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プロローグ
しおりを挟むセブラ公国は小国ながらに優れた魔法使いが多い為、豊かな国とされてきた。すべての国民に魔力が宿っており、その魔力は生涯変わらない。
魔力を重要視するセブラ公国において、生まれた時に計測される魔力値で生き様が決まると言っても過言ではない。ーー高ければ高い程、その人材価値は高くなるのだ。
ちなみにこの国で一番の魔力を持つとされるのは、魔法庁長官であるメイナード侯爵であり、なんとその魔力値は50000マナだという。
50~500マナ程が一般的とされていることから、メイナード侯爵がいかに凄い魔力を保有しているのかが分かる。
そして、私‥アイナ・アンドレーはサーカス団に所属する16歳。仕事内容は主に見世物として柵の中に身を置くこと。
「見てママ、あの人!」
「あー、彼女が“異物のアイナ”ね」
「珍しい黒髪だ~!あ、目が紅いよ、怖い」
毎日毎日同じ言葉を掛けられる。人として扱ってもらえない私の存在は、良い客寄せになるようだった。
お陰で最低限の食事を与えて貰っているのだから皮肉なもの。
少しでも惨めにならないよう、背筋を伸ばしてシャンと椅子に掛ける。客の言葉にもいちいち反応せず、遠くを凛と見つめ続ける。‥これが私なりのこの腐った国への抵抗だ。
ーー異世界から来たと忌み嫌われていた母が、命と引き換えに生み落とした子ども‥‥生まれてすぐの魔力計測で、初めて0を叩き出した異物のアイナ‥それが私。
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