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第92話
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「すみません……」
立ったまま気絶していた少年はしばらくして意識を取り戻してくれた。まぁドラゴンモードで会っちゃったからしょうがないかな?
「いいさ。元気そうでよかったな」
「はい。この度はお助けいただき本当にありがとうございました」
そう言うと少年は頭を下げてきた。冒険者って粗いって言うかもっと雑なイメージだったんだけど結構ちゃんとしてるんだなぁ。
「君たちは運が良かったんだよ。まぁ傷が癒えるまでゆっくりしていくといい、イリオ。悪いんだけど面倒見てあげて」
「お任せください主様!」
助けたとは言っても死者も出てる。彼らの心の整理にも時間が居ると思う、地球とこっちじゃ感性が違うからなんとも言えないけど安全な環境は彼らを助けると思う。
「意外ですよね。主様はドラゴンですがとても人らしい感性をお持ちなのです」
「ドラゴンってもっと怖い存在だと思ってました……」
「主様は例外ですよ。それに敵に対してはホントに容赦ないお方ですから……あれは恐怖そのものだと思います」
「あれが魔竜領域の主、ヴリトラ……」
「家族をとても大事にする方なので変な事したら容赦なく殺されますよ」
イリオは笑顔でそう言ってみせた。
「しませんよ!!」
「助けられた立場だしな。恩を仇で返すつもりなんてねぇよな」
エイダがキッドの背中を思いっきり叩いてみせた。
「いったぃ!」
「それはそうと質問なんですけど。貴方達の一党はずいぶん深くまで進行してましたよね? 他の一党も同じように来てたりするのですか?」
「あぁ、あたしら以外にもいくつか潜ってるはずだ。それに途中で全滅したであろう奴らの残骸も目撃した」
「やっぱりこの森に生息エリアを移してきてる部族がいくつか居そうですね……貴方達の一党はトロールの居た群れ以外とも接敵したりしましたか?」
「いえ、僕達は魔物と接敵したのはあの群れが初めてです。その前にギガマウスやクエイクフットなどとは戦ってましたけど」
「そうですか。ありがとうございます、やはり少し調査したほうがよさそうですね……」
イリオと名乗るゴブリンはブツブツと何かを呟きながら考え始めた。
「キッドっ!!」
不意に後方から声がかけられ、振り向くと同時に何かが抱き着いてきた。
「レフカ!?」
「よかった、無事でよかったよぉ!!」
レフカと呼ばれた少女はキッドに抱き着き泣き出した、ホントに心配してたんだろうね。
「ルーフェどうかした?」
「いえ、まだ確証はないんですけどあの少女……ちょっと知人かもしれません」
「ルーフェの知り合いとなると帝国の?」
「はい……冒険者と聞いていますが。あまりにも私の知ってる女性に似ています……」
「まだダメだよ?」
「わかっておりますご主人様。慣れるまでは私の姿もあまり見せないほうがいいかなと思っております」
「ちょっと迷惑かけちゃうね。大丈夫です、代わりにいろいろ可愛がってもらいますから!」
この堕天使、真面目なところを見せたと思ったのに……ブレねぇ……
「あれで起きてきたのは五人。戦士の少年、女戦士、男神官、エルフ女性の斥候、神官の少女。後三人だね、できれば団長らしいあのおっちゃんに起きて欲しいかな。情報収取的な意味でも」
「一番の重傷者でしたけどもう峠は越えています。マリーのスーラの腕は見事ですね」
「自慢の医学者だからね」
マリーは本来地層学が専門なのだが医学の知識も豊富だったため頼りにしてしまっている。まぁ暇な時にコボルト坑道に調査に行ってるらしいから大丈夫かな?
「純粋なよそ者が来るのは初めてですよね、今後はどうします?」
「前に魔王領の使者が取引に来た位だしね。とりあえず動けるようになるまでは面倒見ようと思ってる、その後は彼らも冒険者。自分達で決めるでしょ」
「ちょっと訳ありな人も居るみたいですし気にはなりますね」
「まぁ変なことしなければ客人として扱うつもりだよ」
「では他の皆様にもそう伝えておきますね」
「ルーフェありがと、任せたよ」
「はい。ご主人様!」
ルーフェはそのまま飛び立った。俺も盗み聞ぎは良くないだろうし畑の拡張してますかね、冬に向けて薪も用意しなきゃだしね。
立ったまま気絶していた少年はしばらくして意識を取り戻してくれた。まぁドラゴンモードで会っちゃったからしょうがないかな?
「いいさ。元気そうでよかったな」
「はい。この度はお助けいただき本当にありがとうございました」
そう言うと少年は頭を下げてきた。冒険者って粗いって言うかもっと雑なイメージだったんだけど結構ちゃんとしてるんだなぁ。
「君たちは運が良かったんだよ。まぁ傷が癒えるまでゆっくりしていくといい、イリオ。悪いんだけど面倒見てあげて」
「お任せください主様!」
助けたとは言っても死者も出てる。彼らの心の整理にも時間が居ると思う、地球とこっちじゃ感性が違うからなんとも言えないけど安全な環境は彼らを助けると思う。
「意外ですよね。主様はドラゴンですがとても人らしい感性をお持ちなのです」
「ドラゴンってもっと怖い存在だと思ってました……」
「主様は例外ですよ。それに敵に対してはホントに容赦ないお方ですから……あれは恐怖そのものだと思います」
「あれが魔竜領域の主、ヴリトラ……」
「家族をとても大事にする方なので変な事したら容赦なく殺されますよ」
イリオは笑顔でそう言ってみせた。
「しませんよ!!」
「助けられた立場だしな。恩を仇で返すつもりなんてねぇよな」
エイダがキッドの背中を思いっきり叩いてみせた。
「いったぃ!」
「それはそうと質問なんですけど。貴方達の一党はずいぶん深くまで進行してましたよね? 他の一党も同じように来てたりするのですか?」
「あぁ、あたしら以外にもいくつか潜ってるはずだ。それに途中で全滅したであろう奴らの残骸も目撃した」
「やっぱりこの森に生息エリアを移してきてる部族がいくつか居そうですね……貴方達の一党はトロールの居た群れ以外とも接敵したりしましたか?」
「いえ、僕達は魔物と接敵したのはあの群れが初めてです。その前にギガマウスやクエイクフットなどとは戦ってましたけど」
「そうですか。ありがとうございます、やはり少し調査したほうがよさそうですね……」
イリオと名乗るゴブリンはブツブツと何かを呟きながら考え始めた。
「キッドっ!!」
不意に後方から声がかけられ、振り向くと同時に何かが抱き着いてきた。
「レフカ!?」
「よかった、無事でよかったよぉ!!」
レフカと呼ばれた少女はキッドに抱き着き泣き出した、ホントに心配してたんだろうね。
「ルーフェどうかした?」
「いえ、まだ確証はないんですけどあの少女……ちょっと知人かもしれません」
「ルーフェの知り合いとなると帝国の?」
「はい……冒険者と聞いていますが。あまりにも私の知ってる女性に似ています……」
「まだダメだよ?」
「わかっておりますご主人様。慣れるまでは私の姿もあまり見せないほうがいいかなと思っております」
「ちょっと迷惑かけちゃうね。大丈夫です、代わりにいろいろ可愛がってもらいますから!」
この堕天使、真面目なところを見せたと思ったのに……ブレねぇ……
「あれで起きてきたのは五人。戦士の少年、女戦士、男神官、エルフ女性の斥候、神官の少女。後三人だね、できれば団長らしいあのおっちゃんに起きて欲しいかな。情報収取的な意味でも」
「一番の重傷者でしたけどもう峠は越えています。マリーのスーラの腕は見事ですね」
「自慢の医学者だからね」
マリーは本来地層学が専門なのだが医学の知識も豊富だったため頼りにしてしまっている。まぁ暇な時にコボルト坑道に調査に行ってるらしいから大丈夫かな?
「純粋なよそ者が来るのは初めてですよね、今後はどうします?」
「前に魔王領の使者が取引に来た位だしね。とりあえず動けるようになるまでは面倒見ようと思ってる、その後は彼らも冒険者。自分達で決めるでしょ」
「ちょっと訳ありな人も居るみたいですし気にはなりますね」
「まぁ変なことしなければ客人として扱うつもりだよ」
「では他の皆様にもそう伝えておきますね」
「ルーフェありがと、任せたよ」
「はい。ご主人様!」
ルーフェはそのまま飛び立った。俺も盗み聞ぎは良くないだろうし畑の拡張してますかね、冬に向けて薪も用意しなきゃだしね。
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