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【最終章】ダイヤモンドの消失。

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「……以上が、わたくしの話したいことすべてですわ。この事、父に報告しますか? それとも、迷惑を掛けられたと私的に罰しますか?」
「私的にって……そんなことしませんよ!?」
「あら、ミアは本当に優しい子ね。……皇女殿下、一つだけ宜しいでしょうか?」
「……、何なりと。聖女様には、多大なるご迷惑をお掛けしましたもの」
「でしたら……」

 ステラの言葉を待ち、フレイア様は僅かに身構えたようにする。けれど、次がれた言葉は予想外のものだった。

「私とも仲良くして下さいな」
「……はい?」
「ですから、私に対しては罪悪感か嫌悪感か知りませんけどツン全開じゃありませんか!」
「そ、それは……」

 私刑を受け入れようとしていた彼女ですら、面食らったように動揺する。
 けれどまあ、ステラの突拍子の無さは、今に始まったことではない。

「私のこと、もっと頼って下さいな。私の方がお姉さんですし……光は闇があるからこそ、認識出来るものですもの。私達は、反発するのではなく共存すべきですわ」
「……!」
「ステラもわたしも居ます。フレイア様、これからは、一人じゃないですから」
「っ……、はい……」

 事件については、わたしが良し悪しを決められるようなものじゃない。けれど彼女の孤独に寄り添い、彼女自身の心は許したいと思った。
 その気持ちは、確かに伝わったようだ。思わず涙ぐむフレイア様の後ろから、更に温かな声が掛けられる。

「俺達も居るしな!」
「僕の事も忘れないで下さいね」
「お、お兄様!?」
「殿下!?」

 いつの間にか来ていたらしいレオンハルト殿下とオリオン殿下に驚きつつも、幸せそうに微笑むフレイア様を見て、きっともう二度と『異変』が起きることはないのだろうと感じた。

 そしてまた、平和ながら『聖女』と『悪役令嬢』を並行するような、バタバタとした生活が始まった。


*******


あれから、フレイア様は表舞台に立つことも増えた。殿下達の支えと、南部の拉致事件解決の功績が大きく認められたこともあり、少しずつ皇女としての立場が確立してきたのだ。

 血に拘る古い因習を変えるのは難しい。けれど、あの兄妹ならきっと、新しい時代を切り開き、必ずやり遂げるだろう。

 ステラとお父様の関係については、あくまでステラが望むのは『お父様の伴侶』じゃなく『わたしの母親』ポジションであると納得されたようだった。

 思い悩んでいたお父様もそれならと、良識ある大人として再婚等ではなく、別の方法を模索した。

 結果モルガナイト邸の敷地内にステラとわたし専用の小さな建物を用意し、両家公認でそこへの出入りを面倒な謁見希望等の手続き無視で自由にしたのだ。

 そこはわたしとステラの場所。そこでなら、わたし達は親子で居られた。
 お父様も気になるのか、時折合間を見ては遊びに来る。

 三人で過ごす時間は、とても心地好い。けれど本物の家族じゃない、歪な関係。
 それでも、愛で繋がったわたし達だ。これからも、わたし達には光輝くあたたかな大切な思い出が増えるだろう。


*******


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