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12話 アレックス王子の王都到着と裏切りの夜

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それから十数日後。
アレックス王子が率いる軍隊は
カリンルカ王国の王都に到着した。

その数日前にアレックス王子の兄である
アンバル王国の第一王子テオドールが率いる軍隊も
カリンルカ王国の王都に到着していた。

アレックス王子には
数日前に密偵からの報告が届いていた。
それはカリンルカ王国の新国王襲撃計画に
テオドール王子が率いる軍隊も
参加してくれるという知らせだった。

その後アレックス王子は
妻のローズマリー王女と共に
カリンルカ王国の前国王の墓参りをした。
ローズマリー王女は父の墓を見て涙を流していた。

それからアレックス王子はローズマリー王女と共に
新国王のレオン陛下に謁見をした。
それはまだ赤子であるレオン陛下に忠誠を誓う為だ。
とは言っても、アレックス王子は忠誠を誓うふりをするだけなのだが。

二人は幼いレオン陛下と
その母であるステラ王太后の前で跪いた。
そして忠誠を誓う言葉を口にした。
ステラ王太后は笑顔でそれを受け入れた。



その日の夜。
アレックス王子は兄であるテオドール王子と合流しようとしていた。
それは共に新国王を襲撃する為である。

表向きには夜間演習を行っているという名目だ。
その為、両者は堂々と軍を率いている。
アレックス王子はテオドール王子がいる本陣へと向かっている。
それは襲撃計画の事をより詳しく話し合う為だった。

アレックス王子が本陣に入ると大勢の騎士達がいた。
それはアンバル王国でも有数の強者達であった。

そして兄であるテオドール王子と久しぶりの再会を果たした。
テオドール王子はアレックス王子を笑顔で出迎えた。
そしてテオドール王子は右手を差し出した。

アレックス王子はテオドール王子に近づき握手をしようとした。
その瞬間。大勢の騎士が彼に襲いかかり、一斉に槍を突き刺した。
油断していた彼はその攻撃をまともに食らい、倒れ込んだ。

アレックス王子は地面に伏しながらこう言った。
「兄上……。一体どうして……」
その言葉に兄であるテオドール王子はこう答えた。
「許せ弟よ。これもアンバル王国の為なのだ」

テオドール王子はカリンルカ王太后ステラと密約を交わしていた。
その内容はもしアレックス王子が謀反を企てていたら、
賛同するふりをして処分して欲しいというものであった。

その代わりにアンバル王国の安泰をステラ王太后は保証した。
その誘いをアンバル王国の次期国王である
テオドール王子が断る理由は無かった。

こうしてアレックス王子の新国王襲撃計画は失敗に終わった。
彼の護衛の騎士が何人か居たが、それも一緒に殺された。

その後テオドール王子は
アレックス王子の部下達を皆殺しにしようとした。
だがアレックス王子の部下達はあっさりと白旗を上げた。

アレックス王子が死んだのなら
彼らに戦う理由は無いからだ。
そして部下達は逮捕され
牢に送られるという形となった。
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