58 / 147
第58話
しおりを挟む
東の森への食糧支援を終えて戻って数日、どんどん冬が近づいてきている。こちらもいろいろと準備を進めなければいけない。
「主様、木材の採取お願いしてもいいですか?」
「了解、結構必要?」
「そうですね、三軒作る予定なのでそれなりに欲しいです」
セナ達エルフは早速新しくうちにやってきた家族の為に家を建設している。蓄えや収穫などもあるが建築を最優先で行ってもらっている、じゃないと冬がきつくなる。もうちょっとタイミングが早ければよかったんだけど結構ギリギリだし大急ぎになってしまっている。
「じゃあヘラクスさん達ちょっと借りるね、いくよ~」
「お願いします!」
俺は昆虫軍団を連れて早速伐採に向かう。前と比べて彼らのお陰で作業効率は格段に上がっている、俺が木を引っこ抜きそれを抱えて直接運んで行ってくれるのだ。丸々一本結構重いはずなのにまさに重機というパワーで軽々運んで行ってくれる、加工はセナ達に丸投げだが短時間で相当数の木材が手に入る。
「引っこ抜くだけでよくなったのは助かるね、皆はまだ起きてて平気? 冬眠するんでしょ?」
ヘラクス達は頷いて見せる。彼らは冬になったらメスの居る洞窟で一緒に冬眠して春を待つとのことだった、そういう意味でも力仕事は今のうちに終わらせておきたい感じである。
「主様、私達も手伝います」
「エマ、ありがと、助かるよ」
「はい!」
彼女はエマ、銀髪の綺麗な白いケンタウロスの女性だ。彼女達もパワーがあるため力仕事ができる、さすがに原木は数人で協力してという形になるが十分だ。
「主様~」
「ん? どうしたの?」
「麦の収穫をしてたんですけどどこに置けばいいですか?」
「あぁ、倉庫まで運べる?」
「樽を転がしていくので大丈夫です!」
「じゃあ前に収穫したのが倉庫にあるからそこにまとめて貰っていい?」
彼女はマオ、ウェアキャットの女の子で今は猫耳ちゃんとウサ耳ちゃんには作物の収穫をお願いしている。後で知ったのだが地球で麦の収穫は春から夏らしいのだが、ここでは春夏秋と約三カ月事に収穫できているのだ。ちなみに豆やお米もその勢いで収穫できているため備蓄としては十分と言いたいのだが大食いが多いためそこまで余裕があるというわけではない、今のところお米とパンが足りない作れないみたいなことは無いので大丈夫だと思う。
「わかりましたぁ!」
マオはそう言うと走って行った。彼女達はどちらかというと人に近い、四肢は綺麗な猫っぽい毛並みが生えているが胴体は人その物で耳と尻尾が猫っぽいという感じだ。アル達よりも獣成分控えめという感じであった。ちなみにウォーラビッタ達も似たような感じで体は人間手足にウサギの毛並み耳と尻尾もウサギという感じだ。
「この調子なら来年はまた畑拡張かなぁ」
まだ二年も暮らしていないというのに一気に家族が増えた。しかしまだ足りないものをたくさんあるし何より味が足りない……穀物や肉が大量にあるから飢えることは無い、だけど地球の食事を知ってるがためにちょっと物足りなさを感じてしまう。どうにかしたいなぁ……
「主様、どうかしました?」
「おっと!?」
無意識に動画検索を掛けてしまっていた。この図体だとちょっと油断するだけで大惨事になるから気を付けなければ……
「サラ、どうかした?」
「はい、木材はとりあえず十分とのことです」
「わかった、ありがと。じゃあ戻ろうか」
「乗りますか?」
「直に乗せるの痛くない?」
「大丈夫ですよ!」
彼女はサラ、黒いケンタウロスで連絡や俺の手伝いなどでよく走り回ってくれている。そしてケンタウロスの娘全員に言えるのだがなぜか人間体の俺を乗せたがる。たまに乗せてもらっているが女性に乗るのになんとも言えない感覚があって困ってしまう。
「私達は畑仕事に向いてないですからね……」
「今後いろいろと背の高い作物や木も増やしていく予定だから、そうしたらいろいろ手伝ってもらわなきゃいけなくなるよ」
彼女達ケンタウロスはだいたい二メートルくらい身長があり馬の下半身の影響で畑仕事など低い位置の仕事が苦手だ。そのため今は仕事が力仕事関係になってしまっている、もう少し育てる作物が増えれば人と馬の長所を持つ彼女達も活躍できるのだけどね。
「望むところです!」
「頼りになるね」
ちょっと照れてる顔も可愛い、いつもは黒髪クールな感じなのに。ギャップ萌えってやつかな?
「他の娘達は大丈夫そう?」
「はい、ここの生活は正直前よりも快適ですよ。移住を希望して正解でした」
ライバルが多いのが大変ですけどと小声で行ったのを俺は聞き逃さなかった。後でリュクスに聞いたのだがなぜ女性ばかりが移住してきたか、それは早い話が遺伝目的らしい。普通にあの村にも男性がいた、むしろここよりも繁栄という意味では安定してるのになぜか、それは竜の子供が欲しいとのことだった。ハーフドラゴンは強く逞しく育つ、英雄などになることが多いらしく将来子供を持つなら是非にという娘が集まっているらしかった。俺みたいに人になれるドラゴンは滅多に居ないから猶更らしい、まぁ一般よりも子供は出来にくいからいろいろ大変というらしいけどね。主に俺が……
「サラ、俺って結構有名なの?」
「え?」
何をいまさら? という顔をされた……
「主様は有名ですよ、シャジャルの剣を砕き、アレクロンを蹴飛ばした恐怖の黒竜ヴリトラ。人の娘を娶りエルフなど種族を選ばず救い出す慈悲深い守護竜などなど森に居ても聞こえてくるくらいには」
いろいろ言われてた。最近だとグルグナハ王国も一部吹き飛ばしてるし更に噂が広がってそう……
「いつの間に……」
「強力なドラゴンはなかなか居ませんし主様は目立ちますね」
この調子だとまだまだ人が集まってくる気がする。いや、ハーレム系やスローライフ作品では絶対に増えていく! やはり衣食住は充実させなければ……そして目的が目的だしいつか子供ができるだろう。そうなった時に困らない環境を完成させておきたいと思う。
「主様、木材の採取お願いしてもいいですか?」
「了解、結構必要?」
「そうですね、三軒作る予定なのでそれなりに欲しいです」
セナ達エルフは早速新しくうちにやってきた家族の為に家を建設している。蓄えや収穫などもあるが建築を最優先で行ってもらっている、じゃないと冬がきつくなる。もうちょっとタイミングが早ければよかったんだけど結構ギリギリだし大急ぎになってしまっている。
「じゃあヘラクスさん達ちょっと借りるね、いくよ~」
「お願いします!」
俺は昆虫軍団を連れて早速伐採に向かう。前と比べて彼らのお陰で作業効率は格段に上がっている、俺が木を引っこ抜きそれを抱えて直接運んで行ってくれるのだ。丸々一本結構重いはずなのにまさに重機というパワーで軽々運んで行ってくれる、加工はセナ達に丸投げだが短時間で相当数の木材が手に入る。
「引っこ抜くだけでよくなったのは助かるね、皆はまだ起きてて平気? 冬眠するんでしょ?」
ヘラクス達は頷いて見せる。彼らは冬になったらメスの居る洞窟で一緒に冬眠して春を待つとのことだった、そういう意味でも力仕事は今のうちに終わらせておきたい感じである。
「主様、私達も手伝います」
「エマ、ありがと、助かるよ」
「はい!」
彼女はエマ、銀髪の綺麗な白いケンタウロスの女性だ。彼女達もパワーがあるため力仕事ができる、さすがに原木は数人で協力してという形になるが十分だ。
「主様~」
「ん? どうしたの?」
「麦の収穫をしてたんですけどどこに置けばいいですか?」
「あぁ、倉庫まで運べる?」
「樽を転がしていくので大丈夫です!」
「じゃあ前に収穫したのが倉庫にあるからそこにまとめて貰っていい?」
彼女はマオ、ウェアキャットの女の子で今は猫耳ちゃんとウサ耳ちゃんには作物の収穫をお願いしている。後で知ったのだが地球で麦の収穫は春から夏らしいのだが、ここでは春夏秋と約三カ月事に収穫できているのだ。ちなみに豆やお米もその勢いで収穫できているため備蓄としては十分と言いたいのだが大食いが多いためそこまで余裕があるというわけではない、今のところお米とパンが足りない作れないみたいなことは無いので大丈夫だと思う。
「わかりましたぁ!」
マオはそう言うと走って行った。彼女達はどちらかというと人に近い、四肢は綺麗な猫っぽい毛並みが生えているが胴体は人その物で耳と尻尾が猫っぽいという感じだ。アル達よりも獣成分控えめという感じであった。ちなみにウォーラビッタ達も似たような感じで体は人間手足にウサギの毛並み耳と尻尾もウサギという感じだ。
「この調子なら来年はまた畑拡張かなぁ」
まだ二年も暮らしていないというのに一気に家族が増えた。しかしまだ足りないものをたくさんあるし何より味が足りない……穀物や肉が大量にあるから飢えることは無い、だけど地球の食事を知ってるがためにちょっと物足りなさを感じてしまう。どうにかしたいなぁ……
「主様、どうかしました?」
「おっと!?」
無意識に動画検索を掛けてしまっていた。この図体だとちょっと油断するだけで大惨事になるから気を付けなければ……
「サラ、どうかした?」
「はい、木材はとりあえず十分とのことです」
「わかった、ありがと。じゃあ戻ろうか」
「乗りますか?」
「直に乗せるの痛くない?」
「大丈夫ですよ!」
彼女はサラ、黒いケンタウロスで連絡や俺の手伝いなどでよく走り回ってくれている。そしてケンタウロスの娘全員に言えるのだがなぜか人間体の俺を乗せたがる。たまに乗せてもらっているが女性に乗るのになんとも言えない感覚があって困ってしまう。
「私達は畑仕事に向いてないですからね……」
「今後いろいろと背の高い作物や木も増やしていく予定だから、そうしたらいろいろ手伝ってもらわなきゃいけなくなるよ」
彼女達ケンタウロスはだいたい二メートルくらい身長があり馬の下半身の影響で畑仕事など低い位置の仕事が苦手だ。そのため今は仕事が力仕事関係になってしまっている、もう少し育てる作物が増えれば人と馬の長所を持つ彼女達も活躍できるのだけどね。
「望むところです!」
「頼りになるね」
ちょっと照れてる顔も可愛い、いつもは黒髪クールな感じなのに。ギャップ萌えってやつかな?
「他の娘達は大丈夫そう?」
「はい、ここの生活は正直前よりも快適ですよ。移住を希望して正解でした」
ライバルが多いのが大変ですけどと小声で行ったのを俺は聞き逃さなかった。後でリュクスに聞いたのだがなぜ女性ばかりが移住してきたか、それは早い話が遺伝目的らしい。普通にあの村にも男性がいた、むしろここよりも繁栄という意味では安定してるのになぜか、それは竜の子供が欲しいとのことだった。ハーフドラゴンは強く逞しく育つ、英雄などになることが多いらしく将来子供を持つなら是非にという娘が集まっているらしかった。俺みたいに人になれるドラゴンは滅多に居ないから猶更らしい、まぁ一般よりも子供は出来にくいからいろいろ大変というらしいけどね。主に俺が……
「サラ、俺って結構有名なの?」
「え?」
何をいまさら? という顔をされた……
「主様は有名ですよ、シャジャルの剣を砕き、アレクロンを蹴飛ばした恐怖の黒竜ヴリトラ。人の娘を娶りエルフなど種族を選ばず救い出す慈悲深い守護竜などなど森に居ても聞こえてくるくらいには」
いろいろ言われてた。最近だとグルグナハ王国も一部吹き飛ばしてるし更に噂が広がってそう……
「いつの間に……」
「強力なドラゴンはなかなか居ませんし主様は目立ちますね」
この調子だとまだまだ人が集まってくる気がする。いや、ハーレム系やスローライフ作品では絶対に増えていく! やはり衣食住は充実させなければ……そして目的が目的だしいつか子供ができるだろう。そうなった時に困らない環境を完成させておきたいと思う。
43
お気に入りに追加
938
あなたにおすすめの小説
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。


異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる