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【最終章】ダイヤモンドの消失。
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リヒトの足はわたし達の重さ程度では衰えず、あっという間にお父様達に追い付いたものの、ステラの姿はどこにも見当たらなかった。
焦った騎士達が周辺の人に聞き込みを行うけれど、剣を持った彼らを警戒してか、まともに取り合ってくれる人はほとんど居なかった。
フレイア様の顔色が悪い。自分が鬼ごっこを始めたせいだと気に病んでいるようだった。……リヒトの運び方のせいではないと信じよう。
「フレイア様……大丈夫です。ステラは強いから」
わたしは不安を圧し殺して、フレイア様の冷えきった手を握り締める。
不意に、聞き慣れた声がした。
「あれ、ミアにフレイア? 公爵達も」
「……レオンハルト殿下!」
「おや、全員集合……にしては、ステラ嬢の姿がありませんね」
「オリオン殿下、それが……」
「お兄様……! 申し訳ありません、わたくしの……わたくしのせいで、聖女様が……」
「フレイア、落ち着きなさい」
「ゆっくりでいいぜ? 兄ちゃんに話してみ?」
「はい……」
わたし達が集まったのは、クリスタル公園。住民達の憩いの場だ。
人通りも多く聞き込みには適しているものの、誰もまともに目を合わせてくれない。
騎士達にはそれでも聞き込みを続けて貰い、殿下達も合流した事で、わたし達はお互いの持つ情報を照らし合わせた。
わたし達はクリスタル辺境伯の話や、フレイア様と合流した経緯。
殿下達は、娘が居なくなったという女性の話。彼女からこの近辺で娘が消えたと言う話を聞き、足を運んだらしい。
フレイア様は皇女という立場からか、自分のせいで『聖女』に危険が及んでいるかもしれないという状況が不安な様子だった。
責任を感じて上手く話せない彼女の手を、再びそっと握る。
「少なくとも二人の少女がこの場所で消えた……か」
「三人ですわ、聖女に体当たりした男も『娘が消えた』と喚いていましたもの」
「最後に接触したその男が、ステラの行方を知る手掛かりだな……」
「あの、これも『消失』なんでしょうか? でもわたし達、ステラのことちゃんと覚えてるし……」
「そうですね、何か解決の糸口になるかと思いましたが……これは少し違うような気もします……」
「あの! オリオン殿下は昨夜、フレイア様を見付けられましたよね? あれ、ステラには使えないんですか?」
二人の皇子が見せた、昨夜の美しい魔法。あれならばステラもその行方不明の少女も見付けられるかもしれない。
けれどオリオン殿下は眉を下げ、申し訳なさそうに首を振った。
「あれは血に反応しているので……ステラ嬢には使えないんです」
「血……?」
「はい、僕の魔法は少し特殊で……火属性と水属性を兼任しているんです」
「二つも属性を持ってるんですか!?」
魔法の属性は普通、一人につき一つだ。その一つ限りでも、属性を活かして魔法を使える人間は、手品レベルも入れて人口の約半数。
二つの属性を持っている人なんてそう居ないし、相反するであろう火と水を持って魔法が使える人は初めて見た。
「属性に付随する魔法として、水は液体全般や涼、火は熱や炎が一般的ですね。……その併用と応用で、僕は人間の中に流れる血液を辿れます」
「……血を、辿る?」
「ええ、血には色々な特徴がありますからね。それを魔力を通じて判別するというか……」
「血液型とかDNAとかそんな感じですかね?」
「イメージとしてはそうですね」
「良くわかんねーけど、同じ血を引き合わせる間違い探しみたいなもんだろ」
「そうですね。手元にサンプルさえあれば、地の果てでも辿り見つけられます。血縁関係の捏造で権力を得ようとする輩もすぐに見分けられますし、何かと便利で」
血縁を重んじる貴族社会の闇を垣間見た気がする。
血の繋がりに囚われた価値観を複雑に感じながらも、わたしが口を出した所で因習というのは変わらない。
そんなわたしの気を紛らわせるように、オリオン殿下は笑顔で続けた。
「ああ、勿論……僕達を害する者が居たならば、その血を沸騰させる事も逆流させる事も出来ますよ」
「!?」
「……。とまあ、それは冗談として。フレイアと僕は半分同じ血が流れていますからね、わざわざ辿らずとも魔力で共鳴してくれたんです」
何事もなかったような爽やかな笑顔に騙されそうになるけれど、物騒な発言は冗談には聞こえなかった。
傍に居たレオンハルト殿下もフレイア様も、その場で固まっている。
「あの、血を辿れるなら……わたしの血じゃ、ダメですか!?」
「……? ミア嬢とステラ嬢は、確かに母子のような時がありますが……血の繋がりはないでしょう?」
確かに今世では血の繋がりも、親子の縁も、何もない。それでも、わたし達には親子の思い出も、絆も、愛もあった。
「血の繋がりはなくても、ステラがわたしの血を持っていたとしたら?」
「……、ステラにそんな趣味が……?」
「そうじゃなくて! 殿下達もお持ちの、それです!」
わたしはレオンハルト殿下のポケットからはみ出した、白い布を指差す。
わたしが誕生日に贈った、刺繍のハンカチだ。
「ハンカチ、ですか……?」
「ステラにあげたのは、最初に作ったやつなので。たくさん指に針を刺したし……きっとどこかに血の成分が残ってます!」
「成る程、微量でもそこから血を辿れるかもしれませんね」
「……ハンカチ、そんな都合良く持ち歩いていますの?」
「はい……ステラも、お父様も……わたしの家族は、みんなこのハンカチを大切にしてくれてましたから。きっと!」
以前、お父様と一緒にハンカチを即座に取り出したのを覚えている。きっと、ステラならお守りの如く常備しているはずだ。
「試してみる価値はありますね……ですがミア嬢、一つ問題が」
「なんですか?」
「少量の血を辿るので、出来れば些細な反応も見逃さないよう、僕の体内に血を取り込みたいのですが……」
「……はい?」
予想外の言葉に、思わず固まった。
体内に、血を取り込む?
輸血? 否、血液型が違ったりしたら大惨事だ。
混乱していると、オリオン殿下がわたしの肩をそっと押し、近くのベンチに座らせる。
至近距離に近付いた彼が、血のような赤い瞳でじっとわたしの首筋へと視線を注いでいた。
「ミア嬢の柔肌に傷を付けるなんて、本当はしたくないのですが……」
「えっと、もしかして、噛……」
「これもステラ嬢を見付ける確率を上げるためです。協力して下さいますか?」
「……わ、わかりました、大丈夫です……ステラのためですから!」
「いい心がけですね」
にこりと微笑んだオリオン様が、わたしの頬を優しく撫でる。
レオンハルト殿下とフレイア様は思わず両手で顔を覆っていた。……兄妹で同じリアクションをしていることに微笑ましさを感じるくらいには、わたしも羞恥のあまり現実逃避しているようだ。
リヒトはオリオン殿下が余計な危害を加えないようにとじっとこちらを見ているが、止めてはくれない。
あからさまに見ちゃいけない雰囲気を出されるのも恥ずかしいけど、見られるのも見られるので恥ずかしい。
親が見ていないことがせめてもの救いだと、わたしは意を決して目を閉じる。
「うう……お手柔らかにお願いします……」
「仰せのままに」
こうしてわたしは、白昼堂々人目に晒されつつ、麗しい吸血鬼殿下に血を捧げたのだった。
*******
焦った騎士達が周辺の人に聞き込みを行うけれど、剣を持った彼らを警戒してか、まともに取り合ってくれる人はほとんど居なかった。
フレイア様の顔色が悪い。自分が鬼ごっこを始めたせいだと気に病んでいるようだった。……リヒトの運び方のせいではないと信じよう。
「フレイア様……大丈夫です。ステラは強いから」
わたしは不安を圧し殺して、フレイア様の冷えきった手を握り締める。
不意に、聞き慣れた声がした。
「あれ、ミアにフレイア? 公爵達も」
「……レオンハルト殿下!」
「おや、全員集合……にしては、ステラ嬢の姿がありませんね」
「オリオン殿下、それが……」
「お兄様……! 申し訳ありません、わたくしの……わたくしのせいで、聖女様が……」
「フレイア、落ち着きなさい」
「ゆっくりでいいぜ? 兄ちゃんに話してみ?」
「はい……」
わたし達が集まったのは、クリスタル公園。住民達の憩いの場だ。
人通りも多く聞き込みには適しているものの、誰もまともに目を合わせてくれない。
騎士達にはそれでも聞き込みを続けて貰い、殿下達も合流した事で、わたし達はお互いの持つ情報を照らし合わせた。
わたし達はクリスタル辺境伯の話や、フレイア様と合流した経緯。
殿下達は、娘が居なくなったという女性の話。彼女からこの近辺で娘が消えたと言う話を聞き、足を運んだらしい。
フレイア様は皇女という立場からか、自分のせいで『聖女』に危険が及んでいるかもしれないという状況が不安な様子だった。
責任を感じて上手く話せない彼女の手を、再びそっと握る。
「少なくとも二人の少女がこの場所で消えた……か」
「三人ですわ、聖女に体当たりした男も『娘が消えた』と喚いていましたもの」
「最後に接触したその男が、ステラの行方を知る手掛かりだな……」
「あの、これも『消失』なんでしょうか? でもわたし達、ステラのことちゃんと覚えてるし……」
「そうですね、何か解決の糸口になるかと思いましたが……これは少し違うような気もします……」
「あの! オリオン殿下は昨夜、フレイア様を見付けられましたよね? あれ、ステラには使えないんですか?」
二人の皇子が見せた、昨夜の美しい魔法。あれならばステラもその行方不明の少女も見付けられるかもしれない。
けれどオリオン殿下は眉を下げ、申し訳なさそうに首を振った。
「あれは血に反応しているので……ステラ嬢には使えないんです」
「血……?」
「はい、僕の魔法は少し特殊で……火属性と水属性を兼任しているんです」
「二つも属性を持ってるんですか!?」
魔法の属性は普通、一人につき一つだ。その一つ限りでも、属性を活かして魔法を使える人間は、手品レベルも入れて人口の約半数。
二つの属性を持っている人なんてそう居ないし、相反するであろう火と水を持って魔法が使える人は初めて見た。
「属性に付随する魔法として、水は液体全般や涼、火は熱や炎が一般的ですね。……その併用と応用で、僕は人間の中に流れる血液を辿れます」
「……血を、辿る?」
「ええ、血には色々な特徴がありますからね。それを魔力を通じて判別するというか……」
「血液型とかDNAとかそんな感じですかね?」
「イメージとしてはそうですね」
「良くわかんねーけど、同じ血を引き合わせる間違い探しみたいなもんだろ」
「そうですね。手元にサンプルさえあれば、地の果てでも辿り見つけられます。血縁関係の捏造で権力を得ようとする輩もすぐに見分けられますし、何かと便利で」
血縁を重んじる貴族社会の闇を垣間見た気がする。
血の繋がりに囚われた価値観を複雑に感じながらも、わたしが口を出した所で因習というのは変わらない。
そんなわたしの気を紛らわせるように、オリオン殿下は笑顔で続けた。
「ああ、勿論……僕達を害する者が居たならば、その血を沸騰させる事も逆流させる事も出来ますよ」
「!?」
「……。とまあ、それは冗談として。フレイアと僕は半分同じ血が流れていますからね、わざわざ辿らずとも魔力で共鳴してくれたんです」
何事もなかったような爽やかな笑顔に騙されそうになるけれど、物騒な発言は冗談には聞こえなかった。
傍に居たレオンハルト殿下もフレイア様も、その場で固まっている。
「あの、血を辿れるなら……わたしの血じゃ、ダメですか!?」
「……? ミア嬢とステラ嬢は、確かに母子のような時がありますが……血の繋がりはないでしょう?」
確かに今世では血の繋がりも、親子の縁も、何もない。それでも、わたし達には親子の思い出も、絆も、愛もあった。
「血の繋がりはなくても、ステラがわたしの血を持っていたとしたら?」
「……、ステラにそんな趣味が……?」
「そうじゃなくて! 殿下達もお持ちの、それです!」
わたしはレオンハルト殿下のポケットからはみ出した、白い布を指差す。
わたしが誕生日に贈った、刺繍のハンカチだ。
「ハンカチ、ですか……?」
「ステラにあげたのは、最初に作ったやつなので。たくさん指に針を刺したし……きっとどこかに血の成分が残ってます!」
「成る程、微量でもそこから血を辿れるかもしれませんね」
「……ハンカチ、そんな都合良く持ち歩いていますの?」
「はい……ステラも、お父様も……わたしの家族は、みんなこのハンカチを大切にしてくれてましたから。きっと!」
以前、お父様と一緒にハンカチを即座に取り出したのを覚えている。きっと、ステラならお守りの如く常備しているはずだ。
「試してみる価値はありますね……ですがミア嬢、一つ問題が」
「なんですか?」
「少量の血を辿るので、出来れば些細な反応も見逃さないよう、僕の体内に血を取り込みたいのですが……」
「……はい?」
予想外の言葉に、思わず固まった。
体内に、血を取り込む?
輸血? 否、血液型が違ったりしたら大惨事だ。
混乱していると、オリオン殿下がわたしの肩をそっと押し、近くのベンチに座らせる。
至近距離に近付いた彼が、血のような赤い瞳でじっとわたしの首筋へと視線を注いでいた。
「ミア嬢の柔肌に傷を付けるなんて、本当はしたくないのですが……」
「えっと、もしかして、噛……」
「これもステラ嬢を見付ける確率を上げるためです。協力して下さいますか?」
「……わ、わかりました、大丈夫です……ステラのためですから!」
「いい心がけですね」
にこりと微笑んだオリオン様が、わたしの頬を優しく撫でる。
レオンハルト殿下とフレイア様は思わず両手で顔を覆っていた。……兄妹で同じリアクションをしていることに微笑ましさを感じるくらいには、わたしも羞恥のあまり現実逃避しているようだ。
リヒトはオリオン殿下が余計な危害を加えないようにとじっとこちらを見ているが、止めてはくれない。
あからさまに見ちゃいけない雰囲気を出されるのも恥ずかしいけど、見られるのも見られるので恥ずかしい。
親が見ていないことがせめてもの救いだと、わたしは意を決して目を閉じる。
「うう……お手柔らかにお願いします……」
「仰せのままに」
こうしてわたしは、白昼堂々人目に晒されつつ、麗しい吸血鬼殿下に血を捧げたのだった。
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