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■37.二人きりのデート

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「電話ありがとう!
俺もるあちゃんの声、聞きたいなって思ってた所だったんだよ。」

拓真くんはとても嬉しそうだった。その声を聞いて安心する。


「本当に?」


「本当だよ!」


「拓真くん、私の事…好き?」


拓真くんからの愛を確かめたくなり、メンヘラのような質問をした。


「好きに決まってるよ!
バイト確か今日で終わりだよね?お疲れ様!
明後日って空いてる?
逢えないかな?」


「空いてるよ!
逢いに来てくれるの!?」


「うん!逢いに行くよ。
本当は今すぐ逢いたい……。
今までは毎日会ってたからるあちゃんと離れているとなんだか落ち着かないんだよね。」


拓真くんは、なんだか不安そう。


「私も早く逢いたいよ。」


「ねぇ、るあちゃん。」


「なぁに?」


「逢ったら抱きしめていい?」


「え……っ////」


まだ握手を交わす事しか出来ていない私たち。
恋人らしい事は何一つしていない。



「ウン、もちろん!いいよ。」


「……キスしてもいい?」


「いいよ。
………なんだってしていいよ。」



私はこんな大胆な発言をしてしまった。


星吾の事は、胸にしまって、拓真くんだけを一途に想いたい。
こんなに想ってくれる彼氏を大事にしたい。


今は夏休みだからこそ、遠距離の割に頻繁に逢えているけれど、きっと、学校が始まったらそれも叶わなくなる。


だから、お互い次のチャンスを大事にしようと思っている…はず。



明後日、8月30日のお昼から拓真くんと逢う事になった。
今度は約束通り、二人きりでのデート。
とても楽しみだった。



そして、8月30日。
明日で長いようで短かった夏休みは終わる。



バイト先だった海の家BLUE WAVEの近くにある海沿いの白い建物の小さなカフェで、拓真くんと待ち合わせしていた。


拓真くんは私より先に着いていて、カフェの軒先で私を待っていてくれた。


「久しぶり!」

「久しぶり~!」

「あれ?なんか雰囲気大人っぽくなった?」

「あははw
服のせいかな?w」

「すごく似合ってるよ!
中入ろうか。」

「ウン♪」


デート用に新調した少し大人びたワンピースに、直ぐに気付いて褒めてくれた。
背伸びしたかった私は、それがとても嬉しかった。


少スペースな店内には、お客さんがもう一組いた。
拓真くんとテーブルを挟んで向かい合って座る。

飲み物と軽食を注文した。


バイトの話から、拓真くんがサーフィン始めた話になった。


「実は、バイトのオフの日にアランくんにサーフィン教わってたんだよね。」


「え!そうなの!?
知らなかったよ~!」


サーファーのアランくんにもう着なくなったウェットスーツとサーフボードをセットで2万で譲ってもらったんだとか。


アランくんお金取るんだねって笑ったら、オーダーメイド品だから普通にそれなりの物揃えるとかなり高いんだって。ボードだけで12万くらいはするらしい。

「ウェットスーツの着丈はピッタリだし、破格の値段で譲ってもらって助かった。アランくん良い奴だ」って拓真くんは言う。
アランくんてサーフ雑誌に載っちゃうようなちょっと有名なサーファー。アランくんのお下がりなら間違いないよね。
そっか、拓真くんには優しいんだね。私にとっては天敵だったけど…だけど、この前の一件で拓真くんを擁護してくれてちょっとアランくんの事を見直したよ。


「ここに来ればるあちゃんに会えるし、サーフィンも出来るし、こっちに住みたいくらいだよ。」


ニコッて白い歯見せて笑う拓真くんにドキン♡とやられた。



「これからどこ行こうか?」


「この辺って海くらいしか遊べる所ないけど…どうしようか。」


海がメインの観光地なので、他にこれといって遊べる施設はない。
少し移動すればボーリングとか、カラオケとか満喫くらいならあるけれど。


拓真くんは都会っ子だから、都会の喧騒から離れた、こんな何にもない自然に囲まれた場所が気に入っている様子…。都会のような遊びを求めてる訳じゃないんだろうな。




「俺、実は明日の朝海入るつもりで今日宿とってあるんだけど、
……そこ遊びに来る?」



え……………!?
や……宿………Σ(///Δ///)!?

拓真くんの言葉にゴクリと生唾を飲んだ。
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