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■22.お別れカラオケ②

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歌い終えた和正さんは

「どうだった?」

と私に聞いてくる。



いや、どうだったも何も、ただただ鳥肌が立ちっぱなしでした。
……キモすぎて。


とは、ストレートに言えず



「あ、良い感じでしたよー…。」


と顔を引きつらせながらそう答えた。



「ハハw だろ?w
これ、俺の十八番なんだよ。」


……知らんがな。


「そうなんですか~」


早くあっちに行ってくれないかな。



「そうだ。
帰るの遅くなりそうだし、自転車で夜道危ないからさ、カラオケ終わったら
俺が車で家まで送ってってやるね。」



中学の下校時に、変質者に襲われそうになった事のある私は、夜道には恐怖がある。

家まで送ってくれるという申し出は、
正直ありがたいなって思った。


「あ、ありがとうございます。
助かります。」


そう返事したら、隣に座っていたリナさんに

「るあちゃん、一緒にトイレ行こう!」

と腕を引かれ部屋の外へ連れ出された。



トイレの化粧台の前で、リナさんは私に対面して


「駄目だよ、るあちゃん!ちゃんと断らなくちゃ!」

と叱った。


「え?和正さんのことですか?」

私はキョトンとしながらそう返した。

「るあちゃん。
あのね、和くんは『家まで送る』って調子のいい事言って、るあちゃんの事お持ち帰りするつもりだよ?」

リナさんは真剣な顔をして私にそう言った。


「え……マジですか!?」


「マジだよ。
私の友達もその手口で、昔、和くんに食われちゃったんだから…!しかも処女だったんだよ?
和くん、処女奪うの楽しんでるの。
本当、気を付けて!」


「えええ​────!!!!
なんですか、それ!!!
最低最悪じゃないですか!!!!」


思わずトイレの中で大声で叫んでしまった。

リナさんは、私の男慣れしていない危うさを感じ取り、処女だって見抜いてる様。

てか、こんなわけわかんないナルシスト男に処女奪われてたまるものですか!!


「わかりました。
全力で断ります!!!」


リナさんに向かってグッと親指を立てた。



「そうだ!
るあちゃん、和くんじゃなくて拓ちゃんに送ってもらえば良いんじゃない?」


リナさんは私にそう提案してきた。


「え?拓真くんにですか?
拓真くん車の免許ないじゃないですか…。それに送ってってくれるかなぁ…。」


「二輪免許持ってるって言ってたよ?
アランのバイク貸すから乗せてってもらいなよ。
メットも二つあると思うから。
私から拓ちゃんに言ってあげる。
そうしなよ、ね?」



え……////そんな………。
拓真くんに送ってもらえたらめっちゃ嬉しいけどッ////


てか、アランくん、バイク貸してくれなさそーだし、期待はしないでおく。


そんな約束をして二人でトイレから出て、部屋に戻るとちょうど私の選曲のイントロが流れていて、マイクを渡された。


マイクを握って歌い出すと、皆、手拍子&間の手を入れて盛り上げてくれた。


リナさんはササッと拓真くんの隣へ行き、耳元でコソコソ話。
そして拓真くんは私の方を見て頷いた。


……もしかして、本当に家まで送っいってくれるのかな////

嬉しくてテンションが上がり、マイクを握る手に力が入った。
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