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第59話
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この世界に来て二度目の冬がもうすぐやって来る。新しい家の方は間に合いそうだしどうにかなりそうかな。
「タカト、準備できたよ~」
「あいよ~」
今日は冬前にお義父さんの様子見に行くことにした。あそこは初期からの付き合いだし領主はアズハの父親だ、見捨てるわけにはいかないしね。
「ねぇねいってらっしゃい!」
「アーシラちゃんお留守番しててね!」
「セッカ、留守は任せたよ」
「ワン!」
アーシラを乗せたセッカが吠えて見せる、俺はアズハを乗せて手を振りながら飛び立つのだった。
「いい子だね」
「うん、友達が居ないのが気になるけどね……」
確かに平均するとうちの年齢は若い方だがそれでもアーシラとはだいぶ差がある。子供同士でなければ学べないこともあると思うけど、なかなか難しい問題だ。
「とりあえず久しぶりに会うんだ、心配させないようにしなきゃね」
「そうだね」
食料的には問題ない。あくまで今回は様子見で支援が必要ならその準備をするために行くのだ、この前行った時には冒険者が集まる街になっていたが安定してればいいな。
「ねぇアズハ」
「はい」
「すごく立派になってない?」
「私の知ってる領地とだいぶ変わってますね……」
前来たのいつだっけ? 短時間ですごく進化してる……城壁とかは無いけど家やお店が増えて畑もすごく広がってるし家畜もすごく増えてる気がする。
「あ、タカト、お父さんが着てる」
「何処?」
「石像の広場、そこに降りて欲しいみたい」
「了解~」
俺をモデルにした石像、すっごく立派に進化してる……急成長しすぎじゃない? 俺そんな助けたりしてないはずなんだけど……これがこの世界の人間の力? 開拓能力高すぎない?
「お父様~」
「アズハ、元気そうでよかった」
「お父様もお元気そうで何よりです」
家族の再会に水を差すのも悪いし少し待ちます。そしてドラゴンモードだと目立つ、周囲のギョッとした目が気になるので人間モードにもどります。
「ヴリトラ様もお元気そうで」
「また立派になったな」
「お陰様で、ただの村だったのに今では冒険者の集う街バンダールに成長いたしました」
確かに見た感じ冒険者だけでなく住民自体もだいぶ増えている気がする。
「越冬は大丈夫そう?」
「はい、問題ございませんし街としても冒険者が活発ですので賑やかな冬になると思いますよ」
「なら問題は無さそうだな、よかったよ」
「強いて言うなら冒険者が活発なので喧嘩が起こることがあるくらいですかね」
「兵士とかは居ないのか?」
「居りますけど、それなりの腕前の冒険者だとなかなか……」
冒険者の方が兵士より強い場合があるのね。確かに命がけの冒険者は実力主義だし経験を積めば強くなるもんなぁ。
「周囲の獣や魔物は大丈夫そう?」
「はい、そちらも兵士とギルドに依頼としても出していますので新人冒険者などが討伐に行ってくれてますし問題ありません」
なんだろう、ちょっとしたラノベの舞台になりそうなくらい発展してるし充実してる。これなら気にしないでも大丈夫そうだなぁ……
「ヴリトラ様、本日はどのような用件で?」
「とくには無いよ、冬前に大丈夫そうか挨拶を兼ねて様子見に来ただけだ。あ、干し草と藁を分けてもらってもいいか?」
「それでしたらだいぶ余裕ありますので差し上げますよ」
「助かるよ」
「準備させますね」
そう言うとお義父さんは話を通しに行ってくれた。
「干し草欲しいの忘れるとこだった」
「ふふふ」
アズハに笑われてしまった、貰いに行かなければと言っておきながら忘れるとこだった……
「それにしても発展が止まらないね」
「こんなに大きくなるなんて思わなかったよ」
「ここが冒険者にとって需要の高い土地だったのが大きいね」
「ね!」
お義父さんを待ちながら二人でのんびり雑談しながら待つことにした。
「おぉ! もしやヴリトラ様でございましょうかぁ!!」
アズハと話していたらなんかすごく大きい声が聞こえてきた。ビックリするくらいの大声だった……
「……なんでしょうか?」
声の方を振り向くと、そこにはめっちゃガタイのいい筋肉モリモリの直立したライオンの獣人とドワーフ? の男性が立っていた。冒険者かな? 普通に強そうだけど……
「ガレオンもサガイも圧がすごいのです。ヴリトラ様も奥方様も唖然としてるじゃないですか!」
筋肉の壁の奥からひょこっと小柄な少年、いや少女が姿を見せる。耳の感じから普通の人間ではないっぽいし小柄な体型、この子もドワーフかな?
「申し遅れました、私はスーラ。薬学師をしております」
「ドワーフ?」
「いえ、私はハーフです。父が人間で母がフェーリスなんです」
あ、アリッサと同じ種族なのね。あれ? ってことはこの父親ってロリコ……やめておこう。
「我はガレオン! レオマンで調理人をしている!」
戦士じゃない!? あの体型でコックなの?
「ワシはサガイ、ドワーフじゃ。と言ってもワシの専門は酒造じゃ!」
お酒作り専門のドワーフ? あのガタイで二人とも料理人なの? マジ?
「で、そんなお三方がどんなご用件で?」
「単刀直入に申す! 我らをヴリトラ様の住処に連れて行ってくださらぬか!?」
話がシンプルなのは助かるけど。なんでうち?
「理由を聞いても?」
「未知の食材と出会う、料理の修行。極めたいのだ!」
確かにあの森の中だし珍しい食材はあると思うけど……てか腕はわからないけど料理人は欲しいところではあるなぁ。
「ワシも似たような理由だ、酒造りに没頭できる環境が欲しいのじゃ」
「私も研究に没頭したいのです」
確かにうちなら国や王の命令みたいな邪魔は無いし没頭できる環境はあると思う。実際マリーやクーネリアは好きなように研究しまくってるし。
「私達みたいな研究者にとってヴリトラ様の住処は辺境で邪魔が入らず更にヴリトラ様という強力な庇護が貰えるのは魅力的なのです」
「ワシらはヴリトラ様の噂を聞いてここにやってきた。ここも差別が無いし住みやすい場所ではあるのだが素材面で劣るとみている、ヴリトラ様はいろいろな作物を集めているとも聞いたことがあるしな」
そんなことまで噂になってるのね……確かにいろんな場所に行って木とか作物を貰っているからなぁ。
「こう見えて我らはたいして戦えない! 森が越えれなくて困っていたのだが幸運にもヴリトラ様がいらした。これを見逃すわけにはいかなかったのです!」
見掛け倒し! でも三人とも職人なら仕方ないかな?
「アズハ、どうする?」
「ん? うちは大所帯になってきたし大食いもいっぱい居るから料理人が来てくれるのはありがたいんじゃない?」
「ちなみに肉だけとか偏らない?」
「我は野菜でも肉でも何でも食べるし何でも作る! 問題ない!」
「皆お酒も好きだし、薬に精通してる人がくればマリーの負担も減るんじゃない?」
「なら決まりかな」
「おお、それでは?」
「歓迎するよ、干し草を貰ったらすぐに出発するけど準備はいい?」
「私達の荷物はこの荷車一台に全部乗っています。大丈夫です!」
「了解した」
話もまとまったしあとはお義父さん待ちかな。
「お待たせいたしました、これだけあれば足りますかな?」
多っ!? 馬車に山盛りの干し草ブロックが積まれているし藁ロールも二つある。
「十分すぎるよ、いくらになる?」
「この位差し上げますよ、お気になさらず」
そうは言われても結構な量だし気持ち程度だがお支払いした、この前金銀財宝貰ったばっかだったしね。
「それじゃあまた来る、お義父さんもお元気で」
「ありがとうございます、いつでも歓迎いたしますよ」
俺は籠に干し草と藁を突っ込み溢れたぶんは体に括りつけた。
「お父さんまたね!」
「体には気を付けてな!」
「はい!」
アズハも挨拶を終えたようだね、そろそろいいかな。
「それじゃあ、君たちも準備いいかい?」
「おう!」
「頼む」
「お願いします!」
俺達は新しい仲間を加え、家に向かって飛び立つのだった。
「タカト、準備できたよ~」
「あいよ~」
今日は冬前にお義父さんの様子見に行くことにした。あそこは初期からの付き合いだし領主はアズハの父親だ、見捨てるわけにはいかないしね。
「ねぇねいってらっしゃい!」
「アーシラちゃんお留守番しててね!」
「セッカ、留守は任せたよ」
「ワン!」
アーシラを乗せたセッカが吠えて見せる、俺はアズハを乗せて手を振りながら飛び立つのだった。
「いい子だね」
「うん、友達が居ないのが気になるけどね……」
確かに平均するとうちの年齢は若い方だがそれでもアーシラとはだいぶ差がある。子供同士でなければ学べないこともあると思うけど、なかなか難しい問題だ。
「とりあえず久しぶりに会うんだ、心配させないようにしなきゃね」
「そうだね」
食料的には問題ない。あくまで今回は様子見で支援が必要ならその準備をするために行くのだ、この前行った時には冒険者が集まる街になっていたが安定してればいいな。
「ねぇアズハ」
「はい」
「すごく立派になってない?」
「私の知ってる領地とだいぶ変わってますね……」
前来たのいつだっけ? 短時間ですごく進化してる……城壁とかは無いけど家やお店が増えて畑もすごく広がってるし家畜もすごく増えてる気がする。
「あ、タカト、お父さんが着てる」
「何処?」
「石像の広場、そこに降りて欲しいみたい」
「了解~」
俺をモデルにした石像、すっごく立派に進化してる……急成長しすぎじゃない? 俺そんな助けたりしてないはずなんだけど……これがこの世界の人間の力? 開拓能力高すぎない?
「お父様~」
「アズハ、元気そうでよかった」
「お父様もお元気そうで何よりです」
家族の再会に水を差すのも悪いし少し待ちます。そしてドラゴンモードだと目立つ、周囲のギョッとした目が気になるので人間モードにもどります。
「ヴリトラ様もお元気そうで」
「また立派になったな」
「お陰様で、ただの村だったのに今では冒険者の集う街バンダールに成長いたしました」
確かに見た感じ冒険者だけでなく住民自体もだいぶ増えている気がする。
「越冬は大丈夫そう?」
「はい、問題ございませんし街としても冒険者が活発ですので賑やかな冬になると思いますよ」
「なら問題は無さそうだな、よかったよ」
「強いて言うなら冒険者が活発なので喧嘩が起こることがあるくらいですかね」
「兵士とかは居ないのか?」
「居りますけど、それなりの腕前の冒険者だとなかなか……」
冒険者の方が兵士より強い場合があるのね。確かに命がけの冒険者は実力主義だし経験を積めば強くなるもんなぁ。
「周囲の獣や魔物は大丈夫そう?」
「はい、そちらも兵士とギルドに依頼としても出していますので新人冒険者などが討伐に行ってくれてますし問題ありません」
なんだろう、ちょっとしたラノベの舞台になりそうなくらい発展してるし充実してる。これなら気にしないでも大丈夫そうだなぁ……
「ヴリトラ様、本日はどのような用件で?」
「とくには無いよ、冬前に大丈夫そうか挨拶を兼ねて様子見に来ただけだ。あ、干し草と藁を分けてもらってもいいか?」
「それでしたらだいぶ余裕ありますので差し上げますよ」
「助かるよ」
「準備させますね」
そう言うとお義父さんは話を通しに行ってくれた。
「干し草欲しいの忘れるとこだった」
「ふふふ」
アズハに笑われてしまった、貰いに行かなければと言っておきながら忘れるとこだった……
「それにしても発展が止まらないね」
「こんなに大きくなるなんて思わなかったよ」
「ここが冒険者にとって需要の高い土地だったのが大きいね」
「ね!」
お義父さんを待ちながら二人でのんびり雑談しながら待つことにした。
「おぉ! もしやヴリトラ様でございましょうかぁ!!」
アズハと話していたらなんかすごく大きい声が聞こえてきた。ビックリするくらいの大声だった……
「……なんでしょうか?」
声の方を振り向くと、そこにはめっちゃガタイのいい筋肉モリモリの直立したライオンの獣人とドワーフ? の男性が立っていた。冒険者かな? 普通に強そうだけど……
「ガレオンもサガイも圧がすごいのです。ヴリトラ様も奥方様も唖然としてるじゃないですか!」
筋肉の壁の奥からひょこっと小柄な少年、いや少女が姿を見せる。耳の感じから普通の人間ではないっぽいし小柄な体型、この子もドワーフかな?
「申し遅れました、私はスーラ。薬学師をしております」
「ドワーフ?」
「いえ、私はハーフです。父が人間で母がフェーリスなんです」
あ、アリッサと同じ種族なのね。あれ? ってことはこの父親ってロリコ……やめておこう。
「我はガレオン! レオマンで調理人をしている!」
戦士じゃない!? あの体型でコックなの?
「ワシはサガイ、ドワーフじゃ。と言ってもワシの専門は酒造じゃ!」
お酒作り専門のドワーフ? あのガタイで二人とも料理人なの? マジ?
「で、そんなお三方がどんなご用件で?」
「単刀直入に申す! 我らをヴリトラ様の住処に連れて行ってくださらぬか!?」
話がシンプルなのは助かるけど。なんでうち?
「理由を聞いても?」
「未知の食材と出会う、料理の修行。極めたいのだ!」
確かにあの森の中だし珍しい食材はあると思うけど……てか腕はわからないけど料理人は欲しいところではあるなぁ。
「ワシも似たような理由だ、酒造りに没頭できる環境が欲しいのじゃ」
「私も研究に没頭したいのです」
確かにうちなら国や王の命令みたいな邪魔は無いし没頭できる環境はあると思う。実際マリーやクーネリアは好きなように研究しまくってるし。
「私達みたいな研究者にとってヴリトラ様の住処は辺境で邪魔が入らず更にヴリトラ様という強力な庇護が貰えるのは魅力的なのです」
「ワシらはヴリトラ様の噂を聞いてここにやってきた。ここも差別が無いし住みやすい場所ではあるのだが素材面で劣るとみている、ヴリトラ様はいろいろな作物を集めているとも聞いたことがあるしな」
そんなことまで噂になってるのね……確かにいろんな場所に行って木とか作物を貰っているからなぁ。
「こう見えて我らはたいして戦えない! 森が越えれなくて困っていたのだが幸運にもヴリトラ様がいらした。これを見逃すわけにはいかなかったのです!」
見掛け倒し! でも三人とも職人なら仕方ないかな?
「アズハ、どうする?」
「ん? うちは大所帯になってきたし大食いもいっぱい居るから料理人が来てくれるのはありがたいんじゃない?」
「ちなみに肉だけとか偏らない?」
「我は野菜でも肉でも何でも食べるし何でも作る! 問題ない!」
「皆お酒も好きだし、薬に精通してる人がくればマリーの負担も減るんじゃない?」
「なら決まりかな」
「おお、それでは?」
「歓迎するよ、干し草を貰ったらすぐに出発するけど準備はいい?」
「私達の荷物はこの荷車一台に全部乗っています。大丈夫です!」
「了解した」
話もまとまったしあとはお義父さん待ちかな。
「お待たせいたしました、これだけあれば足りますかな?」
多っ!? 馬車に山盛りの干し草ブロックが積まれているし藁ロールも二つある。
「十分すぎるよ、いくらになる?」
「この位差し上げますよ、お気になさらず」
そうは言われても結構な量だし気持ち程度だがお支払いした、この前金銀財宝貰ったばっかだったしね。
「それじゃあまた来る、お義父さんもお元気で」
「ありがとうございます、いつでも歓迎いたしますよ」
俺は籠に干し草と藁を突っ込み溢れたぶんは体に括りつけた。
「お父さんまたね!」
「体には気を付けてな!」
「はい!」
アズハも挨拶を終えたようだね、そろそろいいかな。
「それじゃあ、君たちも準備いいかい?」
「おう!」
「頼む」
「お願いします!」
俺達は新しい仲間を加え、家に向かって飛び立つのだった。
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