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あざとい妹が旦那の浮気相手と知っておかしくなりそうな私…かわいいからこそ叱りましょう

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旦那が妹と浮気をしていたことの理由を聞くことにした。
「あなた、どうして私の妹と浮気なんてしたのよ」
「それは…」
「言えないの?妹は婚約してるのよ。なのに、あなたって人は女と見れば誰にでも手を出してね、最低だわ」
「お姉さん!昭英さんを責めないで!仕方がなかったのよ、私がお姉さんよりも若くて魅力的なんだから…」妹は上目遣いで旦那を見つめる。
そして、首に手をまわすと、胸に顔をうずめて擦り付けるところにしたたかさを感じてしまった。

指で胸をなぞりながら「昭英さんだって男なのよ。だから一つ屋根の下で生活するかわいい妹に手を出さずにはいられなかったのよ。ね?」
「う、うん」
「もう、昭英さんったら。恥ずかしがらないで、お姉さんよりも私の方が好きだって言ってよ。私はいつでも彼氏とは別れて、一緒になってもいいのよ」
「あ、ああ」
「彼氏よりもね、あたしは昭英さんの方がタイプなんだから」
ふと寂しそうな表情を見せながら「あたしの方がお姉さんよりも料理はうまいし、子供だって育てる自信があるんだから!」そう言って旦那に抱きつくと、ニヤリとこちらを見てほくそ笑む。
「ねえ、この場でお姉さんかあたしか選んでほしいの。じゃないとあたし…」旦那からパッと離れると「別れるわよ」と旦那を睨む。
「そ、そんな…別れたくないよ」
「なら、今すぐにここで答えを出して!」プーッと頬を膨らませながら怒った顔を見せる妹がわざとらしい。
「で、でも…簡単には離婚できないよ」と悲しげな表情を見せながら、私の顔をチラッと見る旦那の態度にもイラついた。

妹はキャミソールを下にズラし、胸の谷間がチラっと見えるよう少し前屈みになった。
そして、毛先を指に巻きつけながら目をウルウルさせて、「早く決めてくれないと…真美香、泣いちゃうから」と言う。
「ああ、俺は、俺は真美香を選ぶよ!」と涙を流しながら妹をきつく抱きしめる旦那の姿に愛情が冷めてゆく。

そうですか…残念ね、あなた。
「わかったわ、あなた。別れましょう。ただ、後悔だけはしないでね」そう告げて、私は旦那と離婚した。

その後、私と離婚して、妹と再婚した旦那は嫁の家に住むことになった。
しかし、姉妹の絆を引き裂き、既婚者の身でありながら妹に手を出したことが同居する親の逆鱗に触れてしまう。
家では肩身の狭い思いをしながら生活することになり、そこがストレスになり、家を飛び出してしまった。
給料の安い旦那は一人暮らしなどできず、実家に帰った。

実家には気の強い兄夫婦がおり、浮気して出戻った弟を許さない兄嫁からひどいいびりを受ける日々。
いびりを受けた旦那の頭は禿げあがり、さらには対人恐怖症になってしまう。
久々に姿を見かけたが、ずっと人と目を合わせないように下を向いたまま歩く姿に笑う。




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