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第1章 妹との出会い
第3話 離婚
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克海「なんだかリビングがうるさいなぁ。あの二人何話してるんだろう?うるさくて勉強の邪魔だ、ちょっと言いに行くか。」
ダダダダダ、、、ガラッ!
克海「あの!うるさくて勉強の邪魔なんだけど!?」
克海母「次やったら、覚悟しなさいよ?」
克海父「は、はい、もうしません、すみませんでした、、、」
克海「?」
克海母「あら克海!どうしたの?」
克海「な、なにかあったの?」
克海母「うううん!何もないわよ?うるさかった?ごめんね?静かにしておくから。」
克海「あ、ああ、わかった。」
克海(なんだ?この不穏な空気は、、、父さんの表情がやけに暗いけど、、、)
克海は、なんだか腑に落ちなかったが、とりあえず自分の部屋に戻り、勉強を再開した。
それ以降、リビングは静かだった。
次の日の晩。
克海「あれ?父さんまだ帰ってないの?今日は遅いね。」
克海母「ええ。お父さん、今晩は帰ってこないと思うわ、、、」
克海「そうなの?出張とか?」
克海母「え?あ、ええ、まぁそんなところよ。克海は気にしないでお勉強頑張ってね。」
克海「う、うん。」
克海(なんだろ、母さん何か知ってるみたいだったな。)
克海がリビングを去ると
克海母「うっ、うっ、ううう、、、酷い、もう許せない、、、ほんと最低!もう我慢ならない!」
克海「!!?」
ドア越しに母の泣き声と怒りの声を聞いてしまった克海はただ事ではないことを悟る。
その時、克海母の手には一枚の写真が握りしめられていた。
その写真は、克海父がまたもや若い女と二人で手を繋いでホテルへ入っていくところを写したものであった。
しかも、昨晩とはまた違う女と。
翌朝。とうとう克海父は一晩帰ってこなかった。克海母はいつも通り朝ごはんを克海に振る舞うが、その表情はどことなく曇っていた。
克海「行ってきまーす!」
克海母「行ってらっしゃい!」
いつも通りの明るい笑顔。しかしそれは、息子に事を悟らせまいと無理をしているものだと、克海はすぐに気付いた。何か、何かある。絶対何かある。そう疑念が湧きつつもとりあえず大学へ向かう。
大学の講義が終わると家へ帰らずにバイト先へ向かった。その日は夜遅くまでバイトがあった。
時刻は夜10時。克海はへとへとの体を引きずって帰宅するが、そこは既に地獄絵図となっていた。
克海がドアを引くと鍵が掛かっていたのでドアをノックしようとしたその時、家の中からドス黒い声が聞こえた。
克海母「あなた!これは一体どういうことよ!!?もう二度目よ?しかもこの前とは違う女じゃない!!一体何人と不倫してんのよ!!」
生まれて此の方、初めて聞いた母の悲痛な叫び声に、克海は思わず固まり、ドアをノックできなかった。
一体この中で何が起こっているのか。知りたい気持ちと知りたくない気持ちが拮抗し、心が波立つ。
そういえば、庭の木鉢の下にスペアキーがあるのを思い出した克海はその鍵を握りしめながらドアの前で待機した。
今ドアをノックしたり、スペアキーで家に入ったら二人の話の腰を折ってしまう、そんな考え故の行動だった。
ドアに耳を傾けて見るが、先ほどのようにはっきりとは中々会話を聞き取れない。ただ、二人とも声を荒らげて何かを言い争っているのはわかる。
次の瞬間。
ドンッ!
何か鈍い音がした。克海は急に嫌な予感がしたので、スペアキーを使って急いで家に入りリビングの扉を開けると、そこには衝撃的な光景が広がっていた。
なんと母が横たわり、父は母を見下ろすかのように仁王立ちしていた。
克海「、、、」
言葉を失う克海。
克海父「ああ、お前か。」
克海母「、、、」
克海「な、何があったの。父さん、一体何やってるの。」
克海父「克海、ごめんな。」
そう言い残すと、克海父は黙って家を出て行った。
克海母「う、う、ううう、、、」
克海母は、お腹を押さえながら横たわり、泣いていた。
恐らく克海父に蹴られたのだろう。克海は胸が痛んだ。
よく見ると、すぐそこに一枚の写真が落ちていた。
その写真を拾い上げた克海は絶句する。
そこには、克海父が知らない若い女と仲良く手を繋ぎながらホテルへ入っていく様がはっきりと写されていた。
克海「母さん、これ何?まさか父さん、、、」
克海母「そう、不倫よ。しかもこれが二回目。」
克海「不倫!?父さんが!?しかも二回目!?」
克海母「ええ、そうよ。」
克海からすれば信じがたいものであった。あんなに家庭を大切にし、妻や息子の幸せを誰よりも願っていた父が、一体なぜ。そしてこの写真は、一体誰が撮ったものなのか。
それっきり、克海父は家に帰ってこなかった。あの日から、母と克海の二人暮らしが始まった。
母はパートへ行き、一生懸命働いてなんとか俺の学費を捻出しようと頑張ってくれている。だがしかし、母は元来専業主婦。金銭面を完全に父に依存していた為、俺の学費が払える見込みはなかった。その為、俺もバイトを増やして頑張ったが、それでもとてもではないが学費が払える見通しは立たなかった。
私立大学に入学したことを、今になって激しく後悔する克海。しかし、今更背に腹は代えられないので、仕方なく奨学金を借りることにした。母は責任を感じてふさぎ込んでしまった。すっかり精神的に病んでしまった母は、日に日にやつれていった。俺は、はやく母を楽にさせたい一心で、受験勉強を猛烈に頑張った。今年必ず、一発で海上保安大学校に受かって学校に通いながら給与を母に仕送りすることで、ちょっとでも家計の足しにしてやりたかった。
しかし、気持ちだけではどうにもならず、俺の受験勉強は難航していった。
ダダダダダ、、、ガラッ!
克海「あの!うるさくて勉強の邪魔なんだけど!?」
克海母「次やったら、覚悟しなさいよ?」
克海父「は、はい、もうしません、すみませんでした、、、」
克海「?」
克海母「あら克海!どうしたの?」
克海「な、なにかあったの?」
克海母「うううん!何もないわよ?うるさかった?ごめんね?静かにしておくから。」
克海「あ、ああ、わかった。」
克海(なんだ?この不穏な空気は、、、父さんの表情がやけに暗いけど、、、)
克海は、なんだか腑に落ちなかったが、とりあえず自分の部屋に戻り、勉強を再開した。
それ以降、リビングは静かだった。
次の日の晩。
克海「あれ?父さんまだ帰ってないの?今日は遅いね。」
克海母「ええ。お父さん、今晩は帰ってこないと思うわ、、、」
克海「そうなの?出張とか?」
克海母「え?あ、ええ、まぁそんなところよ。克海は気にしないでお勉強頑張ってね。」
克海「う、うん。」
克海(なんだろ、母さん何か知ってるみたいだったな。)
克海がリビングを去ると
克海母「うっ、うっ、ううう、、、酷い、もう許せない、、、ほんと最低!もう我慢ならない!」
克海「!!?」
ドア越しに母の泣き声と怒りの声を聞いてしまった克海はただ事ではないことを悟る。
その時、克海母の手には一枚の写真が握りしめられていた。
その写真は、克海父がまたもや若い女と二人で手を繋いでホテルへ入っていくところを写したものであった。
しかも、昨晩とはまた違う女と。
翌朝。とうとう克海父は一晩帰ってこなかった。克海母はいつも通り朝ごはんを克海に振る舞うが、その表情はどことなく曇っていた。
克海「行ってきまーす!」
克海母「行ってらっしゃい!」
いつも通りの明るい笑顔。しかしそれは、息子に事を悟らせまいと無理をしているものだと、克海はすぐに気付いた。何か、何かある。絶対何かある。そう疑念が湧きつつもとりあえず大学へ向かう。
大学の講義が終わると家へ帰らずにバイト先へ向かった。その日は夜遅くまでバイトがあった。
時刻は夜10時。克海はへとへとの体を引きずって帰宅するが、そこは既に地獄絵図となっていた。
克海がドアを引くと鍵が掛かっていたのでドアをノックしようとしたその時、家の中からドス黒い声が聞こえた。
克海母「あなた!これは一体どういうことよ!!?もう二度目よ?しかもこの前とは違う女じゃない!!一体何人と不倫してんのよ!!」
生まれて此の方、初めて聞いた母の悲痛な叫び声に、克海は思わず固まり、ドアをノックできなかった。
一体この中で何が起こっているのか。知りたい気持ちと知りたくない気持ちが拮抗し、心が波立つ。
そういえば、庭の木鉢の下にスペアキーがあるのを思い出した克海はその鍵を握りしめながらドアの前で待機した。
今ドアをノックしたり、スペアキーで家に入ったら二人の話の腰を折ってしまう、そんな考え故の行動だった。
ドアに耳を傾けて見るが、先ほどのようにはっきりとは中々会話を聞き取れない。ただ、二人とも声を荒らげて何かを言い争っているのはわかる。
次の瞬間。
ドンッ!
何か鈍い音がした。克海は急に嫌な予感がしたので、スペアキーを使って急いで家に入りリビングの扉を開けると、そこには衝撃的な光景が広がっていた。
なんと母が横たわり、父は母を見下ろすかのように仁王立ちしていた。
克海「、、、」
言葉を失う克海。
克海父「ああ、お前か。」
克海母「、、、」
克海「な、何があったの。父さん、一体何やってるの。」
克海父「克海、ごめんな。」
そう言い残すと、克海父は黙って家を出て行った。
克海母「う、う、ううう、、、」
克海母は、お腹を押さえながら横たわり、泣いていた。
恐らく克海父に蹴られたのだろう。克海は胸が痛んだ。
よく見ると、すぐそこに一枚の写真が落ちていた。
その写真を拾い上げた克海は絶句する。
そこには、克海父が知らない若い女と仲良く手を繋ぎながらホテルへ入っていく様がはっきりと写されていた。
克海「母さん、これ何?まさか父さん、、、」
克海母「そう、不倫よ。しかもこれが二回目。」
克海「不倫!?父さんが!?しかも二回目!?」
克海母「ええ、そうよ。」
克海からすれば信じがたいものであった。あんなに家庭を大切にし、妻や息子の幸せを誰よりも願っていた父が、一体なぜ。そしてこの写真は、一体誰が撮ったものなのか。
それっきり、克海父は家に帰ってこなかった。あの日から、母と克海の二人暮らしが始まった。
母はパートへ行き、一生懸命働いてなんとか俺の学費を捻出しようと頑張ってくれている。だがしかし、母は元来専業主婦。金銭面を完全に父に依存していた為、俺の学費が払える見込みはなかった。その為、俺もバイトを増やして頑張ったが、それでもとてもではないが学費が払える見通しは立たなかった。
私立大学に入学したことを、今になって激しく後悔する克海。しかし、今更背に腹は代えられないので、仕方なく奨学金を借りることにした。母は責任を感じてふさぎ込んでしまった。すっかり精神的に病んでしまった母は、日に日にやつれていった。俺は、はやく母を楽にさせたい一心で、受験勉強を猛烈に頑張った。今年必ず、一発で海上保安大学校に受かって学校に通いながら給与を母に仕送りすることで、ちょっとでも家計の足しにしてやりたかった。
しかし、気持ちだけではどうにもならず、俺の受験勉強は難航していった。
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