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あたしは殺してないわよ!ご主人殺しの犯人として疑われた妻はひどく否定するが・・・殺す動機や凶器を伝えると豹変!
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「あなたはどんなものでご主人を殺したんですか?」私はいまいちど目の前にいる女性に聞いた。
「だから何度も言ってるでしょ!あたしは殺してないって!」
「しかし、この部屋は密室なんですよ?外からは誰も侵入していません。なのに、どうしてこの部屋であなたのご主人が殺されていたのですか?」
「知らないわよ!あたしは今、家に帰ってきたんだから」
目の前の女性はまったく自分が殺人に加担していないと否定する。
「しかし、この屋敷で働く人はみな、あなたが外出したと証言する人はいないのですよ?」
「チッ。まったく高いお手当てをくれてるっていうのに…使えないわ」
「そんなことを言うあたりは、やはりあなたが殺したんですね?」
「あのね、さっきから私ばかりを犯人扱いしてるけど、ここには複数の使用人が働いてるのよ?犯人はあたしだけじゃないかもしれないじゃない!」
「いいえ、この部屋に入った者はあなたの他に誰もいないんですよ」
「は?そんなことどうしてわかるのよ」
「わかりますよ。これでこの部屋を監視していればね」
私は写真立てを取り出して女性に見せると気まずそうな顔をした。
「あなたはこれでこの部屋にいるご主人をずっと監視していたんですよね?」
「…だからなに?あたしがどうして監視なんてしなくちゃならないの?」
「それは、隠し扉がどこにあるか知るためでしょう」
「!」
「ご主人がこの部屋に隠し部屋を作り、中に女性を住まわせていた。その扉がわからないあなたは監視カメラを取り付けて、扉がある場所を調べようとした。そうですね?」
「ふん!だってあの人!次から次へと女をこの部屋に連れ込んで、派手に遊んでたのよ!だから証拠を掴み、裁判の時に突きつけてやろうと思ったのよ」
「そうですか。それで、ご主人を殺害したときの凶器はどこです?」
「凶器なんてないわよ!殺してないんだから!女と遊んでて、心臓発作でも起こしたんじゃないの?」
「いえ、この監視カメラには、あなたがご主人の頭めがけて凶器を振り下ろす姿が映っていましたよ」
「…」
「ご主人の遺体を調べてみると、頭が妙に濡れていたんです。ということは…」
「どこを探してもないわよ!そんなもの」激しく否定するあたりが怪しい。
「いえ、あの窓の外を見てください」
「なによ」
窓の外には、屋根から大きなツララが何本も垂れ下がっていた。
「あそこの1本だけがきれいに折られていますね。あなたは窓からあのツララを見て、とっさに鈍器になると思ったのでしょう」
「ツララで殺す?そんなことができるかしら?」
「できるんですよ。こうやって太くて先端が尖ったツララを縦に持ち、頭に目掛けて勢いよく振り下ろせば、人間の頭蓋骨にも刺さるんです」
「…」
「このツララは溶けますからね。隠蔽工作も容易にできる」
「ふ、あたし、捕まるのかしら」
「ええ、牢屋に入りますね」
「わかったわ。あんな人でも好きだったのよ。だからあたし、主人が許せなかったの」
「ええ、わかります。では、行きましょうか」
「…はい」
人妻の見せる切ない嫉妬心が巻き起こした事件だった。
「だから何度も言ってるでしょ!あたしは殺してないって!」
「しかし、この部屋は密室なんですよ?外からは誰も侵入していません。なのに、どうしてこの部屋であなたのご主人が殺されていたのですか?」
「知らないわよ!あたしは今、家に帰ってきたんだから」
目の前の女性はまったく自分が殺人に加担していないと否定する。
「しかし、この屋敷で働く人はみな、あなたが外出したと証言する人はいないのですよ?」
「チッ。まったく高いお手当てをくれてるっていうのに…使えないわ」
「そんなことを言うあたりは、やはりあなたが殺したんですね?」
「あのね、さっきから私ばかりを犯人扱いしてるけど、ここには複数の使用人が働いてるのよ?犯人はあたしだけじゃないかもしれないじゃない!」
「いいえ、この部屋に入った者はあなたの他に誰もいないんですよ」
「は?そんなことどうしてわかるのよ」
「わかりますよ。これでこの部屋を監視していればね」
私は写真立てを取り出して女性に見せると気まずそうな顔をした。
「あなたはこれでこの部屋にいるご主人をずっと監視していたんですよね?」
「…だからなに?あたしがどうして監視なんてしなくちゃならないの?」
「それは、隠し扉がどこにあるか知るためでしょう」
「!」
「ご主人がこの部屋に隠し部屋を作り、中に女性を住まわせていた。その扉がわからないあなたは監視カメラを取り付けて、扉がある場所を調べようとした。そうですね?」
「ふん!だってあの人!次から次へと女をこの部屋に連れ込んで、派手に遊んでたのよ!だから証拠を掴み、裁判の時に突きつけてやろうと思ったのよ」
「そうですか。それで、ご主人を殺害したときの凶器はどこです?」
「凶器なんてないわよ!殺してないんだから!女と遊んでて、心臓発作でも起こしたんじゃないの?」
「いえ、この監視カメラには、あなたがご主人の頭めがけて凶器を振り下ろす姿が映っていましたよ」
「…」
「ご主人の遺体を調べてみると、頭が妙に濡れていたんです。ということは…」
「どこを探してもないわよ!そんなもの」激しく否定するあたりが怪しい。
「いえ、あの窓の外を見てください」
「なによ」
窓の外には、屋根から大きなツララが何本も垂れ下がっていた。
「あそこの1本だけがきれいに折られていますね。あなたは窓からあのツララを見て、とっさに鈍器になると思ったのでしょう」
「ツララで殺す?そんなことができるかしら?」
「できるんですよ。こうやって太くて先端が尖ったツララを縦に持ち、頭に目掛けて勢いよく振り下ろせば、人間の頭蓋骨にも刺さるんです」
「…」
「このツララは溶けますからね。隠蔽工作も容易にできる」
「ふ、あたし、捕まるのかしら」
「ええ、牢屋に入りますね」
「わかったわ。あんな人でも好きだったのよ。だからあたし、主人が許せなかったの」
「ええ、わかります。では、行きましょうか」
「…はい」
人妻の見せる切ない嫉妬心が巻き起こした事件だった。
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