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第三話

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 俺にとって処刑とも取れる言葉の後に母親の言葉を肯定するかのように携帯が震えた。俺は扉が閉まる音で正気を取り戻した。そして油の切れたロボットのように首を回し、優花の方を向く。優花も同様に俺の方を向いていた。



「なぁ、今の言葉って同じ家に住むってことだよな」

「ええ、多分……」



 口ごもるように言った優花はかぶりを振って雰囲気を変えた。何処となく近寄りがたいオーラを感じ、俺は優花と若干距離を取った。



「そ、そんなことよりも私に近付かないでくれない。一応私、これでもアイドル稼業やっているの。付き纏われてスクープを取られたらたまったもんじゃないわよ」

「まぁ、そうだわな。了解。外では距離を置くよ。家では良いだろ?」

「いいえ、家でもよ。家で話していてそれでつい外でやっちゃったらどうするのよ」



 オーラが出ている。本当に人が近寄れないように威圧しているように思える。

 その様子から絶対に許してくれないであろうことは予想がつくので俺は不承不承で頷いた。俺の肯定を見た優花は俺から目線を離し、ドアへと向かう。優花はドアノブに手をかけたところで止まり、俺の方を向いた。



「私家の場所分からなかったわ。位置情報を送ってくれる?」

「まだ連絡先交換してないでしょうが……」

「あ、そうだったわね。じゃあ、はい」



 優花はスマホを操作しだすと、俺にスマホを渡してきた。俺は少し挙動不審になりながらもそのスマホを受け取った。

 これって何気なく家族以外の異性一人目の連絡先じゃね? いや、家族になるんだからそれはおかしいか。でも同年代の異性で初めてってことは変わらない。始めて交換した女子が今有名らしい内田優花って何気に凄くないか。でもバレたらクラスで裁判でも行いそうだな。

 俺はQRコードを読み取り連絡先を交換した。舞い上がりたい気持ちを抑えながら優花にスマホを返し、新しい自宅の位置情報を送った。



「どうも。じゃあ私先に行くから」

「わかった。20分ぐらいしたら出る」



 優花は素っ気ない言葉を残して出て行こうとしたが俺の言葉を聞いて一瞬止まった。だがすぐに動いて外へと出て行った。俺はその後ろ姿を見送って、時間を潰して新たな家へと向かった。
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