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■ちゃんとしなきゃ
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大会を終え、一段落。
いつもの練習メニューに戻る。
外練の時、テニスコートの脇を通ると
桐島の元カノの長瀬さんに遭遇した。
「久しぶり~!」
「久しぶりー!」
互いに足を止めて挨拶をした。
「るあちゃんテニスやると思ってたけど、バスケのマネージャーになったんだ?どうしてバスケにしたの?」
「あ~、先輩に勧誘されて勢いで ^^;」
「そうなんだ。」
ちょっと沈黙。
桐島の話題が出ないうちにこの場を去ろう。
「ねぇ、るあちゃん。
率直に聞くけど、桐島と別れたの?」
立ち去る前に先制攻撃される。
「いや……わかんない。」
「……ハッキリしない関係?」
「うん……。」
煮え切らない返答の私に長瀬さんは眉を顰めた。
「桐島はね、中学の時、私と付き合う前からるあちゃんの事好きだったんだよ?
二人が付き合う様になって、悔しかったけど、桐島はすごく幸せそうだったからさ。
だから私るあちゃんの事は認めてたの。
でも、最近桐島の事避けてるでしょ?」
避けてる。
周りにもわかるくらい露骨に。
「別れるならちゃんと別れてよ!
桐島が可哀想!」
「……うん。」
そうだね。
そうだよね。
このまま逃げてたら桐島に失礼だよね。
部活が終わり、テニス部の部室前で立ち止まる。
桐島……いるかな?
テニス部の部室をそーっと覗いてみる。
帰り支度している様なので、そのまま近くをウロウロして時間を潰した。
ちゃんと言おう。
ちゃんと……。
桐島がかっくんと一緒に部室から出てきた。
「桐島!」
精一杯の声で呼び止めた。
「おう!どーした?」
笑顔で返事をする桐島。
胸が痛い。
「ちょっと……」
チラッとかっくんを見る。
「俺、先帰るから。じゃあな!桐島!」
かっくんは、空気を読んでサッと
帰って行った。
部室裏に周って二人きりになる。
「どーした?なんかあったのか?」
「ねぇ、桐島……志恵子先輩って知ってる?」
「え?ウン。
バスケ部のマネージャーだろ?知ってる。」
「志恵子先輩、桐島の事好きなんだってー。」
そんな事が言いたいわけじゃない。
自分を悪者にしたくなくって、回りくどい事を言う下衆で汚い私。
「……そうなんだ。」
「桐島、志恵子先輩と付き合ってよ。」
違う!
何言ってるんだ私。
そんな事望んでなんかない。
「何言ってんの?全然笑えねーんだけど。」
桐島は顔を顰めた。
「あとさ、長瀬さんもまだ桐島の事
好きじゃん?
テニス部マネージャーになったのも桐島の傍にいたかったからみたいだし。私よりこんなに想ってくれる長瀬さんといた方が幸せかも…。」
ハッキリと「別れよう」と言い出せず、人のせいにして……本当性格悪すぎる卑怯な女だ。
「俺が好きなのは、るあだけだよ。」
桐島は真っ直ぐ見つめ、そう告げると、私を胸に引き寄せた。
ゴメンね。桐島。
色々考えたけれど、やっぱり…………。
「ゴメンね。別れよう………。」
桐島の胸の中で呟いた。
ごめんなさい。
本当にわがままで自分勝手で。
好きだったよ。
ちゃんと告白してくれた事も嬉しかった。
手紙交換したり、学校では先生に怒られちゃうほどイチャついたり、放課後遊んだり、休日はデートしたり、キスしたり。プレゼントもらったり。
楽しかった。
全部はじめての事だったから。
桐島に身体を許すのを避けてるのは、
先に進むのが怖かったのもあるけど、星吾に対して気持ちがあったからなんだと思う。
こんな中途半端な気持ちで付き合ってはいけない気がする。
いつかはする『初体験』。
私は中学時代の思い出はリセットして
新たな恋愛をしようと思う。
桐島でも、星吾でもない
他の誰かと…………。
いつもの練習メニューに戻る。
外練の時、テニスコートの脇を通ると
桐島の元カノの長瀬さんに遭遇した。
「久しぶり~!」
「久しぶりー!」
互いに足を止めて挨拶をした。
「るあちゃんテニスやると思ってたけど、バスケのマネージャーになったんだ?どうしてバスケにしたの?」
「あ~、先輩に勧誘されて勢いで ^^;」
「そうなんだ。」
ちょっと沈黙。
桐島の話題が出ないうちにこの場を去ろう。
「ねぇ、るあちゃん。
率直に聞くけど、桐島と別れたの?」
立ち去る前に先制攻撃される。
「いや……わかんない。」
「……ハッキリしない関係?」
「うん……。」
煮え切らない返答の私に長瀬さんは眉を顰めた。
「桐島はね、中学の時、私と付き合う前からるあちゃんの事好きだったんだよ?
二人が付き合う様になって、悔しかったけど、桐島はすごく幸せそうだったからさ。
だから私るあちゃんの事は認めてたの。
でも、最近桐島の事避けてるでしょ?」
避けてる。
周りにもわかるくらい露骨に。
「別れるならちゃんと別れてよ!
桐島が可哀想!」
「……うん。」
そうだね。
そうだよね。
このまま逃げてたら桐島に失礼だよね。
部活が終わり、テニス部の部室前で立ち止まる。
桐島……いるかな?
テニス部の部室をそーっと覗いてみる。
帰り支度している様なので、そのまま近くをウロウロして時間を潰した。
ちゃんと言おう。
ちゃんと……。
桐島がかっくんと一緒に部室から出てきた。
「桐島!」
精一杯の声で呼び止めた。
「おう!どーした?」
笑顔で返事をする桐島。
胸が痛い。
「ちょっと……」
チラッとかっくんを見る。
「俺、先帰るから。じゃあな!桐島!」
かっくんは、空気を読んでサッと
帰って行った。
部室裏に周って二人きりになる。
「どーした?なんかあったのか?」
「ねぇ、桐島……志恵子先輩って知ってる?」
「え?ウン。
バスケ部のマネージャーだろ?知ってる。」
「志恵子先輩、桐島の事好きなんだってー。」
そんな事が言いたいわけじゃない。
自分を悪者にしたくなくって、回りくどい事を言う下衆で汚い私。
「……そうなんだ。」
「桐島、志恵子先輩と付き合ってよ。」
違う!
何言ってるんだ私。
そんな事望んでなんかない。
「何言ってんの?全然笑えねーんだけど。」
桐島は顔を顰めた。
「あとさ、長瀬さんもまだ桐島の事
好きじゃん?
テニス部マネージャーになったのも桐島の傍にいたかったからみたいだし。私よりこんなに想ってくれる長瀬さんといた方が幸せかも…。」
ハッキリと「別れよう」と言い出せず、人のせいにして……本当性格悪すぎる卑怯な女だ。
「俺が好きなのは、るあだけだよ。」
桐島は真っ直ぐ見つめ、そう告げると、私を胸に引き寄せた。
ゴメンね。桐島。
色々考えたけれど、やっぱり…………。
「ゴメンね。別れよう………。」
桐島の胸の中で呟いた。
ごめんなさい。
本当にわがままで自分勝手で。
好きだったよ。
ちゃんと告白してくれた事も嬉しかった。
手紙交換したり、学校では先生に怒られちゃうほどイチャついたり、放課後遊んだり、休日はデートしたり、キスしたり。プレゼントもらったり。
楽しかった。
全部はじめての事だったから。
桐島に身体を許すのを避けてるのは、
先に進むのが怖かったのもあるけど、星吾に対して気持ちがあったからなんだと思う。
こんな中途半端な気持ちで付き合ってはいけない気がする。
いつかはする『初体験』。
私は中学時代の思い出はリセットして
新たな恋愛をしようと思う。
桐島でも、星吾でもない
他の誰かと…………。
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