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第1話 悪い噂が絶えない女
しおりを挟む今から7年程前。
高校1年生の頃の話をしようと思う。
私、仙崎佳代は昔から無駄に派手顔だった。
髪の毛の色素は薄いうえ、究極の天パ。
素行が悪いわけではなかったけど、素で勉強ができなかったもんだから成績は悪く、内弁慶で愛想が良くなかったものだから、グレてると思われているのか教師受けはあまり良くなかった。(前年度卒業した私の従姉妹がヤンギャルだったのも理由の1つ)
元々流行りには乗っかりたいし、お洒落はしたい方だったから、校則が緩いことをいいことにスカートはいつも短く、成長しすぎな乳が苦しくてワイシャツの胸元はいつも開けていた。というか、一番上まで閉めていたけどボタンが弾け飛んで恥をかいたからそうした。
無駄に日焼けしやすかった私は、日焼け止めを塗っていてもすぐ焼ける。無遅刻無欠席で片道45分の自転車生活。夏になれば私は真っ黒になる。
年子の弟は何故か異常なほどに優秀で、塾に通ってもいないのに成績は常にトップ。おまけに思いやりがあって人当たりも良かったから、両親は尚のこと私に肩を落とした。
親の心子知らず、子の心親知らず。
両親との確執が深くなってくると、私は見た目と周りの印象通り、逃げるように素行が悪くなっていった。
とはいっても、素行の悪い集団とつるむようになったくらいで、実際には特段悪いことはしていない。ピアスをして、化粧をするようになったくらいだ。
元々普通の子たちには何故か怖がられ避けられていたから、素行の悪い集団が受け入れてくれて嬉しかったというのも、その集団に入った理由の1つ。
ただ、何故か私の噂はいつも尾ひれを付けて広がっていく。
高1の秋に彼氏が出来て、たった1週間で別れた。
理由は向こうが突然体を求めてきたからだ。断るや否や、
「おまえヤリまくってるんだろ?!」
とのこと。
どんな噂が流れているんだ、私はまだ処女だぞ?!
と戦慄を感じたことを覚えている。
その男と別れるとすぐに、「あいつは彼氏に飽きるとすぐ捨てて、他の男と付き合い始めるらしい」という面白い噂が流れ始める。
そんなこんなで高校1年生が終わる頃には、素行が悪いヤンキー集団の中にいるビッチな黒ギャルというポジションに上り詰めた。
この時まだ付き合った人数は1人。
当然キスもSEXも未経験だった。
着ている制服も履いている潰されたローファーも、ギャルだった従姉妹のお下がり。
黒い腕には、根性焼きと勘違いをされる酷い虫刺されの跡。
私がしたことといえば、ピアスを開けて、化粧をするようになったことくらいだったのに。
高校2年生の夏が終わる頃には、私は社会人の彼氏がいるだとか、キャバでバイトしてるだとか、どこぞのおっさんの愛人だとか、そんな愉快な噂に囲まれていた。
本当は1年生の終わり頃から片思いしている人が居たんだけど、こんな噂だらけなうえ、コミュ障気味だった私にはどうすることもできず、結局そんな感じで高校3年間は終わりを告げた。
あ、でも。
卒業式の時、その片思いの相手『近野春市君』が突然話しかけてきてくれたのは甘酸っぱい思い出かもしれない。
「仙崎さんも上京組だよね」
「う、うん」
というそれだけの会話だったけど。
ちなみに3年間でそれだけしか近野くんとお話しできてませんけど。でも、それが高校生活で唯一甘酸っぱかった思い出だ。
今でもふと思い出す。
私同様、色素が薄いさらさらな髪の毛と、あの柔らかい笑顔。
同じく上京組ということで、再会できるかなぁなんて淡い期待をしてたけど、大学生時代にそんな出来事はなかった。
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