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ヤグラはすぐに唇を離した。そうしてにっこりと微笑んで、ワダチの顔を覗き込んだ。
「恥ずかしいかい?」
ヤグラが囁いた。ワダチは真っ赤になった顔で、小さく頷いた。
「うれしいか?」
それにも、ワダチは頷いて返事をした。
「もっと、続けていいか?」
ワダチはまた頷いた。ヤグラはうれしそうに笑った。
「可愛いよ、ワダチ。すごく可愛い。」
そう囁いて、ヤグラは顔を近づけ、また唇を触れ合わせた。
ワダチは切なく甘い感触に、身じろぎし、鼻息を漏らした。ヤグラはすぐに唇を離し、それから何度も、何度も、愛おしむように短い口づけを繰り返した。唇に数度、左右の頬にも、鼻にも、額にも、こめかみにも、顎にも、繰り返し唇を触れさせた。
やがてヤグラは顔を離し、後輩の顔を見下ろした。ワダチは顔を真っ赤にし、息を切らし、涙ぐんでいた。頭はぼうっとして、熱に浮かされているか、それとも夢の中にいるような心地だった。
ヤグラは笑ってワダチの頬を撫でた。
「お前、本当に可愛いなあ。」
そう言って少し身を起こすと、その手を後輩の腹に這わせた。くすぐったいような甘い感触に、ワダチは溜め息をつき、親友を濡れた瞳で見上げた。
ヤグラは腹を優しく撫でながら、その手を少しずつ下方に滑らせていった。愛撫する手がゆっくりと降りてくるに従って、ワダチの期待と興奮は高まり、息は荒くなっていった。
「……あっ。」
やがてその手が秘部に至ると、ワダチはぴくっと震え、切なげな甘い声を上げた。ヤグラはくすっと声を上げて、うれしそうに笑った。
「気持ちよかったかい?」
ヤグラが、聞かずとも分かるようなことをたずねた。ワダチはすでに真っ赤な顔を、よりいっそう赤くした。ワダチの性器は興奮に熱せられて固くなり、親友の手の内でぴくぴくと震えていた。ヤグラが服を着ていて、ワダチだけ裸だというのも、羞恥心をより強めていた。
ワダチは口を尖らせて、拗ねたように言った。
「お前も、脱げよ。」
「ああ。」
ヤグラは囁くと、ふたたびワダチの頬に口づけした。それから起き上がり、潔く服を脱いでいった。ワダチは草の寝床で横になりながら、白い月明かりにおぼろげに浮かび上がる親友の肉体を見つめた。ヤグラはワダチよりも背が少し高く、よく肉がついていた。引き締まってはいるがやや細身のワダチは、ヤグラのがっしりとした体に憧れていた。
ワダチはヤグラの逞しい体に手を伸ばし、腕に触れた。すると、ヤグラはその手を取って、口づけした。それから、ワダチに覆いかぶさった。
ヤグラはワダチの体を、痛みを覚えるほどに抱き締めた。ことに胸の火傷がひりひりと痛んだ。だがそんなことをワダチは気にも留めず、親友に全力で応えた。二人は互いの肉体にしがみつき、まるで二つの体を一つにしようとでもしているように、それとも離れたら死んでしまうとでもいうように、力強く抱き合い、肌を重ね合わせた。
ヤグラはワダチと抱き合いながら、また唇を重ねた。だが今度は、それまでのような優しいものではなかった――とはいえ甘美さにおいて劣るものではなかったが。
ヤグラはワダチの口を情熱的に貪った。唇を何度も喰み、吸い、柔らかな割れ目に舌を捩じ込んだ。ワダチが口をかすかに開くと、ヤグラの舌は口内に入り込み、ワダチの舌と触れ合い、絡み合った。
このままでは窒息してしまうのではないかと思われるほど、二人は長いこと唇を重ね、貪り合いながら、抱き合った。やがて二人の腕から力が抜け、唇が離れると、ヤグラはワダチの首筋に顔を埋め、頬を擦り合わせた。そうしながら、ワダチの耳元で囁いた。
「どうしたんだい、ワダチ。」
ワダチは咽び泣くように、息を荒げていた。その目からは涙が零れていた。ワダチは息を切らしながら答えた。
「……うれしいんだ。うれしいんだよ。」
そう言って、ワダチはヤグラの体に回した腕に、力を込めた。これまでに、こんなふうに誰かと互いを求め合い、喜びを感じ合ったことはなかった。どうしようもないほど感情が沸き立ってしまい、息を整えることがとてもできなかった。
ヤグラは何も言わず、ただ微笑んで、頬を擦り合わせた。
しばらくすると、ワダチの息が落ち着いた。すると、ヤグラは顔を上げた。
「続けてもいいか?」
ヤグラの問いかけに、ワダチは頷いて答えた。
ヤグラは両肘をついて体を少し起こすと、ワダチの額に口づけを落とした。次に鼻に、頬に、そして唇に口づけをすると、今度は首に、上から下へと唇を押し当てていき、やがて鎖骨に触れた。ワダチはくすぐったくて、ぴくぴくと身を震わせながら、甘い吐息を漏らしていた。
それから胸にまで至ると、ヤグラはそこに留まり、じっくりと愛撫した。筋肉で膨らんだ胸に何度も口づけし、尖りを舌先でちろちろと舐め回し、ちゅっと音を立てて吸い付く。片手は他方の胸を優しく撫で、突起を指でくりくりと捏ね、軽く抓った。
「あっ……んっ……はっ……。」
ワダチは甘い声でよがり、ヤグラの頭に手を置いた。胸を刺激されて感じるくすぐったいような疼きに、経験の浅い若者はただただ声を上げるばかりだった。ヤグラによって与えられる甘い快感と、胸の真ん中にある火傷のじんじんという熱い痛みとが混ざり合って、体が余計に火照ったような感じがした。
ヤグラはワダチの胸をしばらくの間愛撫すると、ふたたび下っていった。腹に何度も口づけし、臍に舌を這わせ、それから下腹部へと至る。ワダチは次に触れられるところを思い、緊張して、身を固くした。ヤグラは顔を上げた。
「恐いかい。ここ、やらないほうがいいか?」
ヤグラはそう言って、ワダチの固くなった竿を、指先で軽く撫でた。それだけで、ワダチは快感に小さく溜め息をついた。
「……触ってくれよ。触って欲しいよ。いっぱい、触ってくれよ。」
ワダチは乞うような調子で言った。ヤグラは微笑んだ。
「分かった。」
それだけ言うと、ヤグラはワダチのぴんと立った性器に舌を這わせた。根本から先へと、ゆっくりと舐め上げる。
「あ……あっ……!」
ワダチは声を上げた。
ヤグラは上目遣いに後輩を見ながら、繰り返し竿を舐め上げた。興奮しきったそれからは透明な汁が止めどなく滲み出て、唾液と混じってぬるぬるとしていた。
ワダチは喜びの声を上げながら、ただ身を震わせるだけだった。
ヤグラはしばらく舐めた後で、性器の先を摘み、ゆっくりと引き下ろした。そうして露わになった薄紅色の先端を、舌で軽く舐める。その途端に、ワダチはびくっと震え、取り乱した声で言った。
「ま、待って。」
ヤグラはにやっと笑った。
「触ったことないのか?」
その問いかけにワダチが頷くと、ヤグラは続けた。
「じゃあ、敏感だよな。優しく触ってやるよ。いいか?」
またワダチは頷いた。ヤグラは笑いながら、ワダチの敏感な部分を舌で舐めた。
「あっ、あっ、はっ、あっ……!」
しばらく、ヤグラはワダチの性器をじっくりと刺激した。自身が言ったとおり、敏感なワダチに優しく触れた。唾をたっぷりと出して十分に濡らし、舌や唇でほんの少し触れたり、撫でたりした。
しかしそれですら、ワダチには刺激が強すぎた。ほとんど痛みにも似た激しい感覚に、若者は手足をびくびくと震わせ、甘い声で喘いだ。
ヤグラは一度口を離すと、片手でワダチの玉を撫でながら、くすくす笑った。
「ほんとに敏感だなあ。棍棒で殴られたって平気なのに、ここを触れられるとすぐ喘いじゃうんだなあ。」
「だって、仕方ないだろ。殴られるのなんて慣れてるけど、そんなとこ、鍛えたことがないんだ。」
ワダチは口を尖らせて言い返した。ヤグラは笑顔のまま、竿をゆっくりと扱いた。
「じゃあ、おれが鍛えてやるからな。」
そう言って、ヤグラはふたたびワダチのものを舐めはじめた。今度は、ワダチは声を上げなかった。少しばかり悔しい気がして、声を我慢したのだ。火にも耐えたのに愛撫に耐えられないなど、まったくおかしなことに思われた。ワダチはつとめて平気な顔を装いながら、自分の股座に顔を埋めたヤグラに目を向けた。
ヤグラは、上目にワダチを見返しながら、おかしそうに笑った。それから、これでも耐えられるか、と言わんばかりに挑発的な笑みを浮かべると、口を大きく開き、ワダチの性器の先端をぱくりと口に咥えた。そしてちゅうちゅうと吸い付きながら、舌で敏感な部分を舐め回した。
「あっ、あーっ、あーっ!」
ヤグラの激しい攻勢に、ワダチの忍耐はあっさりと打ち破られ、すぐに声を上げはじめた。足はぴんと張り、手は下草をぎゅっと握った。そうでもしていないと、この甘くも痛い刺激に、びくびくとみっともなく飛び跳ねてしまいそうだった。
ヤグラはしばしワダチを敏感な部分を攻め立て、苛め回した。うれし泣きするように、性器からどくどくと滲み出る透明な汁を、ヤグラはうまそうに飲み込んでいく。そうしながらも、その目はじっとワダチの目に注がれ、ワダチのほうでも相手をずっと見返していた。
止めて欲しいと言えば、ヤグラはすぐにでも止めただろう。だがワダチは、決して止めて欲しいとは言わなかった。
黒羊戦士団では、耐えるということが習いとなっていた。それは他のことでもそうだったが、とくに硬化術の訓練の時に培われることだったのだろう。おそらくどんな戦士集団でもそうであろうが、黒羊戦士団の団員にとって、忍耐は必要でもあったが、同時にそれは美徳であり、そして喜びでもあった。
しかしこの忍耐は、度を越したものにはならぬように注意されていた。ことによれば、耐え忍ぶことは危険であったからだ。
そしてヤグラは、この点で黒羊戦士団の先輩としての務めを十分に果たした。性器を苛め回されているワダチの、喘ぐ声が弱くなり、後輩が本当に泣きそうになったと見て取ると、後輩が自分から止めるようにと言い出す前に、性器から口を離した。
ヤグラは後輩の体に這い上がると、頬を擦り合わせて言った。
「よく頑張ったな。可愛いワダチ、よく声を我慢したな。痛くなかったかい?」
ヤグラが優しく声をかけると、ワダチは息を荒げながら、くったりとした顔に自信たっぷりに笑みを浮かべた。
「……こんなの、ぜんぜん、平気だぜ。」
ワダチがそう答えると、ヤグラは後輩の体を抱き締め、熱烈に頬擦りをした。ワダチも愛しい先輩の背に腕を回し、ぎゅっと力を込めた。
それから、ヤグラが言った。
「次、どうしたい? また口でやろうか。それとも、他のところを弄ってやろうか。疲れたんなら、もう寝たっていいんだぜ。」
ヤグラは片肘をついて身を起こし、他方の手で、ワダチの胸を愛撫した。ワダチは甘い声を上げながら、答えた。
「……入れたい。ヤグラに、入れてみたい。入れていい?」
後輩の言葉に、ヤグラはやや驚いたような顔をした。
「へえ、ワダチは入れられたいんだと思ってたな。でも、いいよ。入れさせてやるよ。」
ヤグラはそう言うと、自分の指を舐め、唾液をたっぷりと取った。そしてその手を自分の尻に持っていく。するとワダチの目の前で、先輩の顔が痛みか何かのために歪んだ。
「指、入れてるのか?」
ワダチは驚いてたずねた。ヤグラは笑った。
「慣らさなきゃいけないからな。お前のもんを入れるんだからよ。」
ヤグラはそう言うと、片手で自分の尻を解しながら、後輩と唇を重ねた。ゆっくりと優しい口づけだった。ワダチはうっとりとした気分で口を半ば開き、先輩に唇を喰んでもらい、舌を絡め合わせた。
二人は口づけを長いこと楽しんだ。ヤグラはときおり口を離すと、指を口元に持ってきて唾をつけ、また自分の尻を解しにかかった。ワダチは先輩の尻を解してやろうとは考えもつかなかった。色事の知識がなかったわけではないが、経験がなさすぎて、自分からどうこうしようなどと言い出すことはできなかった。
やがて、ヤグラは口を離すと、囁いた。
「もういけるよ。だいぶ慣れてきた。」
「おれ、どうしたらいい?」
「お前は寝ていろよ。おれが上に乗るからさ。」
ヤグラは起き上がると、後輩の股の上で腰を浮かせた。そして片手でワダチの固くなった性器を掴み、その上にゆっくりと腰を下ろしていった。
「あっ……!」
性器の先が先輩の肛門に触れて、ワダチは喘いだ。ヤグラはくすっと笑った。
「すぐ出すなよ。たっぷり気持ちよくしてやるから。」
ヤグラが腰を沈めていった。ワダチは声を上げそうになって、手で口を覆った。きつい穴に竿が食い込むと、柔らかく熱い肉がきゅうきゅうと締め付ける。気をつけていないと、すぐに果ててしまいそうだった。
やがて竿が根本まで食い込むと、ワダチは、はあはあと息を荒げた。ヤグラは余裕の表情で微笑んで、後輩のことを愛おしげに見つめた。
「気持ちいいよ、ワダチ。どうだい、お前は。」
「……おれも、気持ちいい。すごく、気持ちいい。おれ、おれ、幸せだ……。」
熱に浮かされたように、ワダチは口早に言った。ヤグラはしばしきょとんとして、それから、うれしそうに笑った。
「可愛いなあ、ワダチ。おれもだよ。おれも幸せだよ。」
そう言って、ヤグラはワダチの頬を撫でた。
「動いていいかい?」
ヤグラがたずねた。ワダチは黙って頷いた。すると、ヤグラは腰を少しずつ浮かしていき、すぐにまた沈めていった。そのゆっくりとした小さな動作を、ヤグラは繰り返した。
「ん……ふっ……あっ……んっ……。」
鍛えられた筋肉に締め付けられ、絞り上げられるような感触に、ワダチは甘い声で喘いだ。舌でなぶられた時ほどの激しい快感ではなく、柔らかく暖かい、もっと心地よい快感だった。
ヤグラもまた気持ちよさそうに溜め息をついた。
「あー、気持ちいい。すごくいいよ、ワダチ。」
ヤグラは両手を後輩の胸の上に置いて、弄んだ。腰の動きは少しずつ速くなっていった。体がぶつかって、たん、たん、と規則的な音が鳴った。ワダチは喘ぎ、先輩の腕を掴んで、弱々しく押した。
「まって、おれ、もう、でそう……!」
「待つ必要なんてないぜ。出したらいいだろ。」
ヤグラはきゅっと後輩の胸の尖りを抓った。甘い痛みに、ワダチは声を上げた。ヤグラは腰を細かく動かし、ワダチのものを締め上げた。暖かな肉に包まれ、扱き上げられ、ワダチには我慢できなかった。
「あっ、あっ、でっ、でるっ、でるっ……!」
込み上げる解放感に、ワダチの頭の中は真っ白になった。性器が脈打ち、精液が溢れる。ヤグラの柔らかい肉はワダチの出した汁を飲み込もうとでもしているように、貪欲にうごめき、吸い付いた。ヤグラは中に吐き出された熱い感触を楽しむように、うっとりと笑いながら、腰を振り続けていた。
やがて、ワダチの体からぐったりと力が抜けた。いつのまにか、体中が汗でべとべとしていて、胸の火傷に滲みて痛んだ。だが言いようのない幸福感に、僅かな痛みなど霞んでしまった。
「恥ずかしいかい?」
ヤグラが囁いた。ワダチは真っ赤になった顔で、小さく頷いた。
「うれしいか?」
それにも、ワダチは頷いて返事をした。
「もっと、続けていいか?」
ワダチはまた頷いた。ヤグラはうれしそうに笑った。
「可愛いよ、ワダチ。すごく可愛い。」
そう囁いて、ヤグラは顔を近づけ、また唇を触れ合わせた。
ワダチは切なく甘い感触に、身じろぎし、鼻息を漏らした。ヤグラはすぐに唇を離し、それから何度も、何度も、愛おしむように短い口づけを繰り返した。唇に数度、左右の頬にも、鼻にも、額にも、こめかみにも、顎にも、繰り返し唇を触れさせた。
やがてヤグラは顔を離し、後輩の顔を見下ろした。ワダチは顔を真っ赤にし、息を切らし、涙ぐんでいた。頭はぼうっとして、熱に浮かされているか、それとも夢の中にいるような心地だった。
ヤグラは笑ってワダチの頬を撫でた。
「お前、本当に可愛いなあ。」
そう言って少し身を起こすと、その手を後輩の腹に這わせた。くすぐったいような甘い感触に、ワダチは溜め息をつき、親友を濡れた瞳で見上げた。
ヤグラは腹を優しく撫でながら、その手を少しずつ下方に滑らせていった。愛撫する手がゆっくりと降りてくるに従って、ワダチの期待と興奮は高まり、息は荒くなっていった。
「……あっ。」
やがてその手が秘部に至ると、ワダチはぴくっと震え、切なげな甘い声を上げた。ヤグラはくすっと声を上げて、うれしそうに笑った。
「気持ちよかったかい?」
ヤグラが、聞かずとも分かるようなことをたずねた。ワダチはすでに真っ赤な顔を、よりいっそう赤くした。ワダチの性器は興奮に熱せられて固くなり、親友の手の内でぴくぴくと震えていた。ヤグラが服を着ていて、ワダチだけ裸だというのも、羞恥心をより強めていた。
ワダチは口を尖らせて、拗ねたように言った。
「お前も、脱げよ。」
「ああ。」
ヤグラは囁くと、ふたたびワダチの頬に口づけした。それから起き上がり、潔く服を脱いでいった。ワダチは草の寝床で横になりながら、白い月明かりにおぼろげに浮かび上がる親友の肉体を見つめた。ヤグラはワダチよりも背が少し高く、よく肉がついていた。引き締まってはいるがやや細身のワダチは、ヤグラのがっしりとした体に憧れていた。
ワダチはヤグラの逞しい体に手を伸ばし、腕に触れた。すると、ヤグラはその手を取って、口づけした。それから、ワダチに覆いかぶさった。
ヤグラはワダチの体を、痛みを覚えるほどに抱き締めた。ことに胸の火傷がひりひりと痛んだ。だがそんなことをワダチは気にも留めず、親友に全力で応えた。二人は互いの肉体にしがみつき、まるで二つの体を一つにしようとでもしているように、それとも離れたら死んでしまうとでもいうように、力強く抱き合い、肌を重ね合わせた。
ヤグラはワダチと抱き合いながら、また唇を重ねた。だが今度は、それまでのような優しいものではなかった――とはいえ甘美さにおいて劣るものではなかったが。
ヤグラはワダチの口を情熱的に貪った。唇を何度も喰み、吸い、柔らかな割れ目に舌を捩じ込んだ。ワダチが口をかすかに開くと、ヤグラの舌は口内に入り込み、ワダチの舌と触れ合い、絡み合った。
このままでは窒息してしまうのではないかと思われるほど、二人は長いこと唇を重ね、貪り合いながら、抱き合った。やがて二人の腕から力が抜け、唇が離れると、ヤグラはワダチの首筋に顔を埋め、頬を擦り合わせた。そうしながら、ワダチの耳元で囁いた。
「どうしたんだい、ワダチ。」
ワダチは咽び泣くように、息を荒げていた。その目からは涙が零れていた。ワダチは息を切らしながら答えた。
「……うれしいんだ。うれしいんだよ。」
そう言って、ワダチはヤグラの体に回した腕に、力を込めた。これまでに、こんなふうに誰かと互いを求め合い、喜びを感じ合ったことはなかった。どうしようもないほど感情が沸き立ってしまい、息を整えることがとてもできなかった。
ヤグラは何も言わず、ただ微笑んで、頬を擦り合わせた。
しばらくすると、ワダチの息が落ち着いた。すると、ヤグラは顔を上げた。
「続けてもいいか?」
ヤグラの問いかけに、ワダチは頷いて答えた。
ヤグラは両肘をついて体を少し起こすと、ワダチの額に口づけを落とした。次に鼻に、頬に、そして唇に口づけをすると、今度は首に、上から下へと唇を押し当てていき、やがて鎖骨に触れた。ワダチはくすぐったくて、ぴくぴくと身を震わせながら、甘い吐息を漏らしていた。
それから胸にまで至ると、ヤグラはそこに留まり、じっくりと愛撫した。筋肉で膨らんだ胸に何度も口づけし、尖りを舌先でちろちろと舐め回し、ちゅっと音を立てて吸い付く。片手は他方の胸を優しく撫で、突起を指でくりくりと捏ね、軽く抓った。
「あっ……んっ……はっ……。」
ワダチは甘い声でよがり、ヤグラの頭に手を置いた。胸を刺激されて感じるくすぐったいような疼きに、経験の浅い若者はただただ声を上げるばかりだった。ヤグラによって与えられる甘い快感と、胸の真ん中にある火傷のじんじんという熱い痛みとが混ざり合って、体が余計に火照ったような感じがした。
ヤグラはワダチの胸をしばらくの間愛撫すると、ふたたび下っていった。腹に何度も口づけし、臍に舌を這わせ、それから下腹部へと至る。ワダチは次に触れられるところを思い、緊張して、身を固くした。ヤグラは顔を上げた。
「恐いかい。ここ、やらないほうがいいか?」
ヤグラはそう言って、ワダチの固くなった竿を、指先で軽く撫でた。それだけで、ワダチは快感に小さく溜め息をついた。
「……触ってくれよ。触って欲しいよ。いっぱい、触ってくれよ。」
ワダチは乞うような調子で言った。ヤグラは微笑んだ。
「分かった。」
それだけ言うと、ヤグラはワダチのぴんと立った性器に舌を這わせた。根本から先へと、ゆっくりと舐め上げる。
「あ……あっ……!」
ワダチは声を上げた。
ヤグラは上目遣いに後輩を見ながら、繰り返し竿を舐め上げた。興奮しきったそれからは透明な汁が止めどなく滲み出て、唾液と混じってぬるぬるとしていた。
ワダチは喜びの声を上げながら、ただ身を震わせるだけだった。
ヤグラはしばらく舐めた後で、性器の先を摘み、ゆっくりと引き下ろした。そうして露わになった薄紅色の先端を、舌で軽く舐める。その途端に、ワダチはびくっと震え、取り乱した声で言った。
「ま、待って。」
ヤグラはにやっと笑った。
「触ったことないのか?」
その問いかけにワダチが頷くと、ヤグラは続けた。
「じゃあ、敏感だよな。優しく触ってやるよ。いいか?」
またワダチは頷いた。ヤグラは笑いながら、ワダチの敏感な部分を舌で舐めた。
「あっ、あっ、はっ、あっ……!」
しばらく、ヤグラはワダチの性器をじっくりと刺激した。自身が言ったとおり、敏感なワダチに優しく触れた。唾をたっぷりと出して十分に濡らし、舌や唇でほんの少し触れたり、撫でたりした。
しかしそれですら、ワダチには刺激が強すぎた。ほとんど痛みにも似た激しい感覚に、若者は手足をびくびくと震わせ、甘い声で喘いだ。
ヤグラは一度口を離すと、片手でワダチの玉を撫でながら、くすくす笑った。
「ほんとに敏感だなあ。棍棒で殴られたって平気なのに、ここを触れられるとすぐ喘いじゃうんだなあ。」
「だって、仕方ないだろ。殴られるのなんて慣れてるけど、そんなとこ、鍛えたことがないんだ。」
ワダチは口を尖らせて言い返した。ヤグラは笑顔のまま、竿をゆっくりと扱いた。
「じゃあ、おれが鍛えてやるからな。」
そう言って、ヤグラはふたたびワダチのものを舐めはじめた。今度は、ワダチは声を上げなかった。少しばかり悔しい気がして、声を我慢したのだ。火にも耐えたのに愛撫に耐えられないなど、まったくおかしなことに思われた。ワダチはつとめて平気な顔を装いながら、自分の股座に顔を埋めたヤグラに目を向けた。
ヤグラは、上目にワダチを見返しながら、おかしそうに笑った。それから、これでも耐えられるか、と言わんばかりに挑発的な笑みを浮かべると、口を大きく開き、ワダチの性器の先端をぱくりと口に咥えた。そしてちゅうちゅうと吸い付きながら、舌で敏感な部分を舐め回した。
「あっ、あーっ、あーっ!」
ヤグラの激しい攻勢に、ワダチの忍耐はあっさりと打ち破られ、すぐに声を上げはじめた。足はぴんと張り、手は下草をぎゅっと握った。そうでもしていないと、この甘くも痛い刺激に、びくびくとみっともなく飛び跳ねてしまいそうだった。
ヤグラはしばしワダチを敏感な部分を攻め立て、苛め回した。うれし泣きするように、性器からどくどくと滲み出る透明な汁を、ヤグラはうまそうに飲み込んでいく。そうしながらも、その目はじっとワダチの目に注がれ、ワダチのほうでも相手をずっと見返していた。
止めて欲しいと言えば、ヤグラはすぐにでも止めただろう。だがワダチは、決して止めて欲しいとは言わなかった。
黒羊戦士団では、耐えるということが習いとなっていた。それは他のことでもそうだったが、とくに硬化術の訓練の時に培われることだったのだろう。おそらくどんな戦士集団でもそうであろうが、黒羊戦士団の団員にとって、忍耐は必要でもあったが、同時にそれは美徳であり、そして喜びでもあった。
しかしこの忍耐は、度を越したものにはならぬように注意されていた。ことによれば、耐え忍ぶことは危険であったからだ。
そしてヤグラは、この点で黒羊戦士団の先輩としての務めを十分に果たした。性器を苛め回されているワダチの、喘ぐ声が弱くなり、後輩が本当に泣きそうになったと見て取ると、後輩が自分から止めるようにと言い出す前に、性器から口を離した。
ヤグラは後輩の体に這い上がると、頬を擦り合わせて言った。
「よく頑張ったな。可愛いワダチ、よく声を我慢したな。痛くなかったかい?」
ヤグラが優しく声をかけると、ワダチは息を荒げながら、くったりとした顔に自信たっぷりに笑みを浮かべた。
「……こんなの、ぜんぜん、平気だぜ。」
ワダチがそう答えると、ヤグラは後輩の体を抱き締め、熱烈に頬擦りをした。ワダチも愛しい先輩の背に腕を回し、ぎゅっと力を込めた。
それから、ヤグラが言った。
「次、どうしたい? また口でやろうか。それとも、他のところを弄ってやろうか。疲れたんなら、もう寝たっていいんだぜ。」
ヤグラは片肘をついて身を起こし、他方の手で、ワダチの胸を愛撫した。ワダチは甘い声を上げながら、答えた。
「……入れたい。ヤグラに、入れてみたい。入れていい?」
後輩の言葉に、ヤグラはやや驚いたような顔をした。
「へえ、ワダチは入れられたいんだと思ってたな。でも、いいよ。入れさせてやるよ。」
ヤグラはそう言うと、自分の指を舐め、唾液をたっぷりと取った。そしてその手を自分の尻に持っていく。するとワダチの目の前で、先輩の顔が痛みか何かのために歪んだ。
「指、入れてるのか?」
ワダチは驚いてたずねた。ヤグラは笑った。
「慣らさなきゃいけないからな。お前のもんを入れるんだからよ。」
ヤグラはそう言うと、片手で自分の尻を解しながら、後輩と唇を重ねた。ゆっくりと優しい口づけだった。ワダチはうっとりとした気分で口を半ば開き、先輩に唇を喰んでもらい、舌を絡め合わせた。
二人は口づけを長いこと楽しんだ。ヤグラはときおり口を離すと、指を口元に持ってきて唾をつけ、また自分の尻を解しにかかった。ワダチは先輩の尻を解してやろうとは考えもつかなかった。色事の知識がなかったわけではないが、経験がなさすぎて、自分からどうこうしようなどと言い出すことはできなかった。
やがて、ヤグラは口を離すと、囁いた。
「もういけるよ。だいぶ慣れてきた。」
「おれ、どうしたらいい?」
「お前は寝ていろよ。おれが上に乗るからさ。」
ヤグラは起き上がると、後輩の股の上で腰を浮かせた。そして片手でワダチの固くなった性器を掴み、その上にゆっくりと腰を下ろしていった。
「あっ……!」
性器の先が先輩の肛門に触れて、ワダチは喘いだ。ヤグラはくすっと笑った。
「すぐ出すなよ。たっぷり気持ちよくしてやるから。」
ヤグラが腰を沈めていった。ワダチは声を上げそうになって、手で口を覆った。きつい穴に竿が食い込むと、柔らかく熱い肉がきゅうきゅうと締め付ける。気をつけていないと、すぐに果ててしまいそうだった。
やがて竿が根本まで食い込むと、ワダチは、はあはあと息を荒げた。ヤグラは余裕の表情で微笑んで、後輩のことを愛おしげに見つめた。
「気持ちいいよ、ワダチ。どうだい、お前は。」
「……おれも、気持ちいい。すごく、気持ちいい。おれ、おれ、幸せだ……。」
熱に浮かされたように、ワダチは口早に言った。ヤグラはしばしきょとんとして、それから、うれしそうに笑った。
「可愛いなあ、ワダチ。おれもだよ。おれも幸せだよ。」
そう言って、ヤグラはワダチの頬を撫でた。
「動いていいかい?」
ヤグラがたずねた。ワダチは黙って頷いた。すると、ヤグラは腰を少しずつ浮かしていき、すぐにまた沈めていった。そのゆっくりとした小さな動作を、ヤグラは繰り返した。
「ん……ふっ……あっ……んっ……。」
鍛えられた筋肉に締め付けられ、絞り上げられるような感触に、ワダチは甘い声で喘いだ。舌でなぶられた時ほどの激しい快感ではなく、柔らかく暖かい、もっと心地よい快感だった。
ヤグラもまた気持ちよさそうに溜め息をついた。
「あー、気持ちいい。すごくいいよ、ワダチ。」
ヤグラは両手を後輩の胸の上に置いて、弄んだ。腰の動きは少しずつ速くなっていった。体がぶつかって、たん、たん、と規則的な音が鳴った。ワダチは喘ぎ、先輩の腕を掴んで、弱々しく押した。
「まって、おれ、もう、でそう……!」
「待つ必要なんてないぜ。出したらいいだろ。」
ヤグラはきゅっと後輩の胸の尖りを抓った。甘い痛みに、ワダチは声を上げた。ヤグラは腰を細かく動かし、ワダチのものを締め上げた。暖かな肉に包まれ、扱き上げられ、ワダチには我慢できなかった。
「あっ、あっ、でっ、でるっ、でるっ……!」
込み上げる解放感に、ワダチの頭の中は真っ白になった。性器が脈打ち、精液が溢れる。ヤグラの柔らかい肉はワダチの出した汁を飲み込もうとでもしているように、貪欲にうごめき、吸い付いた。ヤグラは中に吐き出された熱い感触を楽しむように、うっとりと笑いながら、腰を振り続けていた。
やがて、ワダチの体からぐったりと力が抜けた。いつのまにか、体中が汗でべとべとしていて、胸の火傷に滲みて痛んだ。だが言いようのない幸福感に、僅かな痛みなど霞んでしまった。
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