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あの人を譲るの!譲らないの?車を寄せて脅す運転手の女は浮気相手だった!車の修理代は自費で払えと言うので…

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車で子供を保育園に送り、家に戻る途中、いつも通る狭い道に入った。
すると、向こう側から派手なスポーツカーがスピードを落とさずに走ってくる。
「危ないな…」そう思っていたら、キーッと私の車の目の前で止まり、ゆっくりと前進してきた。
そして、運転席が私の横で並んだ時、スーッと窓が開き、「どうも」と派手なヘアスタイルの女が無表情で挨拶してきた。
「あの、車を少し寄せてもらえませんか?ぶつかりそうなので」と頼んだ。
「はあ?車を寄せるのはあなたの方でしょ」と女が睨んでくる。
「あたしの方は寄せるスペースがないんですよ。だから、そちらが寄せてくれないと…」
「スペースがない?なら、作りなさいよ!あたしは絶対に譲らないわよ!あなたが拓海の前から消えるまではね」
「拓海の前から消える?あなた…まさか」浮気相手だわ。
あの人、こんな性格が悪そうな女と浮気をしてるっていうの?!

「ねえ!あたしにあの人を譲るの?譲らないの?!答えなさいよね!」興奮しながら私に聞いてくる女の表情が怖い。
狭い道路で2台の車がピタッと並び、後ろにも前にも逃げられない状態に汗がジワリと滲み出す。
「あんたのそんな優柔不断なところがあの人を困らせるのよ!ちゃんとここで譲るのか決断してもらわないと、今後のあの人の未来が気の毒でしょうよ!」
「…」夫を譲るかと聞かれても、こんな状況でどうしたらいいの!?
気の強そうな浮気相手がいるは、車が動けずに立ち往生してるような状況で。
「離婚しないなら、あたしが力ずくでも拓海を奪うわよ」そう言ったかと思うと、車をゆっくりと前に動かし始めた。
キイギイキイイィ!!!鈍い車の擦れる金属音が住宅街に響き渡る。
「ああ!そんなことをしたら車が傷ついちゃう!」
「車だからまだいいと思いなさいよね!本当ならあなたをこの手で傷つけてやりたいわよ!」女はさらに車を前に進める。

ギギイイィ!!
「やめて!お願い!」
「なら、直義をあたしに譲りなさい」
「だからそれはできないから…」
ギィ!
「わ、わかったわよ!」思わず車を守るため反射的に答えてしまった。
「車は自費で直すのね。じゃあ」ギイイッ!!と派手な音を鳴らしながら、女は一気に車を前に走らせた。
運転席側のドアの側面にはくっきりと大きなすり傷が残ってしまった。
なんて女なのかしら…惨すぎるわ。

なら、私からもご挨拶を申し上げましょう。

家に帰って、あらためて車の傷を見てみれば…驚くほどくっきりとした傷が付いていた。
私は知り合いの修理会社に頼み、車を修理してもらった。
「じゃ、よろしくお願いしますね」
「はい。任せてください」

1週間後。
すり傷も修復し、修理会社が車を家に届けてくれた。
「どうもありがとう」
その時だった、浮気相手の女がスポーツカーを飛ばして家にやってきた。
「ちょっと!なんであたしがあんたの車の修理代を払わなくちゃいけないのよ!」と凄い剣幕で怒鳴ってくる。
「あら?どう考えてもあなたの方から車をぶつけてきたんですよね?」
「はあ?証拠でもあんの?」
「ええ、ありますよ。これが」私は車に取り付けてあるドライブレコーダーを指差した。
「こんな小さいドライブレコーダーがあるの!?」
相手の運転手には見えない場所に、世界最小のドライブレコーダーを車に取り付けた私。
「ということで、車の修理代はこちらで自動車保険会社に請求しておきました」と、修理会社が請求書を女に渡した。
「…」

その後、ドライブレコーダーに録画した映像を弁護士に提出して、車の事故について処理してもらった。
圧倒的にこちらの方が有利であったため、修理代も女に払ってもらえることになった。

浮気した夫の方には浮気相手にぶつけられた車を処分してもらい、新品の電気自動車を購入してもらった。
派手なスポーツカーを。
そのスポーツカーの窓から「ごきげんよう!」と女がベランダで洗濯物を干す時間にマンションの前を通り、わざとアクセルを吹かしてやるのだった。





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