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37 大変、何事ですか
しおりを挟む結局、何も起こらないまま無事に後夜祭も終わり学園はいつもの日常生活に戻っていた。
何が起きているのか後夜祭でリナリアをエスコートしたのは件のクリビア・ガーデニーだった。
後夜祭に出ることが出来た際に彼女をエスコートするのは攻略中のキャラクター、つまり攻略対象。
やはり彼は私の知らないシナリオの攻略対象という事になる。
つまりは私の知らない『七色の花姫』が間違いなく存在している。
いやまさかウィリアム王子を出しておきながら、知らないキャラの攻略ルートに入るなんて流石の私も信じたくなかったわ……。
これは早急に彼の素性を調べるべきね。
学園祭が終わってからというもの、リナリアのそばにはクリビアも加わっておりこれは完全に攻略ルートが変わりつつあるのではと思う、というか変わっているのではないか。
そして大きな問題がもう一つ、それは我が弟の飛び級編入という大問題だ。
そもそも私とグラジオの年の差は一歳差、そうまでして飛び級する必要も無いはずで順当に行けば来年には後輩として入学してきていたはずだったのだ。
それを何故今更、この微妙な時期に飛び級なんて……。
それを彼に問えば「一刻も早く姉さんの学園に入りたかったから♡」だなんて言っていたが、実際のところは次期当主の養育を急いでいるようだった。
なんだってそんな事になっているのかは分からないけれど、何故かグラジオと共にミルトニアも編入している。
まるでこの場に呼ばれているかのようだわ……。
揃いも揃ってこのクラスだなんて随分不自然だもの。
その理論で言うとグラジオもまさか攻略対象……?さしずめ私とミルトニアはライバルキャラクターにあたるのかしら……。
私の破滅フラグは更に可能性を増やしたとでも言うの……?
そしてミルトニアが編入した事で生徒会の庶務であるロベリア嬢は降ろされ、そこにミルトニアが宛てがわれたのだとか。
ロベリア嬢は最後まで嫌がっていたようだが、普段の不真面目な態度により生徒会メンバーによって交代させられたのだと聞いた。
一歳差にも関わらず幼い見た目で可愛いグラジオはすぐに女子の注目の的だし、姉である私も私で近寄り難いとはいえグラジオの事を聞かれる事がしばしば増えてきた。
よくグラジオと一緒に居るしミルトニアもそこそこ憧れと注目の的ではあるものの、彼女に悪い感情を抱くものは少ないようだ。
ご都合主義ってやつなのかしらね……確かにミルトニアは年下の割に大人びていて女性的、控えめだけれども大きな愛情のような柔和さを帯びていてその姿はまるで聖母のよう。
これを見て彼女に適うなんて思う馬鹿な思考にはならないんだろう。
その実、謎に『お姉さま』を追い求めているようだけれど……。
となれば破滅フラグが立つのは私だけなのだろうな……なんたる理不尽。
そしてその流れで行くのなら最終的に私はミルトニアとも仲違いすることになるのだろう。
というよりもし、そのシナリオのゲームが存在しているのなら私とミルトニアは元より何の関係のない間柄だったかもしれない。
まあ……今もかなり仲がいいという訳でもないんだけど。
「うふふ、ようやくイリスお姉さまのクラスメイトになれましたわ……!この時が待ち遠しかったんですの!」
「それならそうと先に言ってくれても良かったではありませんか……驚きましたわ」
「姉さんを驚かせたくてね~決まった時にそれはもう教えたかったんだけど内緒にしてたんだ!」
あまりに嬉しそうに二人が笑うものだから私まで釣られて笑った。
きっと二人がいれば何とかなるんじゃないかって、そう安易に思っていた。
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