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【4】贔屓しすぎな蒼太くん

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今日の地学の授業は自習に近い感じで、プリントが配られて各自で解いて提出するというものだった。


はぁ……こういうのダルぅぅ……。
サクサクッと終わらせて寝よう。


頬杖つきながら教科書をパラパラめくっていると、


「るあちゃーん!教えて~♡」


蒼太くんが、プリントを持って
自分の椅子と私の椅子をくつけて
座ってきた。


現れたな!アグレッシブボーイ。


「私だってわかんないよー。
地学あんまり得意じゃなんだもん……。
他の人に聞いた方が早いって。」


「るあちゃんに教わりたいんだよ~。他の人じゃダメだよ~。
教えてよー♡」


………くっ!
やたら可愛いじゃないか!
まったくこの子は…!


「私のプリント間違ってるし!
合ってるかわからないもん。」

プイッとキツめにもう一度断ると、

「大丈夫!一緒にやればわからないものも解けるかもしれないじゃん♪
一緒にやろー♡」


人懐っこいワンコだなぁ………。
母性のない私も、母性が湧き出そう。


根負けして、私の机で椅子を二つ並べ、二人でプリントやることに。


はぁ…。蒼太くん、周りの目を全く気にしないでしっぽ振りながら私の所に来るの勘弁して欲しいなぁ………。

キミだって自分が女子に人気あるの、わかってるはずだよね!?

案の定、クラスのボスギャルのクロミさんが、『調子に乗るな!』と言わんばかりに私にギンギンな怖い視線飛ばしてくるよ。

怖いよ、怖いよ~(;ᴗ;)


プリントが終わっても傍を離れない蒼太くん。

「もう終わったから席戻ってよ。」

「なんで~?チャイム鳴るまでここにいるー!」

空気読んでくれよ~。
それともこれは他の男子への牽制なのか!?
マーキング的な?

クロミさんの視線が痛すぎるので、私はチャイムが鳴るまで机に突っ伏して寝たフリをして過ごした。

あー怖い怖い。



掃除の時間になると、自分の机を教室の後ろへ運ぶんだけど、今日は私の後ろの列の人が部活動の試合で四人も公欠。


同じ列の公欠の人の分の机を
ひとりで四つも運ばなきゃいけないハメに。



最悪 ───!!!!
何故私の後ろ、陸上部が揃ってる!?生息地偏ってる!!


ずらりと並ぶ空席の机を見つめ、
これ全部ひとりで運ぶのかよ……と
ぶすーっとした顔をしていた。


そうしていたら、蒼太くんが何も言わず私が運ぶべき机をササッと
全部運んでくれた。


ふおお………(´✪ω✪`)!?////

蒼太くんは、教室掃除でもなんでもないのに。
一言も手伝ってなんて言ってないのに。気付いて行動してくれるなんて優しいじゃーんッ////

蒼太くんの株上昇。



次の週は、蒼太くんと一緒の保健室掃除になった。


床をホウキで掃いていたら明るい声で

「手伝うよー♪」


私が掃いて、蒼太くんがしゃがんでチリトリでキャッチ…
………そんな共同作業。

てかこれ、二人でやる事じゃないよね?w
ホウキとチリトリ持って掃いて、取ってって、ひとりでやるものだよね?w


今度はフカフカに干した布団を取り込んでいると……


「重いから、俺も持つよ!
るあちゃん持てないでしょ?」

「えっ。いいよ!いい、いい!!
これくらい、ひとりで運べるし!
本当いいから!」

「ううん。るあちゃんにこんな重いのひとりで持たせられない。」

「そんなに重くないもん。ひとりで運べるもん!大丈夫だからマジで。」

「ダメ!!俺が手伝いたいの!!」


他の女子達は一人で運んでいるのに、私だけ蒼太くんと二人で布団を運ぶ。
……と言っても殆ど蒼太くんが持ってくれてて、私はちょいと布をつまんでるだけ。

毎日そんな感じで一生懸命ご主人様に御奉仕する忠犬のように、私に張り付いては先回りしてお手伝いをする蒼太くん。

流石に……露骨に私の事贔屓しすぎ!

こんな特別扱いしてくると、周りの女子、気分良くないに決まってる………。



そう思っていた矢先、蒼太くんがゴミ捨てに行っている間、保健の先生が私にブチ切れた。


「この前から見てるけどね、本当アンタはいっつも人にやらせてばかりで何もやらないね!
ひとりだけ楽してるんじゃないよっ!みんな真面目にやってるの!
アンタも少しは真面目にやりなさい!」

「は?え、やってます。」

「やってます。じゃないわよ、どの口が言ってるの!ズルばっかしてるじゃない。
放課後残ってひとりで掃除しなさい!!いいね!?」

…………へ!?

なんでこんな剣幕で怒られなきゃならないの……?
放課後ひとりで??

トホホ……。
蒼太くんが私に過保護すぎるせいで、居残り掃除させられるハメに
なっちゃったよ(泣)

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