、塗り付けられる唾液そして時折歯を立てて……その変化する刺激が、まどかを一層高みへ引き上げる。
「ああ……あんっ」
思わず鳳乱の頭を胸に抱え込んだ。
その間に彼はまどかのパンツのホックを外し、下ろす。
腕の中にあった頭が下へ移動していく。肌を熱い息でくすぐりながら、濡れた舌で体の中心をなぞり、臍を通り過ぎた。
その動きと連動しながら温かい手は体のカーブを滑り、残った下着をゆっくりと脱がす。身につけているものが全て取り去られる。彼は体を起こし、眩しそうにまどかを見下ろした。
「やっぱり……すごく綺麗な体だ……あの制服は体の線が出すぎるね。獅子に見せたくなかった」
まどかは恥ずかしさのあまり、胸を隠そうと手を宙に浮かせた。
「だめ」
鳳乱はその手をとり、引き寄せてまどかを抱き締めた。
「僕のも、脱がせて」
頭の上から低い掠れ声がこぼれる。まどかは、膝立ちになった彼のウェストに手をかけ、ゆっくりとイージーパンツを下ろした。下着が現れ、既に前が盛り上がり、その存在を誇示していた。
「全部」
彼の両手がそっとまどかの頭に添えられ、優しく髪を梳く。繰り返されるその愛撫からは彼の愛情が十分伝わってくる。下着を膝まで完全に下ろすと、彼のペニスは腹に付かんばかりに屹立していた。まどかは思わず高ぶりに触れてみる。
「硬い……」
彼はまどかの頬に優しく両手を添え、顔を上げさせると、もう一度唇を重ねた。
「まどかが、こんなにしたんだろ」
彼は目だけで笑う。まどかを再びベッドへ押し倒し、服を全て脱いだ。覆いかぶさり、顔を覗き込む。
「まどか、まさか初めてじゃないよな……」
「ち、違うわよ」
「じゃあ、なんでそんなに可愛いの?」
『可愛い』と言われて、まるで少女のように胸がときめく。
「すごく……どきどきする……嬉しくて……。こんな気持ちになるのは、初めて」
鳳乱は鼻と鼻を軽く擦り合わせた。
「それなら僕も、……いや、絶対もっと嬉しい」
彼の熱く硬いものが下腹に当たり、落ち着かない。早く彼と一つになりたい。体の中心は、彼と肌を合わせているだけで、既にうずいている。
鳳乱はもう一度、ぎゅっとまどかを抱きしめると、顎から首、肩、胸とキスの雨を降らせながら、中心へ近づいていく。
まどかはキスをされる度に身を捩(よじ)り、次々と湧き起こる快感の波から浮き上がろうと、頭を仰け反らせた。
「んっ……はぁ……」
鳳乱が両手で膝を折り、ゆっくり脚を開かせる。そして体を割り込ませた。まどかはシーツを掴む。
吐息が茂みにかかったと思うと、舌がそっと秘裂を割った。
「はぁん」
とろりと溢れた蜜が、尻まで伝わる。舌がそれをすくい取る。そのまま舌は花弁の間で蠢き、甘い刺激を与え続けた。その滑らかな舌の動きに、ため息が漏れる。
「どんどん、溢れてくる……」
「やぁ……」
まどかは身じろぎした。
しかしすぐに引き戻され、彼は再び、秘部に唇を押し付けた。両手は、太股を触れるか触れないかのもどかしい手つきで、内股を彷徨う。全身に、ぞくぞくと快感が駆け抜けた。
ふと、彼が身を引く気配を感じ、なんだか急に淋しくなる。それもつかの間、今度は彼の長い指が滑らかに侵入した。
「あん」
粘膜を擦られる、ぬるりとした感触に思わず腰が浮いてしまう。しかし、すぐに腰に腕が回され、強引に引き寄せられたその拍子に、指がさらに奥に進み入る。鳳乱はまどかの耳たぶを口に含んで、囁いた。
「すごく濡れてる……。音、聞こえる?」
彼は、わざと卑猥な水音をたて、さらに増やした指で蜜を掻き出すように大胆に動かす。泉は嬉々としてその指を迎え入れ、媚肉は優しく指に絡み付く。
「いや……言わないで……」
まどかは顔を背け、その音から逃れたい一心で瞼を閉じた。しかし、視界が閉ざされた分だけ中を掻き回す指の存在をより敏感に感じ、蜜の音が脳の中で大きく響いてさらに劣情が煽られた。
「中が、僕を締め付けている……すごく可愛い」
「そ、そんな………っ、ぁああっ……!」
彼の親指が、敏感な蕾を弾いた。そのまま、そこへ溢れる蜜をリズミカルな動きで塗り付ける。
「んっ、んっ……ふ……っ……」
まどかは彼の頭を抱えながら、小さく喘いだ。愛撫されている場所から、すでに、体がとろけ始めている。
体を侵食し始める快感から逃れようと、または追いかけるかのように、彼に抱かれた腰が指の動きに合わせて踊る。
じゅぷ……という音とともに、急に指が抜かれた。
一気に広がる空虚。
「いや……鳳乱……」
小さな声で彼を呼ぶ。思わず涙声になっていた。
「大丈夫……もっと気持ちよくしてあげるから」
彼は再び大きく脚を開かせ、しとどに濡れた秘部に再び顔を寄せる。唇を媚肉に押し付けては、音をたてて蜜を吸い、舌を深く奥へ割り込ませる。繰り返し繰り返し、たっぷり溢れたそこを攻めるが、まだ蕾には触れようとしない。指とは違う生々しい感触が粘膜を刺激するたびに、まどかはは腰をくねらせ、痛いほどに疼いている欲望の塊に彼を導こうとした。しかし、彼は腿をしっかり押さえて動きを封じる。
「どうして欲しいのか、言ってくれなきゃわからないよ」
鳳乱は顔を上げて、悪戯っぽく笑った。その唇が妖艶に光っている。視線が熱い。まどかは羞恥に目を伏せた。
「分かっているくせに……」
それだけ言うのが精一杯だ。
「まどかが、ちゃんと言って」
潤んだ瞳でまっすぐ彼を見る。
「舐めて、欲しい……」
「どこを?」
彼は内股の柔らかい場所へ、思わせぶりに歯をたてた。それだけで、快感で肌が痺れる。
「あっ……私の……熱いところ………」
「いいよ……」
彼は満足げに口角を上げると、再び顔を脚の間に伏せた。そして、ずっと待ち焦がれていた場所にそっと舌を這わせた。
「はぁーーっ……」
期待をはるかに上回る快感に、声が上擦る。彼は敏感になった陰核を弾き、舌で転がし、押しつけ、擦る。緩急をつけたそのリズムに、腰が合わせて浮き上がる。下腹から生まれる甘美な電流が、幾度も体を貫いていく。
ぴちゃぴちゃと、彼はわざと音を響かせ、執拗に蕾を辱めた。
「あ……ああっ……ああっ……」
「もっと、声を聞かせて。ものすごく興奮する……」
「気持ちよくて……私……、変になっちゃう……」
鳳乱は返事の代わりに、ずずっと音をたてて蕾を吸い上げた。
「ひゃんっ」
駆け抜ける峻烈な快楽に、まどかは思わず腿で彼の顔を挟んだ。彼はそれをもう一度押し広げ、ぐっと上半身を起こした。まどかの唇を求め、舌を押し込む。まどかは彼の頬を両手で引き寄せ、さらに深く、深く舌を貪る。吐息ごと、淫らな音を立てて唾液を吸い合う。
「はぁ……」
唇が離れ、二人の熱い視線が交わる。
「もう、我慢出来ない……まどかの中に入りたい。……いい?」
「私も……鳳乱が……欲しい、鳳乱でいっぱいにして…………」
彼は耳の下にキスをした。
「そんなこと言われたら……壊してしまいそうだ」
彼はまどかの膝を開き、腰をぐっと引き寄せて、熱い屹立を泉の中心に押し当てた。ゆっくりと腰を繰り出す。
既に濡れそぼっているそこは、難なく彼をのみ込んでいく。
「きつ……。まどか、締め付けすぎ……」
「だって……」
(早く一つになりたい……)
鳳乱に指摘され、さらに頬が熱くなった。
「温かい……まどかの中……すごく……気持ちがいい」
彼は瞼を閉じ、彼の全てがすっかり埋まった。まどかの胸も感動で満たされ、震えた。
「動くよ……」
彼はまどかの腰に手を添えたまま、腰を前後に揺らした。すぐに動きは速くなり、快感の波となって打ち寄せる。
「ん……ふぅん」
中が掻き回される。ペニスと媚肉を擦り、ぬちゃぬちゃと水音がたつ。彼は入り口ぎりぎりまで己を引き、そして再び奥に打ち付ける。
何度も、何度も。浅く、深く、深く、浅く。
「あん、ああん……あっ……」
屹立が、最奥を穿つたびに、声にならない声が押し出される。
「まどか、きつっ……」
「だって……こんな…………気持ちいい……」
「僕も……すごく……はあ……ぁあ……」
見下ろす瞳に切なさが揺れている。
「あっ……抱いて……鳳乱……強く……」
体は彼でいっぱいに満たされているのに、二人の距離が淋しくてつい甘えてしまう。
鳳乱はすぐに覆いかぶさり、強い腕で抱きしめた。まどかも彼の背にしっかりと腕を回す。
彼が深く、さらに深く突き上げる。激しく揺さぶる。じわじわと波が湧き上がってきた。彼は乳房に歯をたて、乳首に強く吸い付く。熱い舌が乳房を縦横無尽に舐め回す。
「ああっ」
二人の体は隙間無く重なり、その重みが愛おしく、涙が頬を伝った。彼は腰をさらに激しく打ち続け、擦りつけた。彼の喉からくぐもった声が聞こえる。胸に掛かる熱い息がますます乱れた。
「ああ、いいよ……まどか……」
名を呼ばれ、何かが、大きな何かが体の中で急激に広がる。
「私……もうっ、いい……っ……」
強烈な戦慄が全身を駆け抜け、意識が白く散った。
鳳乱がぐっと最も深い場所を貫いた。
「ああっ!」
「くっ……」
胸の上でうめき声がして、中で彼が震え、そして弾けた。
「まどかの香りだ。たまらない……こんなに近くにいたら……」
耳元で彼は囁く。息が耳にかかり、くすぐったくてつい首をすくめてしまう。そんなまどかを、彼は体を少し起こして正面から見つめる。
「だから、なるべく避けようとしていたんだ。近づけばこうなってしまうことは分かっていたから……」
ごめん。と、もう一度彼は耳元で吐息混じりに囁いた。
それだけで、全てが蕩けそうだ。
こんなに近くで見る鳳乱。
「近づくな」って言われていたから、いつも遠目から見るしかなかった。長い前髪の隙間から覗く淡い緑の瞳が、今、まどかを映している。
まどかだけを映している。すっきりとした顔の輪郭。うなじに沿って流れる、シルバーアシュに光る柔らかな髪。シャープな鼻梁。一文字に結ばれた美しい口元からは、これからどんな言葉を紡ぎだすのだろう。
「そんなにじっと見られると、先に進みにくい……」
彼は苦笑する。
「だって……始めてでしょ。鳳乱の顔をこんなに近くで見るのが……なんか……本当に綺麗。王子様みたい」
安易な言葉だと思ったけれど、それ以外に彼の容姿を形容する表現が、すでに思考停止した頭には浮かばなかった。
彼が笑みをこぼす。
「王子なんて、僕はそんなに大人しいものじゃない。今はまどかの全てが欲しくて気が狂いそうだ。顔なんていつでも見られるだろ。だから、もう……僕に身を任せて……嫌と言っても、止めない」
ゆっくりと鳳乱の顔が再び近づく。
唇に、彼の唇が触れる。思わず手に力が入ってしまう。すると、鳳乱もきゅっと手を握り返して応じた。
唇が深く重なり、そっとお互いの舌を求め合い、絡まり合う。少し息苦しさを感じるのは、舌を追いかける、彼のキスがだんだん激しさを増していくから。ずっと探していたものに、やっと逢えた。彼の体温、重なる手の平の感触。肌をくすぐる吐息。全部、ずっと欲しかった。
「あふ……」
彼が上唇を舐め、吸い上げる。わざとゆっくり歯茎を往復し、まどかの舌を避け、焦らす。その間に絡めていた指はほどかれ、左手はTシャツの下で円を描くようにゆっくりと胸の上を動いていた。
くすぐったいと同時に、甘い官能の予感がぞくりと全身を駆け抜ける。
湿った音を立てながら、熱いキスがまだ続く。角度を変えながら、もっと、もっと深く……。
体の重みを受けながら、解放された手を彼の柔らかな髪の間に差し込み、弄る。まどかも彼の舌を捕らえ、その柔らかく、熱く濡れた、甘い舌を吸ったり、甘噛みしたりと、今までの思いを伝えようとした。彼も応えるように強くまどかの舌を吸う。そして、名残惜しそうに唇が離れる。
細い糸が二つの唇を一瞬繋ぎ、消えた。
「キスだけで、自分を見失いそうになる……」
顔を少し上気させた彼が言う。
「わ、私は、ただ鳳乱が欲しくて……すごく、好きで……」
キスのせいで息があがってしまっている。ぼうっとして、上手く言葉にならない。
そんなこと言われたら……と、彼は苦笑し、瞼に唇を押し付けた。
「僕は全部、まどかのものだよ。僕も、まどかの全てが欲しい」
彼は体を起こしてまどかのTシャツを丁寧に脱がせ、下着も腕から抜き取った。二つの柔らかな膨らみが露わになり、その頂には小さな突起がぷくりと張り詰めていた。
「あ……あんまり見ないで……」
まどかは恥ずかしさに目を閉じ、シーツに顔を埋める。衣擦れの音がして鳳乱の裸の上半身がまどかを包んだ。熱い……。彼の背に腕を回す。
「まどか……好きだ。同じ言葉しか繰り返せないけど……好きだ」
鳳乱は首筋にキスを落としながら、切なく囁き続けた。
唇を鎖骨へと、滑らせていく。まどかは胸が苦しくて何も言えずに、ただ彼を抱いている手に力を込めた。
ちり、とその時、鎖骨の下に痺れを感じた。鳳乱はまどかと目が合うと、悪戯っぽく片目を瞑る。
「僕の印、付けたから。いや、もっと付けるんだけど」
宣言し、すぐに胸に顔を埋める。そして乳房のその丘の麓でまた強く吸った。
「ああっ」
小さく肌を吸われるたびに、すごく感じてしまう。
鳳乱は傷を舐めたときと同じ丁寧さで、乳房を下から上へ舐め続ける。何度も、何度も。両手は、その舌の動きに合わせて、やさしく乳房を揉みしだいている。とうとうその濡れた舌が、すでに固くなっている突起に這わされると、全身に電流が走った。彼はそのまま舌でくるくると転がし、音を立てて強く吸い上げる。
「はあぁっ」
もう片方の乳首を指でつままれ、押し潰される。
「まどかの胸、すごく柔らかくて、指が肌に吸い付く……夢と一緒だ」
(あの夢……)
一瞬、おぼろげに記憶が脳裏に浮かんだが、その時、胸を強く揉まれ、記憶は現実となって蘇った。
彼の手の中でそれは、彼の意のままに形を歪ませる。乳首がツンと、さらにその存在を強調する。
鳳乱の柔らかな髪が胸をくすぐった。彼は胸の突起を口内で転がし、存分に味わっている。
左右交互に、平等に。ざらざらとした舌、塗り付けられる唾液そして時折歯を立てて……その変化する刺激が、まどかを一層高みへ引き上げる。
「ああ……あんっ」
思わず鳳乱の頭を胸に抱え込んだ。
その間に彼はまどかのパンツのホックを外し、下ろす。
腕の中にあった頭が下へ移動していく。肌を熱い息でくすぐりながら、濡れた舌で体の中心をなぞり、臍を通り過ぎた。
その動きと連動しながら温かい手は体のカーブを滑り、残った下着をゆっくりと脱がす。身につけているものが全て取り去られる。彼は体を起こし、眩しそうにまどかを見下ろした。
「やっぱり……すごく綺麗な体だ……あの制服は体の線が出すぎるね。獅子に見せたくなかった」
まどかは恥ずかしさのあまり、胸を隠そうと手を宙に浮かせた。
「だめ」
鳳乱はその手をとり、引き寄せてまどかを抱き締めた。
「僕のも、脱がせて」
頭の上から低い掠れ声がこぼれる。まどかは、膝立ちになった彼のウェストに手をかけ、ゆっくりとイージーパンツを下ろした。下着が現れ、既に前が盛り上がり、その存在を誇示していた。
「全部」
彼の両手がそっとまどかの頭に添えられ、優しく髪を梳く。繰り返されるその愛撫からは彼の愛情が十分伝わってくる。下着を膝まで完全に下ろすと、彼のペニスは腹に付かんばかりに屹立していた。まどかは思わず高ぶりに触れてみる。
「硬い……」
彼はまどかの頬に優しく両手を添え、顔を上げさせると、もう一度唇を重ねた。
「まどかが、こんなにしたんだろ」
彼は目だけで笑う。まどかを再びベッドへ押し倒し、服を全て脱いだ。覆いかぶさり、顔を覗き込む。
「まどか、まさか初めてじゃないよな……」
「ち、違うわよ」
「じゃあ、なんでそんなに可愛いの?」
『可愛い』と言われて、まるで少女のように胸がときめく。
「すごく……どきどきする……嬉しくて……。こんな気持ちになるのは、初めて」
鳳乱は鼻と鼻を軽く擦り合わせた。
「それなら僕も、……いや、絶対もっと嬉しい」
彼の熱く硬いものが下腹に当たり、落ち着かない。早く彼と一つになりたい。体の中心は、彼と肌を合わせているだけで、既にうずいている。
鳳乱はもう一度、ぎゅっとまどかを抱きしめると、顎から首、肩、胸とキスの雨を降らせながら、中心へ近づいていく。
まどかはキスをされる度に身を捩(よじ)り、次々と湧き起こる快感の波から浮き上がろうと、頭を仰け反らせた。
「んっ……はぁ……」
鳳乱が両手で膝を折り、ゆっくり脚を開かせる。そして体を割り込ませた。まどかはシーツを掴む。
吐息が茂みにかかったと思うと、舌がそっと秘裂を割った。
「はぁん」
とろりと溢れた蜜が、尻まで伝わる。舌がそれをすくい取る。そのまま舌は花弁の間で蠢き、甘い刺激を与え続けた。その滑らかな舌の動きに、ため息が漏れる。
「どんどん、溢れてくる……」
「やぁ……」
まどかは身じろぎした。
しかしすぐに引き戻され、彼は再び、秘部に唇を押し付けた。両手は、太股を触れるか触れないかのもどかしい手つきで、内股を彷徨う。全身に、ぞくぞくと快感が駆け抜けた。
ふと、彼が身を引く気配を感じ、なんだか急に淋しくなる。それもつかの間、今度は彼の長い指が滑らかに侵入した。
「あん」
粘膜を擦られる、ぬるりとした感触に思わず腰が浮いてしまう。しかし、すぐに腰に腕が回され、強引に引き寄せられたその拍子に、指がさらに奥に進み入る。鳳乱はまどかの耳たぶを口に含んで、囁いた。
「すごく濡れてる……。音、聞こえる?」
彼は、わざと卑猥な水音をたて、さらに増やした指で蜜を掻き出すように大胆に動かす。泉は嬉々としてその指を迎え入れ、媚肉は優しく指に絡み付く。
「いや……言わないで……」
まどかは顔を背け、その音から逃れたい一心で瞼を閉じた。しかし、視界が閉ざされた分だけ中を掻き回す指の存在をより敏感に感じ、蜜の音が脳の中で大きく響いてさらに劣情が煽られた。
「中が、僕を締め付けている……すごく可愛い」
「そ、そんな………っ、ぁああっ……!」
彼の親指が、敏感な蕾を弾いた。そのまま、そこへ溢れる蜜をリズミカルな動きで塗り付ける。
「んっ、んっ……ふ……っ……」
まどかは彼の頭を抱えながら、小さく喘いだ。愛撫されている場所から、すでに、体がとろけ始めている。
体を侵食し始める快感から逃れようと、または追いかけるかのように、彼に抱かれた腰が指の動きに合わせて踊る。
じゅぷ……という音とともに、急に指が抜かれた。
一気に広がる空虚。
「いや……鳳乱……」
小さな声で彼を呼ぶ。思わず涙声になっていた。
「大丈夫……もっと気持ちよくしてあげるから」
彼は再び大きく脚を開かせ、しとどに濡れた秘部に再び顔を寄せる。唇を媚肉に押し付けては、音をたてて蜜を吸い、舌を深く奥へ割り込ませる。繰り返し繰り返し、たっぷり溢れたそこを攻めるが、まだ蕾には触れようとしない。指とは違う生々しい感触が粘膜を刺激するたびに、まどかはは腰をくねらせ、痛いほどに疼いている欲望の塊に彼を導こうとした。しかし、彼は腿をしっかり押さえて動きを封じる。
「どうして欲しいのか、言ってくれなきゃわからないよ」
鳳乱は顔を上げて、悪戯っぽく笑った。その唇が妖艶に光っている。視線が熱い。まどかは羞恥に目を伏せた。
「分かっているくせに……」
それだけ言うのが精一杯だ。
「まどかが、ちゃんと言って」
潤んだ瞳でまっすぐ彼を見る。
「舐めて、欲しい……」
「どこを?」
彼は内股の柔らかい場所へ、思わせぶりに歯をたてた。それだけで、快感で肌が痺れる。
「あっ……私の……熱いところ………」
「いいよ……」
彼は満足げに口角を上げると、再び顔を脚の間に伏せた。そして、ずっと待ち焦がれていた場所にそっと舌を這わせた。
「はぁーーっ……」
期待をはるかに上回る快感に、声が上擦る。彼は敏感になった陰核を弾き、舌で転がし、押しつけ、擦る。緩急をつけたそのリズムに、腰が合わせて浮き上がる。下腹から生まれる甘美な電流が、幾度も体を貫いていく。
ぴちゃぴちゃと、彼はわざと音を響かせ、執拗に蕾を辱めた。
「あ……ああっ……ああっ……」
「もっと、声を聞かせて。ものすごく興奮する……」
「気持ちよくて……私……、変になっちゃう……」
鳳乱は返事の代わりに、ずずっと音をたてて蕾を吸い上げた。
「ひゃんっ」
駆け抜ける峻烈な快楽に、まどかは思わず腿で彼の顔を挟んだ。彼はそれをもう一度押し広げ、ぐっと上半身を起こした。まどかの唇を求め、舌を押し込む。まどかは彼の頬を両手で引き寄せ、さらに深く、深く舌を貪る。吐息ごと、淫らな音を立てて唾液を吸い合う。
「はぁ……」
唇が離れ、二人の熱い視線が交わる。
「もう、我慢出来ない……まどかの中に入りたい。……いい?」
「私も……鳳乱が……欲しい、鳳乱でいっぱいにして…………」
彼は耳の下にキスをした。
「そんなこと言われたら……壊してしまいそうだ」
彼はまどかの膝を開き、腰をぐっと引き寄せて、熱い屹立を泉の中心に押し当てた。ゆっくりと腰を繰り出す。
既に濡れそぼっているそこは、難なく彼をのみ込んでいく。
「きつ……。まどか、締め付けすぎ……」
「だって……」
(早く一つになりたい……)
鳳乱に指摘され、さらに頬が熱くなった。
「温かい……まどかの中……すごく……気持ちがいい」
彼は瞼を閉じ、彼の全てがすっかり埋まった。まどかの胸も感動で満たされ、震えた。
「動くよ……」
彼はまどかの腰に手を添えたまま、腰を前後に揺らした。すぐに動きは速くなり、快感の波となって打ち寄せる。
「ん……ふぅん」
中が掻き回される。ペニスと媚肉を擦り、ぬちゃぬちゃと水音がたつ。彼は入り口ぎりぎりまで己を引き、そして再び奥に打ち付ける。
何度も、何度も。浅く、深く、深く、浅く。
「あん、ああん……あっ……」
屹立が、最奥を穿つたびに、声にならない声が押し出される。
「まどか、きつっ……」
「だって……こんな…………気持ちいい……」
「僕も……すごく……はあ……ぁあ……」
見下ろす瞳に切なさが揺れている。
「あっ……抱いて……鳳乱……強く……」
体は彼でいっぱいに満たされているのに、二人の距離が淋しくてつい甘えてしまう。
鳳乱はすぐに覆いかぶさり、強い腕で抱きしめた。まどかも彼の背にしっかりと腕を回す。
彼が深く、さらに深く突き上げる。激しく揺さぶる。じわじわと波が湧き上がってきた。彼は乳房に歯をたて、乳首に強く吸い付く。熱い舌が乳房を縦横無尽に舐め回す。
「ああっ」
二人の体は隙間無く重なり、その重みが愛おしく、涙が頬を伝った。彼は腰をさらに激しく打ち続け、擦りつけた。彼の喉からくぐもった声が聞こえる。胸に掛かる熱い息がますます乱れた。
「ああ、いいよ……まどか……」
名を呼ばれ、何かが、大きな何かが体の中で急激に広がる。
「私……もうっ、いい……っ……」
強烈な戦慄が全身を駆け抜け、意識が白く散った。
鳳乱がぐっと最も深い場所を貫いた。
「ああっ!」
「くっ……」
胸の上でうめき声がして、中で彼が震え、そして弾けた。
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「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
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メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
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