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片割れをさがして。
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わたしの双子の片割れが、昨夜から行方不明だ。
一緒に帰宅したところまでは間違いなく傍に居た。けれどお風呂に入る際、別々になってから気が付けば行方知れずなのだ。
正直不安でたまらない。生まれた時からいつも一緒、どこへ行くのも一緒だったのだから、もう二度と会えなかったらと思うと気が気ではなかった。あの子が今頃不安で泣いていたりしたら、どうしよう。
先程からわたしの片割れの捜索をしてくれている彼女『芽依』は、わたし以上に焦った様子であちこち探し回ってくれている。それでも、一向にあの子は見付からない。
黙って待っているしか出来ないもどかしさに、いっそ居なくなったのがわたしだったら良かったのにと益々落ち込んだ。
しかし、きっと居なくなったのがわたしだったとしても、あの子はきっと今のわたしと同じように心配するし、探してくれている彼女も、同じように懸命に探してくれるのだろう。そう思うと、大切に想われている事実に少しだけ心が落ち着いた。
大丈夫。きっと見付かる。そうしたら、また芽依と三人で一緒に遊びに行こう。どこに行くのも、一緒なら何も怖くない。芽依が好きな、靴に砂の入るお砂場だって甘んじて受け入れよう。そう考えていると、不意に捜索を諦め、助けを求める芽依の声が響いた。
「おかあさん! メイのすきな赤いお花のくつした、かたっぽどっかいった!」
「もう、お風呂に入る時ぽいぽい脱ぎ散らかすからでしょう?」
「だって~……」
「あら、残ってる方ももう汚いじゃない。穴もあきかけてるし……」
「きのうくーちゃんとおすなばで、たくさんあそんだから……。ふだんはもっとキレイだよ!」
「でもねぇ、探してもないなら、しかたないでしょう? まあ、その内出てくると思うけど……そっちは捨てるからママにちょうだい」
「すてちゃうの!? メイのいちばんの『おきにいり』なのに!?」
「ちゃんと新しいの買ってあげるわよ……ほら、最近芽依の好きな探偵の……」
「びしょーじょたんていアケチちゃんの!? やったー!」
あれほど大切にしてくれていた芽依に手のひらを返され、ママさんにあえなく引き渡されたわたしは、そのまま無情にもごみ箱の中へと落とされる。
今のひとりぼっちで『靴下』とも呼べないぼろぼろのわたしには、せめてあの子がごみ出しの日までに見付かって、ごみ箱の中で最後に再会出来るのを祈ることしか出来なかった。
一緒に帰宅したところまでは間違いなく傍に居た。けれどお風呂に入る際、別々になってから気が付けば行方知れずなのだ。
正直不安でたまらない。生まれた時からいつも一緒、どこへ行くのも一緒だったのだから、もう二度と会えなかったらと思うと気が気ではなかった。あの子が今頃不安で泣いていたりしたら、どうしよう。
先程からわたしの片割れの捜索をしてくれている彼女『芽依』は、わたし以上に焦った様子であちこち探し回ってくれている。それでも、一向にあの子は見付からない。
黙って待っているしか出来ないもどかしさに、いっそ居なくなったのがわたしだったら良かったのにと益々落ち込んだ。
しかし、きっと居なくなったのがわたしだったとしても、あの子はきっと今のわたしと同じように心配するし、探してくれている彼女も、同じように懸命に探してくれるのだろう。そう思うと、大切に想われている事実に少しだけ心が落ち着いた。
大丈夫。きっと見付かる。そうしたら、また芽依と三人で一緒に遊びに行こう。どこに行くのも、一緒なら何も怖くない。芽依が好きな、靴に砂の入るお砂場だって甘んじて受け入れよう。そう考えていると、不意に捜索を諦め、助けを求める芽依の声が響いた。
「おかあさん! メイのすきな赤いお花のくつした、かたっぽどっかいった!」
「もう、お風呂に入る時ぽいぽい脱ぎ散らかすからでしょう?」
「だって~……」
「あら、残ってる方ももう汚いじゃない。穴もあきかけてるし……」
「きのうくーちゃんとおすなばで、たくさんあそんだから……。ふだんはもっとキレイだよ!」
「でもねぇ、探してもないなら、しかたないでしょう? まあ、その内出てくると思うけど……そっちは捨てるからママにちょうだい」
「すてちゃうの!? メイのいちばんの『おきにいり』なのに!?」
「ちゃんと新しいの買ってあげるわよ……ほら、最近芽依の好きな探偵の……」
「びしょーじょたんていアケチちゃんの!? やったー!」
あれほど大切にしてくれていた芽依に手のひらを返され、ママさんにあえなく引き渡されたわたしは、そのまま無情にもごみ箱の中へと落とされる。
今のひとりぼっちで『靴下』とも呼べないぼろぼろのわたしには、せめてあの子がごみ出しの日までに見付かって、ごみ箱の中で最後に再会出来るのを祈ることしか出来なかった。
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