訳アリ兄妹 

いしぽよ

文字の大きさ
上 下
22 / 24
第2章 雪乃との日常

第22話 雪乃の家出2

しおりを挟む
猫又、唯、チュン太郎、ペン吉を引き連れて、あの大きな池のある公園へとやってきた雪乃は、
克海におんぶしてもらい、仲良く公園を散歩したあの日を思い出す。
雪乃「あの日が懐かしいものであるな。ついこの間の出来事であるというのに、もう随分と昔のことのようである。優しい兄様であったな、、、。」
猫又「雪乃、ホントにこれでよかったのか?俺なんかのためにここまでする必要があったのか?」
雪乃「いいのである。猫又ちゃんは気にしないで頂きたい。あくまであたしが決めたことなので。」
ペン吉「それにしても、これからどうするつもりだよ。」
雪乃「みんなで力を合わせて自給自足の生活をするしかにゃい、、、」
ペン吉「ほんとにそれでいいのか?学校はどうするんだよ?雪乃まだ中学生で義務教育期間中なんだろ?」
雪乃「学校なんて、行ってもどうせいじめられるだけなんだから、別にどうでもいいのである。」
ペン吉「そうか、、、。まぁ、俺たちは協力するけどよ、つまんない意地張ってるとかだったら謝って帰った方がいいと思うぜ?」
雪乃「つまんにゃい意地を張っているわけではにゃい!ちゃーんとした考えに基づいての決断である!」
ペン吉「ならいいけどよ。」
雪乃「..........」
すこし表情が曇っている雪乃。ペン吉はそれに気づいていた。
猫又「それじゃまぁ、野生で生きていくならまずは住処を作らないとな。」
雪乃「そ、そうであるな。」

一方、三条邸では、、、
房々「ううう、ううう、ううううう、、、」
大粒の涙を流す房々。
克海・克海母「....................」
房々「ほんと馬鹿ですよね、わたしは。世間体を重視するあまり、大切な家族をないがしろにして妻に出ていかれ、挙句の果てにまだあんなに小さな娘にまで出ていかれるなんて。これが世間体を気にし過ぎた男の末路ってやつですか。周りの目なんか気にせず、もっと自分の本心に正直になって生きるべきだったのでしょうか。」
克海・克海母「....................」
房々「あの子に言われたんです。"この世に家族よりも大切なものなんてあるわけない"と。それを聞いてはっとしましたよ。でもですよ?それでも私は、この日本古来より伝わる名門、三条家の当主なんです。この家も守らねばならない。そうなると、犠牲にしなければならないものも当然出て来る。
でもその挙句の果てが妻と娘を失う結果とは、なんとも哀れな末路ですよね、はは、はは、ははははははははは、、、」
克海・克海母「....................」
房々「今日ほど一般家庭を羨んだ日はないですよ、、、」
克海「確かに、正直これはちょっと難しい話ですね。落としどころをどう決めたらいいか、検討もつきません。」
克海母「ちょっと、何言ってんのよ!」
克海「じゃあ母さんには、何か解決策があるの?あるなら、具体的に話してみてよ。」
克海母「そ、それは、、な、ないけど、、、」
克海「だろ?」
克海母「.............」
克海「でもとにかく、俺は兄として妹を放っておけません。兄と言っても出会ってまだ日の浅い兄ですが、それでも雪乃は俺の妹です。お供がいるとはいえ、あんなに小さな子が一人で生きていけるわけがない。意地を張って出て行ったものの、どこかで行き詰って、あわあわしている様が容易に想像できますよ!」
克海母「そうね!ぼさっとしててもしょうがないし!とにかく雪ちゃんを探しましょう!話はそれからね!」
房々「二人ともありがとう、、、」
克海「で?どこを探す?」
克海母「まずはそこからよね、、、」
克海「俺的には、あそこしかないと思っているんだよ。」
克海母「え?どこ?」
克海「おれと雪乃が初めてお出かけしたところ、つまり、あの大きな池のある公園さ。」
克海母「どうしてそう思うの?」
克海「兄としての直感かな!」
克海母「なるほど、でも、可能性がありそうな場所を手当たり次第に探すしかないわよね!」
房々「二人ともありがとう、、、」
克海「じゃあさっそく向かいましょう!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル

ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。 しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。 甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。 2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

転生令嬢はやんちゃする

ナギ
恋愛
【完結しました!】 猫を助けてぐしゃっといって。 そして私はどこぞのファンタジー世界の令嬢でした。 木登り落下事件から蘇えった前世の記憶。 でも私は私、まいぺぇす。 2017年5月18日 完結しました。 わぁいながい! お付き合いいただきありがとうございました! でもまだちょっとばかり、与太話でおまけを書くと思います。 いえ、やっぱりちょっとじゃないかもしれない。 【感謝】 感想ありがとうございます! 楽しんでいただけてたんだなぁとほっこり。 完結後に頂いた感想は、全部ネタバリ有りにさせていただいてます。 与太話、中身なくて、楽しい。 最近息子ちゃんをいじってます。 息子ちゃん編は、まとめてちゃんと書くことにしました。 が、大まかな、美味しいとこどりの流れはこちらにひとまず。 ひとくぎりがつくまでは。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...