72 / 113
10-白い山の不殺の死神
1kmを維持せよ1
しおりを挟む
『何をしている』
最初に忍び込んだ時に爆薬でも仕掛けておけば良かった、武器庫を吹っ飛ばしてしまえばそれで済んでいたのに。
あれから日没までの時間をすべて狙撃ポイント選定と測量に費やし、少なからず存在するだろう地の利を埋める努力をしておく。歩兵の花形ともされるスナイパー、その仕事の大半は一般的なイメージより遥かに地味だ。1日かけてポイントに着き、現地の木を切ってスナイパーハイドを建築、そこから1週間動かずにターゲットの出現を待ち続け、1発だけ弾を撃った後、地面を這いずって敵地を脱する。これが現実的な要人暗殺の手法、そしてこの地味な作戦を実施するために大量の人員が現地調査という名のもと地味ーな作業を何ヶ月も行うのだ。そういう作戦と比べればこの雪まみれの谷は非常に狭かったが、たった数時間で知り尽くすのは不可能である、長期戦はできれば避けたい。
なので十分な休息を取った午前3時、梱包爆薬1個で話の9割を終わらせるべくフェルトが改めて爆破しにいったのだが、目的地の遥か手前で彼女は捕まった。余計な音は出していないし無駄な動きもしていない、目には暗視機能と音響索敵機能を持つ多機能ゴーグルを着けていて奇襲を受ける恐れも限りなく低かった。にも関わらず、集落に入ってすぐ、フェルトの背後10mに彼は現れた。現地の詳細を知るため彼女のヘッドギアはマイクが高感度になっており、ヴァシリの声がヒナとアトラにも届く。
「え、どこに隠れてた?」
「わかんない、……いやマジでわかんない。とにかく狙って、距離940m、射角マイナス1度、2人の真上の崩れそうな岩。風速は……」
「無用だ」
寝首をかきに行く前で良かった、そもそも寝てない相手の寝首はかけない。
その現場から遠く離れた崖の突き出しでアトラがライフルの銃口を動かす。全長1.2mこそヒナのものと大して変わらないものの、重量15kg、人間以外の硬目標を破壊するべく射程と威力以外のすべてを切り捨てたアンチマテリアルライフルである。図太い銃身の先端にドでかいマズルブレーキをとっ付け、目を疑うほど巨大な弾倉から引き上げた25mm弾を薬室へ投入、それから半秒で照準を終える。
「ファイア」
号砲が谷の内部を反響していく、隣に伏せていたヒナは衝撃波に見舞われる。銃口を抜け出た25mm榴弾は瞬く間に940mを飛翔、崖の裂け目へと突き刺さった。直ちに起爆、岩石を引き剥がし、真下にいたフェルトとヴァシリの間に落着、通路を破壊すると共に粉塵を巻き上げる。
「プランBだ、全員行動開始、その男は引き受けた」
アトラが言った途端、月夜に対戦車ミサイルが2発撃ち上がった。白煙を引いて加速、規定高度に達したすぐ後に燃料を使い果たして視認できなくなるも、狙い通り谷の上、赤錆びた戦車へ突き刺さった。一瞬だけ空が明るくなり、爆煙が噴出、砲弾の連続誘爆が続く。その間にフェルトは離脱した、上方から飛び降りてきたティオに合わせて身を投げ、ティオは彼女の腕を掴む。2人は谷底へは行かず、事前に張っていたワイヤーによって対岸までスイングされた。
「姿は見える?」
「まだ粉塵の中だ、榴弾なら恐らく当たるが?」
「殺さないで」
ライフルスコープから目を離したアトラの表情は渋い、手加減してる場合じゃないだろ、という顔だ。だができない、機械を壊すのとは訳が違う、人の死は記憶に強く残る。彼らが憎しみで行動を起こすなら1人を殺すのも全員を殺すのも同じだ、その線を越えてはいけない。
「武器を狙う」
入れ替わりでヒナがスコープに目を当てた、遥か先の光景を照準に収める。粉塵は少しずつ晴れつつあり、崩落した通路と、その手前で伏射姿勢を取る人物が姿を現し、
撃つべきスナイパーライフルが銃口をこちらへ突きつけているのを確認した。
「ちょ……7.62ミリロシアンの射程は!?」
「およそ800メートル」
だったらそうそう当たる事は……いや
発砲炎が上がった。
「嘘でしょ…ッ!?」
咄嗟に右へ転がって回避、伏せていた場所を弾丸が飛び抜けていく。魔力効果を使用しない通常弾、射程外への射撃は威力がかなり落ちる筈だが、少なくとも人間の生身には関係無い。
「退がれ! もう100メートル距離を取る!」
言うと同時に榴弾を1発、ヴァシリ手前の通路を狙ったものだが、着弾を待たず2人同時に立ち上がる。
背後には設置済みのワイヤージップラインだ、これに適当な形状の金属スクラップを引っかけて高速移動を行う。地面から足を離せばワイヤーに沿って体は急加速、現場へ急行するサイクロプスと入れ違う。武器庫破壊第2案である、隠れる必要が無くなった時、奴がストレートな方法で叩き潰しに行く。
『一体何だ……ッがぁ…!』
『敵襲ぅぐ……!』
無論、既に武器庫から出されたものも少なからずあるが、それはフェルトとティオが片端からはたき落とす。
『安心せい』
『峰打ちにゃあ』
なんて言ってる2人の行為も常軌を逸している、ここは平地ではない。幅2m以下の通路を駆け、出会った住人に攻撃を許さず、武器だけを谷底へ落とし、人間は落とさない、そんな神業を軽々とだ。無力化した後の説得合わせてあちらは任せておけばいい、ヘマはしなかろう。
「よし仕切り直すぞ! あくまで殺さないんだな!? なら撃つのはヒナお前だ! 私が隙を作る!」
ジップラインの終端に到着、使ったスクラップを投げ捨て半回転、片膝を地面へ。
「奴さえ片せばこの話は終わりだ! 1発で決めろ!」
「撃たせ……!」
直後、閃光が2人を襲撃する。
最初に忍び込んだ時に爆薬でも仕掛けておけば良かった、武器庫を吹っ飛ばしてしまえばそれで済んでいたのに。
あれから日没までの時間をすべて狙撃ポイント選定と測量に費やし、少なからず存在するだろう地の利を埋める努力をしておく。歩兵の花形ともされるスナイパー、その仕事の大半は一般的なイメージより遥かに地味だ。1日かけてポイントに着き、現地の木を切ってスナイパーハイドを建築、そこから1週間動かずにターゲットの出現を待ち続け、1発だけ弾を撃った後、地面を這いずって敵地を脱する。これが現実的な要人暗殺の手法、そしてこの地味な作戦を実施するために大量の人員が現地調査という名のもと地味ーな作業を何ヶ月も行うのだ。そういう作戦と比べればこの雪まみれの谷は非常に狭かったが、たった数時間で知り尽くすのは不可能である、長期戦はできれば避けたい。
なので十分な休息を取った午前3時、梱包爆薬1個で話の9割を終わらせるべくフェルトが改めて爆破しにいったのだが、目的地の遥か手前で彼女は捕まった。余計な音は出していないし無駄な動きもしていない、目には暗視機能と音響索敵機能を持つ多機能ゴーグルを着けていて奇襲を受ける恐れも限りなく低かった。にも関わらず、集落に入ってすぐ、フェルトの背後10mに彼は現れた。現地の詳細を知るため彼女のヘッドギアはマイクが高感度になっており、ヴァシリの声がヒナとアトラにも届く。
「え、どこに隠れてた?」
「わかんない、……いやマジでわかんない。とにかく狙って、距離940m、射角マイナス1度、2人の真上の崩れそうな岩。風速は……」
「無用だ」
寝首をかきに行く前で良かった、そもそも寝てない相手の寝首はかけない。
その現場から遠く離れた崖の突き出しでアトラがライフルの銃口を動かす。全長1.2mこそヒナのものと大して変わらないものの、重量15kg、人間以外の硬目標を破壊するべく射程と威力以外のすべてを切り捨てたアンチマテリアルライフルである。図太い銃身の先端にドでかいマズルブレーキをとっ付け、目を疑うほど巨大な弾倉から引き上げた25mm弾を薬室へ投入、それから半秒で照準を終える。
「ファイア」
号砲が谷の内部を反響していく、隣に伏せていたヒナは衝撃波に見舞われる。銃口を抜け出た25mm榴弾は瞬く間に940mを飛翔、崖の裂け目へと突き刺さった。直ちに起爆、岩石を引き剥がし、真下にいたフェルトとヴァシリの間に落着、通路を破壊すると共に粉塵を巻き上げる。
「プランBだ、全員行動開始、その男は引き受けた」
アトラが言った途端、月夜に対戦車ミサイルが2発撃ち上がった。白煙を引いて加速、規定高度に達したすぐ後に燃料を使い果たして視認できなくなるも、狙い通り谷の上、赤錆びた戦車へ突き刺さった。一瞬だけ空が明るくなり、爆煙が噴出、砲弾の連続誘爆が続く。その間にフェルトは離脱した、上方から飛び降りてきたティオに合わせて身を投げ、ティオは彼女の腕を掴む。2人は谷底へは行かず、事前に張っていたワイヤーによって対岸までスイングされた。
「姿は見える?」
「まだ粉塵の中だ、榴弾なら恐らく当たるが?」
「殺さないで」
ライフルスコープから目を離したアトラの表情は渋い、手加減してる場合じゃないだろ、という顔だ。だができない、機械を壊すのとは訳が違う、人の死は記憶に強く残る。彼らが憎しみで行動を起こすなら1人を殺すのも全員を殺すのも同じだ、その線を越えてはいけない。
「武器を狙う」
入れ替わりでヒナがスコープに目を当てた、遥か先の光景を照準に収める。粉塵は少しずつ晴れつつあり、崩落した通路と、その手前で伏射姿勢を取る人物が姿を現し、
撃つべきスナイパーライフルが銃口をこちらへ突きつけているのを確認した。
「ちょ……7.62ミリロシアンの射程は!?」
「およそ800メートル」
だったらそうそう当たる事は……いや
発砲炎が上がった。
「嘘でしょ…ッ!?」
咄嗟に右へ転がって回避、伏せていた場所を弾丸が飛び抜けていく。魔力効果を使用しない通常弾、射程外への射撃は威力がかなり落ちる筈だが、少なくとも人間の生身には関係無い。
「退がれ! もう100メートル距離を取る!」
言うと同時に榴弾を1発、ヴァシリ手前の通路を狙ったものだが、着弾を待たず2人同時に立ち上がる。
背後には設置済みのワイヤージップラインだ、これに適当な形状の金属スクラップを引っかけて高速移動を行う。地面から足を離せばワイヤーに沿って体は急加速、現場へ急行するサイクロプスと入れ違う。武器庫破壊第2案である、隠れる必要が無くなった時、奴がストレートな方法で叩き潰しに行く。
『一体何だ……ッがぁ…!』
『敵襲ぅぐ……!』
無論、既に武器庫から出されたものも少なからずあるが、それはフェルトとティオが片端からはたき落とす。
『安心せい』
『峰打ちにゃあ』
なんて言ってる2人の行為も常軌を逸している、ここは平地ではない。幅2m以下の通路を駆け、出会った住人に攻撃を許さず、武器だけを谷底へ落とし、人間は落とさない、そんな神業を軽々とだ。無力化した後の説得合わせてあちらは任せておけばいい、ヘマはしなかろう。
「よし仕切り直すぞ! あくまで殺さないんだな!? なら撃つのはヒナお前だ! 私が隙を作る!」
ジップラインの終端に到着、使ったスクラップを投げ捨て半回転、片膝を地面へ。
「奴さえ片せばこの話は終わりだ! 1発で決めろ!」
「撃たせ……!」
直後、閃光が2人を襲撃する。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第六部 『特殊な部隊の特殊な自主映画』
橋本 直
SF
毎年恒例の時代行列に加えて豊川市から映画作成を依頼された『特殊な部隊』こと司法局実働部隊。
自主映画作品を作ることになるのだがアメリアとサラの暴走でテーマをめぐり大騒ぎとなる。
いざテーマが決まってもアメリアの極めて趣味的な魔法少女ストーリに呆れて隊員達はてんでんばらばらに活躍を見せる。
そんな先輩達に振り回されながら誠は自分がキャラデザインをしたという責任感のみで参加する。
どたばたの日々が始まるのだった……。
ガチャ戦機フロンティア・エデン~無職の40おっさん、寂れた駄菓子屋で500円ガチャを回したら……異世界でロボットパイロットになる!?~
チキンとり
SF
40歳無職の神宮真太郎は……
昼飯を買いに、なけなしの500円玉を持って歩いていたが……
見覚えの無い駄菓子屋を見付ける。
その駄菓子屋の軒先で、精巧なロボットフィギュアのガチャマシンを発見。
そのガチャは、1回500円だったが……
真太郎は、欲望に負けて廻す事にした。
それが……
境界線を越えた戦場で……
最初の搭乗機になるとは知らずに……
この物語は、オッサンが主人公の異世界転移ロボット物SFファンタジーです。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が怒らないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
INNER NAUTS(インナーノーツ) 〜精神と異界の航海者〜
SunYoh
SF
ーー22世紀半ばーー
魂の源とされる精神世界「インナースペース」……その次元から無尽蔵のエネルギーを得ることを可能にした代償に、さまざまな災害や心身への未知の脅威が発生していた。
「インナーノーツ」は、時空を超越する船<アマテラス>を駆り、脅威の解消に「インナースペース」へ挑む。
<第一章 「誘い」>
粗筋
余剰次元活動艇<アマテラス>の最終試験となった有人起動試験は、原因不明のトラブルに見舞われ、中断を余儀なくされたが、同じ頃、「インナーノーツ」が所属する研究機関で保護していた少女「亜夢」にもまた異変が起こっていた……5年もの間、眠り続けていた彼女の深層無意識の中で何かが目覚めようとしている。
「インナースペース」のエネルギーを解放する特異な能力を秘めた亜夢の目覚めは、即ち、「インナースペース」のみならず、物質世界である「現象界(この世)」にも甚大な被害をもたらす可能性がある。
ーー亜夢が目覚める前に、この脅威を解消するーー
「インナーノーツ」は、この使命を胸に<アマテラス>を駆り、未知なる世界「インナースペース」へと旅立つ!
そこで彼らを待ち受けていたものとは……
※この物語はフィクションです。実際の国や団体などとは関係ありません。
※SFジャンルですが殆ど空想科学です。
※セルフレイティングに関して、若干抵触する可能性がある表現が含まれます。
※「小説家になろう」、「ノベルアップ+」でも連載中
※スピリチュアル系の内容を含みますが、特定の宗教団体等とは一切関係無く、布教、勧誘等を目的とした作品ではありません。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
決戦の夜が明ける ~第3堡塁の側壁~
独立国家の作り方
SF
ドグミス国連軍陣地に立て籠もり、全滅の危機にある島民と共に戦おうと、再上陸を果たした陸上自衛隊警備中隊は、条約軍との激戦を戦い抜き、遂には玉砕してしまいます。
今より少し先の未来、第3次世界大戦が終戦しても、世界は統一政府を樹立出来ていません。
南太平洋の小国をめぐり、新世界秩序は、新国連軍とS条約同盟軍との拮抗状態により、4度目の世界大戦を待逃れています。
そんな最中、ドグミス島で警備中隊を率いて戦った、旧陸上自衛隊1等陸尉 三枝啓一の弟、三枝龍二は、兄の志を継ぐべく「国防大学校」と名称が変更されたばかりの旧防衛大学校へと進みます。
しかし、その弟で三枝家三男、陸軍工科学校1学年の三枝昭三は、駆け落ち騒動の中で、共に協力してくれた同期生たちと、駐屯地の一部を占拠し、反乱を起こして徹底抗戦を宣言してしまいます。
龍二達防大学生たちは、そんな状況を打破すべく、駆け落ちの相手の父親、東京第1師団長 上条中将との交渉に挑みますが、関係者全員の軍籍剥奪を賭けた、訓練による決戦を申し出られるのです。
力を持たない学生や生徒達が、大人に対し、一歩に引くことなく戦いを挑んで行きますが、彼らの選択は、正しかったと世論が認めるでしょうか?
是非、ご一読ください。
幻想遊撃隊ブレイド・ダンサーズ
黒陽 光
SF
その日、1973年のある日。空から降りてきたのは神の祝福などではなく、終わりのない戦いをもたらす招かれざる来訪者だった。
現れた地球外の不明生命体、"幻魔"と名付けられた異形の怪異たちは地球上の六ヶ所へ巣を落着させ、幻基巣と呼ばれるそこから無尽蔵に湧き出て地球人類に対しての侵略行動を開始した。コミュニケーションを取ることすら叶わぬ異形を相手に、人類は嘗てない絶滅戦争へと否応なく突入していくこととなる。
そんな中、人類は全高8mの人型機動兵器、T.A.M.S(タムス)の開発に成功。遂に人類は幻魔と対等に渡り合えるようにはなったものの、しかし戦いは膠着状態に陥り。四十年あまりの長きに渡り続く戦いは、しかし未だにその終わりが見えないでいた。
――――これは、絶望に抗う少年少女たちの物語。多くの犠牲を払い、それでも生きて。いなくなってしまった愛しい者たちの遺した想いを道標とし、抗い続ける少年少女たちの物語だ。
表紙は頂き物です、ありがとうございます。
※カクヨムさんでも重複掲載始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる